多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

共同親権の脅威~石井敏宏(館山市)議員の違法行為等を通じて

共同親権の脅威~石井敏宏(館山市)議員の違法行為等を通じて

いつも読んでいただき,ありがとうございます。
今回は,現在法制審議会で審議されている「共同親権」離婚はどちらかの親が単独で親権者となる制度から,双方の親が共同で親権者となる制度へ移行の是非)について,私自身の経験を通じて感じている脅威についてお伝えすることで,未来を担う子どもさんが安心して健やかに成長するために大切なこと,「共同親権」にすることによる子への影響について,お子さんがいらっしゃる方も,いらっしゃらない方も,一緒に考えていただけたらと思いますので,お伝えします。

私は,自分自身が攻撃を受けるまでは,共同親権を推進している方々の攻撃性,脅威について,実はここまでとは理解できていませんでした・・・
(もちろん全員ではありませんが,これまでの私に起きていることを前提とすると中心的に活動をされている方々の少なくない方,という認識です)
そして,攻撃を受けることによって,このような攻撃を離婚後も母子が受けることがあったら,そればかりに振り回されて,日常生活を穏やかに過ごせない,多感な子どもに対して,心を配る余裕さえ奪われてしまう,まるで,戦争による攻撃を受けながら子育てをするような感じで,到底安心して子育てが出来ない,結果として,子どもの健全な成長に多大な影響がある,と思いました。

なので,多くの方が,離婚しても子どものことを一緒に考えていけるって子どもにとって理想的なのではないか?何が問題なの?と思われている方に,少しでも,視点を変えてみてもらえたらと思いますので,私自身の弁護士として行っていることで,これまであまり公開していなかったことも含め,お伝えします。

同居親として面会交流させる側と別居親として面会交流させられる側の攻撃性の差は?
共同親権推進派の方々に見られる攻撃性の広汎性と執拗性(犯罪行為,違法行為を通じて)
共同親権推進派の方々と話し合いによる解決の困難さと子育てへの影響は?

1 別居親男性(M氏)からの犯罪行為・過激性

以前のブログでも何度か紹介していますが,私は,子どもが親から愛されているという実感を得て育つために,面会交流をすることも,とても大切だと思っています。
そのため,面会交流が本当の意味で「子どもの利益」となるように,子どもと離れて住む別居親の立場の方が調停の場面でどのように話したらいいのか,というアドバイスを無料メールマガジンでしています。

また,さらに詳しい「話し方」のアドバイスのため,有料とはなりますが,アドバイスブック(説得力アップブック面会交流編)も案内しており,最初に2017年(平成29年)1月18日を発売しました。
弁護士としては,このような書籍を販売するのは珍しいと思いますが,弁護士を依頼する費用まではなくても,出来るだけ,「子の利益」にかなう方向で面会交流が出来るように,別居親の立場の方が弁護士のスキルを利用することが出来たらという思いでした。その後も多くの方に利用していただいています。

しかし,私が女性弁護士であることもあり,子供と同居している女性の同居親側の方の相談を受けることも多く,別居親である夫(元夫)が,特にモラハラ(≒精神的暴力)の傾向がうかがわれる事案では,子への悪い影響が,子どもの言動からも明らかに感じられるものもある(心理的虐待と脳の損傷,面会交流による負の影響について,子どもの脳を傷つける親の行動,発達を促す親の行動,DV,モラハラの子どもへの悪影響と面会交流への注意は,DVにさらされる子ども達~面会交流での子への悪影響を見抜くポイントと伝え方)のですが,それなのに,裁判所からとにかく面会交流をさせるべきと言われ,つらい思いをされていると感じるものも多くありました。

そして,裁判所も,面会交流を原則実施すべきというような「行き過ぎた運用がなされている」という認識をもって,面会交流調停事件の新たな運営モデル(東京家庭裁判所面会交流プロジェクトチーム)を検討されたこともあり,これを踏まえて,やはり,「子の利益」のために,同居親も適切に面会交流を実施されるよう調停での「話し方」についても,無料メールマガジンでアドバイスをして,2021年(令和3年)9月に有料でのアドバイスブック(説得力アップブック面会交流制限編)を案内しました。

このアドバイスブックは,いわゆる「電子書籍」のような形式で,データで購入者に送信しているのですが,その際,ある男性(便宜上M氏と言います)が女性の名前を偽って購入し,ネット上に違法アップロードしたのです。

