AI,国際化社会で変革を迫られる日本の教育~経産省の目指す未来の教室

いつも読んでいただき,本当にありがとうございます。

今回は,教育委員として,岐阜県教育市町村連合会の研究総会に参加した際,経済産業省の浅野さんの講義内容が衝撃的だったので,気づいたことをシェアします。

今まで,学校教育と言えば,「文科省」が担当してきた。

では,なぜ,今「経産省」が公教育現場に乗り込んでいるのか・・・?

そこには,このままでは,AIが進化した時代,国際化社会となっていく未来で日本は生き残れる人材を作れない,という危機意識があるから,のようです。

最近の日本では,イノベーティブな技術が生み出されない。ノーベル賞をとる日本人はいるけれど,70歳代の方々・・
イノベーションの創設は経済産業省の責任分野。
このままでは,日本はイノベーションを起こせるような人材を生み出すことが出来ず,それを改革するには,教育の在り方から考えるべき,ということのようです。

また,学習塾,EdTech(エデュケーションテクノロジー)の管轄は,もともと経済産業省の管轄分野のため,21世紀に必要とされる「21世紀型スキル」を伸ばすサービスをこう教育に普及できないか,という意識のようです。


それでは,21世紀に生き残る人材となるために必要な学習とは何なのか?
私たち親,教育に関わるものは,21世紀を生きる子どもたちのために何を意識していけばいいのか?


について

3つお伝えします。

1 個別最適化×学びあい
 

衝撃的だった事例は,千代田区麹町中学校の事例。

教育改革に協力的な工藤校長先生(こちらに記事も出ています)。

ざっくりというと,生徒の数学の成績に応じて,グループを3つに分けた。
上位のグループには今まで通り,先生が集団で授業を教える。

中間グループ,下位のグループには,AI教材型ドリル教材(キュビナ)を与え,カフェテリアで学習。
そこでは,歩き回って子どもたち同士が学習するために話をしあったりして,学んだらしい。
ドリル教材では,その生徒の回答から理解度を判断して,次の出題(誤答の原因と考えられる単元に戻る)がされる。

分からなくなった場合には,先生に聞く,という学習スタイル。

その結果,全員が成績が伸びた,ということ。同じ時間でできる学習スピードは2倍以上・・・


印象的だったのは,その学習状況を見学に行った時の経産省浅野さんの感想。
一瞬,学級崩壊か?と思うような心配な状況で,みんなが歩き回り,話をしながら学習をしていた。
タブレットのようなものを与えると,会話がなくなると思いきや,そういうツールがある方が,会話が生まれる・・ということ。


発達障がいの息子を持つ私としては,超魅力的な学習方法!
授業中,とにかくずっと席に座っていなくていいなんて!(←そこ?)
しかも,個別の能力に応じて出来るだけ最適化して学習させてくれるから,負担も少なくて,伸びることが出来る・・・
出来なかったことが,「できた」と実感できることは,学習意欲も高めてくれる。

一律に分からないまま同じ授業を受けるのではなくて,こうやって,
自分が分からないところを,分かるまで学ばせてくれる=個別最適化授業って・・・理想的なのじゃないかな・・

と改めて思いました。エデュケーションテクノロジーが進んでいる今だからこそ出来ること,ある,と改めて思いました。

経産省は,ビジネスベースで教育,人材の育成を考えている・・という非難もあるところですが,

「個別最適化×学びあい」が一斉授業を代替する,
「落ちこぼれ」も「吹きこぼれ」もない状態という理念は,むしろ,子どもたちの個人,多様性,主体性を大切にした育成につながっているのではないか,と私は思いました。


みなさんのお子さんの学校では,個別最適化,学びあいのために取り組まれていることはありますか?
ご自宅でも,ツールも使いつつ,必要なところに戻ってうまく学習をされていますか・・?

