多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

驚!事業承継のタイミングと利益増加の関係

驚!事業承継のタイミングと利益増加の関係

jigyoshokeiいつも読んで下さって,ありがとうございます!
私の文章は,長いので(自覚有り),最後まで読んで下さる方には,本当に頭が下がります。ありがとうございます~~♪
今日は,公的機関の職員として研修講師をした際,気づいて驚いた「事業承継のタイミングと利益増加の関係」について,お伝えします。
「中小企業の社長は,何歳で事業を引き継ぐといいのだろう?」「事業引継ぎにはどれくらいの時間がかかるのだろう?」「事業承継で問題になるのは,どんなことだろう?」
…今回のお話が,「事業を継続,発展させようと思っている中小企業の経営者」「経営者の事業承継をサポートする支援機関の皆様」「経営者の顧問として,継続的に関わって相談を受けている税理士の皆様」のヒントになったら,と思います。

 

1.経営者が高齢化するほど利益は減少傾向

中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」(2012年11月 (株)野村総合研究所)によると,
40歳未満→40~49歳→50~59歳→60歳~69歳→70歳以上と年齢が上がればあがるほど,「経常利益が減少傾向」と回答している割合が高くなっています。
特に,小規模事業者(製造業:従業員20人以下,商業/サービス業:従業員5人以下)では,その傾向が顕著です。

つまり,反対に言うと,経営者の年齢が若いほど,「利益が出せる経営が出来ている」と言えますね♪

同じアンケート調査で,「事業承継時の年齢と承継後の業績」について尋ねていますが,事業承継時の年齢が40歳未満→60歳以上にあがっていくほど,「承継後の業績が良くなった」と答える割合が減っています。

つまり,若い時期に承継した経営者ほど,「承継後の業績が上向いている」のですね!
若いうちに事業を任せつつ,「会長」としてサポートすることで,先代からいる社員との関係の引継ぎなど,事業承継がうまくいっている部分もあるのかもしれませんね。

…経営者のみなさんは,今おいくつでしょうか?利益は増加し続けていますか?
もし,利益の減少傾向がみえたなら,「事業承継」を考える時期かもしれませんね。

2.事業承継のタイミングのベストは40代

先ほどの調査によると,事業承継のタイミングで「ちょうど良い時期だった」と答えている割合が高いのは,40~49歳で事業承継した経営者です。
次に割合が高いのが,40歳未満,50~59歳,60歳以上の順。60歳以上では,42.6%の経営者が「もっと早い時期の方が良かった」と言っています。
経営者が「ちょうど良い時期だった」と答えた事業承継時の平均年齢は43.7歳です。

先ほどの話と合わせると,やはり,後継者が若い30代から事業承継の準備を始めて40代までには事業承継を完了している方が,「タイミング」がよく,利益も増加させ続けていけそうです!
事業承継については,後で述べる様々な不安もあり,初対面の弁護士が「もう事業承継の時期ですね。対策は○○です」とすすめても,とても経営者が納得する心境なりません。残念ながら,長期にわたって苦労しながら経営し続けてきた経営者からすれば,「うちの会社のこと」やそもそも「経営」のことを何も知らないあなたに何が分かる,となりますね…

「事業承継」という大きな変化・不安を抱える場面では,特に,融資や,会計,税務,補助金申請などで普段から,継続的に関わり,状況のよいときも,悪いときも,一緒に苦労しながら対策を考えてきた「同士」のような方からの勧めが必要に思います。

やはり,主に「事業承継について」相談する相手としては税理士が最も多いとされていますので,税理士のみなさまが「事業承継」に良いタイミングを知ってもらって,経営者の様子を見ながら,勧めていただけたら弁護士がいきなり勧めるよりも納得感があるかな…と思います。
…経営者のみなさま,後継予定者は,今40歳をすぎましたか?もしそうなら,事業承継の準備にすぐに着手しなければならないかも知れませんね

 

3.親族に事業を引き継ぐ際の問題点

弁護士の視点では,事業承継時の問題と言えば,「親族間での争い」と思ってしまいますが…
実は,先ほどの調査によると,経営者は後継者に引き継ぐ際の問題として「経営者としての資質・能力の不足」を最も重要と考えていることが分かります。
(小規模事業者で58.5%,中規模企業で60.7%,ちなみに親族間での争いを問題と考えているのは,6.8%,11.0%)

