多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

プレゼンの達人の「伝える技術」~コミュニケーションで傾聴より大切なもの

プレゼンの達人の「伝える技術」~コミュニケーションで傾聴より大切なもの

いつも読んでいただき,ありがとうございます。

突然ですが,みなさんは,コミュニケーションでは「話すこと」より,「聴くこと」が大事と聞いたことがありませんか?
以前は,「話し方」を学ぶという講座が多かったのですが,
今は,コミュニケーション講座では「話し方」よりも聴き方,「傾聴」の仕方を教えてくれる講座が多いです。

しかし,今回ご紹介する講座で私は,衝撃を受けました・・
やはり,「話し方」は大事。「伝える技術」こそコミュニケーションで磨かなければならない!と改めて思いました。

そのきっかけとなったのは,「岐阜県中小企業団体中央会レディースクラブ」での研修会です。
テーマは,「成果が上がる『伝え方』、組織が育つ『会議』のしくみ」,講師は「沖本るり子」先生でした。

先生は,江崎グリコで人事・労務などの従事し,転職を経て,管財商社でプロジェクトマネジメントを行い,30代前半で取締役になった方。
人材採用,教育,指導を行うことによって「人との関わりの重要性」に気づいたそう。
TBS報道番組で「プレゼンの達人」として紹介されています。

先生が実際に現場で色々試しながら,効果のあったコミュニケーション方法,
伝える技術だけを抽出して体系化し,その一部を今回伝えて下さいました。

私も弁護士として,調停や裁判で調停委員や裁判官に効果的に意見を伝えるために「話し方」「伝え方」を磨くことはもちろん大事です。
しかし,それだけでなく,相手方との直接の交渉,職場や日常生活でも「伝える技術」は改めて必要だと感じた今回の講座。

そして,人は見た目が9割,と言うけれど,やっぱりコミュニケーションで大切なのは・・・○○。

私が感じたコミュニケーションで大切なポイントを3つお伝えします。

1 「聴き手」任せにしない

最近,「傾聴」が大事って言われているけれど,それって「聴き手」の能力に頼っているっていうこと。

話す側が,「伝わる」ように努力しなければならない・・・

夫婦間,職場でよくある「言ったのに!」「聞いていない」というやりとり。

これは,「伝えたつもり」「聞いていない」ということから発生する

日本は言わなくても分かる,「空気を読む」「察する」ということを求められる文化。

でも,これは相手の「聴く力」にたよりすぎとのこと。

海外では言わないと分かってもらえないという前提だから,当然はっきり言う。

・・「聴く力」が一番大切と学んで,スキルを磨いたけれど,自分の話を正確に伝えることは出来なかった・・・

『コミュニケーション』とは,日本語で言えば「伝達」。

聞き取ることではない。

聴き手に頼りすぎず,「伝えて届ける力」,「話す力」,「伝える」技術が改めて大切だと思いました。

みなさんは,「言った」「言ってない」で喧嘩していませんか?
「言った」つもりでも,「伝わっていない」ことがありませんか?
「伝える力」磨いていますか?

 

2 見た目が9割は嘘?

最近よくきくようになった「人は見た目が9割」。
メラビアンの法則もあって,話す内容,つまり言語情報よりも,それ以外の要素が印象を決めるとされている。

そのために,話し方やコミュニケーションを教える講座でもこの点を重視していることも多い。

けれど,「伝える」ことがコミュニケーションの基本だとしたら・・・
やっぱり大事なのは「言語」「言葉」だと改めて気づいた。

少し離れたところで,後ろに崖があるのに気づいていない人がいる。
このときに,「危ないからもっと前に来て」と確実に伝えるにはどういう手段がいいのか・・?

身振り手振り,顔の表情,言葉で伝える,のどれか一つしか使えないとしたら,どれを使って伝える?

身振り,手振りや声のトーンだけでは到底正確に伝わらない。
やはり,「言葉」で伝えることで,何を伝えたいのかがやっと分かる。

言葉で話している内容と,声のトーン,見た目が異なる印象を与えるときは,その言葉は信じてもらえないのかも知れないから,
そういう意味では「見た目が9割」は嘘ではない部分はある。

けれど,身振り手振り,顔の表情,声のトーン,映像だけで伝えることは・・そもそも無理なのですね。

やはり,「言葉」を選ぶ力,言語能力を高めることが自分の伝えたいことを伝えるにはとても大切だと思いました・・

人間は「言葉」を使いこなして,他者と協力してきたからこそ,環境が変わっても生き残り,文化を発展させてきたのだと思う。

みなさんは,伝えるために最も威力を発揮する「言葉」を使う能力,磨いていますか?

