もめない相続は愛~終活セミナー講師part2

004いつもお読みいただき,ありがとうございます!
今回は,5月24日に終活セミナー講師をさせていただいたので,そのご報告です♪

テーマは,「思いやり相続~もめない相続は愛」でした。
他の講師と一緒に話したのですが,私のパートは,「遺産争続にならない為の知恵」パートで,もめる原因,事例を知っている弁護士の仕事内容にぴったりでした。

会場は,可児市皐ヶ丘にある「桜ヶ丘公民館」。
可児市の元気なお年寄りが多数集まり,参加者は66名と聞いています(驚!)。

50名募集のところを,さらに申込みもあって断ったとか・・・
いきいき桜のつどい」という民間団体と可児市役所福祉課の共催行事でした。

「いきいき桜のつどい」では,毎月第2水曜日に会食サロン,第4火曜日に認知症予防講座を開催されていて,そのうち,2回を可児市とコラボしているようです。
終活セミナー」にこれだけの人数のお年寄りに来ていただくのはなかなか難しいので,代表の佐藤裕美子さんのパワーがすごいな,と思います。
今回も,葬儀社「清香苑」の小栗会長のご縁で,講師として登壇させて戴くことになりました。


私の事務所は,確かに離婚事件が多いのですが,弁護士になってからずっと力を入れたいと思っていた「高齢者」に関わる分野。
弁護士になってから16年間,ずっと高齢者の法律問題を専門的に研究する「高齢者」の委員会にも入っています。
「想い」だけは通じて,ご縁をいただき,地元の東濃成年後見センターの監事をさせてもらっています。


私は,両親が共に働いていたので,おばあちゃん子として育ち,おばあちゃんと一緒に寝たり,お墓参りをしたり,ブロックで自分が入れる家を作ったり・・・沢山の時間を過ごしました。
おばあちゃんは厳しい人だったけれど,大好きでした。
・・・私が中学校2年生のときにおばあちゃんは亡くなったけれど,孫の中で泣いていたのは私だけだった,と母に言われました。

私のおばあちゃんは,最期まで自分の意思がはっきりしていて,幸せに亡くなった・・と私は思います。
しかし,弁護士になって相談を受けると,実際には,おじいさん,おばあさんが亡くなった後に相続で揉めてしまって,純粋におばあさん達の死を悲しめない状況・・・
また,亡くなる以前でも,認知症により判断能力が低下すると,財産管理や医療のあり方,介護施設の利用などで子どもたちが揉めている状況を沢山みることになりました。
本当は大好きな父母,祖父母のはずなのに,もめてしまう,,,,というのは,「おばあちゃん子」の私としてはとても辛く思いました。

私のおばあちゃんのように,「最期まで自分らしく生きる」」子どもたち(相続人)にも愛される」ためにお役に立ちたい,という想いで,今回は少し違う視点から話をしました。

みなさん,うなづきながら,真剣に聞いて下さって本当に嬉しかったです。

 

「相続でもめない遺言で大切なこととは?」

「自分らしく生きるため医療の意思表示とは?」

「認知症になっても自分らしく生きる任意後見とは?」

についてお伝えします♪

 

1 遺言書はスピードも大切

相続で揉めないためには,まず「遺言」が大切です。
(以前の記事~相続でももめないために今できること~Part2

これは,多くの相続に関わる専門家が言っていると思います。
しかも,「公正証書遺言」で書くことがお薦め,と言っているはずです。

・・・しかし,実際には,資料揃えたり,公証人さんに連絡したり,文案を作成したり・・・と手間がかかり,なかなか作ることが出来ないものです。
実は私もそうでした・・・

しかし,遺言書を作成すべき,と勧めながら,自分が作っていないのは問題と思い,つい,先日作りました!
内容は,「私の財産は全て夫○○に相続させる」というものです。

自筆証書遺言の有効要件である,全部自筆で書く日付,氏名,印の他,手続きがしやすいように住所を記載しました。

どうでしょうか?
これなら,みなさんもお気軽に書けるのではないでしょうか?

