多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

親,先生,夫から,しんどいときに勇気づけられた言葉は?プロゴルファー森口祐子先生

親,先生,夫から,しんどいときに勇気づけられた言葉は?プロゴルファー森口祐子先生

いつも読んでいただき,ありがとうございます。今回は,教育委員として,岐阜県市町村教育委員連合会の研究総会に参加した際「ゴルフから学んだ事」というテーマで話して下さったプロゴルファーとして41勝をされ,前岐阜県教育委員でもある森口祐子先生の講演内容から,「プロ」のスポーツをやり続ける中で,身近な人のどんな言葉や行動が,しんどいときを乗り越えるときに助かったのか,親や友人,教師というような立場で人,子どもと関わる際に,どんな言葉が勇気づける言葉になるのか,気づいたことをシェアします。

親として,子どもがしんどい時に,乗り越えるための勇気になる言葉かけは?
先生,教える立場として,子どもや大人に関わる場合に,相手を勇気づける言葉かけは?
夫,妻,友人として,身近な誰かを勇気づけるときに,どんな言葉かけをすると良い?
しんどいとき,どんな「考え方」をして,自分自身にどんな言葉かけをしたら乗り越えられるのか?

について,3つ気づいたことをお伝えします(私なりの解釈です♪)。

1 父親・母親が子どもを勇気づける言葉

運動神経が良く,高校時代はバスケットボール部で活躍していた森口さん。
ある日,足にねん挫をしてあまり動けなくなっているとき,父親がゴルフの練習についてくるのを誘ってくれた。
家で見せる姿とは違って,ゴルフをしている父親はいつも楽しそう。興味深い。だから,ついていった。

練習を見ているうちに,自分も打ちたくなって,打ってみた。
そうしたら,足がねん挫で動けないことが,無駄な力を入れられないことに繋がって,とてもよく飛んだ。
父がとっても嬉しそうで,一所に練習に行っていた父の友人も褒めてくれた。「天才なんじゃ(なのではないか)」

それから,ゴルフの道に入った。

自分が小学校3年生の頃に母親を亡くした森口さんのお母さん。
その影響もあって,女性も自立して,「男女公平」ということを大事にしてた。チャレンジもいつも応援してくれた。
ゴルフプロの道を目指すことを決めたとき,2年で成果が出なかったら師匠のところから帰らされることを伝えたとき,母から言われた言葉。
「チャレンジはいつでもできる。もしも,帰らされた時は,再出発も自分の力でやるんだよ」

「覚悟」を決める一言だった。

プロゴルファーになってから,他の先輩プレイヤーに挨拶しても,「ハ?」と言われて嫌な思いをしたので,母に話したときに言われた言葉

「自分の嫌な人のためにエネルギー割いてるの?それよりも自分を高めるために使いなさい」

自分がしんどいとき,視野が狭まる気がする。でも,そんなとき,楽しそうに違うところに連れて行ってくれて,「天才だよ~」と気楽に褒めてくれるお父さん。
一方で,何となく不安,不平があるときには,「ハッ」とするような視点を切り替える言葉をかけてくれて,意識を変えてくれるお母さん。
しんどいとき,「そうだよね,しんどい気持ちわかるよ」って,言ってくれることで,私の場合は,沢山の勇気をもらってきたけれど,子どもによって,勇気づけられる言葉は違うのかも,と改めて思った。その子の視点で足りないところを,こう言ったら,気持ちが切り替わってパワーが出そうだな,という言葉をかけるのも大事だと思いました。

みなさんのお子さんは,どんな言葉かけで,視点,気持ちが切り替わって勇気をもって進んで行けそうですか?

2 先生として教え子を勇気づける言葉

プロゴルファーになりたいと思って,師匠から学ぶことになった。
そのとき,師匠から言われた言葉。
「お前,本当にプロになりたいのか」「樋口(当時とても強かった女性プロゴルファー)倒す自信あるのか」

・・言われて,頭がこんがらがりながらも,「倒します」と言ったとき,自分が勢いづくのを感じた。

師匠のところに通うようになったけれど,1ヶ月半,何も教えてくれなかった。
「そんな恰好で当たるかい」と言われ,涙がこぼれた。

でも,あるとき,師匠がゴルフ場のレストランチーフに言っていたのを聞いた。
「森口,本当にやる気やなあ」
・・それから,二人三脚で指導してもらった。

試合に出て,あるとき,次に大会を迎えるのに,前週のプレーオフで樋口選手に負けてしまった。
師匠から「何やってるんだ」って言われそう・・落ち込んでいたそのとき,師匠に言われた言葉。

「お前,よかったな」「運使ってねえぜ」「お前は勝てる」

・・その後の大会では優勝できた。雨が降って,師匠が人ではなく,優勝カップに傘をさしていたことが印象的だったとのこと(笑)

私も確かに,先生のひとこと「弁護士という仕事があるよ」という言葉を聞いて,弁護士という仕事は私に向いているのでは?(とある意味勘違いして)と弁護士になりたいと強く思うようになりました。先生の言葉って,親とはまた違って,人生に大きな影響を与えるな~と思います。

単にプロゴルファーになることを目的とするのではなくて,もっと大きな目標,目的を与えてくれたことで,覚悟が出来て,力が出ることがあるんだ,と思いました。
そして,普段の様子をちゃんと見ていて,声をかける,直接声をかけなくとも,第三者を通じて,認めていることが本人に伝わるのも,本当の想いとして伝わり,とても印象に残ることで,とても勇気が出るのではないかな,と思いました。
そして,本当に生徒が落ち込んでいるときには,明るくなるような,視点を変えるひと言をかけられる。

同じ道を先を歩んできたものとして分かることから,乗り越えるために必要な声掛け,また,親とも共通するところですが,そのとき,目の前の生徒,子どもが何を望んでいて,どんな言葉かけで気持ちが切り替わって勇気が出るのか,性格や状況をみながら,声をかけることが必要だな・・と思いました。

みなさんの目の前の生徒さん,お弟子さんは,どんな言葉をかけたら,視点が切り替わって,勇気いっぱいに進んで行けそうですか?

