多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

国際化社会で日本人・日本企業の魅力が外国人にも伝わるために1番必要なこと~陶都多治見十六会

国際化社会で日本人・日本企業の魅力が外国人にも伝わるために1番必要なこと~陶都多治見十六会

つい先日,瀬戸市で陶芸ができる粘土ショップを経営している友人が,「海外の旅行会社さんからも陶芸体験のお問い合わせが来た…50人」とSNSで投稿していた。海外からの訪日客の増加で,東京都内のホテル料金が高騰した。多治見の友人も,これまで9000円でとまっていたホテルが,2万円以上になっていて,そもそも泊まるホテルを探せない,と話していた。

それほど,海外から日本は注目されていて,海外の方々がお客様になってもらえたら,企業にとっては,これまでと異なる形で顧客が増え,サービス単価を自然とあげられる可能性がある。日本人の人口は,ずっと減少傾向にあるので,日本人以外の方を顧客とする必要性は今後高くなるし,海外の方の方が,日本人的な常識,価格感にとらわれない形で,魅力的な商品,サービスには,日本人には高いと思うような金額をサラっとお金を支払ってくれる可能性もある。円安傾向もあって,外貨を有する外国人からすれば,「安い」という感覚にもなると思う。

そんな中,十六銀行と取引があり,多治見を中心に活動する経営者を会員とした「陶都多治見十六会」で9月26日にあの!「世界一受けたい授業」にも何度も登場して,外国人から見た日本の魅力を伝えて下さっている「ジャーマン・ルース マリー」先生(愛称:ルーシーでした)が外国人に対して発信するための日本の魅力の見つけ方と伝え方について講演して下さったので,感想をシェアします。
テーマは,「世界に誇れる日本の美点~日本的なグローバル化を目指して」でした。

日本の魅力を生かしたサービスが出来て,海外からのお客様が増えたら,どんなに会社がいい状況になるだろう?
でも,自社のサービス,商品の魅力が外国人にとってどんな魅力があるのか分からない。
英語も苦手だし・・・自社のサービス,商品の魅力をどのように伝えたら,外国人に伝わるのか分からない。

では,どうしたら,自社のサービス,魅力を外国人に伝えることが出来るのでしょうか?
そのためのキーワードは「言語化」にあるようです。
「言語化」することで,魅力を外国人にも伝えるために,大きく意識,行動が変わり,結果も変わる…

「言語化」するために,経営者がすべきことはなんでしょうか?
そのために,必要なステップとして,私が感じたこと,3つのステップをお伝えします。

1 外国人から見た魅力を理解する

外国人からすれば,日本,日本人の魅力は確実にある。まずはそれを知ることが大事。
日本の魅力,それは・・・「安心」「安定・上品質」「組織力」「謙遜・相手を先に考える力」

地震などの災害時に,一丸となれること。危機への備えとチームとして対応してもらえそう,孤独でない,「安心」感がある。
水道水が飲める,は当たり前ではない。女性が夜でも一人で歩ける。

‥日本人からすると,確かに「当たり前」に思えることが外国人からは価値,魅力なんだと思った。
そういえば,海外一周の旅をしてきた友人が「日本人のサービス,日本のきれいさは半端ない,と改めて知った」と言ってたのを思い出した。
トイレのきれいさは中でも本当にすごくて,日本ってすごいと思った,と。

日本だけにいて,日本人に囲まれていると,魅力って見落としがちだけれど,外国人の視点,海外と比較してみることで,日本の魅力って分かるんだな・・・
水の清潔さなどは,清潔に保つための科学的,物理的な仕組みも必要なのだけれど,それも,日常の水道水が飲めた方がいいよね,という日本人の「考え方」が背景にあると思うし,その他の項目を見ても,それは,「人」に関わるものばかりなんだな・・と改めて気づきました。

・・とすれば,うちのような,あまり外国人の顧客が来る事務所ではなくても,「人」の魅力を磨くことで,選んでもらえそう。
どうすれば,外国人から見た自社のサービス,商品,人の魅力が分かるのだろう。

