多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

父親の関わりが子の犯罪行動に影響する~「子どもが変わる 怒らない子育て」

父親の関わりが子の犯罪行動に影響する~「子どもが変わる 怒らない子育て」
いつも読んでいただき,ありがとうございます。
今回は,少し前に読んだ日本,シンガポールなどアジア主要都市で「おこらない子育て」セミナーを開催している男性著者嶋津良智さんの本「子どもが変わる 怒らない子育て」から学んだ親の育て方が子どもに与える影響,特にお父さんの関わり方が大きく子供の成長に関わることをお伝えしたいと思います。
また,ある時聞いた話。
そのお母さんは,息子さんが小さい頃は,他の子が当たり前に出来ることが出来ないことに激しく怒ってしまっていたこと・・・
そして,一緒に死のうと思うまで思い詰めたこと・・。
しかし,その気持ちが変わったエピソードにとても共感しました。
これはまさに私自身の状況と同じなのでは・・・?
なぜ,そこまで厳しく注意しようとしていたのか・・?
何に気づいて,どのように変化されていったのか・・?
この本と共通する「お母さんが怒ってしまう根本的な原因はどこにあるのか」
ということも感じました。
以前,野田聖子議員も言われていたけれど,障がいの子を持つ夫婦は離婚することも多い・・・
これは私も相談の中で,とても感じていることです。
その背景には,発達障がいを含め,障がいの子を持つお母さんのとても苦しい状況がある・・
障がいでなくとも,初めての子育てで,悩み,怒ってしまう苦しいお母さんの状況は,離婚相談を受けていると度々感じます。

思い通りにはならない子ども・・・

「今日息子さんが・・ということがありまして・・」。学校から他の子に迷惑をかけたという報告の電話。
子どもに激しく怒ってしまって,後で自己嫌悪に陥る・・

私もこれまで,何度も経験してきました・・

私自身を含め,母親はなぜ子育てで「怒って」しまうのか?
お父さんはどう関わると,「怒らない子育て」をサポートできる?
お父さんが子育てに関わることで子どもの犯罪傾向を減らせる?子どもの影響は?
気づいたことを3つ,お伝えします。

1 妻(母)のイライラを減らす

この本にも書かれている衝撃の事実。
6歳未満の子供持つ家庭を対象にした調査によると,子どもが0~2歳と育児が大変な頃に最も離婚が多い
このころお母さんたちは,「夫への強いイライラ」を持つ。
その理由のひとつが,最近お母さんの体内で分泌されるホルモン「オキシトシン」と分かった。
これは,授乳期に子供と触れ合うことで子どもへの愛情を強める働きをする一方,
「他者への攻撃性」を強める作用があることが判明。
夫が育児に非協力的であれば,「攻撃の対象」となり,夫婦関係破綻を招く恐れがある・・
子育てには参加せず・・・
「俺の飯は?」とか言うような旦那さん・・・

母は,子どもを守るために,子ども,子育てに集中するために,不利益になる存在(失礼ですが)には,本能的に攻撃的になるのかも知れませんね(笑)。

では,夫はどうしたらいいのか?

著者は,「子育てを分担することはもちろん大切ですが」との前置きをしたうえで,
「ひとりで頑張るおかあさんのつらさを理解し,共感し,『よく頑張ってるね』,と認めてあげること」
と伝えています。

(ちなみに,ホルモンのせいでイライラするんだよね,と妻に夫が言うのは,違うわ!とお母さんからキレられることが多いので,
お父さん方は指摘するのはやめましょう,(笑))
確かに!
もちろん,一緒に家事や育児の分担をして欲しい。
けれど,本当に共有したいのは,はじめてで大変なことだらけ,こういうやり方で本当に大丈夫なんだろうか・・?という
不安な気持ちの共有だったり,
上手くいかないことで悩んでいるときに,責めるのではなくて,一緒に方法を考えてくれたり,とりあえず頑張っていることを認める,
という今の自分のつらさ,苦しさ,状況の共有だったりな気がする。
それを知って,頑張りを認めてもらえたら,精神的負担はかなり減らされる・・・
この時期の夫の育児への関わり方,そして,妻への関わり方は,その後も円満な夫婦生活を続けていく上で本当に大事だと改めて実感しました。
怒らない母になるために,母がとにかく頑張れ!というのではなくて,
母の精神的状況を客観的に記載した上で,男性のサポートの必要性を伝えているのが母にとってありがたい本だな,と思いました。

