「メジャーリーグで一流になる選手って,ここが違うんだ」「メジャーリーグで一流になる選手を育てるコーチは,こんなスキルを持ってるんだ」
9月20日,私が入会している「陶都多治見十六会」にて,アメリカのメジャーリーグ3球団で球団フロントとしてチームの経営・運営に関わってきたタック川本先生の講演をききましたので,シェアします♪
テーマは,「メジャーリーグに学ぶ経営戦略~経営革新と人材育成」でした。
アメリカでは「経営戦略や教育はメジャーリーグに学べ」という言葉もあって,メジャーリーグから学べる経営戦略や人材育成に関する教育の在り方は重視されているそう。
川本先生は,御年80歳を越える方なのに,はきはきと話された上に,走って登壇場所に駆けつけるところ,背筋がピンと伸びた姿など,とても若々しく活動されているところにも,興味を持ちました。
私は日本人って大好きなのだけれど…
日本人が,世界でも活躍できるようになるには,メジャーリーグの経営,人材育成から学べることもありそう。
ちょうどこの日,大谷翔平選手が「50-50(ホームラン50,盗塁50)を史上初で達成して,さらに記録を伸ばした日でしたが・・大谷翔平選手のように世界でも活躍できる人材になるために必要なことは?
アメリカのメジャーリーグの3球団で沢山選手を見てきた経験から,気づいた活躍する選手と活躍できなかった選手の違いは?
なぜこの選手は一流になれたのに,この選手は一流にならず二流のままだったのか?
一流の選手,リーダー人材となるために必要な5原則は?
私自身も,これからも事業を発展し続けられる経営者,リーダーとして,何を身に付けたらいいのか,日本人とは特にここが違う!これを採用したら面白そう!と気づいた点もありましたので,3つを絞ってお伝えします。
1 敗北メッセージを受けない
一流のリーダーになる5原則の一つ。
日本では,何かにチャレンジをしようとした時・・
「そんなことはやっても無理だよ」「難しいよね」「なかなか出来ないんじゃない」などと,挑戦しようとする気持ちをくじくような言葉がかけられる場面が多い。
実際,私自身も覚えがあること。
司法試験の勉強中に,ある友人から言われた言葉が今でも記憶に残っている。
大学四年生で第一試験(択一試験,マーク形式)に合格した時のこと。
「でも,その次の二次試験,論文試験が難しいんだよね。なかなか合格しないんだよね」
確かにそうなんだよな・・・って思ったんだけど。
なにか「グサッ」とくる感じがあった。このまま試験勉強続けていて本当にいいのかな・・?という不安。
でも,あの時,諦めなくて本当に良かった。
川本先生が,講演で言ってた言葉。
日本では,「いつまでもあると思うな,親と金」という標語がよく使われる。
でも,アメリカ,メジャーリーグではそんなことは言わない。
「いつまでもないと思うな,運と才能」
適切な努力の先には,運と才能を手に入れられるよ・・明るくなる前向きな言葉。
日本では,マスコミの報道の仕方の問題もあって「敗北のメッセージ」,マイナスな方向に向けるメッセージが多い。
でも,メジャーリーグの一流選手は「敗北メッセージ」を受け取らず,プラスのこと,これから進んでいく時に受け取れることについてのメッセージを受け取る。
確かに「本当に反対されても,否定されてもやりたいのか?」って自問するときに,マイナスメッセージをもらうことは意味があることもあるのだけど・・
それでも,やりたいときには,敗北メッセージを受け取らず,進んでいくことが公開のない人生につながる,と思った。
2 キュアリアスキッズ(whyキッズ)になる~自己満足しない
これも,一流のリーダーになる5原則の一つ。
一流のリーダーは,色々なことに興味を持つ。
大人になっても,いつまでも,これはなぜこうなってるんだろう?って子どものように,ワクワクしながら興味を持って,調べていく。その資質がキュアリアスキッズ。
あるとき,ペンタゴン(アメリカ国防総省の庁舎)の壁がひびわれていたという現象があった。
その時,なぜ,壁はひび割れたんだろう?と疑問を持った人がいた,という話。
興味を持って調べると,その理由は鳥の糞がついて,それを掃除して拭いてたから,とのこと。
じゃあ,なぜ,鳥は糞をしていたの?
