多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

家事を手伝っても女性は輝かない?~多治見市女性活躍会議

家事を手伝っても女性は輝かない?~多治見市女性活躍会議

036いつも読んでいただき,ありがとうございます。みなさまのあたたかい感想に励まされます♪

今回は,私も委員として参加させていただいた「多治見市女性活躍会議」の中で,印象に残った言葉を紹介します。

知らないかも知れませんが(笑),私は,普段,離婚の法律相談をとても多く受けています。

離婚相談の中でも感じていたことですが,今回の会議の中の話で,男女間にある特徴的な「考え方のギャップ」が夫婦関係でも,職場の中でも,親子関係でも問題を引き起こしてしまうのかな,とつくづく思いました。

もし,このギャップがどうしておこるのか,どんな場面で起きやすいのか,が少しでも分かると,「離婚」まで関係が悪化することを避けられるのではないか,職場,親子関係でも,人間関係がうまくいくのではないか……と思いました。

と,いうことで,みなさんの「夫婦円満生活」や,「男女とも楽しい職場」,「理解し合える親子関係」のために役立てて欲しい!
そういう安心,安全,安らぎの空間があることで,女性は自分の力を最大限に発揮して輝いて,「活躍」できると思います❤

「なるほど~」と思った3つの言葉をお伝えします。

1 家事を手伝っている時点で,間違い(夫婦関係)?

「僕は沢山,家事を手伝っている,という旦那さんがいるけれど,「手伝っている。」という時点で違うな…と思います。手伝っているというのは,本来は妻がやることを前提としていて,それを手伝っている,という感覚なのです。」という趣旨のことを言われた先輩女性委員。

…夫婦として生活していくとき,仕事をして,お金を頂戴する,ということの他に,生活の垢を落とす,というような場面(家事,育児,介護など)は避けられない。
この二つの大きな仕事を,2人でどのように「役割分担」していくか,という考え方が必要。まずは,夫婦で話し合って,その「役割分担」を決めることが大事,と言われました。
妻が仕事をしていなければ,主に妻が家事をする,という役割分担もあるけれど,夫婦共働きの場合には,特に,家事も役割分担として夫がやる,という意識が大事なのですね。
共稼ぎであるのに,「妻が家事をする」のを「手伝っている」と言っている時点で,女性からすると,「なぜ,私も働いているのに家事を私がやるのが当然なの?」という「「考え方のギャップ」があるのですね~

この言葉には,納得しました!!
確かに,共稼ぎの離婚相談の場合,妻側がこの感覚のずれを問題にしている事案はとても多いです。
この発言の後,男性委員の方々は「今後は家事・育児を手伝っていきます…ではなくて…」と,無意識に出てしまう「手伝う」という言葉を訂正されたり,慎重に使われている様子が,目上の方ながら,ほほえましかったです(えらそうですみません)。

もっとも,自分が「役割分担」としてやることは「当然」という意識の一方で,夫婦生活の役割を分担してくれている相手方(妻,夫)には「当然」ではなくて,役割を担ってくれてありがとう,という感謝の言葉は伝えたいですね。家事だけでなく,育児や介護まで1人でやっていてくれたら,相当感謝しなくては,ですね。

共稼ぎの男性のみなさま,「家事を手伝っている」という意識ではありませんか?
専業主婦の妻でも,夫婦として,人間として生活するために避けて通れない「家事」を役割として担ってくれている妻に感謝されていますか?

2 あなたはケチだ(職場関係)

私は,もともと発言する方ではなかったんです。でも,あるとき,会議の場面でアメリカ人の上司におまえはケチだ,と言われて,発言するようになりました。沈黙は金なり,と思って,聞くことが大事と思っていましたが,みんな時間をかけて考えて発言しているのに,みんなの意見だけを聞いて,利用するなんて,ケチだ,と言われたので
と言われた女性委員。
・・その委員は,いつも積極的に発言をされていて,アイデアもとても具体的で面白い方だな~と私が思っていた方。
しーん,と一瞬なると,まず,手を挙げて,発言してくれた方でした。
その背景にそんなことがあったことを知って,ビックリ!

私も,子どもの頃は,結構気にせず自分の言いたいことを言っていたのに,いつの頃からか,周りを気にして,発言を控えるようになった気がします。
始めの頃は,多治見市の委員に選ばれたときも,あまり積極的に発言できなかった気がします…
でも,それではもったいない!この発言を聞いて,さらに「し~ん」となってしまったら,必ず口火を切って発言したい!と思いました。

日本人は,全般に自分の意見を言う,ということに抵抗がある気がします。
特に女性は,男性以上に「控えめな方がいい」,「うるさい女」「理屈っぽい女」と思われたくない,という社会通念がある気がします。
でも,職場でその意識で会議をするのは,あまりにもったいない!!と思いました。

皆さんの会社の会議では,積極的な発言がありますか?
もし,発言がなかなか出ないようでしたら,是非このエピソードを話して,女性の発言を促してもらえたら,アイデア溢れる本当に意味のある会議になるのではないでしょうか?