これはもちろ有料著作物を無断でアップロードするという著作権を侵害する犯罪行為ですので,その後刑事告訴をし,M氏は処罰されましたが(著作権侵害の犯罪被害者として被害回復する方法~被害者等通知制度など),今でもM氏は,私のこの書籍の販売が,子どもと別居親を不当に「引き離す」ものとして,私への誹謗中傷を続けています。

私がこの一連の犯罪行為による攻撃を受けたことを通じて伝えたいのは・・・

有料のアドバイスブックを販売する,というのは,確かに弁護士としては異質で驚かれることもあると思うのですが,5年も前に別居親向けのアドバイスブック(面会交流編)を有料案内したときには,このような攻撃は全く受けなかった,ということです。当時からもちろん,なぜすべての面会交流が子どもの利益になるわけでもないのに裁判所は聞いてくれないのか,とつらい思いをされている同居親の方(多くは母親)もいらっしゃったはずなので,なぜ,こんなアドバイスブックを作ったのか!などと思った方も少なくないはずなのに,私への少なくとも犯罪行為,違法行為,誹謗中傷行為はありませんでした。

一方で,別居親の立場のM氏は,「共同親権」とすべし,という方です。
この方の犯罪行為による私への攻撃は,私を「改心」させて,この書籍(アドバイスブック)の販売をやめさせることにあるようで,その点を表明しています。
つまり,犯罪行為,違法行為(別途,M氏に対する著作権侵害に基づく損害賠償の裁判も係属中です)をしてでも,無理やり自分が「正しい」と思うように,相手を動かすために手段を問わない行動をしているその攻撃性,過激性が明らかだと思います。

もし,共同親権になって,子どもの進学や,医療行為,転居などについて,このような人と話し合わないと決められないとしたらどうですか?
相手は,自分が「正しい」と思うことをこちらにさせるためであれば,犯罪行為,違法行為,誹謗中傷など,その手段を問わず,続けるような人だったとしたら・・・とても安心して子育てが出来ないと思いませんか?

2 石井敏宏(館山市)議員の違法行為と加害者の広汎性

1の一連の報告を刑事処罰に至ったことも含めて私のブログでも記載したにも関わらず,Twitter上でさらに,公人の立場である館山市議会議員の石井議員(共同親権推進派)から,令和4年8月1日,加害行為をされました。

石井議員は,その立場から,名前を秘匿して発言する人とは異なり,その発言の影響力も少なくなく,法律の順守に特に気を遣うべきと思料しますが,これらのことを全く確認もせず,著作権侵害行為の犯罪行為(と私は考えています)と,違法行為をしました。大まかな内容は以下の通りです。

Twitterの他のユーザー(便宜上Y氏と言います)から,令和4年7月31日,「面会交流制限マニュアルもあります。ご興味ございましたらお送りします。」と伝えられ,同日,Twitterを利用し,Y氏に対し「PDFデータがあったら,送って欲しいです。」と述べ,Y氏は「お送りいたします。」と述べました(冒頭写真)。

これによって,石井議員は,Y氏にアドバイスブックを複製させて,著作権侵害行為をしました。
8月1日,石井議員は,違法に手に入れたアドバイスブックの一部をTwitter上に違法アップロードして著作権侵害行為をした(と考えています)。
そうした違法行為をしながら,私のアドバイスブックの販売について「貧困ビジネス」などと言って誹謗中傷し,これも「共同親権」にしないから(単独親権制度を廃止せねばならない)などという主張をしています。

そのため,私の代理人弁護士から,著作権侵害行為についての損害賠償請求と犯罪行為性について指摘したところ,アドバイスブックのアップロードは削除したものの,さらに,著作権侵害が拡大するような発言をすること(詳しくは裁判で主張予定)で,さらに私への違法行為,犯罪行為が拡大する危険性を大きく高めました。

また,Y氏に対し,違法にアドバイスブックを送って欲しいと伝えた前記やりとり(冒頭写真)は現在見られないようになっており,証拠隠滅として削除したものと考えています。

この冒頭写真のやり取りのツイートの削除やアドバイスブックそのものの,石井議員はアップロード自体は削除されているので,違法行為,犯罪行為の認識は十分にあると思われますが,その上で,証拠隠滅を図っているものとして,その悪質性,過激性も高いと考えています。