しかも,これがあれば,もし私が今日死んでしまったとしても,夫は子どもたちと「遺産分割協議」をしなくとも(子どもたちが未成年なので,協議をするために家庭裁判所に申立をして,子どもたちの代わりに遺産について協議する「特別代理人」を選任するという大変な手続きまであります)私の預金を払い戻したりすることが出来ます。
公正証書遺言」に比べると,「検認」など,その後の手続きは少し面倒ですが,夫は法律専門職なので,多分大丈夫でしょう。

母である私が突然死んでしまったら,夫はそれだけで本当に大変な状況になります(と,思っています)。
それに加えて,相続に関する手続きが大変だったら申し訳ありません・・・
少しでも,相続人である子どもたち,夫の負担を減らしたいと思いました。

子どもが成人になったら,また,少しずつ内容を変更して,65歳になったら,公正証書遺言にしたいな・・・と思っています。

今回も,おすすめは「公正証書遺言」だけれど,まずは,今日帰ったら自筆証書でいいので,遺言書を作ってみましょう,とお伝えしたら,沢山の方がメモを取られていました。


みなさんは,今日,自分が亡くなっても,夫,妻,子どもさん達が困りませんか?
まずは,書いてみる,という選択も大切です。

 


2 終末期医療の意思表示

認知症の専門医である長谷川医師が言っていたことですが・・・

胃ろう」(食事による栄養が取れない場合に胃に穴を空けて,栄養を取る方法)について,つくるかどうかで子どもの間で揉めることがあるそうです。
特に,今までずっと一緒に生活してきた子どもは,父母とも相談して,胃ろうは作らない,と決めていた場合に,それまでは,父母の介護に関わっていなかった遠方の子どもが,やってきて,胃ろうを作るように言い,もめてしまうこともあるとか・・・

一時的に胃ろうをつくることで,栄養状態が良くなり,その後,食事が取れるようになったという話も聞きますので,一律に作らない方がいいとは私は言えません。
しかし,人間の自然な状態として,食事が取れない以上,人工的に栄養摂取させないという考え方も医師の中には浸透してきています。
実際に「胃ろう」をつくってしまうと,入所拒否をされる介護施設も多いとか・・・
医療や介護には,お金がかかることも事実なので,主に面倒を看てくれる子どもにとって,この問題は肉体的にだけでなく,経済的にも大きな負担となり,後に相続の場面でも揉める原因となりやすいのです。

ですので,「自分らしく最期まで生きる」ためには,終末期医療をどうするのか,意思表示をしておくことも,とても大切なことだと思います。
点滴による水分補給・人工呼吸器・心臓マッサージ・・・

実際,終末期医療について,このようにしたい,と思うけれど,どうしたら,お医者さんは尊重してくれますか?とご相談者に聞かれたことがあったので,医療関係者の方に聞いてみたところ「公正証書」などで明確にされれば,基本的に尊重している,とのことでした。

医師は,基本的には出来るだけ生命を守りたい,という気持ちでお仕事をされているため,絶対にご本人の意思を尊重してくれると言い切ることは出来ませんが,本人の明確な意思に反して「医療行為」をすると,後にかかった医療費,介護費などを支払わない,損害として請求される恐れもあるので,その意味でも,尊重してくれることが多そうです。
一方,認知症などでご本人の判断能力がない,意識がない,場合には相続人予定者の誰かが反対されると,できるだけ無難な延命に繋がる治療を選択する,ということになりそうです。


お父様,お母様の介護をされている方,一度終末期医療の意思についても,たずねてみてくださいね。
ご自身の終末期医療について,明確な意思表示されていますか?
「公正証書遺言」の作成と同時に終末期医療についても,意思を書き残しておけるといいですね。

 

3 任意後見のすすめ

講座の中で「任意後見」ってきいたことがありますか?
と尋ねたところ,数人の方しか手が挙がりませんでした。
(法定後見と任意後見の違いについてはこちら

・・・まだまだ,「任意後見」は知られていないですね。
しかし,「自分らしく最期まで生きる」ためには,是非,任意後見制度を利用していただきたいな,と思います。

よくあるのは,ずっと,母を自宅で看護をしてきた子どもが,認知症で判断能力が低下してきた母の面倒を看きれなくなったため,母を施設に入所させることになったような場面。
それまでは,自分では母の面倒をみられないので,面倒を看てきた子が母のお金の管理をすることについても何も言わなかったのに,入所することになると,なぜ勝手にお金を管理するのか,勝手に使うのか,と文句を言い,母の財産を代わりに管理する人を選任するために,他の子どもが「成年後見人選任」の申立をする・・・