子育て中の母の皆さん,なぜ,イライラしやすいのか,知っていましたか?旦那さんにうまく,ヘルプを求められそうですか?

子育て中の父の皆様,「イライラするなよ!子どもがかわいそうだろ」と妻だけを責めていませんか?
 

2 妻(母)・夫(父)の成長・自信

乳幼児の母を対象とした調査。
お父さんが育児に協力的でない,お母さんが一人で子育ての責任を負っている場合,お母さんは,「子育てに自信がない」「育児でのイライラ感が強い」と感じる傾向がある。
「この子を産んでよかった」「一緒にいると楽しい」「子どもがかわいい」という感情が薄くなる・・・
やはり,夫(父)が子育てに参加することが母の子育てへの不安感を軽減し,
子育てを楽しいものと考えるために,重要なポイントであることが分かります。
また,最近の発達心理学の研究結果では,子育てを通じて親も成長することが判明。
「柔軟さ」「自己抑制」「運命・信仰・伝統の受容」「視野の広がり」「生きがい・存在感」「自己の強さ」
はいずれも,お父さんよりお母さんの成長度合いが大きい。
育児をしているお父さんは,
「家族への愛着」「責任感や冷静さ」「子どもを通じての視野の広がり」「過去と未来への展望」
等を得ていることも判明。
この著者は,IT系ベンチャー企業に入社して,同期100名の中でトップセールスマンになったのち,
28歳で独立起業し,その後吸収合併をしながら,5年で52億の会社にまで育てたという経歴も持っている方なので,男性の社会的な意味での成長についての考察も説得力があるな・・・と思います。
確かに,つい最近も未婚の男性が自分の思い通りにならないときに声を荒げ,椅子を机にぶつけるように音を立てながら動かす様子を間近で見て怖くなった・・・
子育てって,思い通りにならないことばかりで,当初自分が思っていた「予定」,「理想」にこだわり続けていても,何らうまく進んで行かない・・・
自分の思い通りにいかなかったときに,いかに怒りを冷静にコントロールして,変化し続ける状況に応じて,柔軟に対応していくか・・
男性にとっても,女性にとっても,育児だけではなくて,仕事上もとても大切だと改めて思った。
この本は,男性著者からの,女性の子育てに対する温かいメッセージで嬉しいな・・と改めて思いました。
やはり,本当にできる男の方は,懐が深く,言うことが違いますね!(笑)
もちろん,女性である私たち妻(母)も自分で努力をしないといけないわけではありますが・・
それについても,この本の中では,「正論」で追い詰めるような厳しい指摘は全くありません。
「怒らない」で子育てするための具体的なスキルを温かい目線で伝えて下さっているので,女性の方は
是非この本を読んでいただけたらと思います!

子育て中の母のみなさん,温かくて具体的な「怒らない子育て」のスキル,この本で一緒に学びませんか?

子育て中の父のみなさん,ご自身の成長と妻(母)の成長,サポートとして,一緒に子育てに関わってもらえますか?

