相続でもめないために,今できること~Part2

a0780_000385いつも・・・長い文章なのに,読んでいただき,ありがとうございます。

相続でもめないために,今できること~Part1」を書いてからしばらく経ちました!
前回は,弁護士として相談,依頼を受ける中で,相続で特にもめやすい事案の特徴をお伝えしました。
みなさんの家庭,お知り合いの家庭は大丈夫そうですか?

繰り返しですが・・・
この記事を書く意味は,「相続紛争」を事前にできるだけ防ぐことにあります

相続の法律相談をしていると,もめてしまっている事案にはあまりにも共通する要素があると感じます。
事前にご注意いただけたら,みなさまも「相続紛争」を防げるのではないかと思うのです・・・
「もめない相続」は,税理士さん,司法書士さん,など他の士業や信託銀行などのサポートによって,「遺産分割協議書」が作られ,整理されていきます。
どうしても,親族や他士業では解決できない場合に,相談されるのが弁護士なので,弁護士のところには,もめてしまっている事案ばかりが集まります。
弁護士はその「相続紛争」を解決するのが仕事なので,「相続」でもめてほしい!という弁護士もいると聞きますが・・・
やはり,私は,相続は「できればもめない方が良い!」と思います。
もめる相続は,精神的にものすごく苦しいものですし,人生の大事な時間とお金をそこに費やすことになりますから・・・
実際,私が関与した事案では最終解決まで約13年かかったものがあります・・・

今回のテーマ 法的な相続紛争防止対策

ということで,「相続でもめないためのポイント」を3回にわたってお伝えしています!
今回は,ポイント2!
「相続でもめそうな事例でとるべき対策=法律編!」です。

弁護士として,法的にできる防止対策を重要なものと思う順序でお伝えします。

 

その1 遺言書の作成

やはり,なんといっても「遺言書」をつくることです。
これによって,事業を引き継いで欲しい方,介護をしてくれた方に多くの遺産を渡すことが出来ます。
あげたい相続人にあげたい遺産を渡すことができます。

もらう側も予め作ってもらえると,安心して家業を引き継げます。

自分たち家族が,親名義の自宅で親と同居している場合も,遺言書によって自宅を渡してもらえることが確実ならば,安心して介護,同居生活も出来ます。

もめる相続」はなんといっても,「その分け方」が決まらずもめるのですが,遺言書を作成することで,これを防ぐことが出来ます。

相続のはなしあいがうまくゆかず,家業である事業が廃止,もしくは一時的に停止してしまう事案も多いなか,遺言書が作成されていれば,事業用の預金口座名の変更,株主名の変更など円滑になされ,影響を最小限に出来ます。

「遺留分」により一部取り戻される場合もありますが,遺言書を書いておかない場合には,法定相続分通りとなり,一から話し合いをしないといけません。

みなさんが思う以上に遺産分割調停,裁判などの手続きは,時間がかかりますので(10年以上かかるものもあります),まずは円滑な名義変更のための「遺言書作成」が重要です。

遺言書は,公証役場で作成する「公正証書遺言」にすることを強く,強くお勧めします。
自分で書く「自筆証書遺言」を拝見することも度々ありますが,実際に不明点などがあり,預金の払い戻しに応じてもらえなかった事例,不動産の名義変更が出来なかった事例を経験しています。
公正証書遺言の場合,普段から遺言書作成を専門的にやっている「公証人」が有効な文言となるよう気をつけてくれるので,安心です。
自筆証書遺言と比べて,費用もかかりますが,「ちゃんと使えること」こそ重要なので,公正証書遺言がお勧めです(公証役場の回し者ではありません(笑))。
自筆証書遺言の場合,死亡後に相続人の分かる戸籍謄本を揃えて,裁判所で遺言書を確認する「検認」という手続きも必要となります。
公正証書遺言では,「検認」の手続きも必要なく,不動産の名義変更なども出来ますので,相続後の手続きが簡単であり,もらう側の「相続人」に思いやりのある,優しい遺言書です。
細かく決める時間の無いときは,「全ての遺産を○○に相続させる」だけでもいいので,作っておいた方がよいです。

その2 任意後見契約,成年後見制度の利用

これは,弁護士があまり『相続対策』としては指摘しないことかもしれません。
しかし,「被相続人(亡くなった方)の生前のお金の流れをちゃんと説明できる」ことは,遺産分割調停の争点を減らし,紛争の長期化を防ぎます。
もめている相続で共通している内容の一つ,しかも多くの事例で私が聞いている話の共通点として,「亡くなった方(被相続人)の生前のお金の使い方への不信感」があります。
例えば,長男の妻が父の預金を管理していたけれど,直前に沢山のお金が引き出されており,使途が不明である・・・など。
管理していなかった長女からすると,父のお金を勝手に自分たちに使っているからその分を返してもらわなければいけない・・・という強い不信感が出来ます。
長男側からすると,これは父の自宅の改築,介護費用などに使ったもので,自分たちが使ったものではない,人に看させておいて勝手なことを言うな!・・などの話が出ます。
これは父が認知症などにより判断能力が低下している場合に,父をいいように操って「勝手にやっているのでは!」と問題視されます。
この問題を防ぐには,自分たちが法律上,父の財産を管理することが出来る権限のある者=任意後見人,成年後見人であるという立場になることが必要です。
成年後見人になった方は,自由にお父さんの財産を使えるわけではなく,お父さんのために管理,使用し,裁判所に支出の内容などを報告する義務があります。
これによって,あとで何に使ったか分からないような支出がなくなり,紛争を防ぐことが出来ます。
お父さんと長男との間で契約する任意後見制度では,財産管理などをする手間に対し,お父さんが支払う費用を予め決めておけば,その分をお父さんの財産からもらうこともでき,「面倒見ているからある程度もらって良い」という心情的,曖昧な基準では無く,堂々ともらうことができます。
任意後見契約の無いまま,お父さんに判断能力の低下があったときは,成年後見の申立を裁判所にすることになります(法定後見)。
この場合でも,裁判所に申立をして,裁判所が決めることにはなりますが,お父さんに財産があれば,後見報酬として決まった費用をもらえることがあります。