そのため,こちらについてもM氏同様に刑事告訴も考えましたが,これまで多治見警察署にはM氏の件でとてもお世話になっており,今後も相談していく形になるので,これ以上ご面倒をかけるのも申し訳ないこと,事情聴取などに私自身も時間をとられてしまうことから,この件については,民事による損害賠償請求を今後していこうと考えています。

この石井議員の違法行為を通じて伝えたいのは・・・

今法制審議会で「共同親権」を考える際の視点として,共同親権を導入することで問題になるDVの事案は,少数であるとか,DVは特別なケースだから,そういう場合に限って,規制をすればいい,という考え方でいいのか?ということです。

私自身のこれらの経験からして,公人であっても,共同親権推進派の方の言動は違法行為をもしてしまう,苛烈なものであることを実感しました。
1のM氏の件で違法アップロード(犯罪行為)をされた際も,全く意に介さない別居親の立場の方,これを支援する方と思われる方々からTwitterで拡散されました。
これらの方々は,共同親権推進派の方々であり,それまで主として養育を担ってきた妻に対しても,子連れで別居することを「犯罪行為」という表現をする方が少なくありません(この点については,子連れ別居は犯罪?共同親権とは?面会交流が子の利益になる場合・ならない場合で記載しています)。

相談の中で,本当に犯罪行為になってしまうのではないかと心配して,警察に相談した上で,別居したという女性の方のお話も聞いています。
なので,子連れで別居することを委縮して,子どもを適切に護れないことに繋がる懸念も大きいです。
(法制審議会でも,現場での意見として伝えられています。第8回会議議事録20頁,22頁~)。

石井議員のような立法手続きにも関与する公人でさえ,このような違法行為をするのですから,これが共同親権推進派のマイノリティとは言えない,このような過激な人のことを考えて法制度を構築する必要がある,と私は思うのです。

司法統計(令和2年)婚姻関係事件数ー申立ての動機別でも,妻の離婚調停申立て理由は,(1位は性格が合わない)2位 生活費を渡さない 3位 精神的に虐待する 4位 暴力を振るう,という動機で,この3つの総数は,1位の2倍以上となりますから,現在は公的にもDVの一類型とされている経済的虐待,精神的虐待等も含めれば,DVは,決して少数ではない,と言えると思います。

Twitterなどを通じて加害性のある別居親同士が簡単につながれる現在,共同親権を認めて,離婚後も違法行為,犯罪行為,誹謗中傷を通じて生活を乱されること,どう思いますか?
私は母親でもあるので,これらの一連の行為を通じて,業務上の妨害はもちろんのこと,告訴や民事事件での対応などでも著しく生活の平穏を害されています。
違法行為,犯罪行為を平気でされる方が少なくないので,自分の家族へも危害が加えられるのではないか,と今でも恐怖を抱いています。

子ども達の前でつらい思いをしていることを見せないように努力しているつもりですが・・・気づけばそのことを考えてしまったり,しんどくて涙が出てしまったりしますから,もちろん子供たちは分かっています。

離婚の手続きまでは,離婚すれば安心して過ごせる,と思って希望を持って頑張れたけれど・・・
離婚後も,面会交流を通じて,攻撃が続いていてつらい,終わりが見えないので,離婚までよりも絶望的な気持ちになっています・・と言われることも,女性の相談者からは実際にあります。

現状,出産後,主として子供の養育を担い,離婚後は親権者となるのは多くの場合で母親(女性)であることを考えると,せっかく平穏を求めて離婚をしたのに,その後も関わりをもたざるを得ない場面を増やしてしまう共同親権の脅威を改めて感じていますが,皆さんはどう考えますか?

