
DV,モラハラ被害者(特に女性)を支援している弁護士や支援団体からは甘い・・と言われそうなのだけれど,私は,どんな人も「自分自身で」本気で変わりたいと思って,学んで,少しずつでも実践して行ったら,変われる,と信じたいな・・・と思っています。
今回「99%離婚 モラハラ夫は変わるのか」の続編「99%離婚 離婚した毒父は変われるか」を読んで,また,改めてそう思いました。
今回の主人公は,以前にモラハラ(DV)を原因に離婚した男性。「99%離婚 モラハラ夫は変わるのか」で妻子に家を出て行かれたというモラハラ夫の会社の先輩として登場しています。
毒親と娘に言われ,それから娘とは会っていない(面会交流していない)。
そんな親子関係のお話。娘はすでに成人して働いている。
(モラハラをするのは男性だけではないけれど,私の事務所に相談に来られるケースも圧倒的に男性(夫)によるモラハラというご相談が多いので,男性によるモラハラが原因で夫婦,親子という人間関係が破壊されてしまうことについて問題意識を持ってくださることがありがたく思っています)
もちろん,どちらの本のタイトルからも想像できるように,実際に「モラハラ」「毒親」とされる言動をしてしまう方が変わるのは簡単じゃない。
・・そもそも,自分の言動のどこに問題があるのか?を気づいていないことも多い。
気づいて,「自分で」納得して変わろうと思って,それでもうまくいかないときに,それでも変わり続けようと頑張れる人は少ないし・・,変われたとしても,とても時間がかかる。
妻が「子どもを誘拐した」「突然子どもを連れ去った」・・自分は悪くないのに,仲は良かったのに,たいしたことはしてないのに・・そう思っている人は,およそ変わることは期待できない。
(この「突然」家を出たという話はとても多くの男性から聞く言葉なのだけれど,「女が離婚を決意する瞬間とは?」で書いているように,妻からすれば「突然」ではなくて・・ここにも大きなずれを感じています)
それでも,出来れば妻子に戻ってきて欲しいから,関係を修復したいから,自分ができることはしたい・・という思いで私のところに「夫婦関係の修復」を希望して相談に来られる男性も多い。
けれど,修復が難しい・・となると,
「そんな態度なら,俺も,もう容赦はしない。」「自分ばかりがなぜ譲らないといけない?」
「そもそも妻が勝手に家を出ていったんだ」「子供を連れ去ったんだ」「悪いのは妻なんだ」
「妻がそんなこと思うはずがないから,妻の弁護士の入れ知恵だ」「妻の親(兄弟)がそそのかしたんだ」
と自分ではない,妻や妻を支援する人のせいにしてしまって,その方たちを攻撃する方向に変わってしまう方も・・いる。
私だって,大好きな誰かが自分から離れてしまう理由を・・・「自分が悪い」からって認めるはしんどい。
だから,相手が悪いから,相手の周りの人が悪いからってことにしたいとき,正直ある。
今までの自分を変えなくてよくて,「人のせい」にすればいいから,確かに楽・・。
だから,夫から「モラハラなんてしていない」「納得いかない」「夫婦関係は修復したい」と言われても,それを信じて離婚しない,という選択を妻にしてほしいとは全く思っていない。
むしろ,「99%離婚 モラハラ夫は変わるのか」で触れたように,理解してもらえずしんどいなら,まずは距離を置く,離れることが大事だと思っています。
夫が本当に変わろうとしているとしても,そんなに短期間に簡単にできるものでもないし,変わったから以前のことはなかったこと・・にはならないので(それが今回ご紹介する本のテーマでもある),相手が変わるのを待ってあげたり,許してあげる必要も義務も被害者側にはない。
・・・でも。
人は誰でも「自分で」心から変わろうと思ったら,変わることはできる。少しずつでも。
私は,それは信じたい。
なぜかというと・・これまで望まなくても,私のもとから去っていった人たちがいる私。
至らない私,完璧でない未熟な私も,あることに気づいて少しずつ変わったと思うから。
それが,この本を読んで・・あ,やっぱりこの「考え方」を知ることが変わるきっかけなんだと思った。
そこに,自発的に「自分で」変わる,と「人から」無理に変えさせられようとするの違いってあったんだ・・・と思った。
そして,私の人生って,やっぱりこの話に出てくる娘さんのような「考え方」で生きてきて,苦しかったんだな,うまくいかないことも多かったな・・と改めて気づいて泣けた。
私の父親の事・・も思い出した。外では生徒から好かれる良い先生と評判のようなのに,なぜ家では母に暴言を吐いたり,暴力をしてしまうことがあったのか・・
許されることではないけれど,その「考え方」で生きてきたから,難しい部分もあったよね・・とじんわり,かわいそうに感じる部分もあった。
・・父のような人を増やしたくない。子どもが父を許せなくても・・父も幸せになっていい。
