多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

Z世代・若者たちのニューノーマル~選ばれる商品,会社になるために

Z世代・若者たちのニューノーマル~選ばれる商品,会社になるために

いつも読んでいただき,ありがとうございます。

今回は,昨日に参加した継続的に行われている東濃信用金庫さんが主宰して下さる若手経営者向け「とうしん青経読書会」で読んだ本「若者たちのニューノーマル~Z世代,コロナ禍を生きる(牛窪恵著)」,聞いたお話の中から,Z世代の特徴とこれを踏まえた雇用する際の注意やサービス,商品を購入してもらうために意識すると良い点について,気づいたことをご紹介をします♪(写真は,今回の課題本です)

Z世代はスマートフォン(スマホ)を通じて,インターネットに関わることが一般的となっているスマホネイティブであると同時に,物心つく頃にはすでにSNSが広く使用されていたSNSネイティブと言われます。
Z世代は,明確な定義がなされているわけではなく,一般的には1990年代後半から2012年頃に生まれた世代を指し,2022年時点では20代前半から10歳前後の年齢の人を言うようです。

私の娘(現在高校2年生),息子(現在中学1年生)も,このZ世代に当たるわけですが,20代前半の方もいるということは,そろそろ就職して働く方,自分の稼いだお金でサービス,商品を購入する人たちも出てくる世代になります。

Z世代の人を雇用する際,どのようなことに注意したらいいのでしょうか?
Z世代の人が就職したい,と選ばれる会社になるためには,何がポイントなのでしょうか?
どのような点に注目すると,商品,サービスを購入してもらえるのでしょうか?

私が思ったことを3つ,お伝えします。

1 二刀流世代

「おひとりさま」「草食系」を広めた世代・トレンド評論家の著者,牛窪さんの指摘。

「仕事」と「結婚・出産(育児)」あるいは,「趣味(プライベート)」の両立を求めるZ世代。
いわゆるワークライフバランス
でも,Z世代はむしろ,「仕事とは社員の自己実現のための手段」と捉える男女も多い。
つまり,ワークがライフの一環という感じ。

「Z世代会議」による調査(18年)では,「16歳~21歳(現18~23歳)」が104個もの項目の中で「自分に近い」として選んだトップは,「家庭では男女の区別なく家事・育児を分担した方が良い」で,6割以上の男女がそう答えている,とのこと。
マイナビ21年卒の学生調査,学生の就職観1位は「楽しく働きたい」2位は「個人の生活と仕事を両立させたい」
同調査で生きたくない会社1位は「ノルマのきつい会社」2位は「暗い雰囲気の会社」。

女性の社会進出に伴い,健康な若い段階での卵子を冷凍保存する例も紹介されていた。
女の子,お母さん,経営者に知ってほしいこと~2冊の本とオリエンタルランド特別顧問福島先生でも,紹介しているけれど,女性にとっては,出産のタイミングと仕事の両立も大きな問題ということを改めて感じた。

そして,女性だけではなく,男性でも二刀流,両立を重視している。
ストーリーの中で男子学生の台詞として「・・上のオジサンたちみたいに,仕事だけに情熱注いでいたら,則離婚とか言われそうやしな(笑)」

という言葉は,現在でも,私自身が離婚相談の中で,熟年離婚で女性から言われる離婚理由の中に多く,実感するところです…

「離婚についてもシビアな現実に直面した世代」で,身の回りで親の離婚に直面した男女も少なくないZ世代。
女性の大多数は,「自分が働かないと,多分家計が厳しい」と認識しているが,「夫や子供のために家庭を守る存在になりたい」という専業主婦願望もある。

20代女子に専業主婦願望が高まっているとのことで,私としては驚きましたが,大学で授業をしている読書会の講師の先生に聞いたところ,実際の学生は,どちらかというと公務員が人気で,安定した仕事を求める傾向があること,なので,どちらかというと,お仕事もしながら,家事,育児もしっかりとできる仕事を望んでいるということかな,と思いました。

みなさんの会社は,ワークライフバランスに配慮した働き方をしている会社ですか?
「自己実現」の手段として仕事を考えている社員にも,働いてもらえそうな会社ですか?
みなさんの会社は,職員が家に帰ったとき,家族からどのように思われそうな「働き方」でしょうか?

2 ジョブ型雇用

講師の先生が言われた最近学生がよく使う「ジョブ型雇用」
良く分からない部分も多いようですが・・・

本では,「あらかじめ決められた職務に応じて人材を雇用する」ということ,と紹介されています。
ジョブ型雇用は,近年急増しているとのこと。

これまでは,新卒一括採用でとりあえず,入社してから職員を育てていく・・というイメージでしたが,
これからは,企業が必要とする仕事ができる職員,スキルを持つ職員を採用する・・というイメージでしょうか。

同じ会社にずっと勤務し続けるという「年功序列・終身雇用」といったいわゆる日本型の雇用慣行の実態が失われていく中で,就職後に転職できるよう,「ジョブ」と呼べるスキルを身に着けることがZ世代には必要不可欠。

講師の先生のお話では,最近の学生は,資格を取得することにも熱心とのこと。
このあたりも就職前から特定の「スキル」を磨くことで,ジョブ型雇用での採用も意識しているのかな,と思いました。
あとは,公務員が人気なのと同様に,安定,安心の材料としてのスキル,資格の取得が人気なのかな,と思いました。

