多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

愛情の伝え方の間違いに気づいた娘の言葉

愛情の伝え方の間違いに気づいた娘の言葉

2019年のGW,私,夫,小学4年生の息子,中学生の娘,家族4人で
アメリカ観光に行ってから数カ月経ったときのこと。

子ども達が幼いころから,
私が育児,仕事が両立できるように
毎日私の自宅に来てくれ,

私が仕事から帰る前に
洗濯物を取り込んでくれたり,
食事の準備をしてくれたりする私の母。

私への愛情があふれていて・・
とても感謝している母。

そんな私の母が,
夕食のお皿を運びながら言った。

「あなたは,とても変わったね。
子どもたちにとても,優しくなった」

「そうかな。ありがとう・・
少し余裕が出来てきたのかも」

「アメリカで,(私の息子に)
お母さんも,我慢しなくていいんだよ,
って言われてからだよね」

「‥確かに,そうかも。

私,知らないうちに,
我慢していたことに気づいたんだよね。

お母さんは,よく,
私も,私のお姉ちゃんも
お母さんのことが大好きだから,

決してお母さんのことを
困らせないようにしていた,
って言っていたよね。

だから・・・

気づいたら,私,
大好きな人,大好きな
母親の言うことは,

子どもは聞くものだ,って
知らないうちに
思っていたんだと思う。

なのに,うちの子たちと全く
いうことを聞いてくれない!(笑)

なんで,そうなんだろう・・・

私のことを好きじゃないって
ことなのだろうか・・

そう思えば思うほど,
不安になって,苦しくなって,

私のことを愛していると
示してほしい,という気持ちから,
子ども達に私の言うことを聞かせよう,
としてた。

母親の私のことを大好きなら,
必ず,私の言うことを聞いてくれるはず,
って思っていたと思う。

だから,子ども達にとっては,
苦しく感じてしまっていたんだと思う」

そのとき,私と母の話を聞いていた
当時,中学生の娘が言った。

「好きであることと,
その人の言うことを聞くこと,
言うとおりにすることは,
違うよね。
言うことを聞かないから,
その人を嫌い,というわけじゃないし,

大好きな人の言うことでも,
聞かなくていい」

・・・・あ,そうなんだ。

大好きだからって,
全て言うこと聞かなくていいんだね。

大好きな人に対しても,
「嫌なことは嫌」
「したくないことは,したくない」って
言っていいんだ・・

それなら,どうして,
私は,お母さんの言うことに
出来るだけ従ってきたのだろう・・

「貴子!」

小さいころ,母に呼ばれて,
すぐに母のところにいかないと
母が不機嫌になるのが怖かった。

だから,離れた手洗い場で
手を洗っていたりしても,

ボーッとこたつの中で,
くつろいでいた時も,

「はーーい!」
大きな返事をして,
さっと立ち上がって,
母の元へ行った。

母のことが大好きだから,
母が不機嫌になるのが怖かった。

だから,母の気持ちを慮って,
母がどうして欲しいかを考えて,
自分がそれに合わせて動く方が,
自分にとっては楽,だと思ってたんだ。

でも・・・

ずっと,自分ばかりが
誰かに合わせ続けるのは,

その人がいくら大好きな人でも
本当は苦しかったんだ・・

今やっと,息子と娘の言葉で
自分が我慢していたこと,
でも,我慢には限界があること,

そして,

「好きであることと,
その人の言うことを聞くこと,
言うとおりにすることは,
違う」

「大好きな人にでも,
自分の意見を言っていい」

って,気づいた。

だって,私は,

全然いうことを聞いてくれない
息子のことも,娘のことも
やっぱり大好きなのだから・・

「お母さん,私もこれから,
お母さんにも,自分の気持ち,
はっきり言うね!」

私の母は,我が家の
ガラスのダイニングテーブルの横で
立ったまま,私と娘の話を聞いていた。

そして,

私の方をじっと見て,
少し驚いたような顔で私の顔を
見つめていた。

———–

このエピソード・・・

「私の人生を変えた息子の言葉」に引き続いて,
それまで気づけていなかったけれど,
自分の「言葉」「行動」を選んでしまう
「原因」があったのだということに

私がハッと気づいた出来事です。

このエピソードを読んで,
みなさんは,
どのように感じられたでしょうか?