妻,息子,娘など大事な人を知らずに傷つけてしまっていないか?自分にも「加害」と言われるような言動があるのかどうか?あるのであれば,直していきたい
もうこれ以上,大切な人が離れていってしまわないようにしたい・・・
本当に幸せで温かい人間関係を作りたい,そのために自分がどう変わったらいいのか知りたい・・・
と考えている男性の方に,参考にしてもらえたらと思います。
また,自分の子どもがモラハラをするような大人になって欲しくない,もしくは,モラハラをする配偶者を選ぶような大人になって欲しくない,と思っている親御さん,
夫婦仲が悪くて,子どもにも,それがこれからの家庭や人間関係を構築するうえで,悪い影響を与えているかもしれない,どうしたら悪い影響から解放されやすいのか・・と思う親御さんにも
とても参考になる部分が多いので,書籍を読んでもらえたらと思います。
父のモラハラある家庭で育った娘(息子)への影響は?生きづらくなる理由
モラハラをしてしまう男性の心理・背景は?
モラハラ夫が変わるとき,「自分で」変わるために最も大切な考え方は?
私が思ったことを3つ,お伝えします。
1 父のモラハラがある家庭の子への影響
この話を読んで,私が感情移入してズキッとした場面・・
読んでいて心がめっちゃ痛んだ。
それは,女子大生らしき人たちが「授業だるい」「サボる?」と言っているのを主人公である娘さんが,聞いた場面。
心の中の感情として「そうやって何も積み重ねずにいたら行き着く先は男に依存するだけのバカ女」「女であろうと実力があれば活躍できる」「そっち側の人間になる」という気持ちがふつふつと表れてくる。
それでつい,頑張りすぎて,自分の職場の部下にもつらくあたってしまいがち・・
私が今の「弁護士」という仕事を選んだ理由を思い出した・・
母を守りたい,テレビのサスペンスに出てくるようなカッコいい女性弁護士になりたい,弱い人の人権を守りたいって感情,もちろんあったけど・・
もっと深く,確かに私の中にあった感情。
父と母が仲が悪かった。それを小さいころから見ていた時。
母は働いていたから,経済的なことで離婚しない,ということを選んだわけではなかったけれど・・・
あれをみて,結婚ってうまくいかないものだ,って思ってた。
だから,自分が大人になって結婚することがあっても,いつ夫から離婚されてもいいように,そして自分が離婚したいときには離婚できるように仕事をしなきゃ・・・経済的に自立しなきゃって思ってた。
「誰のおかげで飯食ってるんだ」,父にはあまり言われた記憶はないのだけれど・・離婚相談の時に時々聞く(今はだいぶ減ってきた気がするのだけれど),男性が女性に言う,そういう言葉が嫌いだった。
今の仕事は大好きだし,選んだこと,本当に良かったと思ってる。
けど・・そうやって自分は頑張らなきゃ認められないし,みんなも頑張るべきだ!ってどこか,思ってきた気がする。
「自分に厳しい人は人にも厳しい」。
これは私が尊敬する斎藤一人さんの言葉なんだけど,モラハラを見てきた子どもって,自分はそういう被害者の立場になりたくなくて,自分に厳しくして,頑張って,いわゆる「男性社会」にあるような競争で勝ち抜かなきゃ,という気持ちがあって,結果として人にも厳しくしがちで関係を悪化させる・・いわゆる「パワハラ」をしてしまいやすい面もあるな・・と自分の言動も振り返って思った。
私も教えてもらわなくても,自分で見様見真似でやってきて,分からないところは聞きながら頑張って仕事してきたんだから,あなただってこれくらい,こちらが教えなくてもできるでしょ?分からなければ聞けばいいよねって,スタッフにも対応してしまったところはあるな・・と改めて思った。
ちなみに私の姉は,違う感情を持っているので・・すべてのモラハラのある家庭の女子が「働かないといけない」と思うわけではないと思いますが・・
仕事を頑張りすぎてしんどいな‥と感じる方は,この影響があるかも,と振り返ってみると,自分が頑張りすぎたり,他人に厳しくなりがちなのを緩められるかな,と思います。
さらに,女子が無力感を感じてしまう場合や男子が父親を見本にしてしまう場合には「DVにさらされる子ども達~面会交流での子への悪影響を見抜くポイントと伝え方」で書いたような悪影響もあるので,まずはこれって親の影響かも?と「影響があること」を意識することが必要だとも改めて思いました。
2 モラハラをしてしまう理由
主人公の毒父の友人である同世代の男性同僚(管理職)のエピソード。
モラハラをしてしまう夫は,会社で上司などの理不尽(≒ハラスメント)に耐えて頑張ってきた。
「(愛する息子や妻のために)頑張ってきた」
帰ったら,灯りがついていて,あったかい料理が出来ていて,お父さんお帰り~って妻と子供が出迎えてくれる幸せな家庭を作りたかった。
・・でも,夜遅く帰れば妻子は寝てる。会話もほとんどない。
・・なぜ?こんなに頑張って家族のために働いているんだから,もっと優しくしてくれてもいいはずなのに?