3 執拗,多人数の攻撃による平穏な育児生活への多大な影響

前記のほかに,私は多大な業務への妨害行為も受けています。
1の違法アップロードによる犯罪があってから,事務所に非通知の電話がかかってきたり,M氏からは,事務職員の写真を目だけ黒塗りにした写真をまるで犯罪者かのような形でアップロードされたりもしました。
その後,Googleのクチコミ評価で☆1をつけられるという嫌がらせも何度も受けました。調べてみると,他の離婚を取り扱っている法律事務所にも同じような攻撃をしている方でした。

弁護士会に懲戒の申立もされました。

刑事処罰された後も,その攻撃は執拗で,弁護士会で懲戒しない旨の決定に関わった弁護士を誹謗中傷したり,令和4年7月には,わざわざ岐阜県弁護士会まで来所して(M氏は関東在住の方),営利業務の届出の確認をし,これを元に私や岐阜県弁護士会の会員である弁護士について執拗に調査をしています。
私のこと以外に特に岐阜県の弁護士について取り上げて指摘する理由はないので,私や私の味方をしているのでは無いかと判断している弁護士,弁護士会(実際には,懲戒処分の手続きは所属する弁護士会員の味方をしてくれるものではなく,懲戒処分すべきものはなされているものですが)についての攻撃を続けていると考えています。

そして,M氏とは別に弁護士の懲戒問題について記載している人は,私に懲戒処分がされた事実も無いにもかかわらず,「懲戒処分例」として私のことを記載し,著作権侵害行為によって違法に手に入れたと思料される私のアドバイスブック(面会交流制限編)と分かるアドバイスブックの写真も堂々と掲載し,多数の人に同ブックを見せたことをネット上で伝えています。

「正論」という雑誌の「特集 左翼政策の浸透」という項目では,共同親権推進派の弁護士が,どのように知ったのかは知りませんが,私の名前は明示せず「岐阜県のある女性弁護士」として取り上げ,「左派勢力」であるかのように書かれたこともあります。
同雑誌には,「左派勢力」が「父子の引き離し」をしていて,「離婚は男性支配から女性を解放することだと捉えている」という趣旨のことが書かれていました。

また,令和4年1月には,共同親権推進派の団体から街宣を受けました。

街宣攻撃については,弁護士会の業務妨害対策委員会に支援を求め,支援決定を経ることで,警察官にも街宣行動を見守ってもらいました。
この街宣攻撃は,私以外にも,女性一人で事業をしている法律事務所でも行われていることが分かっています。
当該団体は,関西方面からわざわざコロナ下において多治見まで来て,裁判所前の道路で「親と子供を引き離す行為をして,子供達の涙で飯くうてるクソみたいな女弁護士がおるわけですよ。このへんでは有名なクソみたいなしょーもない離婚弁護士がおるんですよ。」などと言って街宣攻撃をし,その後私の事務所直近まで来て,さらに誹謗中傷の街宣攻撃をしていきました。

…このようなことを通じて,私が気づいたのは,あれ,もしかして男女の問題として,左翼系女性弁護士として攻撃しているのかな?ということでした(気づくのが遅すぎますが・・・)
私自身はこれまでに記載したとおりのいきさつで面会交流に関わってきましたので,別居親の男性からの面会交流の依頼を受けることも多かったですし,DVを受けてきた女性を特に支援してきたという立場でも無かったので,このような形で攻撃されたことに驚いた,というのが正直な気持ちでした・・

確かに,M氏の記載内容を読むと,日本弁護士連合会の「両性の平等に関する委員会」そのものに対する批判的なものもあるので,男女の問題として捉えているのだなというのが分かります。
M氏は,他にも,妻側の代理人である女性弁護士を支援している弁護士(男性)についても「フェミヲタ」などの表現を使って誹謗中傷もしていました。

同様に共同親権を推進する立場の人から攻撃を受けている方はいないのかな,と調べてみると,司法の力を悪用した「リーガル・ハラスメント」として,攻撃されている事例があるのも分かります。
女性議員の立場で,発言すると攻撃されやすい旨のことを書いていらっしゃる方のブログも見つけました。

私は,当事者である妻(元妻)でもないし,その代理人弁護士でもない,ただの第三者として書籍を書いただけです。
それなのに執拗なこの攻撃・・代理人弁護士や当事者である妻だったら・・自分の意に沿うように行動するまでどれだけ執拗に攻撃するのだろう,と思います。
このような相手方であったら,とても代理人業務を安心して出来ませんし,夫(子の父)であったら,子を持つ母として安心して生活できるはず無いな・・と思います。

みなさんは,女性にこのような攻撃をしてくる方に子どもを会わせたいと思いますか?このような目立つ活動をしたら,ある程度の年齢になれば子どもにも分かるでしょうが,会えないのはなぜなのでしょうか?
自分と一緒に住む同居親(多くは母親)を攻撃する相手に,子どもが恐れず,会うことが出来ると思いますか?(ちなみに私は,子どもの立場なら大好きな母親を攻撃する人に会いたくありません。まずはとにかく平穏に過ごして,学業とかに集中したいです)
今は色々な連絡手段があるので,本当に連絡を取りたいと思ったら,同居親に内緒でも連絡は取れると思いますが,会えないとしたら,子どもから連絡をしてきてくれない理由はなぜでしょうか?

