多治見ききょう法律事務所では、地域経済の活性化のために、地元企業の皆様の力になりたいという思いから、企業法務に力を入れております。本ブログを通じ、様々な労働問題について、企業側の目線に立った解決策等を提案していきたいと思います。
今日は、女性活躍推進法の施行日(2016年4月1日)からまもなく3年が経つにもかかわらず、後を絶たないセクシャルハラスメント(セクハラ)問題について、取り上げたいと思います。
1 セクシャルハラスメント(セクハラ)とは
職場におけるセクハラについては、男女雇用機会均等法に規定があります。この法律で、セクハラとは、
「①職場において行われる②性的な言動に対する雇用労働者の対応により③労働者がその労働条件につき、不利益を受け、または当該性的な言動により④当該労働者の就業環境が害されること」と定義されています。
①「職場」とは、労働者が業務を遂行する場所を指します。必ずしも事業所内に限定されるわけではなく、出張先や取引先も含まれます。また、業務を遂行していれば必ずしも勤務時間内であることまでは必要なく、例えば「宴会」であったとしても、その趣旨、参加者、参加の自由度によっては、勤務の延長として職場とみなされることがあります。
②「性的な言動」とは、スリーサイズなど身体的特徴を話題にしたり、性的な経験や性生活について質問するなどの性的な内容の発言、または、身体に不必要に接触する、性的な関係を強要するなどの性的な行動を指します。
③「労働者がその労働条件につき、不利益を受け」るものとは、「対価型セクシャル・ハラスメント」と言われ、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることを指します。
④「当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害される」ものとは、「環境型セクシャル・ハラスメント」と言われ、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。
そうすると、意に反するものであったか、就業環境を悪化させるものであったか、が重要な判断基準となりますが、仮に、本人が明示的に反対せず応じているように思えても、その言動が相手の望まない言動である以上、セクハラとなることに注意を要します。その判断基準は、客観的に判断しなければなりませんので、「平均的な(男性・女性)労働者」が通常どのように感じるかで判断されることになります。
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