いつも読んで下さって,ありがとうございます！
今日は，１１月２６日に４１ｇｉｒｌｓ（フォーティーワンガールズ）の女性４人のメンバーで瑞浪商工会議所内で講演した
「模擬相談で学ぶ､会社経営」（多治見法人会青年部主催）のご報告です！
４１ガールズとは，岐阜県東濃地区の女性４人からなるアイドルグループ…
ではなくて，弁護士，社会保険労務士，税理士，行政書士の「美人！」女性４人の士業グループです。
岐阜県東濃地区を熱くする！という意気込みのもと，多治見市の最高気温４０．９度をあげていく，という意味で名付けてもらいました。
・・よく聞かれますが，平均年齢でも，平均体重でもありません（笑）
メンバーは，多治見市，土岐市，瑞浪市出身で，現在多治見市と瑞浪市で開業をしている女性経営者でもあります。
- 行政書士の鈴木亜紀子さんから「外国人の雇用」
- 社会保険労務士の鈴木かおりさんから「解雇の一手前に打つべき秘策」
- 税理士の松山美穂さんから「役員に対する給与」
- そして，弁護士の私から「失敗事例から学ぶ事業承継」
をお話ししました♪
従業員１８名，取締役は，社長，社長の長男，社長の長女の夫…という製造業，株式会社４１ベアリング。
社長が病気になったり，亡くなったり，社員ともめたり…
その中で，どんなことが問題となり，どう解決していったらいいのか，どんな対策をしておけば良かったのか…それぞれの専門的立場で話しました！
弁護士の私のところには，何の対策も無いまま，社長の死亡により，相続が開始し，もめてしまう事例が沢山やってきます。
事業承継がスムーズにいかなくて，破産原因となってしまった企業も破産管財人として，多く見てきました。
大好きな地元の中小企業は，これからも継続して，地元の雇用を担っていって欲しい！
・・ということで，実際によくある「失敗事例」と，どう対策したら良かったのか，をここでもお伝えしたいと思います。
会社の経営者の方，これから後継者となっていく予定の方には，特に参考にしていただけたら嬉しいです。
１ 失敗事例の特徴とは？
家族経営を中心とする中小企業で，もめる事例の多くに共通するのは以下の点です。
- 社長の長男と，長女の夫，あるいは，次男，三男，もしくは社長の弟など，親族がなんらかの形で家業に関わっている。
- 社長が後継者を誰にするのか，社員，相続人らに対してはっきりと伝えていない。
- 社長が現金，預金やすぐにお金に換えられるような資産をほとんど持っていない。
- 社長の個人名義の不動産（建物，敷地）を会社の事業のために使っている。
- 社長が会社の株式の過半数を持っている。
- 社長夫婦と長男が一緒に住んでいるが，長男や長男の妻と社長夫婦の折り合いが良くない。
どうでしょうか？皆さんの会社は，あてはまりませんか？
当てはまる場合，何の対策もしないと，社長が亡くなった場合，社長の妻が遺産の半分を相続しますので，社長の妻の意向によって，次の社長（後継者）が決まってしまうこともあり得ます。
- お母さん（社長の妻）は，長女さんに老後をみてもらいたい，と思っていませんか？
- 次男さん，妹のご主人は，会社経営したい，と思っていないでしょうか？
２ 亡くなる前にするべき対策（相続対策）
遺言書の作成
やはり，なんと言っても「遺言」ですね！
今後事業を承継していく側からすると「公正証書」で作成してもらう方が，預金の引き継ぎなどスピーディーに出来るのでお勧めです！
仮に長男さんが事業承継をする場合で考えると･･
最も簡単な文言として，
「全ての遺産を長男○○に相続させる」という遺言書だけでいいので作るべきです。
遺留分を買い取れる金融資産の用意～生命保険の活用
・・でも，知識のある皆さんは「遺留分」（相続の際，最低限守られる相続持分）のことについて気になりますか？
確かに，長女，妻などが遺留分だけもどせ！（遺留分減殺請求）と言ったら，その分は戻さなければいけません！
・・しかし！ここで，現金，預金などがあれば，遺留分に相当するお金を支払えば，事業に必要な株式，不動産などを戻さなくて良いのです（民法１０４１条）。
ということで，遺留分を買い取れるような金融資産を残しておくことが大切になりますね。
金融資産が少ない場合，社長が生命保険をかけて，長男さんに死亡保険金が入るようにしておくこともひとつの対策になると思います。
ここでのポイントは，保険金の受取人は必ず，事業を承継させたい人（この場合長男）にすることです。
