多治見ふるさとしごと塾~法教育のススメ

009いつも読んでいただき,ありがとうございます!
 11月26日に「とうしん学びの丘エール」で開催された「たじみふるさとしごと」。

多治見市教育委員会,多治見ロータリークラブが主催する行事で,私は「弁護士の仕事」について子ども達に話しました。

これは,昨年度から始まった多治見市内の小学生,中学生向けの土曜学習「わがまち多治見大好き講座」の講座です。

 

うちの子ども達,娘(小5),息子(小1)も学校から,講座の案内をもらって,申込みをしましたが,多数応募のため抽選で外れました・・(残念)。
 今回は,前回よりも多い150名程度の子どもたちが参加してくれました♪

この講座の趣旨は,名前の通り,地元多治見市で色々な体験を通じて「多治見市を大好きになって欲しい」ということだと思います。
 私は,自分自身が多治見市が大好きで,地元のために役に立ちたい,子どもたちにも多治見を好きになって欲しい,そして,働くって面白そう!と思って欲しい,と思ってきましたので,今回も,このような形で関わることが出来てとても嬉しかったです。
 

「弁護士」の仕事を子ども達に伝えるのは,なかなか難しい・・・
でも,どんな感じなのか,実際に体感,イメージできるといいな~と思い,今回も「ディベート」をやってもらいました♪

そして,私の思う「法教育」のありかたのこと・・・

私は,法律を学んで楽しいと思ったのは,法律の条文を覚えることではなくて,その奥にある「なぜ・この法律はできているのか」という「考え方」を知れたこと。

実は,「法律」って難しく思えるかも知れないけれど,人間が社会でお互いに快適に過ごすためのルールとして,自分たちで作ったもの。
その奥にある「考え方」を知ると,相手との関係をどうしたら快適に過ごせるのか,考えられるきっかけになる身近なもの。


私は弁護士になるために「法的な考え方」を学んだおかげで,どうしたら相手との関係を上手くつくれるのか?がわかり,

こういうことって,やると「罪」になるの?という不安から抜け出して,安心して生活できるようになりました。


そして,子どもの頃から,こういうことを知っておくと,友達とのルール・学校でのルール・部活動でのルールなど,ルールの決め方も上手くなるし,なにより,相手のそれぞれの気持ち・良さを認められる子・国際化する社会でも戦えるような自分の意見もしっかり言える子が増えるのではないかな・・・と思っています。


子どもさん達に伝えたい「法的な考え方」・どうしたら相手との関係が上手く築けるのか(あくまで私が思う!ということです),お伝えしたいと思います。

 


1 徹底的に相手の立場に立ってみる

 

今年は「鉛筆削りを学校に持ってきてはいけない」というルールについて「ディベート」してもらいました。

「ディベート」は特定のテーマについて、肯定・否定の二組に分かれて行う討論です。
このテーマを選んだのは,娘の小学校で,実際にこのルールがあって,なんでかな?と思う,と娘が言っていたからです。

参加した子ども達は小学校3年生~中学生でしたが,持ってきてはいけない派(賛成派)と持ってきてもいいんじゃない派(反対派)に別れて,討論をしてもらいました!


その中で,出てきたこと。
賛成派・・授業中に鉛筆削りが落ちると周りの子が集まってきたりして,授業に迷惑がかかる。沢山鉛筆を削って持ってくればいい。
反対派・・休み時間に使えばいい。沢山持ってきても,6時間も授業があるとその間に折れたり,まるくなったりしてしまう。・・などなど。


そして,お互いの意見を聞いて・・評決を取りました。
その結果は・・「持ってきてもいいんじゃない?」(反対派)の勝ちでした。

実際に,全ての鉛筆がまるくなって困ったことがあった・・という事例に基づいて,話している子どもさんの話が印象的でした。
事実・経験に基づく話は,「説得力」が高いですね。

反対派の勝った理由は・・おそらく,持ってくることまでを禁止する必要はないのでは?ということにあるのかな,と思いました。
持ってきても,授業中には使わない,など授業の邪魔にならないような使い方をする「ルール」=より自由の制限の少ないルールを考えるという柔軟な発想ができていることが素敵だな,と思います。

でも・・・学校が決めたルールを否定してしまうような結論になってしまいましたが,大丈夫でしょうか(笑)。
実際に鉛筆削りを持ってきても良い,というルールにすると,困った事態が発生してきたのかも知れません・・ここは,先生から説得的な説明がもらえるといいですね!