まとめ 改めて安全で安心できる子育て環境の大切さ

私自身の経験を通じて,心の底から実感しているのは,安全で安心に生活できる環境がどれだけ子育てにとって大切か,ということです。
私自身,執拗かつ広範囲の攻撃を受け続け,気づけばいつも,このことにとらわれがちになっている自分に気づきました。
また今日も攻撃されるかも知れないという恐怖は他の業務や日常生活の注意を散漫にしてしまい,もちろん,自分の大切な子どもの言動にも心の余裕を持って応じられないのを感じています。

相手の言動が不当(私の場合,違法行為も受けているわけですが)でも,相手に分かってもらえるはずも無く,相手は自分が絶対に正しいと信じ,こちらが言いなりになるまで様々な手段で攻撃しますから,これを避けるには,法的な手続きに頼らざるを得ません。
しかし,弁護士の私であっても法的な手続きをすることは,手間も時間も費やす大変なことですから,日常生活で家事育児,仕事をしながら裁判等の法的手続きをしなければならないとしたら,到底母親を中心とする同居親は安心して子育てに集中する余裕が無いでしょう。
結果として,同居親が安全で安心できる環境が破壊されることは,子どもにとっても大きな不利益となることを実感しています。

何度も繰り返しお伝えしていますが,私自身は,今でも,面会交流が望ましい形で行われれば,子どもが別居親からも愛されていると感じられる,自信を持って育つことができる,ということで,基本的には積極的に面会交流をさせた方が良い,という考え方を持っています。また,ずっと子どもの目線での支援の大切さも伝え続けています(面会交流は本当に子どものために必要か?

しかし,子の利益を考えた場合,「DVにさらされる子ども達~面会交流での子への悪影響を見抜くポイントと伝え方」でお伝えしたとおり,面会を設定する際の最大のポイントは,「いかにして子どもの心身の安全を守り,回復に必要な条件を考慮しつつ,加害者が母子関係を損なう危険や子どもの価値観の発達に与える悪影響を最小限に抑えるか」ということだと思います。

そうでなければ,面会交流をすることで却って「子の利益」が害されてしまいます。

やはり,男性と女性は平等と言っても,生物的な差として,体格の差,筋力の差はやはりあると思うから,女性の被害者の場合,心理的な虐待に対して,対等に向かい合って言い返すようなことは難しいことが多いし,言い返せるとしても,精神的な負担が大きいです。

そのため,同居親が女性の場合だけに限るわけではありませんが,これまで私の経験も通じて見てきた通り,攻撃による影響は,肉体的に力もあり,社会的にも発言することが多い,「力」の強い男性である別居親から,これらの「力」が弱い女性である同居親への過酷な攻撃となる,という傾向が表れていると言えます。

同居親の心身の状況は,一緒に生活し,主に日常生活の面倒を看ることになる子供に影響することは避けられません。この場合,特に同居親が女性のケースでは,同居親が男性の場合と比べるとその「力」の差から,別居親からの攻撃に容易に抵抗し難いため,被害による心身の影響は大きく,結果として一緒に住む子の利益を大きく害することに繋がるでしょう。

現状では,多くのケースで母親(女性)が離婚後も親権者(監護者)となることを考えれば,子どもの利益と不可分のものとして,同居している母親の安全と幸福を考えることは,とても重要だと思っています。

人間の欲求段階として,マズローの法則が言われますが,自分を高めていこう,という,高次の欲求となる精神的欲求に分類される社会的欲求,自己実現の欲求は,それより低次である物質的欲求に属する,生存の欲求と安全の欲求(身体的に安全で,かつ経済的にも安定した環境で暮らしたいという欲求)が満たされないと,進んで行けない。故に,「安全で安心できる環境」の大切さは,人間が健全な成長をしていく際,まず最初に満たされていくべき根本的,基礎的なものだと私は思っています。