確かに息子にも注意はした。でも,自分だって親にされてきたこと。
自分の時は,もっとひどかったんだ。
「社会は厳しい。特に男は泣き言 言ってちゃダメ・・」
その結果,妻子につらくあたってしまう・・
夫婦,親子仲は当然悪化する。
この本を読んで,私が思い出したのは,私の父の姿。
先生として生徒たちには人気がある様子がもらう手紙の内容や写真から分かる父。
きっと生徒たちには優しくて人気のある先生・・
自分でもよく言っていたけれど,私の子どもでさえ,会うと気を遣って疲れてしまう・・と言うことがあった父。
実は,周りによく気を遣う人。生徒にも優しく,気を遣いながら,頑張ってきたのかなと思う。
・・きっとその分,「外」では自分が言いたいことも言わずに,我慢してきたのかな・・と思った。
だから,家(内)では母につらく当たってしまっていたのかも。自分も誰かにケアをしてほしかったのだと思う・・
自分の父(父の父)も家で暴力を母にふるっていたから,子ども心に嫌だと思いつつも・・父母(夫婦)の関係をそのようなもの,と学んでしまったのかも。
父は,特にお酒に酔ったときに,つらく当たりがちだったので,平時は我慢してきたのかな・・・と思う。
でも,妻だって,子どもだって,夫,父にケアを求めてる。
一方的にどちらかが優しくする,我慢して言うことを聞く,という関係が続くはずはない・・
だから,夫がモラハラをしなくなるためには,出来るだけ仕事上のストレスをためないこと,自分がこれまでされてきた方法・教えられた方法を「正しい」と思わないことかなと思った。
会社内でのハラスメントを減らして,職場環境をよくすることが家に帰ってからの夫のストレスの爆発を防ぐためにも重要で,会社組織としてもどうしたらいいのか,具体的な対応もこの本には書かれていて弁護士,事業主としても参考になりました。是非,職場環境と家庭環境を守るために企業の経営者の方,管理職の方にも読んでもらえたらと思います♪
3 「自分で」変わるための考え方
モラハラをしないために,職場環境を変える・・と言っても,その会社を辞める,という選択肢はあるけれど,働き続けている労働者にとっては自分で変えられる職場環境の範囲は限界がある。
でも,自分自身のことなら「自分」で変えることができる・・
それがこれまで身に着けてきた「正しい」と思っている言動,「考え方」を変えること。
その変わる大きなきっかけは,「99%離婚 モラハラ夫は変わるのか」でも記載した
「親から受けていた愛情が加害的な部分があった」「その影響で,自分にも加害的な言動を知らずにしてしまってたのでは」と気づくこと。
でも,それよりもっと大切な,最も根本的に大事なことがあるかも,と気づいたのが今回の本のコラムにあった言葉。
それは・・・
「加害者変容とは結局のところ、加害者自身の幸福のためにするのだ」というところでした。
私の事務所に相談に来る男性の方は,妻子に家を出ていかれて驚き,夫婦関係を修復したいと思って相談に来られる。
「夫婦関係を修復するために」,つまり,相手の気持ちを変えるために自分が変わろうと努力する・・・
でも,だからこそ,冒頭に書いたようなこと,途中で気持ちが切れてしまうことが起きてしまうんだ・・と思った。
そうではなくて,(確かに修復はしたいけれど),それ自体を目的にするのではなくて,修復できても,できなくても,これからの人生で人間関係をよいものにしたい,自分が幸せになりたいというものでないと本当に「自分で」変わるということにならない・・のか,と思った。
そういえば,確かにこれまで私がGADHAさんを紹介した方は,実際に学ばれると,当初は修復希望だった方も,むしろ別れてあげることが妻のために大事だと思うようになった,と妻から離れて新しい自分の人生を歩みだす決断をされる方もいらっしゃいます。他の団体の加害更生プログラムを受講された方も,離婚を選択し,その後も学びを続けていらっしゃる方もいます。
