多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

ライフサイエンスとデジタル・アルゴリズムに注目が集まる時代の経営と生き方

ライフサイエンスとデジタル・アルゴリズムに注目が集まる時代の経営と生き方

いつも読んでいただき,ありがとうございます。

今回は,昨日に参加した継続的に行われている東濃信用金庫さんが主宰して下さる若手経営者向け「とうしん青経読書会で読んだ本,聞いたお話の中から,現在は,ライフサイエンスとデジタルに注目が集まる時代であって,「アルゴリズム」の知識,考え方を経営にも取り入れることが大切,と感じましたので,その紹介をします♪
(写真は,今回の読書会の課題本です)

元々は繊維を作る会社であった旭化成。今は,人工血管も作っている会社,とのこと。
やはり,今はライフサイエンス分野に進んで行くことが,事業の継続的発展の視点として重要なようです。
普段の状況を見れば,顔認証,指紋認証などデジタル技術を使うことによって便利,快適でより安全な事業の遂行や生活が送れていることが分かります。

いつまでもかわいく若々しく,健康に生きたい!これは私の望み…です(笑)が,多くの方にとっても希望するところなのではないかと思います。
ヘルスケアへの関心は,とても高いところですが,一体何を信じたらいいのか?
実際に科学的にも根拠のある長寿方法などを考えるには,その根底となる「ライフサイエンス」の技術,知識が大切なようです。

今回の本を読んで,それでもやっぱり,これらの仕組みを発見が出来る人間存在そのものや発見に至るストーリーを読むと,このような考え方を持って行動できるような人間ってやっぱりすごい,と思い,人間の素晴らしい細胞,組織を作れるのは,「科学」の力だけでは説明できない,計り知れない目に見えない何かの力があるのでは…?という思いを強くした部分も私自身はありました。

しかし,弁護士という仕事上,非科学的なこと,目に見えない存在,「何となくそう感じる」ということでは,
裁判所を説得し,納得させられないので,「科学的」根拠で証明できることも重要だと改めて思いました。

という訳で,課題本を読んで感じたライフサイエンスとデジタル・アルゴリズムに注目が集まる時代にどのように,その知識を経営,自分の仕事,人生に生かすことが出来そうか?

私が思ったことを3つ,お伝えします。

1 意味を捉える

課題本,ライフサイエンスに関する書籍「生命とは何か」より。

遺伝学者,細胞生物学者である著者であるポール・ナースさんは言っています。

「われわれが最も望むのは,複雑さの「目録を作る」ことではなく,「意味」を捉えること
「分類作業は重要な出発点だが,われわれが本当に求めているのは,パーツがどのように連携してモジュールを形成し,細胞を生き続けさせて,繁殖を可能にしているかを理解すること。」

この本では,文系の私でも出来るだけ分かるように生命の仕組み,細胞の成り立ちが書かれています。

その中で,「データを集めることは重要だが,それは,全てがどのように連携して働いているかを理解する」という目標を忘れてはいけない,と言われています。

これを忘れてしまうと,確かに,何のためにそもそも分析的な研究をして,データを集める作業をしているのか,が曖昧になってしまうし,研究結果が出ても,専門家にとっては具体的にどのように関係するのかが,分かりづらいものになってしまうと思いました。

その点,この本は,具体例が示されることで,どういうことなのかが分かりやすくイメージ出来るように書かれていることがありがたいと思いました。
どんどん分類作業をし,細かく分析して言っても「意味のある」塊でとらえなければ,人間の理解,生活には役に立たないという視点だと私は思いました。

そして,

弁護士として,依頼者の主張が正しいと根拠づけるときも,その理由を分析的に挙げていく,という手法を取りますが,これが○○という点で正しいということを立証するためという「目標」を忘れて分析だけしてしまうと,結果として,意味が分からなくなってしまうなあ…と読んでいて思いました。

生物って,まさに目標を持って働く「モジュール」の集合体として,複雑な「生きる」という要求に応えているんですね!
生物学の世界でも,何のためにこの分析をするのかという視点が大切なことが分かって,改めて自分の弁護士としての仕事,文章を作るときの書き方の構成,話し方を意識するときの構成を考える上でも重要だと思いました。

みなさんは,ライフサイエンスの研究分野って,何のためにあると思いますか?
ライフサイエンスに関する商品そのものを取り扱わないとしても,自分の仕事につかえそうな「考え方」はありそうですか?

2 アルゴリズムを使って不安解消

そもそも文系の私からすると,「アルゴリズム」って何?
という感じでしたが…

課題本「アルゴリズム思考術」(ブライアン・クリスチャン&トム・グリフィス著)によると,
「問題を解くための一連の単純な手順」のこと,らしい。

これだけ聞いてもやっぱり,抽象的でよく分からないですよね?
そこでたとえ話が有効なのですが(笑),例えば,アパート探しをするときに,どれくらい部屋探しに時間をあててから決めた方がいいのか?というような場合の手順なのです。

他にも,スケジュールをするときの最適化など,ネットを繋ぐときの最適化などにも使われていて,読んだら,本当に身近に沢山使われていることが分かってビックリでした。
アルゴリズムそのものを研究している人ではない著者が書いてくれていることで,一般人にもわかりやすく書かれている本だと思いました。

この中で,私が印象に残ったのは,「計算の負担軽減」という考え方です。
どこで食事をするのか?ここで,どれくらいバスを待ったらいいのか?