具体的には,身近に住んでいる外国人の方に,関わりのある外国人の方に聞いてみると分かる,という話をしてくれた。
外国人向けのゴルフコンペをすることで,その周りで参加者である外国人と関わりのある経済的に豊かな日本人顧客との関係も出来る,との紹介もあった。
身近な外国人と接する機会を増やして,聞いてみることで,自社の具体的なサービス,商品の魅力も分かりそう。

みなさんは,外国人の方と接点がありますか?接点を持てそうですか?
外国人の方から見ると,自社のサービスの魅力は,何と言ってもらえそうですか?
…私は,まだまだ外国人と接する機会は少ないけれど,是非,接する機会を大切にしたい,と思いました。

2 自信を持つ

ルーシー先生が言っていた,海外に発信できるグローバルで魅力ある企業になるために,必要な3つの大切なことの一つ。

それが「自信を持つ」

あえて,「自信」を重視して下さったことに,この「自信を持つ」ことがきっと日本人は苦手な傾向があって,意識することが大事なんだな・・・と思った。

英語が出来ないから,外国人に話せない!
私も,めっちゃそう思ってます。分かります,その気持ち(笑)

でも,日本人の中学英語のレベルはすごい!キングイングリッシュ(純正英語)だから,きれいでわかりやすい。
運転免許で考えると,知識を習得する学科試験と実際に運転して身に着ける技能試験があって,運転できるようになる。
日本人の英語は,かつては,知識の習得だけで,いきなり運転しようとしていたから,難しかったと思う,とのこと。
・・・つまり,実際に話をしてみる機会が少なかったのですね・・・

でも,英語は,ネイティブ同士であっても,方言があったりして同じ単語を全く違う発音をしたりして,通じないのは当たり前。
そもそも,英語は,世界でも第1言語(≒母国語)として学ぶのではなくて,第2言語として学ぶ人が世界のマジョリティー。
だから,みんな完ぺきではないまま,お互いに相手を理解しようとして話してる。同じ立場。

日本人に対しては,外国人はカッコいい!と思っている。
日本人の考え方,アイディアという「話の内容」に興味があるから,英語そのものが上手である必要はない。

相手の反応を待ちながら頑張って話せば大丈夫!とのこと。

自信を持っていい。

そういえば,以前居酒屋でサッカーワールドカップを見るために日本に来た,という外国人の方と話をした。
どこの国の人か忘れてしまったのだけど,確か,英語は第2外国語の国だった気がする。
私は,ちっとも英語話せないけれど,中学英語で頑張って話していたら,自分たちの言葉をスマホを使って翻訳して,みせて会話してくれた。

意気込みさえあれば,なんとか話せる,という自信さえあれば,今は翻訳できる機器も充実しているから,その意味でもなんとかなるかも,と思った。
話せた,と感じて,相手が笑顔になってくれた時・・・すごく嬉しかった。

日本のサービスは,魅力はすでにあるのだから,そこに「自信」を持つのも大事。

皆さんは,自社のサービス,商品に「自信」ありますか?
自社のサービス,商品を英語で外国人に伝えてみる「自信」ありますか?

3 外国人,日本人の特徴を知る

日本人が外国人とのコミュニケーションに苦労する理由は実は明確。

それは自分(日本人)と相手(外国人)のタイプを知らないこと!

アメリカ人,オーストラリア人などは,いわゆる「空気を読まないタイプ」言語化重視型というデータが出ている。
他方,その対極にあるのがインドネシア,ベトナム,韓国,フィリピン,タイなどのアジア人。
日本人も10点満点中9.2点というスコアで「空気を読むタイプ」,察知力重視型と出ているとのこと。

だから,「阿吽の呼吸」などの言葉もあって,言わなくても察する文化のために,言葉にしないでコミュニケーションが取れたつもりになりやすい。
でも,実際は,例えばタイ人と日本人のように空気を読むタイプ同士でも,分かりあっているつもりになっているだけで,分かっていないことは多い。
「小学校のときって,学校で動物かっていますよね!」「そうだよね,あれ,いいよね」と会話して分かり合ったつもりでも,実際に「例えば,何飼ってたの?」と聞いてみると,「そりゃあ,うちは,うさぎだよ!」と言い,「え~そうなの,うちはヤギだよ」ということで,実はイメージしているものが違っていることに気づく。だから,「例えば」の話などで具体的に言語化することは,察知力重視型同士の会話であっても,大事。