私自身も,このような考え方に基づいて,「子の面会交流の制限をすべき場合がある」と言っているわけですが,それが「子の利益」の視点からであるにもかかわらず,別居親の立場の方から激しい攻撃を受け,「共同親権」を推進するという名のもとに,業務や生活上の平穏,安全で安心できる環境を破壊され,自分自身の私生活や仕事について,とても大きな支障を生じました。今も続いています。

こうしたことを考えると,「共同親権」を認めた場合のリスクは,同居親の立場となる女性にとって非常に高く,認められないと今は考えるに至りました。

でも,「共同親権」を認めた方が,不当な同居親の支配(例えばモラハラ的な傾向がある場合)から救われる子どももいるのでは?ということも,気になるところだと思います。
実際に,離婚前の別居期間中に,別居親として,面会交流を求めた場合に,同居親から面会交流を拒否されることもあります。こちらに非もないのに不当に追い出された,というケースもあるでしょう。

離婚前は当然に「共同親権」なのですが,「共同親権」だからといって,養育に共同に関わることにつながるわけではない,ということなのです。
離婚前の別居中に子どもが進路に悩んだりして,体調不良となったとき,別居親が共同親権者として進学の話などにも関わりたくても関われない,ということが実態です。共同親権を持っているかどうか,に関わらず,子に及ぼす「力」が強い方が決めてしまう,という実態は,確かにあるでしょう。

もし,こういった進学などに別居親も関わる必要があって,それが子どものために必要,ということなのであれば,そのための手続きを「子どもの人権」として考えるべきであって,離婚後にも「共同親権」として,どちらかの親の権利を法的に強化するような方向では解決しません。

そこでは進路を速やかに決められないことによる子の不利益と,時間を費やしてでも子の利益にかなう進路を決められる可能性があることの利益を考えながら,どのような方法で,どこまで裁判所が介入して決めるべきか,という具体的なことが問題になるのであって,「共同親権」とすれば解決することではありません。児童虐待と言える状況なのであれば,児童相談所へ通報する,というようなことになるでしょうが,これで守られない子どもの権利があるのであれば,別途方法を考えるべきことで,「共同親権」で解決出来ることになりません。

そして「民法(親子法制)等の改正に関する要綱案」(令和4年2月1日)では,「懲戒権」を削除する方向で,親権を行う者は,第820条の規定による監護及び教育をするに当たっては「子の人格を尊重するとともに,子の年齢及び発達の程度に配慮しなければならず,かつ,体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない」という文言でとりまとめられています。

従って,現在は親が何らかの「権利」を子どもに行使する方向では無く,子どもに「指示及び指導を与える責任,権利及び義務」という形で捉え直す必要があって,この議論が無いままに別居親の関与としての「権利性」のみを高める方向での共同親権は問題だと思っています(子連れ別居は犯罪?共同親権とは?面会交流が子の利益になる場合・ならない場合,「共同親権」の定義)
別居親は共同親権とすることで,自分が関与することが「子の利益」に繋がると考えているようですが,子どもは子どもの意思があり,それは一人の人間として,同居親とも別居親とも異なる場合が通常です。
にもかからず,「子の利益」を考えない別居親の立場による介入で裁判所による強制的な面会交流を実施された場合,子から別居親や裁判所への信頼を奪っている様子が,海外の事例ではありますが,子どもの発言から分かります(子連れ別居は犯罪?共同親権とは?面会交流が子の利益になる場合・ならない場合,3 紛争性の高い事案で裁判所の強制による面会交流はむしろ問題)から,共同親権で面会交流の場面以外にも「力」の強い別居親が介入できる場面(裁判所の強制場面)を増やすことで,さらに,子どもの利益が害される可能性が高いと考えます。

そのため,法制審議会の議論でも出ていますが,むしろ,同居親,別居親の立場を離れて,純粋に子どもの立場に立って,支援する人,子どもの手続き代理人制度のような制度の拡充の方が私は重要だと考えています。

