多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

多治見ローカルの漫画が全国放送アニメになった秘密~株式会社プラネット小池さん

多治見ローカルの漫画が全国放送アニメになった秘密~株式会社プラネット小池さん

いつも読んでいただき,ありがとうございます。
今回は,私が地元多治見市の経営者として尊敬する株式会社プラネットの会長小池和人さんと,いよいよ放送が始まった多治見を舞台にしたアニメ「やくならマグカップも」のご紹介です♪

小池さんは,地元多治見市の出身で,私の母校である多治見北高校の先輩でもあります。
1995年に会社を設立して,歯医者さん向けに患者さんを一元管理できるソフトウエア「DentalX」企画・開発・販売して,全国に顧客を持つという本業がありつつ,多治見市を活性化するための取り組みをずっと続け,今回全国放送されるアニメの元となった漫画をフリーペーパーとして,約10年間(お金にならず,費用ばかりが出るのに!)出し続けて下さった方。
(ホームページはこちら http://www.dentalx.jp/05planet/about_planet/company.html

多治見を舞台にした漫画がある!と驚いて,多治見大好き人の私としては,これは!と思い,1冊目からずっと子どもたちと共に読み続けてHPでも紹介してきて,通称「やくも」ファンだと思っています。
その後,アニメから町おこしできると素敵だなと思って,ブログで紹介していましたが…

本当に,そこに繋がるような全国放送のアニメになるなんて,ビックリしました!
既にアニメの先行放送を見て,多治見に訪れて下さっている方もいるとのこと。すごい!!

多治見を愛する私としては,ここに至る経緯になにがあったのか,これからどうなっていくのか,とても気になっていました・・
そこで,「Global Digicon Salon 009 物語パワーで地域活性化を〜岐阜県多治見市「やくならマグカップも」アニメの挑戦!」というzoomでの会議に参加して,お話を聞くことができました!

今は,Forbes誌でも紹介されていますので,その経緯は,そちらを見ていただいた方がいいと思いますが,「アニメ」となって,しかも地元の多治見市を紹介してもらえる番組にしてもらえる,というためには,本当に多くの方の協力が必要です。

こんなに多くの方々を巻き込んで望む事業,未来に一緒に進むためには,何が必要だったのか…?
大きな事業を成し遂げるために必要なことは何なのか,私の視点で感じた3つのことをお伝えしたいと思います。

かなり久しぶりの「地元企業が日本を変える!」シリーズ~

みなさまの事業の発展や夢を叶えるために,参考にしてもらえたら嬉しいです♪

1 ストーリー(物語)

サピエンス全史の中で,著者のユヴァル・ノア・ハラリさんが言っていること。
人は,7万年前に「認知革命」があった。

それから人だけが,架空のストーリーを信じて行動できるようになった。
「見よ,神がおられる」「そんなことをすると罰が当たる」
…そういうストーリーを信じられるから人だけが協力し合える。
人は一人では力も弱いけれど,ストーリーを信じ,協力し合うことで,生き残ってきた。

サルは,「今ここで他のサルにバナナをあげれば,来世にたくさんバナナがもらえるよ」というストーリーを信じないから,あげない…
この会議を主催された高木さんが教えて下さった。

ストーリーの大切さ。
多治見にもストーリー,物語を作りたい。
その思いで写真にも載せている「多治見ものがたり」を小池さんのお願いで堀貞一郎先生が作って下さった。

実は私の場合,最近知ったのですが…
日本のあの場所にディズニーランドを作ることが出来たのは,この堀先生のおかげ,ということ。

小池さんは,勉強会を通じて,堀先生と出会った。
「どこの地域にも昔話がある。今から作れば,100年後には昔ばなしになる。」
その先生の教えで「物語」が大事と聞き,多治見に物語を作りたい,と願って,堀先生が作って下さったのが2009年。

…でも当時は,誰も「物語」で地域が活性化するなんて,本気で信じてなかった。

確かに,漫画でもアニメでもフィクションと分かっていても心が躍る,見たくなるのはなぜなのか…?と考えると,それが人間らしさでもあって,だからこそ,本能的に「ストーリー」を求めているのかも!とおもった。

私の夢は,みんながそれぞれ自分っていいところがある!って思える社会なんだけど,そんな社会っていいな,と思えるようなストーリー,みんなが信じたら楽しい,面白いと思えるストーリーを作って,伝え続けられたら,協力してくれる人も集まるんだろうな,と思った。
みなさんやみなさんの会社には,そのストーリーに私も協力したい!と思われる楽しいストーリー,ありますか?

