民法改正〜保証のルール(賃貸借の保証を中心に)

1.最も日の長い日に半年を振り返る

今日は1年で最も昼が長い夏至です。

時の経過は早く,1年も折り返し地点に近づいています。

先日は,土岐市の織部の里公園へ,ハナショウブを見に行きました。

今日は,夏至ということで,この半年を簡単に振り返りつつ,民法の保証のルールのうち,賃貸借に関連するものを中心に解説します。

経験豊かな半年

1年の折り返しということですが,半年を振り返ると,私が担当する調停事件の件数が2桁に達する状態が続いていて,しばらく新規の相談を入れられないほどでした。

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新しい時代の始まりとともに 賃貸借のルールが変わる

あっという間に6月に

今日は,6月1日。

ちょうど1か月前になりますが,平成最後の日と令和最初の日は高山にいました。

平成最後の日に,高山の古い町並みを練り歩く提灯行列と,宮川の手筒花火を楽しみました。

そして,5月1日より,元号は「令和」となり,連休が明けると,裁判所で付される事件番号も,例えば家事調停であれば,これまで平成31年(家イ)第◎号だったものが,令和元年(家イ)第◎号と変わりました。

中には,平成31年の平成だけ令和に変えてしまい,令和31年という文書を作ってしまった方もいるのではないでしょうか。

新しい時代の高揚感とともに5月はあっという間に過ぎ,今日から6月です。

意匠法などが変わる

10日に特許法改正と意匠法改正が成立しました。

意匠権に関しては,この改正により,意匠権の存続期間が,これまで登録日から20年だったのが,出願日から25年に延長されます。

保護対象も拡大され,物品に記録・表示されていない画像や,建築物の外観・内装のデザインも保護の対象となります。

民法が変わる

令和2年大きく変わる

来年,令和2年4月1日,民法の債権に関する改正法が施行されます。

時効や,法定利率,保証,契約などなど,民法で定められているルールが大きく変わります。

民法で定められているルールが大きく変わると言いましたが,どのように変わるかについては2つのパターンがあります。

一つは,これまでのルールを改めたもの・新たにルールをはっきりと定めたもの

もう一つは,条文に書かれていないルールを条文にしたもの

この2パターンがあります。

条文に書かれていなかったルールを条文にしたものとはどういうことなのか。

明治29年に民法が制定されてから約120年間が経ち,その間に,条文の解釈や条文に書かれていないルールについて,戦前の大審院や戦後の最高裁の判断が蓄積されてきました。

そうしたルールを明文化しています。

これが,条文に書かれていなかったルールを条文にしたものとなります。

賃貸借のルールがどう変わるか

今日はそのうちの,賃貸借のルールがどう変わるかについて解説します。

賃貸借の期間が伸びる

民法上の賃貸借の存続期間が50年になります。

建物所有目的の土地の賃借権(借地権)や建物の賃借権については,借地借家法という法律で,民法のルールが修正されています。

これに対し,例えば,大きな設備の賃貸借や建物所有目的でない土地の賃貸借については,民法のルールが適用され,これまでは20年が上限でした。

ところが,大きな設備の賃貸借や,メガソーラーなどソーラーパネルを設置した発電所やゴルフ場の土地など,20年以上の賃貸借契約になじむものもあります。

そこで,今回の改正により,賃貸借の存続期間が20年から50年に伸びます。

不動産を賃貸する人の地位を他に移す場合とそのままに場合のルール

賃貸借契約が結ばれている際に,貸し借りの対象となっている不動産の所有権が別の所有者に移ると,賃貸人(貸主)の地位は当然にその新しい所有者に移るとされています。

これが,今回の改正で明文化されます。

一方,賃貸人の地位を一定の場合に元の所有者に留めることも可能になります。

新しい所有者と元の所有者との間で賃貸人の地位を留める合意をし,新しい所有者が元の所有者との間で不動産を賃貸する合意をした場合には,賃借人の同意なく,賃貸人の地位をもとの所有者に留めることができます(新法605条の2第2前段)。

修繕のルール〜賃貸人の義務

貸し借りの対象となっている物を修繕する義務は,賃貸人(貸主)にあります。

ただし,修繕が必要となったことについて,賃借人(借主)に非がある場合には,賃貸人は修繕義務を負わないということを明文化しました(新法606条1項ただし書)。

修繕のルール〜賃借人の権利

今述べたように,貸し借りの対象となっている物を修繕する義務は原則として賃貸人(貸主)にあります。

もっとも,一定の場合には賃借人(借主)自らが修繕できることを新たに定めました

一つは,賃貸人に修繕が必要であることを通知したり,賃貸人がそのことを知ったのに,賃貸人が相当期間内に必要な修繕をしないときです。

もう一つは,賃借人自らが修繕しないといけないような急迫の事情があるときです。

賃料が減額される場合

貸し借りの対象となっている物について,一部を使用収益することができなくなり,しかも,賃借人に非がないときは,使用収益できなくなった部分の割合に応じて賃料が減額されることが明文化されました(新法611条1項)。