そして,要綱案で「子の人格を尊重」と,有害な影響を及ぼす「言動」をしてはならない,とされているところも意義があると思っています。
私自身の攻撃も,身体的な暴力では無く,全てそれ以外の違法行為,誹謗中傷などにより,精神的に威圧する言動,精神的な暴力ですが,多大に平穏を害されて日常生活に支障を生じました。
そのため,子の心身の健全な発達を害するようなことは,行動だけで無く,言葉であっても問題とされるべきですが,現在の法制度では,身体への暴力と同じように裁判所では扱われない,という実感があります。
法制審でもこの点,資料を基に以下のような,懸念が示されています(法制審議会家族法制部会第14回会議議事録,戒能委員のご発言,4頁~)

「法律的には婦人相談所の嘱託医を長年,20年以上続けてきた精神科のお医者さんがいらっしゃいます。今は開業医をしている加茂登志子さんなのですけれども,これは彼女だけではなくて,ようやく最近になって,DVというのは身体的暴力だけではなくて実は複合体なのだと,複合的な性格を持っているのだという認識がされるようになり,そこで重視されるのは精神的な暴力である。非常に幅広い概念ではありますけれども,DVの影響として無力化があるわけなのですが,精神的暴力が無力化の根本にあるのだということを強調していらっしゃいます。面会交流の手続において,これは「ケース研究」に加茂さんが家裁の実務に当たる方を対象として書かれたものですが,やはり離別の理由にDV被害が介在している場合は,加害親と母子の交流の再開は被害母子の精神健康障害の悪化のリスクがあるのだと,ですから,そういうことを司法は常に考えなければいけないという警鐘を発していらっしゃいます。3点そこで考慮すべきは,子どものメンタルケアが十分かどうか,それから母親の,同じくDV被害であった場合のメンタルケアと精神的な安定ということが大事だし,また,日本で決定的に欠けているのは加害者プログラムがないということです。そのまま再開した場合に,DVの関係が再燃するという恐怖というのも,これは非常に重要なDVそのものだと私は考えております。そういう意味でいえば,課題は司法の判断,家庭裁判所の実務においても本当に十分なのかということが,重要な課題としてあるのだということを書かれております。」

私も最近,身体的暴力以上に精神的暴力が与える子への悪影響について,とても軽視できないことが分かってきて,心理的虐待と子への脳の損傷の関係などを研究する医師である友田先生のお話で「別居後離れたからと言って,すぐに面会交流を認めていいのかは疑問がある,慎重であるべきという姿勢を表明されていることもお伝えしています(子どもの脳を傷つける親の行動,発達を促す親の行動)。

配偶者暴力防止・被害者保護法(DV防止法)改正案の素案では,裁判所がDVの加害者に対し,被害者の自宅や勤務先に近づくことなどを禁じる「保護命令」の対象に,言葉や態度で相手を追い込むモラル・ハラスメント(精神的暴力)や性的暴力を加えるとされています。これは,読売新聞の報道(2021年11月29日)によると,内閣府の2020年度に政府のDV相談窓口に寄せられた内容のうち,身体的暴力は約3割にとどまり,精神的暴力が6割近くを占めたことから,精神的暴力によって心的外傷後ストレス障害(PTSD)など深刻な被害を受ける恐れもあることから,政府は保護命令の対象に加える必要があると判断したとされています。

職場におけるパワハラも,身体的な暴力が無くても「言葉による暴力」がパワハラになることを前提に,厚生労働省が公表しているパワハラ6類型の中には,「人格を否定するような言動を行う。」など,明確に「精神的な攻撃」も規定されています。
そして,現実を振り返ってみてどうでしょうか?誹謗中傷によって自殺する事案,学校のいじめの現場では,元々,身体的暴力が中心ではなく,仲間外れなどの精神的な苦痛を与えるものが多かったですが,昨今は,SNS等による誹謗中傷も大きな問題となってきており,身体的暴力のように,明確な「傷」は目に見えなくとも,「精神的な暴力」が,その心身に与える多大な影響があることは分かっていると思います。

これを受けて,「言葉による暴力」と言える侮辱罪も法定刑が重くなり,厳罰化の方向に向いています。

このような一連の流れからすると,精神的暴力は決して「まれな事例」として軽視して良いものではなくて,精神的暴力による子への悪影響も生じやすいことを前提に,子どもの権利を社会全体として守っていくことが,今の時代に求められているとても大切なことだと私は思っています。