3 子ども自身への良い影響

著者は,お父さんは「イクメン」を越えるべきと言っています。

オムツを変えたり,休みの日に公園に連れて行ったり,幼稚園に送っていく男性,
「育児」「保育」の領域にだけ関わるのが,「イクメン」とされているとすれば,それだけでとどまるのは勿体ない。

コチカット大学の研究発表では,
「おとうさんの与える愛は時におかあさんの愛よりも強い影響を子どもに与える」ことがある。
「おとうさんの愛情を多く感じて成長する子どもは幸福感を感じ,生活満足度の高い人間に育つ」
「愛されていない,認められていない,と感じながら育つ子供は,敵対的で攻撃的で,感情的に不安定な大人に育つ」傾向が見られる。
「お父さんからの愛情不足を感じた場合の影響として,犯罪行為や低い自尊心へとつながる可能性が高い」という研究結果が出ているとのこと。
以前刑事事件で犯罪をしてしまった方,特に少年と話をしていたり,記録を見たりして感じていたこと・・
「自分なんて生まれてこなければよかった」「誰からも必要とされていない」という罪を犯してしまった人の思い。
それは確かに,母親との関係の場合もあったけれど,改めて振り返ってみると,父との関係での愛情を感じられていなかったことも多いケースだったなと改めて思った。
離婚の相談を受けることが,私の場合とても多いのだけれど・・
その中で感じることの中に,自分と父との関係はあまりよくなかった,
だから,自分はそうはなりたくなかった,と話してくれる男性が,感情的で攻撃的になってしまう場面があること,
感情的に不安定になってしまう場面がある方に,両親との関係を尋ねると,
父は本当に怖い人で母は抵抗することも出来なかった,とか,ほとんど父とは一緒に過ごしたことがない,という話をされることもある。
なので,父の愛情を受ける体験は,子どもが自尊感情をもって感情的に安定する大人に成長するために,本当に大切な欠くことが出来ないものだと改めて思う。
離婚した場合,子どもは母と一緒に住む,ということが今でも一般的には多い。
そういうとき,離れて住む父が,面会交流として子どもにあったとき・・・
お父さんとしての愛情を伝えられる機会になるといいな,と思う。お子さんにお父さんからも愛されていることをいっぱい伝えてあげたい。
そのために,自分も弁護士としてブログを書いたり,メルマガを書いたり,動画をあげたりしている。
もちろん,モラハラといわれるケースのように,
子どもに会って,子どもにうまく愛情を伝えられるお父さんばかりじゃない・・と
母親からの相談を受けていれば思うし,
そもそも子供が会いたい,と言ってもあってくれないお父さんもいるから・・・簡単ではないと思うのだけれど。
・・あまりまとまりがありませんが,
子育て中の母のみなさんは,自分自身が父の愛情を受けていた,と感じられますか?
子育て中に父の皆さん,ご自身が愛情を伝えることが,お子さんにとって大きな良い影響を与えると知っていましたか?

まとめ 親が子育てで本当に得たいもの

なぜ,親は子育てでイライラし,「怒って」しまうのか・・?
特に最も身近に子供と関わる時間の多い母親が怒ってしまうのはなぜなのか?
紹介したこの本の中には,その原因が
母の孤独感,不安や,それを助長する攻撃的なホルモンにもあることも教えてくれた。
冒頭に書いた最近聞いて,聞きながら共感しすぎて,泣いてしまった話・・
(少し正確でないところもあると思いますが,私の印象としては)
「息子が,他の子が当たり前に出来ることが出来なくて,しっかりやらせたかった」
「トラブルもあって,学校にも自分(母)が行っていた」
子どもに注意をすることで,子どもが神経過敏になっている様子も出てきた・・
・・そんな中で,息子と一緒に死のうと思うこともあった。
「でも,そんなとき,息子の友人が,息子がいかにかわいいかを教えてくれた。大丈夫と伝えてくれた。」
そのとき,ふと考えた。
しっかりさせなきゃいけない,と思ったのは,
自分自身はしっかりとできているのに,子どものことで出来ない親と思われたくなかった,
「守りたかったのは自分だった」・・・ということ。