教えることのプロでない私は,自己流の教え方で間違ってしまっては本当に嫌なので,子どもが詰まったときに,どこに戻ったらいいのか分からないから,民間の莫大な資金を使って研究開発された教育ツールも使いつつ,
教えていくこともしたいなあ・・と改めて思いました。

 


2 「ルール形成能力」育成の場としての学校


次に私がすごく共感したのは,「ルール」を守るだけじゃやなくて,ルールを変えられる人材の育成という,理念。

私の学校ルールへの疑問は,娘の中学校のルールから本当に募っていた(こちらの記事に書いています)


日本人は,いつも自分たちでルールを作れないから,外国人の作ったルールで取引をさせられる,
平たく言うと・・そういう話をされた。

だから,自分たちにとっては不利になりうるルールの中で,戦わなければならなくなる・・

けれど,自分たちでルールを素早く作ることが出来たなら?と浅野さんは伝えてくれた。


自分の生存環境を自分で整えられられない人は自滅する・・・

人が決めたルールを守る,という発想から,自分でルールを変えていく,という発想を持ってほしい,
と強く話してくれて,とっても共感した。

 

「自由学園」での取り組みを紹介してくれた。

ルールは常に見直せ,常識は常に疑え,規則はアップデートしていこう,と合言葉に,土曜学習で高校生たちと話をしているらしい。

その中で,子どもたちから男女共学がいい,などの意見も出て,では,なぜ共学じゃないのか,そのメリット,デメリットを考えている・・ということだった。


印象的だったのは,先生に
「なぜ,この校則はあるんですか?と聞いてみること。それで理由を言えないなら,廃止しなきゃいけない」という言葉。


・・私も本当にそう思う。
そのルールを決めたときは,それなりの「理由」があったこともあるのだろうけど,今となっては,技術革新,環境の変化などの必要性から,その理由よりももっと大切なことを優先すべき,
ということも多いはず・・(暑くて,クーラーもないのに,制服を必ず着よう,というのもそうですね)

文科省から許しが出たら,いわゆる置き勉(学校に教科書などを置いてくる)などもよくなってきたのだけど・・・
その前に,何が本当に大切なのか・・・柔軟に考えることが現場でできたらなあ・・と思ってた。(うちの子は忘れものも多いので)


最近だと,小学校ではなぜシャープペンシルを使ってはダメなのか?ということが私の息子にとっての課題だった・・・
うちの息子の場合,シャーペンの方が,持ちやすいから書く気になってくれるし,握り方も上手にみえたので・・使わせてあげたかった。

真摯に話をして,しっかりと対応をしていただけたと思っているけれど・・・(支援級での使用は一応許してもらえた)
色々と理由を聞いたけれど,メリット<デメリットと私にとっては納得できることはなかった・・・他の子と合わせる,ルールだから,ということがメインとしか思えなかった。


私は学校現場で頑張ってくださっている先生方が大好きです。尊敬もしています。
だからこそ,少しずつでも話し合って,ルールを見直すきっかけづくりが出来たらな・・・と思っています。

しかし,子どもたち自身がルールを見直そうとする意識,環境がないと・・内側から変わっていくことはない。
その環境を与えてくれるのは,周りの大人。親もその重要部分を占めるけど,学校では先生の考え方が大きく作用する・・

先生にルールを変えられるもの,変えていいもの,と思ってもらえるにはどうしたらいいのか?改めて思いました。


決められたことに従うだけでは,未来の社会で,自分で何かを生み出すこと,作り出す力をつけていくことは難しい・・・
自分の頭でしっかりと考えて,本当に大切なことは何なのか,そのためにどうしたらいいのか?を考えられる子供に私はなってほしい・・

実は,弁護士会が取り組んでいる「法教育」では,そのあたりの話を伝えてる・・
単にルール,法律を守るべきもの,と伝えているわけではないのです。
なぜルールを守らないといけないのか?その背景にある「考え方」,どういうルールを作ったらいいのか?自分で考えることの大切さを伝えていっています。

岐阜市の教育委員会では,採用していただけて,
岐阜市内の小学校で弁護士が講師として授業を行う活動を今年からスタートさせている・・

岐阜市では,ブログでも以前に書きましたが,ベネッセなどともコラボしてエデュケーションテクノロジーを取り入れている様子もあって,麹町中学校と同じように,その成果を実感しているとの発言も聞かれた。
多治見市でも改めて,広まっていくといいと思いました。


みなさんは,学校のルール,社会でのルール,会社でのルール,なぜあるのか考えたことはありますか?
よりみんなの成果が上がるため,快適に過ごせるために変えるとしたら,どんなことがありそうでしょうか?
その場合のメリット,デメリットは?