3 男性は,娘でかわる(親子関係)

これは,男性委員の発言。
職場で全く家事,育児を「手伝って」いなかった男性がかわることがある,それは,娘が就職,結婚,出産するタイミング,と言われて,なるほど~と思いました。
娘さんが就職する際,結婚して子どもが生まれても仕事を続けられるような環境かどうかを考えて就職活動をしている,子どもさんを実際に預けて,2時間もかけて通勤をしている,などの状況を聞くと,女性が本当に色々なことを調整しながら「生きている」ことに気づくのですね。

妻に対しては,家事,育児をやってくれていることに対して,「大変だな」という意識があまりなかった男性(夫)も,愛する娘が苦労している様子を見て,妻のすごさに改めて気づくようですね!
それからは,全く家事,育児をやっていなかった男性が,やるようになったり,社内での女性に対する発言も変わったりすることがあるようです

娘さんの力って,偉大ですね~。
昔とは違って,娘であっても,高学歴の大学に進学させる家庭も多いと思います。
そんな娘が,周りも憧れるような仕事について,頑張っているのに,夫が家事,育児を全くやってくれない,娘が苦労している…となれば,父としては(自分がどうであったかは置いておいて?)娘の夫に怒りを感じることも,これからは増えていきそうですね。

一方で離婚相談をしていると,娘の働き方,考え方が納得できず,父と娘,母と娘の関係がギクシャクすることもあるようです。
「結婚した以上,離婚して家に帰ってくるのは許されない。」「相手の家に染まるべき」と思っていた父になかなか相談できなかった娘さんもありました。

それでも,本当に悩んでいたり,反対されても,楽しく働いている様子があると,やはり,ご両親は,最終的には「娘さんの幸せ」を考えてくれるので,少しずつ理解をしようとされている様子が分かります。
娘の皆さん~,是非お父様に「今時の女性」の考え方,を是非伝えてみて下さい。
男性の皆様,職場の女性が子どもが病気になったと言っては休む,など働き方が気になったときには,是非娘さんの意見も聞いてみて下さいね~

まとめ 女性が活躍するために必要なこと

考え方のギャップ」があると,夫婦生活,職場,親子関係でも,うまくいかず,結果として目的(協力し合える夫婦,利益も上げ,生き甲斐を感じる職場,安心感のある親子関係など)が達成できないと感じます。
これは,「女性が活躍」するということも,同じ…

多治見市の考える「女性の活躍」って,女性経営者のようなイメージなのでしょうか,女性管理職のようなイメージでしょうか。女性パートとして家事,育児とバランスを保ちつつ,働いている方のイメージでしょうか,家事,育児,裁縫などを楽しんでいる専業主婦のイメージでしょうか?PTA活動,ボランティア活動で頑張っている女性のイメージでしょうか?

本当は,全ての女性が望むライフスタイルでの生き方が出来れば,女性は輝いて生活することが出来,その全ての生き方において,問題なっていることに行政機関としてサポートしてもらえれば,全ての女性が輝いて活躍できるのだと思います。
例えば,経営者ならば,病児でも預けられる場所が必要かも知れませんし,パートの方なら,子どもが病気になったら,休める職場環境,専業主婦の方なら,いつも1人で子どもに関わっていることから来る閉塞感に対する安らぎの場,相談の場などが必要かも知れません。

しかし,予算の問題もあり,行政ができることは限りがあります。
なんのために「女性の活躍」が必要で,だからこそ,主としてどんな女性をイメージしてサポートしていきたいのか,どんなイメージの女性をサポートすればその効果が一番上がりそうなのか,ということが明確にならないと,「考え方のギャップ」が生じて,総花的な議論になってしまう気がします…
女性の働き方,家事,育児に対する価値観は多種多様になってきているので,どの女性市民,男性市民に対しても「嫌われないように」施策を考えようとすると難しいな,とも感じました。

…これは,もう少し年齢を重ねれば,言えるようになるかな。まだ私も,嫌われないように意見を言っている気がします(笑)。
多治見市としても,「なんのために」議論をしているのかさらに踏み込んで伝えてもらえると,「考え方のギャップ」が減って効果的な議論ができるかな~~

このブログを読んで下さった皆さまが,どのようにしたら「考え方のギャップ」を減らして,夫婦,職場,親子関係がよくなるのか,本当の目的,望むことを達成できるのかを考えるヒントになりますように…

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!