多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

共働き夫婦の円満の秘訣~中部電力講演会講師

共働き夫婦の円満の秘訣~中部電力講演会講師

いつも読んでいただき,ありがとうございます。
今回は,多治見ロータリーのご縁から,4月17日に中部電力が主催する「ワークライフバランス講演会」でお話させていただきましたので,そのシェアをします。

テーマは,「法律相談事例から見えてくる共働き夫婦の円満と働き方の秘訣」です。
私は普段,離婚相談をとても多く受けています。
これまでに900件以上の離婚案件に関わってきました。

その中で,気がついた「離婚を決意する瞬間」の共通点。
この「離婚したいと思う瞬間」が事前に分かれば,反対に,男性,女性共に離婚を避けられる,夫婦円満に過ごせるのではないか?

このようなことから,これまで「女」が離婚を決意する瞬間「男」が離婚を決意する瞬間をお伝えしてきました。

中部電力は,営業所において特に多くの女性社員が働いています。
そこで,今回は,特に「共働き夫婦」に注目した「夫婦円満」の秘訣をお伝えしました。

共働き夫婦は,どんなときに離婚を考えるのか…
どんなことに注意すると,夫婦円満で過ごせるのか・・・

私が離婚相談の事例から感じたこと,また,共働き夫婦である私自身が感じてきたことから,3つの秘訣お伝えします。

 

1 仕事・役割の見直し

料理は作らず,スーパーのお総菜を買ってくる。
家の中が散らかっている(ゴミ屋敷)・・・

このようなお話は,よく男性相談者(夫)から言われる離婚したい理由の一つ。

他方で,女性(妻)からは,

自分も働くようになって,家にいる時間が少なくなったので,週に2回程度ですが,スーパーの総菜を買ってきて出すだけで,夫は不機嫌になるんです・・
(夫から出された家の中が散らかっている写真を見せると),このときは,たまたま子どもが散らかしてこのような状態になっていますが,ずっと,このままのわけではないんです・・


料理をしない度合い,散らかっている状態の継続性は,客観的にみると,どちらの言うことが正しいのか難しいことも多いです。

しかし,それよりも問題が発生している原因は,
妻が働いているのに,今までと同じような食事の準備を求めたり,掃除の徹底を求めることのように感じます。

妻が外で働くようになると,家事,育児,場合によっては介護,地域の役員などの「仕事」「役割」にこれまでかけていたような十分な時間はかけられなくなります。
そのため,夫婦でこれまでそれぞれがやっていた役割分担の見直しや「優先順位」の選択・決定が必要に思います。

ちなみに我が家の場合は・・私の平日料理・掃除がおろそか(優先順位低し)で,子どもと遊ぶ・会話するが重視(優先順位高)なのですが,夫も一応それで納得しているようです。
(料理,一品しか出して無くて・・・ごめんちゃい。)

家事・育児の分担は,なんとなく朝の洗濯干しは夫がやっていて,料理は私。掃除は週末しかほぼ出来ていません・・
地区委員の仕事は,多治見に務めている私が主に担当。子どものことを学校に相談したりするのも主な担当は私,買い物は夫・・という感じですね。


特に,母が専業主婦の家庭で育った息子さん(夫)の場合,共働きであっても,妻に求める料理・掃除のレベルがとても高いと感じます・・
料理が美味しいのは,生きる活力!という方ももちろんいらっしゃいますし,とても大切だとは思うので,もし,料理や掃除が優先であれば,他の役割(子どものこと・地区委員,介護のことなど)の順位を下げるか,外注するか,夫が他の役割を分担することで調整しないと時間配分が難しいと思います。
みなさんは,夫,妻の働き方の状態によって,役割分担・優先順位の見直しはしていますか?