この場合,弁護士・司法書士のような法律専門職が「成年後見人」になります。
そうすると,これまで面倒を看てきた子から,成年後見人となった弁護士が通帳を奪うような形になります。
私自身,「成年後見人」となって,通帳を管理するようになると,それまで家族の生活費として使っていたものが使えなくなることで,苦情をよく言われます

しかし,裁判所から選任される「後見人」は,「法定後見人」で,柔軟にご本人のお金を,家族の生活費などに使うことが出来ません。
本人がこれまで支払っていた近所とのお付き合いのお金,法事代,毎年一度は家族で行っていた旅行費,孫へのお祝い金など,大好きな花の購入代・・・もなかなか支出できません。
不要な不動産を売って,お金に換えたり,株などの売買も自由には出来なくなります・・・

ですので判断能力がしっかりしている今の時期に,「自分が将来判断能力が低下したら,財産の管理を誰にして欲しいのか,どんなことにお金を使って欲しいのか」決めておくことが「自分らしく最期まで生きる」ために大切になります。

また,そうして,自分の意思でどのように財産管理をしてもらっているのか,その状況を法的にはっきりさせておくことで,亡くなった後,相続で,「長男は勝手にお母さんの預金から自分たちの家を建てた,車を買った,お金をもらっていた」などで「もめる」ことも減ります。

「揉めない相続」というと,どうしても,自分の死後のことですし,相続人のためだけ・・・と思われて,なかなか手が付けられないことがあります。
しかし,「自分らしく最期まで生きる」ために,任意後見制度を利用してもらえたら・・・と思います。


お父さん,お母さんの預金を管理されている方,自分たち子どものためだけ,でなく,「自分らしく最期まで生きる」ために任意後見が使えることを伝えてみてはどうでしょうか。
結果として,相続で揉めることもへり,第三者に自分の預金を突然管理されてしまうということもなく,お父さん,お母さんも自分が使いたいことにお金を使い,面倒を看てもらいたい人に面倒を看てくれるようにお願いでき,「自分らしく最期まで生きられる」と思います。
これも,「公正証書」で作成しますので,是非「遺言書」「医療の意思表示」と一緒に作成してもらえたら,と思います。

 


まとめ

私は,おばあちゃんが亡くなってからも,純粋におばあちゃんのことを大好きと思えましたし,その死をただ悲しい,と思って悲しむ時間をいただけました。
しかし,相続でもし,母が揉めてしまって,親戚との仲が悪くなってしまったら・・・純粋にそう思えたのかな?と思います。
なぜかというと,うちに相談に来られる方々は,

こんなにもめるなら,家で看ずに施設に入所してもらっておけば良かった・・・

二度と兄(妹)とは話したくない。

どうして,遺言書を作ってくれなかったのだろう・・・と言われるからです。

 

私としては,自分の祖先を亡くなっても純粋に「愛している」と言え,「愛されていた」と感じられるために,「もめない相続対策」を早めにとって欲しい,と常々思っていますが,これが本当に必要な方にはなかなか届かない・・・
弁護士の所には,亡くなられた後,本当に困ったときにしか相談に来られないことが多いので,今回のような講座で,少しでも事前に「任意後見」「遺言」の大切さが伝わったらいいな・・・と思います。


亡くなってからも,生前に勉強をし,適切な相続対策をしてくれた先祖に「尊敬」の気持ちをもち,子孫が先祖からの「愛情」を感じ,先祖に対して「愛情」を持ち続けられる関係になるように,私も機会をいただける限り,「敬愛相続」ノウハウを伝えて行きたいと思います。

~65歳になったら,一度,「この相続で揉める可能性は?」「相続危険度チェックシート」やってみて下さいね。~
このブログが,「子々孫々まで敬愛される相続のポイント」「自分らしく最期まで生きる」ことに気づく,きっかけになりますように。

最後まで読んで下さって,ありがとうございました!

 

この記事を書いた弁護士

木下貴子
木下貴子
岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり18年目。
岐阜県立多治見病院など地元事業者の顧問弁護士を務め,法律のみならず経営に関するアドバイスも行っています。
個人のお客様には,離婚,相続,不動産案件を多く取扱っています。
著書「離婚調停は話し方で変わる」は,Amazonランキング「法律」部門ほか5部門で第1位を獲得。
相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーとしています。お気軽にご相談ください。

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