多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

裁判所外で話すのは苦手な私が、話すのが好きになったワケ

裁判所外で話すのは苦手な私が、話すのが好きになったワケ

人前で話をすると緊張する。笑顔がひきつる。準備してきたはずなのに頭が真っ白になって話が飛んでしまう。だから人前で話をするのは怖い。できればスピーチなんてしたくない。
裁判所で堂々と発言するそんなイメージがある弁護士。でも実際の裁判って,ほとんど書面,つまり文書を提出することで進んでいく。長い話をその場でするなんてことは,ほぼない。
だから裁判所で話すということは,「怖い」というイメージがあるかもしれないけれど,実はあまり緊張することではない。

そんなわけで,弁護士である私でも,初めて会う人,特に沢山の人の前で話すことは,緊張する場面でした。

最近は,ありがたいことに,経営者の団体である「とうしん青年経営者クラブ」の会長させてもらうというようなことがあって,人前で挨拶をするという場面が増えたけれど,何を話したらいいのか・・・
私よりもたくさんのスタッフをがいる大きな企業の前で私のような小規模でしかも経営と言っていいのかと言えるような弁護士という職業の人が話していいのかって思ってた。

このブログ読んでくれる皆さんも人前で話すの緊張するって思ったことありませんか?
こんな私が話していいんだろうかって思ったことありませんか?

でも,私はこの一年半鴨頭嘉人さんが学長務める「話し方の学校」,ベーシックコース,アドバンスコース,テクニカルコースを通って卒業することで,とても話をするのが楽になった。楽しくなったと思います。

今でも話をするときにまったく緊張しないっていうわけではないんだけれど,話しても大丈夫,「話したい」って思えるようになりました。
それはどういう理由なのか?話すのが楽になるヒントを考えました。
大きくは3つあると思いますので,今回お伝えしたいと思います。

1マインド・考え方

話し方の学校,最初のコースベーシックコースは小学校のイメージ。話すときの基礎を教えてもらいました。
話すのがしんどいのは,自分のこの話が相手にどう思われるのか心配だから。
社会的な生物である人間は,他者からの評価で良い評価を受けて良い人間関係を続けないと命の生存に関わる。
だから関係を築くための話す事って緊張するだなって気づきました。
でも,この話し方の学校で意識的にマインドセット・考え方を切り替えることを知りました。

「話すことはプレゼント」「心の矢印今どっち?」
「うまく話そうとするの禁止」

自分が相手にどう思われるのかではなくて,相手に自分がどう言葉のプレゼントを渡すのか,
自分が相手に見られているのではなくて,相手を自分が見て差し上げる,
「うまく話そうとしなくていい」「禁止!」くらいの意気込みで!

そういうマインドが大事って気づきました。

今でも完璧に出来ているわけではないですが,そう思うことでかなり緊張してる時も「考え方」「視点」を変えて心を整えられるようになりました。
マインド,本当に話すときに大事だなって気づきました。

2 コンテンツ・話す内容

話し方の学校,中学校にあたる「アドバイスコース」ではスキルも学びました。
どんな内容で構成したらいいのか,話す内容の構成方法について学びました。

「話し方は型がある」「相手に届くスピーチは型どおり」

この「型」を知ることで,話す内容をどのように構築したらいいのか,とても分かりやすくなりました。
私も専門分野である「離婚調停での話し方」について解説をすることが多いのですが,この話し方の型を伝えることって改めて大事だと思いました。
何をこの場で話したらいいのか考える時,またこんな話がしたいと思ったとき,どんな構成をすると一番伝えられるのか,「型」に当てはめることで,スムーズに作れるようになりました。

3 デリバリー・表現方法・話し方そのもの

話し方の学校,高校編にあたる「テクニカルコース」では,さらに表現方法について学びました。
特に私が苦手な意識があったエピソードから伝える話し方を中心に学びました。

「論理的な話し方」,根拠から伝える話し方は,どちらかといえば確かに比較的得意な方。
少なくとも「書き方」としては仕事柄,割と得意な方だったと思います。
でも,「論理」だけでは人は動かない。

確かに証拠からすればその通りかもしれないけれど,「何となく嫌」「やる気がしない」「この人好きじゃない」と思えば,こちらの望むように動いてくれることはない。やってくれることはない。