それは,ペンタゴンのところにある照明灯に鳥が来ていたから。
じゃあなぜ,照明灯に鳥はくるの?
照明灯に集まる虫を食べていたから。
じゃあ・・虫が集まる原因をなくしたら,ペンタゴンのひび割れってなくなるのでは?
単にひび割れを修繕するだけじゃなくて,ペンタゴンでやったこと。
照明灯を点灯する時間を一時間遅らせてみた。
そうしたら,これで鳥が集まるということが減ったということらしい。
なぜ,なぜ,なぜ,を追求して行くと本当の原因に基づいた解決ができる。
スタンフォード大学で行った,90歳以上の方向けに取ったアンケートの結果も紹介してくださいました。
今悔いあることベストスリー。
1番目,「もっとリスクを取って生きたかった」
2番目,「もっといろんな挑戦をしたかった」
3番目,「子育てだけで終わりたくなかった」
常に自己満足せずに,挑戦して,興味を持って生きようとする姿こそ,一流のリーダーになるために必要な資質ということ。
私は,離婚問題を中心的に研究していますが,今は「著作権」についても興味があります。
これからもなぜなんだろう?とワクワクして調べたり,新しいことにもチャレンジしたりしよう!と思いました!
3 自分の力をつける
これは,川本先生が教えてくれた一流のリーダーになるための5原則そのものではないのだけれど,先生の話を聞いて,私が受け取ったこと。
メジャーリーグでは,1つのチームに第1軍から第7軍,第8軍まで選手を抱えながら,長い時間をかけて少しずつ育成するというシステムが通常。
それだけ,人間が育って行くには,成熟期間が必要とのこと。
その中で,日本と違うなと思った興味深いお話があった。
先生が,ある日本人チーム選手,入ったばかりのルーキーの選手に聞いた言葉。
「もし,このプロ野球選手をやめたら,何になるの?」
すると,日本人の選手には怒られたとのこと。
「まだ,何もやってないのに,そんなこと考えてない」
一方で,アメリカでは,8割から9割の人が違う答えをする。
「メジャーリーグをやめたら,何をするの?」
「大学に戻って,勉強したい」
「弁護士の資格を取りたい」「医者になりたい」
引退後のことを,今から考えている発言が出る。
アメリカ人メジャーリーガーたちは,自分の限界も知っている。
アメリカのメジャーリーグでは,4軍にもなってくると,「教えない」という指導をコーチはする。
そうすることで,選手は自分で,やり方や自分自身の才能が見つける。
これがとても大事だとわかっている。
教えてしまうと,すぐに忘れてしまう。
だから,コーチとしては「教えない」というのが大事な仕事になる。
だからこそ,「自分自身で力をつける」という「考え方」がメジャーリーグの選手たち,チームの指導者たちにはある。
アメリカでは「4食食べましょう」という話があるらしい。
そのうちの3色は,朝ご飯,昼ご飯,夕ご飯なのだけれど,残りの一食というのは「野球外の知識を食べる」,つまり野球外のことも身につけようということを勧めているらしい。
日本には,「野球バカ」と言って,野球に熱中するというイメージの言葉があって,ある意味では,それくらい熱中できることが,良い印象として使われることもあるけれど,アメリカにはそのようなことがないらしい。
ビジネスの成功鉄則でもある,「自分を変えること」がその後の行動を変え,行動を変えることが,習慣を変え,習慣を変えることが性格を変え,性格を変えることが運を変える,ということが浸透している。
だから,一流の人は人のせいにしない。
いじめ,セクハラ,モラハラ,いろいろなハラスメントがあるけれど,ハラスメントを受ける側の人が自分自身の力を上げていくこと,力をつけるというところが大事と意識してるらしい。
もちろん,弁護士としては,ハラスメントをする側の問題があるという視点はあるのだけれど,自分自身のことも考えたとき,こういう被害を受けないために自分が何ができるのか,それぞれの人が自分の力をつけることができるよう,会社,組織,リーダーとしてはサポートしていくことが,とても大事だと思った。
みなさんは,今の仕事を辞めたらどんなことをしますか?