3 夫・妻・友人として大切な人を勇気づける言葉

開業医で,ゴルフも大好きな森口さんの夫。
子どもが生まれたとき,「ただいま」と言ったときに,「おかえり」と言って迎えてくれる母親を見て元気が出たから,自分も家にいないといけない,と思っていた。
でも,夫は「(開業医で家にいるので)俺がやるよ」と言ってくれた。

練習があまりできないまま試合に出ることへの忸怩たる思い,練習の裏付けがなく試合に出ることのイライラを伝えたとき,
「一人なら24時間練習できたけれど,そのときとはベースが違うから,同じ考えでは乗り越えられない。30分しか練習できず,ではなくて,30分もこの状態で練習できた,って考えよう」
座っているときも,腰をしめる,などを意識して,隙間時間でトレーニングすることを考えるようになった。

度々夫とは衝突することもあった。
あるとき,「私たちは,平行線だ」と言ったら,夫が「平行線か,いいなあ」と言った。

「それ以上は離れない」なるほど,と思った。

でも,自分の友人に話したら,「交わることはない,ってこと。いいことなの?」と言われた。

そこである日,夫の友人に話したら,普段はそんなことを言わない友人が「きんちゃん(夫のこと)はね,例えば線路の真ん中に立つような人。真ん中に立つと,線路の2本は(並行で)先で繋がっているように見える」

なるほど,と思った。

どういう人に相談するかを間違えないことが大切,と思ったとのこと。

これまでの旦那さんの森口さんに対する言葉を伺う限り,森口さんに対して深い愛情を持っているのを感じるし,森口さんとしても,旦那さんのことを信頼していることを感じるので,友人として相談されたときには,それを伝えられるような「言葉」をかけられるといいな,と思いました。

私は,弁護士として,相談を受けるときに,「離婚した方がいいでしょうか?」「離婚するのは良くないことですか?」と尋ねられることもあるけれど,それは,状況,その人の気持ちによって,やっぱりちがうから,その人,その場面に適した勇気の出る言葉を伝えていきたい,と改めて思いました。

私自身が妻として夫に接するときも,相手への愛情をいつも頭において,その上で相手の心が和らいで視点が変えられる言葉,今の状況を認めながらも,視点を変えられる言葉を伝えていけたらと思いました。

みなさんの夫,妻,大切な友人は,どんな言葉をかけたら,あなたの愛情を感じて勇気が出そうですか?

まとめ 自分にも視点を変える声掛けを

森口さんは,大会に出て,ショットをするときも,ずっと緊張したことが無かった,ということ。
おそらくそれは,「樋口選手を打倒する」という先の目的があったから,それぞれのショット,プロになることも単なる通過点,それ自体に重きを置いていなかったから。
その分,心軽く普段のプレーが出来ていたのかな,と思います。

でも,あるとき,優勝できるかも,という場面に遭遇したとき,全く違うことが起きた。
そうしたら,Par4のところで,13打かかってしまって,優勝圏外となった。

試合の現場で普段の自分じゃない自分が出た。
心臓がバクバクして,ふわふわとしたままプレーをした。過呼吸になって,手足に血流が行かなくなった。

・・それから,心拍数をわざと上げた状態でプレーをする練習をした。
ドキドキしていてもニュートラルで打てるための練習。

「このことがあったからこそ,その後の41勝につながった」

・・森口先生の講演全体を通じて感じたのは,「視点を変えるための声掛け」の大切さ。
親,先生,夫,友人。様々な人の声掛けを通じて,しんどくて,つい視点が狭くなって,行き詰まってしまったとき,自分とは異なる視点,しかも,自分にとって勇気の出る視点を取り入れて,乗り越えてきたのを感じます。

そして,自分自身にも,視点を変える声掛けをこれまでもされてきたのだろうな・・と思いました。

しんどいこと,いわゆる,世間から見れば「失敗」と言われることを,それがあったからこそ,今の自分がある,成長できる,と視点を変える。

心から望んでいた「優勝」がほぼ確定しているような状況で失敗してしまうこと,様々なしんどい経験をしたとき・・
なかなか,すぐに,その場でこの経験が役に立つ!成長できる,って思うことは難しいかな。。と自分自身のことを考えると,思います。

でも,私も40年以上の人生を過ごしてきて・・

確かにそういえば,しんどいことがあったとき,そのしんどさが大きいな,と感じたときほど,大きな転機になって成長している!幸せをより感じられる方向に向かっている!ということを思い出しました。

なので,これからも,色々なことがあるかもしれないけれど,そうだからこそ,成長できる,どうしたら,これからに活かせるかな?ということを,森口先生のように,自分自身にも声掛けをして,これまでとは違う行動に繋げていきたいなと思いました。

みなさんは,しんどいな,と思う経験をしたとき,自分にどんな声掛けをしていますか?
また,教える立場の方は,生徒さん,お弟子さんががしんどい,と感じているときにどんな声掛けをしていますか?
夫,妻,子ども達がしんどそうなとき,どんな声掛けをしていますか?

また,教えてもらえたら嬉しいです。

それでは,

このブログを読んで下さったお父さん,お母さん,学校の先生方など教育に関わる方々がどうしたら,自分自身も含めて,身近な大切な人を勇気づける声掛けが出来るのか,考えるヒントとなりますように・・・

事業主の皆様は,会社で働くスタッフを勇気づけるための声掛けを考えるヒントとなりますように…

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!