外国人の中でも3タイプに分けて理解すると,コミュニケーションをとりやすい。

①まずは,長期滞在で,日本の読み書きができること前提で日本人と同じように話してみる。
「ご注文いかがでしょうか?」
②通じなければ,2,3年の日本滞在で,ひらがななら読める人と考えて,簡単なひらがなの単語に分けて話す。「ちゅうもん したい たべものは きまりましたか?」
③②で通じないなら,初来日の観光客と考えて,中学で学んだ英語とカタカナを多めに話す
「Excuse me. Ready to Order?」

アメリカは,移民の国。異なる言語,異なる文化の人に自分の気持ちを伝えるには,ストレートにズバッと言わないと伝わりにくいし,第2言語として使うことも多かったから,伝える方も,より「配慮した」とか「慮って」傷つけないように意識しながら伝える技術を磨くのも限界がある気がする。

だから,ルーシー先生もレジュメに書いてくれていましたが,「遠慮をしない」で,でも,相手の状況(レベル)は意識した「コミュニケーション」を工夫することが大事。

日本人が,外国人とのコミュニケーションに苦労する理由,知っていましたか?
日本人同士でも,相手のタイプ,状況(知識,技能などのレベル)に合わせた声掛けを意識したこと,ありますか?

まとめ だから,言語化が大事

ルーシー先生が,NHKの英語番組で日本人の大西先生とお話をしていたとき,日本人が国際化において一番「チャレンジ」する事は何だと思いますか?と聞いたことがあった。
流れからすれば,やはり英語力・・・となりそう。

でも,大西先生が言ったのは,「言語化」
日本人はこれまで,自分がやって欲しいこと,して欲しくないことを言語化してこなかった・・

だから,国際化したとき,まず直面するのは,自分の想いを言語化すること,「言葉」にすること。

なるほど!確かに!

10年くらい前,イギリスに長期間留学していた方に,「何が一番日本と違うと思いましたか?」
と私が聞いたときに,言われたこと。

いつでも,どこでも「○○さんは,どう思う?」と意見を聞かれること。
もごもごしていると,何も考えていない,どうなの?と詰め寄ってこられる。

・・そうか,海外では,自分の意見,思いを言うことが当然で,それが求められているんだって,思ったことを思い出した。

これは日本人の「空気を読むタイプ」としての性質が反映していると思うところもあると思うけれど,やっぱり,コミュニケーションでは誤解を生じやすい。
日本人同士のコミュニケーションでも,その齟齬は感じます。

私は,離婚相談を受けることが多いけれど,「なんで全部言わないと気づいてくれないんだろう」としんどかった,と妻からよく言われる一方,夫からは「言ってくれればよかったのに。何も言わずに,家を出て行くなんて」と言われたり,外国人と日本人の夫婦では,外国人の「話し方」が怖い,キツイ,と感じるということも言われる。

これまでは,どちらかと言えば,自分が思う以上に,相手があなたのことを怖い,しんどい,と思うことがある,その気持ちを理解するとコミュニケーションは上手く行きやすいことを伝えてきたけれど,話す側も「言語化」する意識,ひるまず,遠慮せず話す勇気をもつことで,双方向からコミュニケーションも良くなると思った。

これからは,文化の違う方々と触れ合う機会も多くなると思うから,より,「言語化」する力は大事になりそう・・
私も,今「話し方」を改めて学んでいますが,より,自分の想いが相手に間違いなく,そして,気持ちよく伝わるように,そして,自分が思いをもってやっている仕事の価値,それがどのように目の前のご相談者,ご依頼者にとって嬉しい,お願いしたい,と魅力をを感じられるものになるのか,「言語化」していく力を磨いていこう,と改めて思いました!

このブログを読んで下さったみなさまにとっても,「自社のサービス,商品を外国人の視点から見て魅力的なものとして伝える」ためのヒントになりますように…

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!