子どもたちに,家族ルールを考えてもらう!という取り組みもいいかもしれないですね!

 


3 マイプロジェクトの遂行の場
 

経済産業省がよく使う言葉で,教育現場からは嫌がられる言葉「生産性」(笑)。

人間形成の場である教育現場で,その言葉を用いると人間の尊厳への侮辱,機械のように扱われるということへの非難なのかな,と思います。

でも,あえて教育現場で「教育の生産性を上げる」と話してた。


同じ時間授業をするなら,より多くの生徒の学習効果が上がった方がいい,という意識でしている麹町中学校の取り組み。
EdTechを使うことで,実際に成果が上がった。

一律に扱うのではなくて,出来るだけ個別に対応しようとしてくれている取り組みなので,
学習レベルに関係なく,同じ授業をする,というよりも,
むしろ,個々の多様性に応じて,人間らしく,1人1人をできるだけ丁寧に扱ってくれていると私は思う。

さらに進んで,全国で上手に教える先生の講義をインターネット配信して,自宅にいても,どこの学校にいても,どんな田舎でも,同じレベルの教育が受けられることを目指してた。
子どもたちは,この先生が分かりやすい,と思う先生を自分で選んで学習する・・

民間で言うと「今でしょ!」の林先生の授業を全国どこでも受講できるイメージでしょうか・・


ドラスティックだけど,時間や場所に拘束されない学習方法は,うちの子にとっても,ありがたいな。。と思うところがありました。


中国では,実際にそういう取り組みが進んでいるらしい。
理由は,日本のように優れた教師がそろっていないから。
それなら,統一して,同じ品質のカリキュラムをどの地域の子どもたちにも届けられるシステムを作った方が速い,ということのようです。

これは,固定電話のない地域では,一気にインターネットのインフラが進み,携帯電話がいきなり普及する,という話に似てるらしい。
既存のいいシステムがなかった地域では,一気に最新の技術が導入されていく・・・
そして,追い抜いていく・・・

日本の場合,今の教育システム,教えるというスキルはすでに優れたものがある。先生のスキルが高い,ということだと思う。
でも,だからこそ,新しい取り組みを入れていくのは難しい・・・とか。


そういうとき,文科省ではない自分たち経産省の方が言いやすいのではないか,それが自分たちの役割だと言っていた。


プログラミング,英語の早期教育の実施,道徳の教科化など,先生のやることは増える一方で,
教育現場での「働き方改革」は言われていて,働く時間は減らすように言われている・・・

そういう意味でも,教材作り,授業づくりなどは,日本全体で共有してもいいのではないか?という発想があるようでした。


私も研修講師をしたりすることがあるけれど,研修の資料を作るのはあまり得意ではない。

自分の考えや発想を分かりやすく図式化してくれる人がいると助かるし,実際に頼むこともある・・


先生が教材づくりをすることも,スキルアップのために必要,という考え方もあるけれど,
すべての先生が得意なわけではないと思うし,

良い教材は共有化することで,子どもたちのためにもなるから,そこから独自性,自分らしい工夫は付け足していく,
という発想でいいんじゃないかな・・と思う。

だから,教材づくりや授業作りをどの先生もそれぞれバラバラに行わなくていいんじゃないかな・・・と思う。


そして,効率化することで残った時間をこういう授業に使ってほしい,と経産省がおもっているのが
「マイプロジェクト」のようです。

中国では,中学生が,「落ちない橋を作るには?」「pm2.5の体内への蓄積はどのように測るか?」などを
自分たちで考えて実践しているらしい。

日本でも,どうしたら「省エネ出来るか?」などの社会での課題を解決するプロジェクトをみんなで考える学習時間を持ってほしい,そこから科学,歴史,数学などの各科目が必要だという実感も持てる,ということ。
そのために,そういうことを出来る先生を育てていきたい,ということだった。