そして,どうしてこの子を産んだんだろうって考えた。

そうして思い当たったのは,
「本当は,この子が笑顔で幸せに生きて行ってくれたらいいな」という思いだった・・
ここまで聞いて,これは私・・・・
私のことだと思った。涙が止まらなかった。
そして,多くのお母さんもこう追い詰められてるんじゃないかなって思った。
本当の本当の気持ちは,大好きな子どもに笑って過ごしてほしい・・
そう思って産んだはず・・・
けど,周りの子と同じようにできなかったりすれば,母親であるお前のせい,と責められている気がしてしまう・・
だから,自分を守りたくって,母は子どもに厳しく怒ってしまうのじゃないかな・・
今でも,私はその葛藤を抱えてる。
でも,夫が私の頑張りを認めてくれているし・・・
家事育児にも積極的に参加してくれるし・・・
何よりも,社会からの評価をあまり気にしないでいてくれるから(笑),
(私自身はやっぱり気になるところはあるのだけれど)
助かっています。
そう考えるとやっぱり,本の内容とも共通するのだけど,
お父さんがお母さんの子育てについて,認め,励ましてくれるのは本当に支えになる。
上手くいかないことが多くて,子どもが学校で注意されたり,トラブルを起こしてしまったりすると,
社会の周りの人すべてが敵,全ての人から非難されているように思える日もあるけれど・・・

どんなときでも,「大丈夫だよ」「頑張っているの知っているよ」と認めてくれる人がいたら心強い。

それが,旦那であり,子どもの父であったなら・・本当にありがたいな,と思った。

以前も書いたけど,旦那さん以上に子育ての責任を分かち合える人っていないんじゃないだろうか・・
お母さんは,自分の子なんだから,基本的に自分の責任で子育てしなきゃって思ってるから,
ホントは他人には相談しにくい・・・
同じ親として,チームとして助けてほしいって対等なイメージで言えるのはホントは旦那さんだけじゃないかな・・
うちの場合は旦那にそれが言えているから助かっているけれど・・・旦那にはとても言えない・・理解してもらえない,というお母さんもとても多い。
「俺は仕事があって忙しい」そういわれると聞くと・・
相談を受けるたび,とても苦しくなる・・「みんなみんな,私よりもずっと頑張ってる!ホントに。」
相談を受けるお母さんにそういうと,とてもホッとされる,泣かれることも多い。私は仕事してるから,朝から晩まで一緒にいるわけじゃないけど,帰ってからの短時間でも一緒にいたらめっちゃ疲れてしまうから・・・想像したら,本当にその大変さ,分かりますから,心の底からお伝えできる。・・そう,「お母さんは頑張ってる」
これは,私自身が人から言って欲しい言葉なのです・・

お母さんは自分が1番子育てに責任を持たないといけないと思ってるけど,
だからといって全てをまかせないで欲しい,ってホントに思う。

子どものことはもちろん大好きではあるけれど・・・
やっぱり子育てから離れられる時間,ホッとできる時間があるからこそ,頑張れる。
「頑張ってるよね!」って認めてもらえるから,頑張れる。
これが伝わるといいなあ・・・
そうしたら,こういう事案での離婚も避けられる気がします・・・
(もちろん,しっかりと子育てを分かち合っている旦那さんもいらっしゃいますが,まだまだ少数だと実感しています・・)
これからも,うちに相談に来て下さる依頼者の方々のため,
そして自分自身の子ども達,家族,友人のため,弁護士として,母として,母子ともに「幸せに生きるための方法」学んでいきたいと思います。
周りの方々からのお話からも学ばせていただいて,本当に感謝しています。ありがとうございます。
本当にこういう母親の気持ちを理解してくれようとする本を男性が書いて下さることも,とてもありがたいと思いました。
なので,お母様方も「怒ったらいかんよ!」と責められる心配はせずに,是非本も読んでみて下さいませ♡
引き続き,研究報告,活動発表,致します!
それでは,
このブログを読んで下さった子育て中のお父さん,お母さんが,子育ての孤独から抜け出して,少しでも笑顔で子育てできるためのヒントとなりますように。また,教育関係者の方々,子育てや面会交流を支援する団体の方など,お父さんやお母さんの愛情や心の平穏がどのように子どもたちや子育てに影響するのか,どのように支援したら親子ともに幸せに過ごせるお手伝いが出来るかのヒントとなりますように。
今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!