2 誠意,本気,純粋さ

今回,なぜ,「やくならマグカップも」をアニメーションにしてくれようと思ったのか,すごく疑問だった。
正直,今はやりのアニメとは異質。本当にローカルさ満載で,私や子どもたちも好きで最近見ていた「エヴァンゲリオン」とか「鬼滅の刃」「約束のネバーランド」みたいな,ちょっと「ぞくっ」とするような場面もない。
「ほんわか」したお話,のイメージ…これを今,全国放送するって,なんで!?というのが正直な気持ちだった。

でも…
アニメ化を決定してくださった日本アニメーションの井上さんが言ってた。
「沢山のアニメ企画があがってきたのだけど,陶芸を広めたい,このお話の『純粋さ』が良かった。」
「そして,小池さんがなぜ,ずっと10年もの長い間フリーペーパーを続けてきたのか,という質問に対して『多治見に物語を作りたかった』という思いを聞いて,映像で息を吹き込ませてください」
と。

せっかくだから,多治見市の広報も,と井上さんが,多治見市長にあったらすぐに「多治見市は全面的に協力する」と言って動いてくれた。
…確かに今,あちこちでこの「やくも」ののぼりが立って,公用車は「やくも」のラッピングカー(痛車といわれるらしい,(笑))になってる。

多治見市,プラネットさん,日本アニメーションさんそれぞれが本気で動くこと,純粋な気持ちで動くことで,人が動いて行く様子がよく分かった。

昔自分が子供のころに見た日本アニメーションさんのアニメ。
確かに心が穏やかになるもの,ある意味「純粋なもの」が多かったような気がする。
「やくも」は元気で明るく,高校生が成長していくストーリー。
今はまた,それが求められているとしたら…それも,人を動かせるものであるならすごいな,と思った。

小池さんに,なぜ,堀先生のようなえらい方が,多治見という一地方都市のために物語まで書いてくれるの?
ときいたとき,それは,自分が「誠実に」損得勘定なく,堀先生に付き合ってきたから,という話をされていた…

ついつい,この人と付き合えがどんなメリットが自分にあるんだろう‥て考えてしまう。
それは大人になるほどそうだな,と自分自身のことも思う。
でも,人を動かすのって,もっと子供のような純粋で誠実で本気が伝わることなのかも…と改めて思った。

今回アニメ化を担当して下さる監督は,あの有名な漫画でうちの子どもたちも大好きな「キングダム」を担当した神谷監督!
昨日の夜から放送ですが…これからも本当に楽しみです。

私も今こそ,純粋に,誠実に,本気で人と接していきたいな,と改めて思いました。
心からの「純粋な思い」と誠実な対応こそ,人を動かしていくのですね…

会社で言えば,社長が真剣に取り組む姿,周りの人と対話し,誠実に答えようとする姿は,周りの方々,スタッフにも応援してもらえる気がします!

3 長期戦とデータ分析

‥ここ,私は少し苦手分野なのですが,夢が単に夢で終わってしまうのか…
実現できるのか,には,やっぱりここに違いがあると思いました。

「10年でひとくくりと思ってた。」と小池先輩が言ってた。
フリーペーパーを発刊して,10年目でアニメ化の声がかかった今。

小池さんは,短期間で事業を考えずに,長期的に事業を見ている。
もちろん予定通りに行かないこともあるけれど,短期間で結果を出すことにこだわらない。

…10年もたつと,無理なんじゃないか,って思えるのに,ホントすごい。
確かに私自身も振り返ると10年ごとに大きな転機がある…
私の場合,あまり計画的に行っている感はありませんが…

確かにこれくらいのスパンで物事って変化するんですね。
多治見市出身で日本アニメーションに入社した人が提案したのがきっかけで今回10年越しでアニメ化が決定した。

その日本アニメの「石田さん」という方は,関西の大学に行っているときに,そこに置いてあるフリーペーパーで「やくも」のことを知って,読み続けていて,提案に至ったとのこと。
もし,途中でフリーペーパーをやめていたなら…今はない。

多治見だけじゃなくて,東京,大阪などにもフリーペーパーを置こう!と提案して下さった堀先生のお孫さんの山岡禎幸さん。
堀先生の「物語」を「まんが」として作ろう,というアイディアを出して,仲間の方と共に実際に企画して描いて下さった。