だから,誰かの心を変えようということではなくて,「自分」が幸せになるために「自分」を変えようというときに,本当に「変わる」ための第一歩が踏み出せるのではないかと思いました。
もし,気づいて行動できたなら,いつからでも私は遅くないと思っているから,そこから出来る関係の修復もあると思うし,元の家族との関わりは,相手から一切受け容れられず,もはやできないとしても,これから出会う人たちとの新しい人間関係の構築には,少なくとも,必ず役に立つと思う。
「変わりたい」・・のは何のため?私もいつも自分に尋ねながら考えていきたいと思います。
「変わりたい」とき,共感してくれる人や場所があって,話せることは重要だと思いますし,それが加害的で強い自分を見せ続けないといけないと思ってしまう団体や今も(元)妻子が悪い,と責めてしまうような集団ではなく,弱い自分もさらけ出せるような集団,「自分」が変わろうとする集団であるといいなと思うので,その意味でGADHAに相談してみる,というのも,とてもいい一つの方法だと思います。
まとめ 自分で自分を大切にすること
「自分を大切にできること」がコミュニケーションの基本。
これは,「周りと差がつく得する話し方~鴨頭嘉人さん名古屋講演会」でご紹介した話し方の先生,鴨頭嘉人さんが言っていること。
頑張らないと仕事で認めてもらえない,頑張らないと誰かに依存するしかない,他の人に負けたくない・・と思って頑張ってしまうのも,それが楽しくて自然とやってしまうのならいいのだけれど,「ねばならない」と思って,理不尽なことにも、仕事なんだから仕方ない,などと思って耐えて「我慢して」やってしまうと,結局そのはけ口をどこかに求めてしまう・・と改めて思った。
だから,誰かほかの人に「大切にしてもらう」「ケアを求める」前に,まずは自分で自分を大切にして,ケアをして,自分で自分に優しくするのが大事・・
そうすると「余裕」ができて,人に求めるのが減る・・人をケアすることもできるようになる。
ケアを求められる側も,余裕がないときは断っていい,まずは「自分を大切にする」。
夫婦間は,私は他人同士より,ある意味「ケア」を求めあっていい関係だと思う。
一緒に過ごすパートナーから「自己責任」だから,全部自分で解決してと言われたら,やっぱりしんどい。
でも,一方的にどちらかが,どちらかを常にケアする,黙って従う,という関係はしんどい。続かない。
だから・・自分がずっと大切なパートナーのケアが全くできない状況なら,自分を大切にできる心の余裕を持てるように仕事の方法を変えてみることも一つ。
それでも無理な場合・・この本にも出てくるキャラの一人のように特性的に共感力が低いという場合もあると思うのだけれど,そういう場合は,やっぱり片方が一方的にケアすることになって疲れてしまうので,離れるしかないのかな,とは思う。
今問題とされる「ハラスメント」も,私たちが育った世代には育った世代の背景があって,それはその頃の「正義」だったと思う。でも,今は違うことも沢山ある・・・
関係が切れてしまった毒父と娘はその後どういう関係になるのか・・
その結果自体も「自分を大切にする」ってどんなことか?を考えるヒントになっていると思うので,人間関係をよくしたい,と思う方は,本を是非読んで欲しいと思います。
これからも,うちに相談に来て下さる依頼者の方々のため,そして自分自身の子ども達,家族,友人のため,弁護士として,親として,何よりも「自分自身」として,幸せに生きるための方法,考えていきたいと思います。
また,研究発表,致しますね!
それでは,
このブログを読んで下さった皆さまにとって,人間関係を構築するためのヒント,モラハラ夫と言われている方で,自分にもモラハラ傾向,加害となり得る傾向があるかを知って,加害しないように意識して気をつけていきたい方,幸せになるために変わりたい,と思う方,元妻や子との関係を離婚後の在り方を良いものとしていきたいと考えている方のヒントとなりますように。
今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!