こちらで判断を迫られると,そのために計算をめぐらして考え,負担感を感じる。
…つまり,意識しなくても私たちはアルゴリズム的発想を常日頃からしているんですね。

でも,情報があれば,その負担が減って,計算は楽になる。結果として心も軽くなる。

例えば,バスの出発時刻の記載があれば,もうすぐバスが来ることが分かる。
さらに最近は,リアルタイムディスプレイで今どこにバスがいるのかが分かる,という仕組みもある。

そうすると,あとどれくらい待たなければいけないのか…?
等と頭で何度も計算しなくてよいから,負担が減るんですね!

食事に誘う場合も丸投げせずに,「A店かB店,どちらがいい?」と尋ねれば計算が減って,尋ねられた相手の負担は減る。

私も弁護士として,よく依頼者から聞かれる依頼している仕事の進捗状況。
こちらは流れが分かっているので,つい説明を省いてしまいがちだけれど,依頼者からすれば,どのように進んで行くのか,今何をやっているのかが分からないと,頭の中で様々にこうなるのかな?ああなるかもしれない,と計算が無限に広がってしまって,不安に感じることが改めて実感できました。

なので,出来るだけ流れを知ってもらうことで,脳の負担を減らして安心させてあげたいな,と思いました。

みなさんは,相手の計算の負担を軽減するために何か工夫をされていますか?

3 数字・アルゴリズムによる説得力

課題本「アルゴリズム思考術」に関しての話。

読書会に参加していた経営者の方で,実際にこういう時間帯にこういう職歴の人が事故を起こしやすい,というデータを会社でとっている,という方がいた。
これによって注意を促している,とのこと。

読書会の先生も話をされていたけれど,それこそまさに統計学,アルゴリズムの考え方を活かした論理的な説明だな,と実感しました。

今の若い世代の職員に「元来こうだったから」と言っても,「それは昔のやり方でしょ」ということで説得力がない。それで,無理やりさせられる時代でもない。

そこで,実際のデータをもとにして説明することの大切さを話された。

確かに,裁判所でも数字によるデータに基づく説明の方がずっと説得力がある。
以前の公害訴訟でも,因果関係について疾病を統計学的見地から観察する疫学的立証法を導入して,相当因果関係が存することを認定された。

なので,自然科学的な観点から病理メカニズムが解明できるのであれば(言ってみれがライフサイエンスによる解明)よりはっきりするけれど,それが出来ない場合に,より説得的に説明する場合,統計学,アルゴリズムの考え方を知っていて使える,というのは大事だなと思った。

みなさんは,データによる解析,数字による論理的な説明をお仕事に活かしていらっしゃいますか?
アルゴリズムの考え方を使って効率的,効果的な意思決定手続き,業務遂行ができそうですか?

まとめ 統合の時代

以前,「科学的に証明~若々しく長生きするための行動」にも書いたけれど,以前は科学で解明できなかったことが,研究されて,多くの人に信用されるようになる。
これはとってもすごいことだと思う。

その意味でライフサイエンス分野の進化は,本当に人類にとって大きな力になると思う。

けれど,アルゴリズムの考え方を知って思ったのは,どこまでいっても,「完璧」な計算方法はない,ということ。
これからサイエンス分野が進めば変わってくる部分もまたあるのだろうけれど,今わかっている条件と今の生活,仕事の環境の中で,出来るだけ効率的,効果的に進めるように「アルゴリズム」の考え方を取り入れるしかないのかな,と思いました。

ここは,専門ではないから,間違って捉えているところもあると思うので,また教えてもらえたらと思っています~

ただ,今回の課題本にも書かれていたことだけれど,「デジタル」「アルゴリズム」「ライフサイエンス」も何らかの問題を解決するための手段として研究されているから,その知識が問題解決に活かされるために他の分野と連携,統合されていくことが大事かなと改めて思った。

究極的には,より人類が幸せになるように発展できるために研究されていることだから,その意味でお互いに繋がっている。
読書会の先生が,一つの本を読むよりも,何冊か読むことでそのつながりを考えたりして学習効果が上がる,とお話されていたのも印象的だった。
人間は,分析的に考えた方が細かい点での研究を進めることが出来るけれど,やっぱり,その上で,分析結果のつながりを考えることが,本当の意味で実社会,仕事,人生にとって役に立つことになるんじゃないかなと思いました。

なので!
今回の課題本も絶対私ならチョイスしないという本でしたが…(笑)

私も引き続き,異なる分野の知識にも触れ,様々な考え方を知ることで,多角的に物事を考えて,つながりを考えていけるといいなと思いました!

裁判所は,なんとなくこうなりそうです,というのを許してくれず,客観的に証明できることを求めるので,あらゆる分野の知識を繋げつつ,論理的に,説得力ある方法で裁判所にも納得してもらえるように話し方,伝え方も学び,これからも工夫していきたいと思います~

法律的な解決も,ライフサイエンスも,アルゴリズムも幸せに生きるための一つの方法。手段。
これからも,どうしたら健康で安心して生きられ,幸せに生きられるのか,そのための方法,ヒントは何なのか,弁護士として使える視点は何なのか,これからも研究して伝えていけたらと思っています。

うちに相談に来て下さる依頼者の方々のため,そして自分自身の子ども達,家族,友人のため,弁護士として,母として,幸せに生きるための方法,考えていきたいと思います。

また,研究発表,致しますね(笑)!

それでは,

このブログを読んで下さった皆さまにとって,ライフサイエンス,アルゴリズムの考え方を幸せな人生,発展し続ける経営に活かすためのヒントとなりますように。

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!