そこから振り返って考えてみたとき…未だ精神的暴力が身体的暴力と同等に扱われることが法律上明確になっていない状況下で,また裁判所による監視などの介入や加害者プログラムなども実施されていないこの状況下で,共同親権のみを推進するのは「子どもの権利」「心身の健全な発達」を考えた場合に,メリットよりもデメリットの方が大きいと私は考えます。
指摘されているとおり,精神的な暴力は相手を「無力化」させることになるため,仮に選択的であっても共同親権が選べるようなことになれば,とにかく早く離婚したい,この状態から逃れたい,という理由で安易に共同親権を合意してしまうこともあり得るので,私はやはり,その場合の子への不利益が大きいと感じるところです。また,選択できる制度になったとき,どちらかの親から親権は要らない,とあっさり選択された場合に子どもが見捨てられたように感じるのではないかというのも気になります。

現在でも,モラハラ夫と早く離婚したい,とにかく離婚したい,ということで安易に面会交流を認める合意をしてしまって,その後に執拗な攻撃を受けて後悔し,相談に来られる女性の方は少なくありません。
現状で合意して共同養育が出来ている人にとっては,法律で「共同親権」を認めてもらう必要はないので,「共同親権」を実際に行使したい方というのは,同居親の立場となる方と合意が出来ない方,つまり紛争性が高い事案である可能性の方が高く,同居親を紛争に巻き込むことによって,一緒に暮らす子どもの生活の平穏が害される可能性が高まると言えると思います。

紛争性の低い事案で面会交流がなされないことによる子の不利益については,子ども自身から別居親に対して,面会交流の申立権を認めるかどうか,ということを検討すべきだと思います。

このようなことを総合的に考えると,共同親権を認めるメリットよりもデメリットの方が大きく,自分自身の経験も踏まえて,私は「共同親権」導入に反対せざるを得ないと思っています。

…と長々書きましたが,伝えたい思いは,本当に子どもの権利を守りたいということです。そして,そのためには同居している親(主に母親)の生活の平穏もとても重要だということです。
同居親である母親と子どもが安心,安全に生活できる環境をまずは確保できること,それが子ども自身の利益にもつながることを裁判所の共通の認識として,進めてもらえたら,子育てをしている母親として,とてもありがたいと思います。
また,こんなこと書くと共同親権推進派の方に攻撃されるのかな・・という莫大な不安はありますが(攻撃したら,更にその攻撃性が明確になるはずなのですが・・・あり得るのが恐ろしいです・・・)
大変に心身共に疲労する離婚手続きを経て,やっと落ち着いた生活が出来る,と思ったのに,離婚後も相手の言動に振り回されてしんどい,今の私のような思いを持って生活している同居親(主に母)とその子のことを思うと・・・少しでも安心,平穏に生活できる環境をつくってあげたい,と思うのです。

共同親権制度が通ってしまったせいで,つらい思いをした,なぜ止めてくれなかったのか?と子どもたちに言われるのだけは悲しいので,今出来ることをしていきたいと思っています。

Kids Voice Japanでも,実体験を求めています。声を出しにくい環境の同居親の立場の方ももちろんですが,特に,子どもの立場で経験をしたことから,共同親権になった場合に,進学,医療行為,転居などにもし,別居親から口を出されたらどんなことがあるのか・・などお子さんの意見も戴けるといいなと私は思っています。

同居親の立場に近い方,別居親の立場に近い方,でどうしても対立構造になりやすいですが,やっぱり,お子さんの健全な成長,子どもの利益となる法改正にしたい,という思いは法制審のみなさんが持っていらっしゃると思いますので,お子さんの声の力は大きいと思います。

共同親権推進派の方々はSNS等で広く繋がって多人数で攻撃をしてきますが・・・
私のように,攻撃をされる側の人たちも,少しずつ繋がっていけたら心強いな,と思います(私がTwitterとか使いこなせないからかも,ですが!)

それでは,このブログを読んで下さった皆さま,特に母親の方が,心身の攻撃から解放され,安心,安全に生活できることで,子どもさんの健全な成長のため余裕をもって,全力を尽くせる環境が出来ること,これによって,お子さん自身の安全,安心できる環境が守られるためのヒントになりますように。

また,「共同親権」が本当に子どもにとって良いものとなるのか,安心して子どもが健やかに成長するために,今自分が子ども達のために出きること何なのか?を一緒に考えてもらえるヒントとなりますように・・,

今回も長~い文章を,最後まで読んで下さって,ありがとうございました!