バブルの時期を知らないZ世代,特にコロナ禍も経験しているZ世代にとっては,自分のスキルを活かしながら,どんな会社でも安心して働けること,が重要なのかなと思いました。

私自身も,もちろん,なりたい仕事として弁護士を選んだのではありますが,安心して生活できるために「弁護士」という資格取得を目指したところもあり,子どもの頃に「安心して生活できることの大切さ」を実感すると,そういう方向を選ぶかな・・と共感するところがあります。

娘も以前は資格を取得したい・・と言っていましたが,それはおそらく,私が弁護士として離婚事案などにも関わっているからという部分もあると思いました。
ただ,今は,学びたいこと,やりたいことを中心に仕事を考えているので,Z世代といっても一律ではないし,育った環境,年齢などによっても大きく異なるかな,と思います。

みなさんの会社は,ジョブ型雇用,採用していますか?
みなさんの会社は,会社内で資格やスキルを身に着けられる仕組みがありますか?
資格やスキル取得後は,職員が会社を退職して転職することもありそうですが・・それに応じた会社の仕組みになっていますか?

3 Z世代の消費傾向・選ぶ基準

Z世代の消費傾向や重視していること。
SDGsなども意識して消費行動もするZ世代。

そういえば確かに・・・

私も子供たちも大好き,ブラックサンダー(お菓子)が,『スマイルカカオプロジェクト』というマークをつけて,このマークがついているブラックサンダーを買ってもらうと,ガーナのカカオ農家の支援になるという取り組みをしているのを知った。

美味しい,はお菓子にとっては大前提となる大事な価値なのだけれど,その先に,こういう取り組みがあることで,「美味しい」だけで競争しない,これからのZ世代からも選ばれる商品,選ばれる会社になるのかなと思った。

あとは,YouTube講演家の鴨頭嘉人さんが紹介していて知った「途上国から世界に通用するブランドをつくる」をコンセプトにしているマザーハウスさん。
どんどん,拡大して職員も増えて成長しているとのこと。

こういうことが就職したい,とか,サービスを利用したい,商品を購入したいに,Z世代にとってはますます繋がっていくのではないかな,と思いました。

あとは,「ニッチな○○女子」。
こけしを愛する「こけ女」,ぬか漬けを愛する「ぬか女」
埴輪や土偶をハマる「埴輪・土偶」女子。

娘は,埴輪・土偶がめっちゃ好きなので,わお!と思いました。娘だけじゃないのですね・・・
ハッシュタグでこれらのニッチな趣味に関する情報を探せるZ世代。

ニッチな趣味がどんどん市民権を得て,グッズ購買やイベント参加などの消費につながっていると言えるだろう,とのこと。

私からすれば,何が面白いんだろう?とか,なんでそんなものにお金使うの?という感覚のものでも,「好き」という「子ども」のような感情が動けば買うのがZ世代なのかなと思いました。
一方で,自分だけが良ければいい,ではなくて,SDGsなど,地球全体の環境や公平性を考えて仕事やサービスを選ぶ基準も持っている成熟した考え方も有するZ世代。
自分が好きなものを大事にするように,周りの人の好きなもの,権利も大事にしていこう,という豊かな気持ちがあるのかな,と思いました。そう思うと,Z世代って,素敵ですね!

みなさんの会社は,Z世代に響くような商品,サービスがありそうですか?
みなさんの会社は,環境や社会にとって良い,と思われるようなサービスの取り組み,理念がありそうですか?

まとめ 背景を知って触れよう

私自身が,自分よりも下の世代の人の感覚があまり分からなくて失敗した経験も多くて・・・
本当に,自分の時代の「常識」と思っていたことを押し付けることがどれだけ問題なのか,実感しています。

私たちが育った世代には育った世代の背景があって,それはその頃の「正義」だったと思う。
けれど,時代はやっぱり変わっていくから,今の人が何を考えているのかを知っておくことは,経営者として新しい時代の人たちを雇ったりする場合,そして新しい時代の人たちにサービスを提供する場合,また,これに限らず,コミュニケーションを円滑にとっていくために必要だと改めて思いました。

今回は,読書会による「本」の知識だけれど,その意味では,このZ世代の人の話,気持ちを直接聞かせていただける機会,とっても大事だと思いました。
なので!自分自身の子どもたちも,今どのようなことを考えて,何に興味があって,何が嫌なのか・・・
どんな働き方がしたいのか,どんなものを欲しいと思うのか・・ワクワクしながら聞いていきたいと思いました。

自分と全く考え方が違う場合には,「なんで!」と抵抗もしそうだけれど,そこにはやっぱり,生まれ育った環境の違い,背景,時代の違いがある・・・
それを知っておくと,なるほど,と理解できる部分も多いかなと思いました。

その意味で,今回紹介した本には,様々なZ世代の感覚や,行動傾向,そのようになった背景なども触れられていますので,参考になります。お勧めです。

うちに相談に来て下さる依頼者の方々のため,そして自分自身の子ども達,家族,友人のため,弁護士として,母として,幸せに生きるための方法,考えていきたいと思います。

また,研究発表,致しますね(笑)!

それでは,

このブログを読んで下さった皆さまにとって,Z世代の人に選ばれ,気持ちよく働いてもらう会社になるためのヒント,Z世代の人に選ばれる商品やサービスを提供するためのヒント,Z世代の人たちとも楽しく交流していくためのヒント,幸せな人生,発展し続ける経営に活かすためのヒントとなりますように。

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!