私は,このとき始めて,
好きな人の言うことであっても,
聞かなくてもいい,

その人を好きであることと,
その人の言うことを聞くこととは違う,

と気づきました。

今思えば当たり前の
ようなことかもしれませんが,

初めて心から納得できた
出来事でした。

娘の言葉で,さらに解放され・・
「愛情の伝え方の間違い」に気づけた,
のでした。

「私の人生を変えた息子の言葉」の息子と今回の娘の言葉,
エピソードを通じて私が当時気づいたのは,

自分自身の言動には,
自分でも気づいていないような,
「原因」が隠れていることがある,
ということです。

その原因が,
心の奥深いところ,
経験から生まれていて,

絶対に譲れないような
「価値観」から来ていることも・・・

私にとっては,それは,
「言うことを聞くことが,
その人への愛情を示すこと」

という固定観念が
あったことに,気づきました。

自分の言動の「原因」が分かれば,
言動も変えることができます。

それから私は,大好きな人にも,
意見が衝突することを怖れず,

大好きな人たちにも,
自分の意見を言っていい,
ということに気づき,

「話す内容」,「行動」を変えました。

その結果,私の母にも,
自分がほかのことを
やっているときには,

「○○をやっているから,今は無理」
「△△をされるのは,嫌。とても悲しくなる」

等の気持ちを伝えられるように
なりました。

そのとき,大好きな母が
一瞬不機嫌になったり,
悲しそうな顔になったりするのは,

見ると今でも「ズキッ」と
心が痛むのですが・・

でも,私の母は,
それでも愛してくれるはず,

自分のことも大事にしないと,
自分がしんどくなってしまうから!と
チャレンジできるようになっています。

大切な誰かと意見が衝突し,
自分の気持ちが分かってもらえなくてつらい,
と感じたときには,

相手が「なぜ」このようなことを言うのか
なぜ,このような行動をするのか
・・に思いをはせてみるのと同様に,

自分が「なぜ」このようなことを言うのか
なぜ,このような行動をするのか

・・にも,一度思いをはせていただけたら
嬉しいな,と思います。

自分の「言葉」や「行動」の原因に気づいたことで,

私は娘からも
「すごく柔らかくなった」と言われ,

子ども達や夫との関係だけでなく,
私の母との関係,
仕事で関わる人との関係も,

以前よりもずっと,
気楽で楽しいものになりました。

相手方の言動の原因だけでなく,
自分自身の言動の原因も

本人も気づいていない
幼い頃からの親との関係,

友人,同僚,上司など人間関係などが理由
なのではないか・・と改めて感じています。

自分自身の言動について,
「原因」に思いをはせ,理解して,対応すること,

自分と相手の譲れない部分を理解することで,
自分の「話し方」が変わります。

自分の「話し方」が変わることで,
相手方の感じ方・対応が変わり,
これまでとは,関係も変わってきます。

もちろん

相手方に「モラハラ」と
言われる言動がある場合,

こちらが変化するだけで,
相手方の対応を変えるには
限界があると思っています。

けれど,

相手方と離れて生活し,
安心できる環境を保ちながら
自分自身の言動を変えることで,

面会交流や養育費などについて,
これまでとは違う形での関係構築が
出来る可能性がある,と私は思っています。

このブログを読んで下さった方が,本当に
のぞむ結果にたどり着けますように。

「意識して」選択した「言葉」
そのとき,伝えないといけない最も大事な「言葉」

相手の心に響く
自分の言葉で伝えられる
サポートできたら嬉しく思います。

お互いを知ることで,
夫婦円満であり続けたり,

壊れかけていた夫婦関係も
早期に修復していけます。

また,離婚後であっても,
関係を再構築するための
ヒントになると思いますし,

新しいパートナーが出来たときや
大切な子どもとの関係についても

関係構築のヒントにもなると思いますので,
「原因」「話し方」を知ってもらえたら嬉しいです。

女性,妻の立場,
モラハラ被害を受けたという立場の方も,
自分が変わることで

これからの温かい人間関係の構築に
ヒントとなることがあったら
嬉しいです。

元妻,女性にとっても,
元夫,男性にとっても,

面会交流や養育費などを通じて
離婚後も関わりを持つことを
避けられない場合に,

少しでも,お互いの関係が
以前よりも楽なものとなるため
のヒントになったら・・
と思っています。

これからも,私は,
お子さんにとって良いと思える
面会交流や養育費の
在り方とは何かを,

同居親,別居親の方,

それぞれの立場の方が
これまでとは違う視点で
考えてみることができるよう,

自分が出来ることとして,
これまでうまくいっていると思える実践例や
それぞれの立場の方が感じていること,

自分自身が母親として,また,
両親の紛争下で育った子どもとして
感じてきたことなども含め,
発信していけたらと思っています。

私のように・・
気づいて変わろうとしていらっしゃる方,
これからも応援し続けたいなと思います。

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!