だから,相手の心を動かす,「右脳」にも響く話し方をしたい。
相手に情景を浮かばせるような生き生きとしたお話,わくわくするような物語として,出来事から気づきを伝える表現方法がしたい。
でも,それは苦手だなぁって思っていました。

言い訳になりますが,仕事柄,どちらかといえば感情の起伏があまりない,説明のような文書,説明のような話し方になることが多かったなと思います。
私の仕事の場面,仕事上はどちらかと言えばその「論理的な話し方」の方が重要視されることも多いのですが,日常でのお話とか,とうしん青年経営者クラブのような仕事として話す場面でない話をするときのスピーチって,説明のようになってしまったらちょっとつまらない。なんなら、上から目線で感じ悪い。

だから「話し方の学校」学長である鴨頭さんのように,物語のようなドキドキワクワクしながら聞ける話,そして最後に,「ああ。いい気付きがあった」「いいこと教えてもらったな」って,じんわり伝わるような,そんな話ができたらいいなーって思ってました。

テクニカルでは,そこを学んで,楽しみながら表現しました。
ぜひ見ていただけたら嬉しいです▼

https://www.youtube.com/watch?v=7FrztZa2pQo
(私のスピーチは,55分30秒過ぎあたりからです~)

まとめ 私は話すのが好き

「話し方の学校」に一年半通って,卒業して私が一番変わったこと。
それは,「私は本当は話すのが好き」と気づいたこと。

大人になってから,本当に・・・もう,どうだろう。うん十年ぶりに一生懸命スピーチの原稿を考えて,何度も何度も修正して,何度も何度も覚えて,発表するっていう久しぶりの経験をした。
正直しんどい部分もあった。でも何度も,練習中に小学校の頃のことを思い出した。

少年の主張大会で発表者に選ばれた時。一生懸命,原稿を何度も添削して,出来上がった原稿を何度も読んで覚えていたのを思い出した。
作文を書くのが,私は好きだった。
母がいつも付き合ってくれて,何度も作文を添削してくれた。
原稿が完成した後は,発表に向けて何度も何度も練習した。
制限時間内に話せるように「話し方」も工夫して練習した。

それを思い出した。
小さいころ,あのステージに立った時,話した時,私は嬉しかった。
それを思い出した。

「私は話すことが好き」
「ちゃんと練習して臨めば話せるんだ」って思い出した。

・・そういえば、もっと幼いころ。
小学校に行く前なんて,話したくてうずうずして,親に「ねーねー,○○があって~~」って言ってたのに。
大きくなるにつれて,何となくうまく話せなかった・・という思いを重ねることで,話すのがしんどくなってたんだ。

今回の卒業スピーチ↑,実は一瞬途中で何を話すのか忘れてしまっているところがある。
でも,「それでも大丈夫」って思えた。

話したいことがあって,準備もしてきたら,何があっても大丈夫だって思えるようになった。

これからは突然スピーチしてくださいって頼まれる場面もあると思う。
でもそのときは,なんとなく今この場面で自分が感じていること完璧ではないかもしれないけど言葉にできる気がする。

だって・・「私は話すのが好き」って気がついたから。
話すことで,相手にプレゼントを届けたいって分かったから。

だから話すのが苦手だな,と感じている人は,「話し方の学校」に行くのはお勧めです♪

一緒に学んだ仲間も最高だった!
鴨頭さんがそういう「場」を作ろうと意識しているからだからと思うけれど,誰も否定をしない,みんなバラバラだけど,それぞれできたことに注目して,励ましあえる。
そんな素敵な場所,素敵な仲間が見つかる場所でもある。
アドバンスコース,テクニカルコースの講師である「なべ志」の愛の深さ,それぞれの生徒をよく見て、一人ひとりその人にあった声をかけてくれることにも励まされた。素敵な先生だった♪

これからも私は話すことでプレゼントをたくさん渡し続けていきたいと思います!
そして「話し方」をこれからももっと磨いていきたいなと思います。
勇気を持ってこの場所に踏み込んだ自分を褒めたいと思います。

私の「本音」は・・やっぱり「話すのが好き」。