 

2  2人の時間・会話

離婚したい,と夫(妻)から言われたけれど・・・
どうしてなのか,分からない。
もっと,前に言ってくれれば良かったのに・・・

という話は,ご相談の中で,とてもよくあります。


離婚を決意する理由は,親との折り合いが悪い,いい方がきつい,料理がまずい,子育てに無関心,自分の非を一切認めない,私が家事をするのを当たり前と思っている・・・等色々です。

ただ,ここで注目したいのは,
「離婚」という話が出るまで,相手がそのようなことを考えていたことに気づいていない,ということです。


つまり「会話」がされていないのです・・・
女が離婚を決める瞬間にも書きましたが,最初は,「こうして欲しい」と言っていた妻も,全く聞いてくれない,相手の機嫌が悪くなるだけなら,もう言うのをやめよう・・
と,段々と話をしなくなることも多いようです。

共働きの場合は,特に,相手と喧嘩して,仲直りも出来ないまま,次の日に仕事に行く,というのはそれだけでも,多くのパワーを必要とするので,しんどいものです。
また,夫婦共に働いていると,毎日,2人の役割が多すぎて話す時間もあまりない,ということも生じやすくなります。

しかし,やはり・・そうであるからこそ,意識して2人の時間を持ち,会話をする,ということが大切だと思います。
話合いをすること自体,パワーが要ることなので,私もつい避けてしまいがちなのですが・・
これを,避けていると,どんどんと夫婦の間の「ズレ」が大きくなってしまう,と感じます。

普段から,楽しいことを共有する,という「会話」をしていると,「こうして欲しいんだけど・・・」という少しパワーの要る会話もしやすい気がします。
「夫婦円満のコツ」を調べたアンケート調査での第1位のコツも「会話」

共働きで,双方時間が無い夫婦だからこそ,意識して,2人の時間・会話をする時間を持つ必要があると改めて思いました~

みなさんは,夫婦の会話,毎日ありますか?
最近あまり話していないな・・・という方は,是非,今日にでも「なんか,こうして欲しいな・・・ということあるかな?」とか,お話,してみてくださいね。

 

3 相手の仕事を分担してみる

1の仕事・役割の見直しに近いのですが・・・

一度相手(妻,夫)の仕事,と決めたものも,余裕があれば手伝ってみる,代わりにやってみる,というのが大切です。

これも,女が「離婚を決める瞬間」に書きましたが・・・
忙しく朝ご飯の準備をしている共働きの妻・・・
けれど,カーテンも開けてくれない,パンの1枚も焼いてくれない夫・・・

「私も働いているのに,なぜ,自分だけがやらなければいけないの・・・?」と妻は感じます。


料理・朝の準備は,妻の担当,と夫婦で決めたのかも知れません・・

けれど,そうであったとしても,相手方が家事・育児・介護などで働いている時間は,自分も何かそれを手伝えないか,考えてみるといいと思います。
男性は,自分では気づけないことも多い,と言われるので,女性も「かわいく」お願いすることもテクニックとして大切かも知れませんが,双方共に,この「気づく」意識があるとよりよい関係になれると感じます。

うちの場合は,平日の朝ご飯は私が作る担当ですが・・
子どもがお弁当がいる日,朝から私が仕事で出かけなければ行けない日など,忙しそうにしていると,夫が代わりに作ってくれることもあります。

反対に,夫が洗濯物を干していて,私が朝の自分の分担が早く終わっていれば,洗濯物干しを手伝います。
朝は,いわゆる「戦争状態」の慌ただしさなので・・なんとなく夫が働いているのに,自分だけがくつろいでいる,という感じにはなれません。
(自分だけ寛いでどういうつもり!?と自分も思うし,相手も思うだろうな・・という気迫を感じます,笑)

そして,相手の仕事を分担するメリットは他にもあって・・・
相手がしている仕事が,こんなに大変なんだ,と気づけて,感謝できることです。

夫は,料理が上手なので,私の料理を手伝っても,そのような気持ちにはなれないかもしれませんが・・
私の場合は,夫が普段は担当している資源回収のゴミをひもで縛って持って行く,切れた電球を交換する,家族で遊びに行く際に
詳しい経路と時間を調べる(方向音痴なので,これは特に苦手です)などをしてみると,夫のありがたみが分かったりします。

あとは,夫はパソコンが得意なので,パソコン操作が必要なときは,お願いしていますが,時に,自分でやってみると・・感謝できます。

外で働く「仕事」だけでなく,家事,育児,地域の委員,介護も夫婦・家族として生きていくためには,欠くことの出来ない大切な「仕事」。
相手がその「仕事」をしているとき,みなさんは,何をしていますか??
専業主婦の場合でも,家事・育児という「仕事」をし続けていることにはなるので,手伝える気持ちがあると良いですね!