 

3 まとめるのは聴き手ではなく,話し手

コミュニケーションが,「伝達」だとしたら,伝わるように準備しないといけないのは「話し手」
まとまりのない話をただ伝えるだけでは,受け止め方は「聴き手」任せになる。
これだと,一生懸命に「聴き手」が理解しようとしないと,話は伝わらない。

「聴き手」が理解しようとしたとしても,人によってとらえ方は本当にさまざまだから・・・

「聴き手」任せにしたら,「話し手」からすれば,そんなつもりで言ったんじゃないのに・・となりかねない。

だから,「聴き手」が誤らず受け止めてもらえるように,「話し手」が工夫しなければいけない。

まだ準備が出来ていない相手にいきなりボールを投げても,受け止められない。

今から○○について話しますよ~と「宣言」すれば,聴き手は話を受け止める心構え,体制が整う。
結論から話す。

その他にも,聴き手が整理しやすいように,○○について,今から3つ話をします,など「構成」を考える。
具体的な話し方スキルとして,良い面と悪い面を挙げて提案する「両面法」も教えてくれた。

1文を短く,文の切れ目が分かるようにする,結論を言う前に間をおいて,考える時間を与える・・など,
「伝わる」話し方をするためには,7つのコツがある。

細かいものをごちゃごちゃのままバラバラにプレゼントするのではなくて,受け取りやすいように包装して,渡すように,
「話し手」から「聴き手」へ,言葉のプレゼントをパッケージ化して渡す,という意識が大切なのだと思いました。

つまり,「伝える技術」「話し方」を学び,実践して伝えることは,「聴き手」への思いやり。

当日は,岐阜県内の女性社長が研修を受けていましたが,
やっぱりリーダーからすれば,社員が「聴いてくれない」というのではなくて,
社員に伝わるためには,どのような「話し方」をしたらいいのか,学ぶ必要があるのだな~と思いました。

「社員がちっとも動いてくれない」と文句を言うけれど,
それは,伝え方が下手で,動いてほしいことが伝わっていないから,とのこと。

「だらだらと話が長い」「何が言いたいのか分からない」・・聴き手が嫌だなあと思う「話し方」らしいです。

家庭内でも,女性は特に男性からこのように言われることが多いので・・気を付けたいと思いました。

みなさんは,「聴き手」が話を受け止められる工夫をしていますか?
それは,どんな工夫ですか?

 

まとめ 人を動かすために

コミュニケーションの目的は,何でしょうか?
単に仲良くなることでしょうか・・?

社内で社長がスタッフに声をかけるとき,
夫婦で話をするとき,
親が子どもに話しかけるとき・・

単に気持ちを共有したいだけのときもあるかもしれないけれど・・

やはり,何か伝えたいことがあって,それによって,相手に「動いてほしい」からのはず。

とすれば,話が「伝わる」ことがまず第一歩なのだけれど,
それだけでなくて,話を聞いた相手が「話し手」が望むように「動いてくれる」,
さらには,「話し手」が期待した以上に動いてくれるということが望ましいはず。

この「期待以上に動いてくれる」ことをイメージして,発信することが大事,とのこと。
なるほど~と思いました。

そのためにはどんな「話し方」をしたらいいのか,
期待以上に動いてくれるための「話し方」「伝える」スキルを磨く必要がある。

「傾聴」は相手に信頼感を持ってもらうためや,
こちらの話を聞こうという気持ちになってもらうためにもとても大切なのだけれど・・
ずっと聴いているだけでは,永遠に相手を動かすことはできない。

「話す」ことで,自分の思い,気持ちが伝わって,相手がこちらの望むように動いてくれたなら・・
本当にうれしい。コミュニケーションはやはりそのために行うことも多いんじゃないかな,と思う。

改めて「話す」ことの大切さ,「言葉」を使いこなす力,「伝える技術」を磨くことの大切さを知りましたので,
先生の「期待以上に人を動かす伝え方」の書籍を買いました。動画も観れるようなので,また学んでいきたいと思います~
沖本先生,ありがとうございました!

これまで私も弁護士として,調停で調停委員に共感してもらうための「話し方」のポイントを学んで,書籍などでお伝えしてきましたが,
さらにいっそう「言葉」を磨き,裁判官や調停委員に伝わる「話し方」「伝える技術」に磨きをかけ,伝えていきたいと思います!

振返ってみると,家庭では,「言ったのに」「そんな話聞いていない」ということが多かったので,
家庭内では,工夫して話すことを怠り,整理しないまま話していたこと,脱力していたことを実感・・(笑)

自分が伝えることが出来ていなかったと反省し,子どもたちや夫にもちゃんと話が伝わるように,
今回学んだスキルも使いながら,言葉のプレゼントを届けたいと思います~

このブログを読んで下さった企業の社長さん,リーダーが,
社員も一体となって動いてもらうための「話し方」「伝え方」を考えるヒントになりますように。

また,お父さん,お母さんが,「聴く力」だけでなく,「伝える力」の重要性を知って使いあうことで,自分の気持ちが伝わることの嬉しさ,それによって相手が動いてくれることの嬉しさを実感できる機会が増えますように~

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!