なんにも相続できないのはかわいそう，ということで，直接，その他の相続人（事業を承継しない次男さんなど）を受取人にして保険金（現金）を渡そうとすると，保険金を受け取って，かつそれとは別に他の遺産（不動産，株式）に対して，遺留分減殺請求をすることもあり得ます！
弁護士としては法的対策を説明しましたが，もちろん，社員や他の相続人に誰を後継者としたいのか，社長が話をするなど，円滑に事業承継できるように，進めておくことは大切ですね。
３ 生前の事業承継（遭難，認知症）
第三者取締役の選任
社長が，魚釣りから帰ってこない…
など，突然行方不明となった，というご相談も結構あります。
この場合も，残った役員（事例では長男と長女の夫）が社長を誰にするかでもめてしまうと，新しい借り入れが出来ない，など事業の継続に支障が出ます。
この対策は，なかなか難しいのですが，予め，社長が自分の意向を最も分かっていて，会社のことも理解してくれている第三者をもう一人役員（取締役）として選任しておくことで，対処する…というのが今のところ一番使いやすい方法かな，と思います。
任意後見契約の締結
また，長生きされる経営者も増え，年齢と共に認知症による判断能力の低下，の問題もどんどん出てきます。
これも，弁護士として相談を受けることがあります。
後継者が確定しているのであれば，計画的に株式を譲るなども可能でしょうが，まだまだ現役でやりたい！という社長も多いのではないでしょうか？
また，うまくいっていた親子関係がうまくいかなくなったり，養子縁組した長女の夫と長女が離婚する，という事態も結構多いので，早い段階で株式を譲渡することにはリスクもあります。
その場合には，判断能力が低下した場合に備えて，「任意後見契約」をしておくことがお勧めです。
そうすることで，いざ，判断能力が衰えてきた場合には，自分が承継したいと思っている方に，株主としての自分の権利を代わりに使ってもらうことで，社長を引き継ぐことが出来るようになります。
交通事故などで突然，判断能力が失われた場合にも有効な対策となります。
任意後見契約をしていない場合に，判断能力が低下して，財産を管理できない状態になると，どうなるのでしょうか？
この場合は，裁判所に申立をすれば，法定の成年後見人を付けてもらえますが，だれがなるかは裁判所が決めます。弁護士がなることもあります。
そうすると，社長が思っていたような後継者を選ぶ，ということはできなくなります。不要な不動産の処分なども法定後見人では柔軟にすることが出来ず，計画していた今後の事業計画通りに進めなくなってしまうこともでてきます。
みなさんは，生前にする事業承継対策，なにかやっていますか？
まとめ ４１ガールズの応援，どうぞ，宜しくお願いいたします！
今回，４１ガールズの４人で講演した初めての講演会でした！
パワハラ的な社長役，気弱な社員役，それを尻に敷く女房役，嫁，姑問題を抱える長男，次期社長の座を狙っている長女の夫役・・・など，４人で配役を決めて，小芝居を交えて講演しました。
とても楽しかったです！！！
ずっと「美人」女性士業とご紹介いただけた点も，ご満悦でした！
・・・なぜか，「美人」「ガールズ」とのご説明に笑いがありましたが・・・！？
弁護士は，もめ事が起きてから相談にくる職業，できれば，一生関わり合いたくない！って思っていませんか？
そうなる前に，対策するためのお話が今回できたこと，本当に嬉しく思います！
これも，もめ事が起きる前から，継続的に会社に関わることの出来る，税理士，社会保険労務士，行政書士というメンバーと一緒に仕事が出来たからです！
・・４１ガールズのみんな，ありがとう！
地元企業が元気になれば，そこで働く多くの職員が元気になる，そんな職員を見て，妻は元気になる，ママが元気になれば，子どもが元気になる！
・・そんなお手伝いをこれからもしていきたいと思います。
また，「美人女性士業」（←しつこい）の小芝居がみたい，と思われる方は，是非お声をかけて下さいね。
１２月１３日（土）の午前１０時～１５時，「まなびパークたじみ」にて，４１ガールズのメンバーで無料相談会をしています。
ご予約がかなり一杯となってきておりますが，若干予約可能ですので，ご利用下さいね！（詳しくは，多治見ききょう法律事務所公式サイトにて）
今回は，専門用語も沢山出ましたので，分かりにくい点は，その際にでも，お気軽に聞いて下さいね！
このブログを読んで下さった皆さまが，事業承継で気をつけることが分かり，４１ガールズを身近に感じてもらえますように…
今回も最後まで読んで下さって，ありがとうございました！