 

まとめ 共働き夫婦円満のために

今回の講演会は,中部電力多治見営業所長の
「うちの会社でも,仕事も出来て,いい人だと思う男性が離婚をしているので,なぜこの人が?・・と思うのですが,先生は理由が分かりますか?」
と質問していただいたことがきっかけです。

中部電力さんのような大きな会社の社員さんに多い傾向は・・
特に仕事が出来る方ほど多いことは・・・

「相手の言うことがばかばかしく感じて,聞く気にならない」
「自分の言うことが正しい」という感覚です。


・・どうでしょうか?
自分も仕事をして疲れて帰ってきているのに,くだらない話をするな・・
妻の話を聞きながら,「結論を言え」「何が言いたいか分からない」「おまえの言うことは間違っている」と思ったことはないでしょうか?

その気持ちが,夫の態度に表れ,妻は、話す気持ちがなくなってくるのです・・
女性の場合,「結論」や「打開策」を求めて話していないことも多い,話を聞いて欲しいだけ,共感して欲しいだけ・・ということも多いと感じます。


この話を所長が,女性社員にしたところ,「私は女性だけれど,家で早く結論を出せ,という態度で夫に話していたかも知れないです。(会社での)仕事のようにさっさと片付けたい,という感覚だったかも・・」というようなお話をされたそうです。

なので,女性の場合で合っても,「仕事が出来る方」ほど,家庭では要注意の部分もあるかな・・と思います。
家庭・家族の間では,生産性とか,効率的な話をする,という意識は少し,弱めた方が良いかな・・と思います。

そして,大会社に多い傾向をもう一つ!
退職金が完備されているため,それまでは不満がありつつも我慢していて,退職と同時に離婚を考えられる人が多いです・・・

つまり,それまでは,夫は「外で働く」ということで成り立っていた家族,夫婦の役割分担が,仕事を辞めることで,その役割はなくなり,とても失礼ないい方になるのですが,不要となってしまう・・
そうならないためには,外の仕事以外で,家族として欠くことの出来ない存在になっているか・家庭内での役割分担があるか?を振り返って考えてみる必要もありそうです・・


中部電力さんのワークライフバランスの取り組みで素敵だな,と思った点を最後に。
中電さんでは,以前から,この講演方式のワークライフバランスの取り組みをしてきましたが,今は,男性社員向けの料理講座もしているそうです!

そのきっかけは,ある女性社員のひと言から。
夫婦共働き。2人とも中部電力で働いている。その当時の部署は,妻の方が仕事が忙しい部署で,帰宅時間も夫より遅くなることが多かったようです。

ある日,妻が仕事を終えて疲れて帰ってきたとき・・
夫が「おなかがすいたからご飯作って」と言ったそうです。

それを聞いて,妻は・・・
ワークライフバランスとか,会社で勉強しているのに,結局こんなことを言う・・・と怒りを覚えたそうです。
しかし,そこで,はっと気づいた・・

「そうだ,夫は料理を作ることが出来ない」

・・それで,怒りを静めて,女性社員は料理を作ったそうです。
その女性社員から,講演も良いけれど,もっと,実践的なことを教えて欲しい,と言われ,今の「男の料理講座」をスタートしたとか。


素晴らしいな・・・と思いました。
女性社員の意見も採用して,すぐ,実践されている様子が素敵です。

・・・ということで,それぞれ得意な方が,得意な仕事を分担するのが,夫婦で役割分担をする際には,効率的ですが,バランスが崩れてきたら,それを直すきっかけ作りを会社でしてもらえると,とても有り難いですね!!

そして,自分が苦手な所を相手がカバーしてくれているときには,その「ありがたさ」を実感して,ありがとう!と感謝を伝えたいと改めて思いました。


それでは

このブログを読んで下さった皆さまが妻,夫の「お仕事」「やっていてくれること」のすごさ!!に気づき,「お仕事」のやりがいを感じる一言をかけていただけますように…
そして,夫婦での「お仕事」の中で,優先すべきことを話し合って,手を抜けるところは抜きつつ,家庭でそれぞれが欠くことの出来ない存在になるためのヒントとなりますように!

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!