多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

400年企業の社長から学ぶ事業継続の秘訣

400年企業の社長から学ぶ事業継続の秘訣

 

002いつも読んでくださって,ありがとうございます!
今日は,岐阜県中小企業団体中央会レディースクラブの研修で話を伺った「印傳屋」のお話,顧問先企業である東海西濃運輸の社長のお話から,企業が継続するために必要なヒントをお伝えしたいと思います。

「印傳屋」は,江戸時代に創設,創業400年を超える企業です。鹿革に漆で装飾した鞄,財布などを作っています。

時代が移りゆく中で,創業当時は複数あった同業の会社もどんどん減っていった
…その中で,印傳屋が時代を生き抜いているのはなぜでしょうか?
東海西濃運輸も,今年更に管轄する区域を拡大し,継続,発展しております。その秘訣は何でしょうか?

社長から直接聞く話は,「生き方」「仕事」の中で大切にしているものが分かり,学ぶことが沢山ありますね…

「事業をこれからも継続・発展させていきたい」「自分の勤めている会社はこれからも継続できる会社だろうか?」…という方に,参考になったら嬉しいです!

1 変化の精神

印傳屋の技術は「変わらない技術」として400年にわたり,代々引き継がれています。
一方で,その技術をつかって作る商品の内容を時代に対応して,常に変化させています。
現在は,毎年ひとつは,デザイナーとコラボレーションをしながら,新しいブランド(柄)を開発しているそうです。
ここで,大事なのはデザイナーさんは「作品」を作ろうとするので,そうではなくて,「商品」として成り立つものを作り上げていくこと,と言っておられました。
女性向きの柄だけでなく,男性でも使える柄の開発もしています。

「伝統」があるから選ばれる,しかし,それだけに頼らない,常に変化させることを意識しているのが印象的でした。
みなさんの会社は,自分から意識して「変化」させようとしてますか?

2 商品の良さ(アフターケア)

印傳屋の商品は,確かに安くはありません。
しかし,印傳屋の商品は,とても丈夫で長持ちします。時間が経過し,使い込むほどになじんで,柔らかくなるようです。
レディースクラブの関係者の方に20年以上使っていらっしゃる方がいて,本当に使えます,という話をお聞きし,私も名刺入れを買いました!(写真)
印傳屋の商品に対する思いは,「ながくつかっていただくこと」です。そのため,金具部分だけが破損したような場合に,修繕などで対応していただけます。
長く,愛着を持って使えることを考えれば,金額的にも高いとは言えないな,と思いました。
私は,やはり,できることなら,「海外のブランド」ではなく,「日本のブランド」を応援していきたいな,と思いました。
「400年の日本の歴史のある一流商品」と思うと,持てることに幸せも感じますね。
やはり,「継続」する企業は,扱う商品そのものにも「こだわり」があります。

みなさんの会社の商品は,お客様に「この会社の商品のココが信用できる」というポイントはありますか?
そのポイントは,お客様に伝わっているでしょうか?

3 行動力・なぜを伝える

土岐市にある東海西濃運輸本社に田中弁護士と一緒に訪問しました。
社長と面談して,先祖が本田宗一郎の友人とか,多治見市長が,瑞浪市長が…という話に人脈の広さを感じて驚きましたが,なんと言ってもすごいな,と思ったのは「行動力」です。

様々な制約があって,もしかしたら,自社が罰則を受ける危険がある中,「人命が何より大切」という信念の元,東日本大震災,阪神淡路大震災のときにも,いち早く駆けつけて物資を運んだ「勇気」「決断力」「行動力」に感銘を受けました。

また,企業が継続していくには,「利益を上げること」が不可欠です。その中で,いいにくい「運賃の値上げ交渉」についても,誠意を持ってされたそうです。
そのとき伝えたのは,「命を守るため」ということです。
今,大型トラックの運転は,事故による悲惨な結果から,安全対策を強化するように言われています。
そのために必要な機器の整備を東海西濃運輸では実施しており,労働時間も管理しています。
それには,やはり適切な運賃を頂かなければ出来ない…ですよね。
それでも応じられない,という取引先との関係は,解消する意気込みでやったとのことで,多くの取引先が応じていただけたようでした。
「道のないところに道を作る。そうすれば,誰かが後についてくる・・・」 という言葉が印象的でした。
まだまだ死体が沢山あるような現場に行くのは怖い,事業を停止されたら,取引先がなくなったら…と沢山の「恐怖」があるなかで,信念を持って行動できる,そのスピードの速さ,がすごいと思いました。

皆さんは,恐怖に打ち勝って,行動できる方ですか?
行動するときに,他の人を共感させられる「信念」がありますか?
行動するまでのスピードは速いですか?

まとめ ロマンとそろばん

私が,弁護士として独立開業する際に,大好きで一方的に憧れている医師,長谷川嘉哉先生に言われた言葉があります。

経営者は,「右手に浪漫、左手にソロバン、背中に我慢”の精神」です。

ロマン(信念)ばかりでお金の勘定が出来なければ事業としては継続できない,逆にお金勘定だけで「大義」がなければ,やはりお客様や社員にも見放される,そして,経営者は広く大きな心でいなければ…ということかな,と思っています。

印傳屋の社長さんのお話,東海西濃運輸の社長さんのお話共に,「ロマン」がありつつも,しっかりと継続するための「ソロバン」もはじけているという印象を受けました。
長谷川先生からは,「弁護士も医師も,「仕事は左脳、経営は右脳」と使い分ければ、これほど楽しい仕事はないと思います」と言っていただきました。

私は,弁護士として,法律の専門的知識を駆使して,客観的に分析し,ご依頼者のために役に立てたときには,すごく幸せを感じます。
分析して表現することも大好きです。

独立して「今後も依頼者が来てくださるのだろうか」「田中弁護士に給与払えるんだろうか…」とか今でも不安は耐えません(笑)
でも!経営者って,自分の理想,信念を追いつつ,事業を継続させるための知恵も絞れるとてもやりがいのある,素敵な仕事だな~と思います。

みなさまの会社の経営には「ロマンとソロバン」ありますか?

私はまだまだ…なので,これからも楽しみながら,「経営者」と「弁護士」を続けていきたいな~と思います。
このブログを読んで下さった皆さまが,「事業を継続する」ためのヒントが見つかりますように!
今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!