その3 介護契約書の作成

これは,もっと弁護士が指摘しない「相続対策」かもしれません。
しかし,親子間であっても「介護契約」をしておくことで,相続紛争を防ぐことが出来ると私は強く思います。
面倒を看たのに,全然考慮してもらえない!いやいや,面倒など看ていない,という話が相続紛争の中で出てくる「不満」としてものすごく多いのです。
介護をすること,認知症で幻覚,幻聴などがある家族と生活することは,ものすごく心身共に負担が大きいものです。
「物を盗った」と言われたり,夜中に大声を出されたり,糞尿をちらかされたり・・・大変な事例もききます。
幻覚,幻聴がない場合であっても,トイレの介助,お風呂,食事の介助などが必要であれば,自由に外出することも出来ず,負担は大きいものです。
だからといって,裁判所は当然には介護した方に,他の方よりも多くの相続分を認めてくれるわけではありません。
「寄与分」の制度はありますが,仮に,寄与分を認めてくれたとしても,算定の方法は裁判所任せです。
弁護士として「寄与分」申立をした事例をみても,子どもが親を看るのは「情」によるものという意識がまだまだ強く,介護したことをもって裁判所は寄与分を簡単に認めてくれない,のが実情です。
介護施設に入所したり,デイサービス,訪問介護サービスなどを利用すれば,契約書を作成し,費用も当然払います。
しかし,子どもの場合には,親子間で契約するのもおかしいから,情でやっている・・・という以上,これを正当に評価してもらえないのです・・・

以前は,他の兄弟も親を看てくれた長男に全て相続させる,という感覚があったと思います。
しかし,今はそうではないのです・・
親が,一緒に住んでいない娘さんに,一緒に住んでいる長男,長男の妻への不満を言ったりすることなども背景としてありそうです。
一緒に住んでいない方のお話を聞くと,「長男の妻は母にひどい扱いをしている。全然面倒を看ていなかった」などとよく言われます。看てくれていたのか,くれていなかったのか・・・,見方によって両面があると思っています。
そのために,親子であっても,親と子の明確な意思に基づいて,介護に対し,ひと月いくら払ってもらうなどと決め,「介護契約書」を作成し,この明確な基準に基づいて,面倒を看た子どもさんが報酬をもらっておくことが紛争を防ぐと思います。

まとめ

うちの子たちは兄弟仲が良いから,もめるはずはない!と思っていらっしゃる方も多いかもしれません・・・
しかし,それぞれ妻,夫が出来,子どもが出来,生活状況も変われば,考え方も変わってくることも多いものです。
・・結果として,もめないとしても,「遺言書」「成年後見」「介護契約」を書いておくことで安心できますね。
書いておかなかった結果,亡くなって,相続が始まってからもめてしまっても・・・あとでやり直すことは出来ないのです

「相続税の節税対策」も必要ですが,もめない相続で,相続税を納められる財産さえあれば,なんとかなるものではないでしょうか・・・・
もめない相続対策」をされておかれることは,遺される子どもさん,夫,妻への有り難い遺産になると思います。
実際,相談に来られた際,「遺言書」かいてくれていればよかったですね・・・と私が申し上げる事案は,数えきれません。
他方,数少ないですが,「遺言書があって良かったですね」という事案もあります。
手前味噌ですが・・・(ここで,営業ですか!と言われそうですが(笑))
このような相続の紛争を防ぐために考えた,多治見ききょう法律事務所のサービスもありますので,参考にしてもらえたら嬉しいです(http://tajimi-law.com/)

介護したことを他の相続人に不信感をもたれず,公明正大に,相続の場面で考慮してもらえるように!という強い思いがあります。

なんとしてでも,亡くなってしまう前,相続が始まるより前に,気づいて欲しい!!!
弁護士は,人のもめ事でお金をもらっている,つきあいたくない人種だ!という印象を少しでもなくしたい!!!(←本気です)

弁護士への相談のおすすめと次回予告

今回の記事は,法律用語なども多く,わかりにくかったと思います・・・
多治見ききょう法律事務所では,相続に関するご相談を初回,45分まで無料でやっております。
実際には,ここに記載した相続対策を取った場合の注意点,デメリットなどもあります。
そもそも,どんな相続問題が起きそうか分からない!という方も,「もめないためにつきあうとよい人種」として,お気軽に弁護士に相談して下さいまし!

次回は,「ポイント3 相続でもめそうな事例でとるべき対策~実践編」について,書きたいと思います♪
今回も長い文章を,最後まで読んで下さって,ありがとうございました!

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この記事を書いた弁護士

木下貴子
木下貴子
岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり18年目。
岐阜県立多治見病院など地元事業者の顧問弁護士を務め,法律のみならず経営に関するアドバイスも行っています。
個人のお客様には,離婚,相続,不動産案件を多く取扱っています。
著書「離婚調停は話し方で変わる」は,Amazonランキング「法律」部門ほか5部門で第1位を獲得。
相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーとしています。お気軽にご相談ください。

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