以前Amazonの人も言っていた,物理に興味が持てたのは,それが社会にどうつながっているのか教えてもらったから・・ということ(ブログにも書きました)
実際に学生の頃に試作品を作ることで,今の自分の仕事がある,ということ。

こういう体験が出来る限り,子どものころから体験できるといいな,と改めて思いました。


経産省では,この社会につながるスキルを学ぶということで,STEM(STEAM)学習を意識しているようです(詳しくはこちら)。


すぐに実践するのは,難しいかも,と思いましたが,小学校6年間で1つのプロジェクトをチームでやってみる,という体験,
そこに先生方が積極的に関わっていってもらえたらいいな,と改めて思いました。

私自身も,子どもたちに身の回りで困っていることをどう解決したらいいのか?考えてもらうような言葉かけをしていきたいと思います。

やっぱり,お仕事って,困りごとの解決からしか始まらないと思うので!


みなさんの仕事の現場で共有化することで,省ける仕事はありますか?
今の技術を使うことで,時間を短くしつつ,成果を高めることが出来ることはありますか?
子どもたちが,なぜこの勉強をするのか,社会でどう役に立つのか,分かるような学習の仕方はありますか?

 


まとめ 繋ぎながら変化する


ラグビーの五郎丸選手に協力してもらいながらプログラミングを学べる「タグラグビー」。
戦略を考えるときにプログラミングを利用しているようです。

一流のスポーツ選手の考え方を知りながら,学べる学習。子度たちが本当にワクワクしそうです。

その他にもジャズピアニストと一緒にプログラミング,数学を掛け合わせた学習を研究もしているよう。


こういう民間で優れた才能・スキルを持つ方々を繋いでいけるのが経産省の強みかな,と思います。

こういう開発を個々の先生の能力に任せていたら,どれだけ時間がかかるか分からないし,プロ集団が協力して作ったカリキュラムと比べたら,内容としてもやっぱり限界があると思うのです・・・


でも,これまで現場で実物の子どもたちと関わってきた先生方しか分からない,
現場の先生だからこそ出来ること,子供たちの成長にとって大切なこと,もあるはず。


なので,このあたりは,経産省も文科省も垣根を越えて,つながりあいながら,協力して,
本当に日本の未来にとって,そして,子どもたち自身にとって良い教育環境を研究し,変化させていってもらえたらと思っています。


私自身は,現状維持は退化の始まり・・と思っているので,
よりよくするためにはどうしたらいいのか,常に考えて,自分が思うところは伝えていきたいな,と思っています。

自分の子どもたち,地域,日本の子どもたちが,未来の世界でしっかりと役に立っていけるスキルを身に着けてほしいと思います。

娘が英検の試験勉強をする様子を見ていて・・・
紙ベースではなかなか進まなかった勉強が,タブレットのアプリを入れた瞬間に一気に進んだ様子を見て・・
やっぱりEdTechの利用を避けては通れないな・・と実感しています。


子どもたちの学習効果を高めるために,利用できるものは出来るだけ学校でも利用できるようになるといいな,と思っています。

仕事でも,何をつかったらやる気が上がるのか,成果が出るのか,誰と協力して進めたら効果が高いのか,は常に意識をしていきたい,と改めて思いました~~~


それでは,
このブログを読んで下さったお父さん,お母さん,学校の先生方など教育に関わる方々がどうしたら,子どもも大人もワクワクしながら,成果も上がる学習が出来るのか,未来の社会でも役に立つ人となるための学習となるのか,考えるヒントとなりますように・・・
事業主の皆様は,未来を担う子供たちに自分たちが教えてあげられることは何なのか?仕事としては,どのようにしたら生産性をあげて,革新的なアイディアを実現できるチーム作りが出来るのか?を考えるヒントとなりますように…

 

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!

 

 

この記事を書いた弁護士

木下貴子
木下貴子
岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり19年目。
岐阜県立多治見病院など地元事業者の顧問弁護士を務め,法律のみならず経営に関するアドバイスも行っています。
個人のお客様には,離婚,相続,不動産案件を多く取扱っています。
著書「離婚調停は話し方で変わる」は,Amazonランキング「法律」部門ほか5部門で第1位を獲得。
相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーとしています。お気軽にご相談ください。

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