感想として,「弁護士は色々な見方できる大切な仕事」と言ってくれる子がいました。嬉しい♪
みなさんは,相手の立場に徹底的に立ってみたことがありますか?
相手の立場に立つことで,相手の見方,いい点が見えてきます。
そうすると,自分の意見が絶対的なものではない,とか,よりよい折衷案とかでてくることもありますね。

 


 
2 ルールはつくるもの

一つ目の話とつながっていますが,ルールは与えられるものではなく,「作るもの」ということを伝えたかった。
そして,時代,場所,文化によって「ルール」は変わる。絶対的なものではない。

昔,私が通っていた多治見中学校は,唯一男子の長髪が認められていた。その他の学校は,丸刈りだった。
そのために,それだけで多中の男子はややもてていたような記憶がある(笑)。

でも,今は多分違う・・よね?(と中学生にきいてみたところ,違うと思う,とのことだった)。

以前は親を殺すと一般的な殺人罪よりもものすごく重い刑が科せられる「尊属殺」があったけど,今はない。
女性が不貞行為をした場合にだけ処罰されていた「姦通罪」もなくなった。
(この二つは難しいので,子ども達には説明していませんが・・)


だから,決められたルール,法律を絶対的なものとして,守っていけばいいわけでは無くて,よりよいものにしていく気持ちが大事,と話した。


昔から変わらないルールには,その理由があると思うけれど,今の世の中を前提にした場合,かえていくべきものは,変えていく「法律」だって,自分たちの代表である「国会議員」が作っているのだから。

学校でのルール,生徒会でのルールも,自分たちでつくっていける,ということを意識してもらえたら,と思いました。

みなさんも,家庭でのルール,古い考え方になったいませんか?
子どもさんの意見も聞いて考えると,時代に合ったルールができるかもしれませんね!

 

 

3 ルールは絶対ではない?

ルールは「なぜあるか」をいつも意識して欲しい。
ただ,「法律」「ルール」を守ればいい・・ということを思って欲しくない。

こういうと・・・学校の先生には怒られそうかも。
確かに「ルール」を守ることは大切だ。

でも,なぜ,大切なんだろう・・・
それは,「ルール」を守らないと困る人・困ることがおこるからだ。
赤信号なのに,車が無視して突っ込んだら,交通事故が起きてしまう。人の命が失われることもある。

でも,そうじゃなかったら・・・??


学校に「廊下は走らない」というルールがある。
けど,走ってもいい場合があるんじゃないだろうか・・・


目の前で,大事な友達がつまづいて転びそうになっているのを目撃した。
ここからダッシュで走れば,友達をつかまえて,転ぶのをとめられそうなとき。
走ってはいけないのか・・・?

私は,走ってもいい場合があると思う。
だって,「廊下を走らない」というルールは,走るとぶつかってけがをして危ないから,あるんじゃないかな。
つまり,「子ども達お互いの命やけがからの安全を守る」ため。

でも,走る方が,友達をけがから守れるなら・・・走る方が,ルールで決めたこと(けがから守ること)を達成できる場合もあるんじゃ無いかと思う。

これは,伝えるのがとても難しいことだと思うのだけど・・・


感想で「相手がいけないことをやっている,と思ったときも,もしかしたら,その理由があるからかも知れないから,よく聞いて考えたい」と言ってくれる子がいた。

そうなの・・「ルール」を破ってしまうこともある,けど,それだけですぐに判断しないで欲しい。やはり,その人なりの考え方を聞いて欲しいと思うのです。

法律も,学校の規則も,社会のルール,マナーも,マニュアルも,それがあるのは「理由」があるから。
でも,「マニュアル」「ルール」どおりに生きればいいというわけじゃないことが,少しでも伝わったらと思いました。