私は・・・弁護士を一生していきたいかな,と今は思うけれど,もし体力的に限界がきて辞めるとしたら,誰もがそれぞれ個人として自分の魅力を自分でも発見して,他の方にも尊重されるという社会になるために,弁護士の経験を生かして出来ることをしていきたいな,思いました。
まとめ 社会を支えるツール
川本全体のお話を通じて感じたことは,アメリカメジャーリーグの選手やそれを育成する監督,コーチなどは,今の自分自身や選手としての地位や関係がずっと続くものじゃないって考えている,ということ。
ある意味で「ドライ」に考えてる。
だからこそ,自分という器を,いろいろな面で磨けるよう,野球以外のことにも常に意識がある。
アメリカで,「野球に必要な道具は何ですか」と質問をすると,バットとボールは出るのだけれど,「重要なもの」として,選手自身,人間自身という言葉が出るらしい。
これもある意味で「ドライ」に,人間そのもの,自分そのものをバットやボールという「物」と同じように扱ってる感じ。
けれど,別の視点で見ると,自分自身を社会で必要とされる他の物,他の人とは違って,ものすごく「高貴なもの」と捉えてるわけじゃなくて,社会の中に必要な道具,野球の中で必要な道具の一つと冷静に考えてると言える。
日本人で野球をしている人に先生が「野球に必要な道具は何ですか?」と尋ねると,
「先生,私たちはずっと野球をやっているのですから,さすがに野球に必要な道具は分かりますよ」と言われ,
「バット,ボール,ミット・・・」と答えが返ってくる。けれど,「人間」「自分自身」という答えが返ってくることはない。
メジャーリーグで活躍する選手は,何億という,とても大きな報酬を手にする。
そういう選手は,その報酬を何使ってるかっていうと,例えば,ドミニカ出身の選手は,自国の教育がまだ進んでいないから,自国の教育を良いものにするために使ってほしいと寄付をする。
そう考えると,ある意味で自分自身を社会をより豊かにするための一つの道具として,ドライに,かつ,でも,とても社会との間では,「高貴な繋がり」があるものとして,それを感じて生きてる人だと思った。
本当のリーダーは,ガンを撲滅したい,とか,障がい者が生きていくために必要な支援がしたい,とか,そういう「高い理想」があって,その分の報酬も受け取るのかな・・と思った。
川本先生の話は,最初からとてもユーモアに富んでいて,ジョークも多くて,楽しい。
アメリカでは経営戦略や教育はメジャーリーグに学べという言葉もあるのだけれど,出世したければ,ジョークやユーモア言えるようになったほうがいいということも教えてもらった。
いつも面白いジョークを話せることも,もしかしたら,いつも自分の身近な社会,目の前の人を楽しくするっていう意味で,「自分を使う」ということかも。
私自身も,もう少し明るくジョークもさらっと言えるように,磨いていきたいな~~と思いました!
一方で日本人の特徴としては,「社会のために」というところだけに,注目しがちなところもあって,自分が我慢して社会のために,人のために頑張ろうとする姿もあってしんどいなと思う部分もある。
多分,アメリカでは,特に成功する人達にとっては,「自分」と「他の人」「社会」の境目が曖昧で,自分もその社会の一つとして,同様にもちろん大事にする,ということかなと思った。
自分自身が,その社会の一つとして大事にできてないと・・
私自身がずっとこれまで,そうだったのだけれど,まずはそこから(自分自身から)大事にして,自分の力をつけて,自分を磨きながら生きる,という視点もやっぱり大事かなと思った。
このブログを読んで下さったみなさまが,自分自身,日本人の良さも感じながら,アメリカメジャーリーグの一流選手やコーチの在り方から,その良さも取り入れることで,これからの人生がより楽しく,他者とのつながりも感じながら生きていくためのヒントとなりますように,
そして,経営者,リーダーの方にとって,一流のリーダーとなり,組織としても一流の人材を育てるためのヒントになりますように…
今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!