そのため,「事業承継の準備として取り組んでいること」のトップも「後継者の資質・能力の向上」となっています。

確かに,親族間の争いがなくても,相続税の負担問題が解決しても,従業員のやる気があっても…
そもそも後継者が「経営者としての資質・能力」がなければ,とても事業が継続,発展していきそうにないですね…

反対に,「経営者としての資質・能力」が十分備われば,,多少の親族間の争い,相続税の負担があっても,その「能力・資質」を活かして,解決方法を考えられそうです。

やはり,後継者の方には,若いころから,「経営に必要な能力・知識」を習得するため社内,社外での教育が必要となるようです…
特に,中小企業の経営者の場合,大企業と比べ,創業者の「カリスマ性」「技術」「経験」が顧客から選ばれる理由として,大きいと感じます。
「カリスマ性」の承継は,なかなか難しい問題ですが,創業者が創業理念を引き継いでもらいつつ,「創業者とは違う後継者の特性」を見抜いて活かせるといいですね。
技術,経験や「顧客とのつながり」の承継は,社内で計画的に行っていく必要性がありそうです。
…みなさんの会社には,社内に後継者を教育をするシステムはありますか?
…他社勤務を経験したり,中小企業大学校のセミナーに参加するなど,社外での後継者教育を利用していますか?

 

4.まとめ~事業承継は早期着手!時間をかけて

「後継者の承継に必要な期間」は,5年くらい前,5~10年くらい前から必要,をあわせると半数以上が「約5年」はかかると考えているようです。
そのため,出来るだけ早くに後継者を決定(20~30代までに)→社内で色々な仕事をしてもらう(社外での勤務を経験してもらう)→40歳前から事業承継を開始して40代前半には概ね完成する,といいですね。

弁護士としての専門分野としては,「遺留分」をふまえた事業用資産(不動産,動産)の承継+会社法をふまえた会社の経営権を維持するための株式の承継(譲渡制限,種類株式など定款変更)対策となりますので,こうした事業承継対策は多治見ききょう法律事務所へお気軽にご相談下さい

事業承継は,弁護士だけで出来るものではなく(弁護士に主に事業承継問題を相談する,という経営者は殆どいない,というデータになっています…泣),普段から経営者とお付き合いのある税理士さん,金融機関,商工会議所の方々などの支援機関と連携しながらでなければ,早期に承継計画を立てることの重要性に気づくことも難しいでしょうし,計画を実践していくことも難しいです。

多治見ききょう法律事務所も,地元の企業が継続・発展していく力になんとしてもなりたい!と思っているので,事業承継でもお手伝いの一端が出来たら嬉しく思います♪
そして,「本当に困ってから」の相談ではなく,弁護士であっても,普段の経営現場から相談にのりたい,身近な地元中小企業のパートナーでありたい,という思いから「岐阜成功塾」もやっております。

事業承継での最大の問題点=「経営者としての資質・能力」として必要と考えられている,リーダーシップ,マーケティング力,マネジメント,コミュニケーション力,モチベーションなど,ひと通りの経営者として必要な心構え,スキルを学べるように作り込まれていますので,起業しようとしている方だけでなく,「後継者の育成」にもお役に立てると思います!

若い時期に事業承継するほど,承継後の利益が上向きになる,という素晴らしい事実!
~~若いパワー,発想って素晴らしいですね!~~
(でも,学び,変化を楽しみ続けている企業は,年齢に関係なく,発展し続けている気がしますね…)

自分で経営していて思いますが…経営者って,とっても楽しいし,自由だけれど,「失業保険」もない,不安定で責任の大きい仕事ですよね!
そんなある意味,孤独な「経営者」の仲間作りの場・いざというときに,気軽に専門家(税理士,行政書士,司法書士,弁護士など)と相談できる関係作りの場ともなっていますので,しつこいですが!「岐阜成功塾」も利用していただけたら嬉しいです♪

このブログが,「事業承継って,いつ始めると一番利益が上がるの?」「何に気をつけたらいいの?」「どうやって経営者としての資質・能力を身につけたらいいの?」という経営者の皆様,支援者の皆様のヒントとなりますように…

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!

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