それが,法的な考え方=公平感・社会的な正義をどこに求めるか・・・という大事な「考え方」なので。
法律やルールは,それを達成するための「手段」にしかすぎないことを,心のどこかには持っていて欲しいと思う。

そうすることで,これからの社会を自分の手で切りひらくような人,言われたことをそのままやればいいというのではなく,自分で考え,行動できる人,国際社会でも活躍できる人になっていってくれるのじゃないかな,と思う。


この話も学校の先生には怒られそうかも・・
基本的には,みんなが過ごしやすいように,みんなで決めたのがルールなので,守るのは大前提です。
ルールがなぜあるのか,まず自分が分かってから伝えると,なぜルールを守るべきなのかも子どもに分かりやすく伝えられますね♪
みなさんは,周りにあるルール,なぜあるのか,考えたことがありますか?

 

 


まとめ 弁護士になるには


少し前に,法律相談を受けた友人に言われて本当に嬉しかったこと。

「貴ちゃんみたいな,クリエイティブな弁護士がいるといいね」。


この言葉を聞いたとき・・
え?弁護士ってクリエイティブな仕事って思っていいの?

と思いました。

なんか,人の紛争の後処理をする,難しい法律をこねくりまわして,近寄りがたい,「お堅い」感じじゃなくて・・?

ちょっと,明るいイメージが私の中でおこりました♪


そういえば,弁護士になるには「六法を全部暗記したりするんですよね?」とと言われることが結構ある。
けど,実は,大体どんな条文がどこにあるのか探す能力は必要だけど,法律は暗記してしまう必要は無い。

もっと大事なことは,法的感覚を身につけること=正義・公平感のバランス感覚を身につけることだと思う。

そのために,この人の利益と,反対側のあの人の利益はどんなところで対立してしまうのか,そのバランスをどうしたらとれるのか・・・
単に法律の条文を当てはめただけでは,結論があまりにも酷い,と感じることもある。
そのときは,どう構成するのか・・どんな他の条文を探してこれるのか・・が弁護士の腕の見せ所(笑)。

私は,決して優秀な弁護士ではないけれど,条文で書かれているから,こうなります,というのではなくて,結論がどうなるべきなのか,正義としてどうあるべきなのか,なぜ,この法律は,こういうことを決めているのか・・ということを大切にする気持ちだけは持ち続けたいと思います。


そもそも,一つ一つの事例は全く違っていて,法律を「ポン」と当てはめれば結論が出ることも少ないのが事実。
だから,そういう意味では,クリエイティブに考えられる能力も必要かな,と思います。


弁護士会でも,この「法教育」を学校でも取り入れてもらうための取り組みをしています。
私は,その委員ではないので,今回説明したことが,弁護士会のいう「法教育」とはちがうこともあるかもしれないけれど,「法的なものの考え方」が広まっていくと,相手方の良い点・自分の良い点なども発見でき,それぞれが相手のことを認められる社会・自分で考えて行動できる社会にも繋がるかな・・と思っています。

法教育の実施のご要望がございましたら,是非,岐阜県弁護士会の「法教育委員会」まで!


このブログを読んで下さった皆さまが,「法的なものの見方」に面白さを感じて,「ルール」を改めて考えてみるきっかけになりますように・・・

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!

この記事を書いた弁護士

木下貴子
木下貴子
岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり18年目。
岐阜県立多治見病院など地元事業者の顧問弁護士を務め,法律のみならず経営に関するアドバイスも行っています。
個人のお客様には,離婚,相続,不動産案件を多く取扱っています。
著書「離婚調停は話し方で変わる」は,Amazonランキング「法律」部門ほか5部門で第1位を獲得。
相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーとしています。お気軽にご相談ください。

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