山岡さんは,現在人気スポット「スモールワールズ」の運営にも携わっていらっしゃって,どこが人気なのか,というデータに基づいて,常に改善を続けている,と小池先輩から聞いた。
このあたり,ディズニーランドの「完成しない」在り方,というコンセプトが引き継がれていて素敵だな,と思います。

そして,小池先輩は,堀先生に教わったこととして,事業のトレンドをデータでずっと追っている。
データによると,1980年を境に人は,「物の豊かさ」よりも「心の豊かさ」を求めるようになった。

…だから,多治見も陶器という「物」を製造するという「製造業」から,心の豊かさを製造する「観光業」へ,変わっていくことが必要…

ということで,熱意,誠実,純粋さも大切だけれども…
一方で大人的な,論理的,数字的なデータに基づく裏付けは大事なのですね。

純粋な心で夢を見つつ,その手段は現実的,実践的にデータに基づいて。
日本アニメーションさんだって「事業」としてやるのですから,なんらかの「利益」が見込めなければ協力するのは,実際問題として難しいと思います。
小さなことからコツコツと。続けること,大事ですね。

この両輪がストーリーに基づいて展開されることで,本当に多くの才能を持つ方から広く協力,応援してもらえそうです!!

まとめ

漫画を描くこと,アニメになること,それが多治見の観光に繋がること,どれ一つとっても,一人ではできなくて,多くの方の得意とする才能が結集しないと,大きな事業は無しえないことが分かります。

会社のような組織の中で協力していく場合もそうですが,もっと広く協力者を募るには,このストーリーの共有が本当に大事だなと思いました。
会社で言えば「経営理念」「ビジョン」「存在意義」でしょうか…?

誰のどんな生活を幸せにするというストーリーが,関わる人みんなにイメージ出来,共有できると,それっていいね!と思う人が仲間になってくれる,ということなのかな,
と思いました。

私自身は,本当に大好きな多治見がアニメの舞台になって,それに日本アニメーションさんが真剣に関わって下さったことがとにかく嬉して,
zoomの会議に参加していて,泣けてきました…

小池先輩が言ってた「言葉」
「夢を持ち続けたら必ずかなう。夢は希望であり生きる原動力」
「続けることで絶景が見える」

堀先生の「言葉」
「人生は自分探しの旅である。どうせならドラマティックな旅を」

「言葉」を介することで人は協力することが出来,ストーリーを共有することができる。
人間のすごさはそこにある,という話もあった…

改めて,「言葉」の大切さ,話し方,伝え方の大切さを感じた。

ホント,長い期間をかけて,お金もかけて!「言葉」「ストーリー」を発信し続けて,ここまで育てて下さった小池先輩,プラネットさんにも心から感謝しています。

私も,少し「ギラギラ」している感が減ってきた気がするので,そろそろ,地域のため,これからの未来を担う子供たちのため,多治見の文化ももう少し学びながら,誠実に自分が出来ることをしていきたいな・・と思います!

…でも,子どものような純粋さ,ド真剣さ,そして誠実さは忘れずに。

そして,地域のために力を出す,夢を叶えるためにも,本業で人のお役に立つこと,これを維持することも大事とは思っています!

私は,やっぱり・・多治見が大好きです!
大好きな多治見市に住み,地元で仕事もしつつ,常に都(笑)や世界の新しい情報を知り,友人達とも交流を増やしていきたい!と思いました。
今回のzoom会議を通じて,プラネットのスタッフの方々とも知り合えたり,ホリテーマサロンをされていらっしゃる小山さんともつながることが出来て,本当に幸せです♡
プラネットさんは,地域で野菜を育てる事業もされているので,今度子供と一緒に参加させてもらおうと思っています!本当に面白い会社です。

このような企業,社長が地元多治見市にいて下さって,改めて嬉しく思いました。
小池先輩,プラネットさんに知り合えたご縁に感謝し,多治見と共にますますの会社の発展を期待しています!
アニメもどうか沢山の方が観て下さり,多治見に足を運んで,陶芸など,楽しんでくださりますように!オンエアー情報はこちらです▼
https://yakumo-project.com/onair/

地元企業から成功のヒントを学び,地元企業を応援する「地元企業が日本を変える!」シリーズ,久しぶりに書きました!

このブログを読んで下さった皆様が「より多くの人の協力を得るために必要なこと」「夢を事業として実現するために必要なこと」に気づくヒントとなりますように。

最後まで読んで下さった誠意と愛ある皆様(笑),心よりありがとうございました!