これまでは一部が滅失した場合のみ賃料の減額を請求できるものとされていましたが,今後は一部を使用収益することができなくなった場合にも,当然に,賃料が減額されることとなりました。

さらに,一部が滅失したり一部が使用収益不能となったりしたことにより,残りの部分では賃貸借契約を締結した目的を達成することができない場合,賃借人は,賃貸借契約の解除をすることができます(新法611条2項)。

貸し借りの対象となっている物の全部が滅失したり全部が使用収益不能となったりした場合には,賃貸借契約は当然に終了することも明文化されました(新法616条の2)。

不動産の賃借人による妨害排除請求権・返還請求権

賃借人が第三者に自らの賃借権を対抗する要件を備えた場合に,賃借権に基づいて賃借権に対する妨害を排除したり賃貸目的物の返還を求める権利が明文化されました。

賃貸借が終わった場合の賃借人の義務

賃借人(借主)には,原状回復義務,貸し借りの対象となっているものを元の状態に回復させて返す義務があります。

今回,原状回復義務の内容を,明文化しました。

具体的には、通常損耗については賃借人はこれを回復する義務を負わず,その他の損傷についても賃借人に非がない場合には原状回復義務を負わないことが明文化されました(新法民法621条)。

保証に関するルールは,次回以降お伝えできればと思います。

連休中に感じたこと

10連休の後半は,東京にも足を運び,かつての教え子で現在高校生の人たちに会ってきました。

高校3年間,全国大会で優勝したこともあるほどハイレベルなダンス部で未経験ながらダンスに打ち込んだ人が,その3年間の集大成としての最後の公演に出るということで,親御さんとともにその姿を観てきました。

また,現在高2ですが,医学部を目指し連休中も勉強する人にも会ってきました。秋から中学受験の指導を担当し,無事第一志望に合格した人でした。雪が舞う中,試験会場に応援に行ってから,もう5年経つんですね。

司法試験は,例年連休明けに実施されます。

そのため,教育業界で仕事をしながら司法試験を受験していた頃は,大型連休は,街の楽しい雰囲気の人たちを尻目に,授業のため出勤するとともに,司法試験の直前ということで追い込みの勉強もしていました。

教え子の成長を実感するとともに,あの頃の苦労を振り返ることもできました。

勉強自体は,弁護士になってからも,継続しています。

法改正への対応など日々研鑽を重ね,質の高い法的サービスのを提供することができるよう心がけていきます。

働き方に関する法改正

今年は重要な法改正が目白押し

今年は,知的財産分野,相続分野,労働分野と,重要な法改正が施行されます。

当ブログでも,年末年始より,不正競争防止法,著作権法,相続法と,改正される法律について解説してきました。

今日は,労働分野の重要な法改正について,企業経営者が気をつけるべき点を解説します。

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変わる相続のルール 事業承継から考える相続法改正

約40年ぶりに大きく変わる 相続のルール

昨年,民法の中の相続に関するルールが改正されました。

ビジネス雑誌でも,昨年から,

「40年ぶりに相続が大きく変わる」

「変わる相続法 40年ぶりの大改正」

といった特集が組まれています。

今年の7月1日に,改正されたルールの大部分が施行されることとなります。

今回は,事業承継の視点から,民法の相続に関するルール(以下,「相続法」といいます)の改正を踏まえ,

  • どのような点に気をつければいいのか,
  • 何に備えておくべか,

について説明していきたいと思います。

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半分青かった 多治見・東濃とともに 2018年を振り返る

[1]大きな変化を控える年末年始

今年も残すところあと半月

平成30年2018年もあと半月ほどになりました。

多治見で働き始めて早1年

私は,今年の1月から多治見で働いていますから,多治見で働き始めてから1年が経つ節目の時期でもあります。

落ち着いて新しい年を迎えよう……そんなのんびりとした気持ちになれないのは,「師走」という言葉から感じ取れる人事往来のせわしさ故でしょうか。

実は,そんなせわしい年末,そして,年明け1月に,大きな変化,大きな法改正が控えています。

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