多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

これからの時代に必要とされる力~成年後見,職場環境,先生

これからの時代に必要とされる力~成年後見,職場環境,先生

いつも読んでいただき,本当にありがとうございます。

今回は,ここ最近参加した家庭裁判所での「成年後見制度利用促進に関する意見交換会」,労働問題,息子(小3)の参観日で気づいた,
「これからの時代に必要とされる力」について,シェアします。

平成33年設置を目指す「成年後見制度利用促進における地域ネットワークと中核機関」とは?
現代の雇用状況,社会の変化から働きやすく,トラブルを避けるための職場環境になるために求められる力とは?
息子が成長できた理由,必要となった能力・・に共通するものをお伝えします。

これからの社会,職場で求められている力を知らないと,
労働人口が減っていく世の中で,職員に働き続けてもらい,世の中に必要とされる事業を続けることは難しい・・・

ということで,
「これからの時代を生き抜くために必要とされる力」

について

3つの出来事からお伝えします。

1 変わる成年後見制度

私が弁護士になった平成12年。禁治産制度から成年後見制度に変わった。

なので,その時の衝撃は,結構覚えています。

名称がネガティブなイメージであることや,宣告をされると戸籍に載ってしまうことから変更した,という経緯もあるけれど,

それまで,単なる浪費者の場合でも準禁治産宣告をされて法律行為が制限されていたのが,判断能力の低下がないと利用できなくなったから,

より,判断能力を補い,本人の意思決定をサポートするというものに変わったのかな,と思った。

判断能力を補い,サポートする成年後見人,保佐人,補助人は,
認知症や障がいで判断能力が低下している方の「身上監護」「財産管理」をするのだけど,
実際の後見人の支援は「財産管理」業務に偏っていて,総合的に身の回りのことをサポートする機能が低い,という問題意識があるようです。

裁判所に,専門職が成年後見人になった場合,後見人が身の回りのことをやってくれない・・という苦情などもあるようです。

そのため,「中核機関」「地域ネットワーク」を作ることで,切れ目なく,本人のニーズに合った後見人の選任,支援体制をつくり,
成年後見制度を利用促進させよう,
というのが国の方向性のようです。

その体制を構築するのは各自治体(市町村)なのだけれど,その重要な協力機関の一つに家庭裁判所があり,
岐阜家庭裁判所多治見支部に,東濃5市(多治見市,土岐市,瑞浪市,恵那市,中津川市)の各担当者が集まり,弁護士,司法書士,社会福祉士という専門職が集まって話し合う集まりが開催された,ということに私は驚いた。

「中核機関」に求められている役割は,判断能力が低下してきた方の最初の相談窓口となること,支援方針の決定,適切な成年後見人推薦,後見人になった人への支援などとされます。

東濃地区の場合,「東濃成年後見センター」ブログではこちらなどで紹介)があるので,裁判所での会議にもセンターはよばれていて,どの市もセンターに中核機関となってほしい,という意向があることが改めて分かった。ケース会議に参加させていただくことで,どんな場合にどんな問題が現場では起きうるのか,現場ではどう対処しているのか,とても勉強になっていて助かっています。

改めて,東濃地域に東濃成年後見センターがあってよかった,と思いました。
私はセンターの監事もさせていただいている関係から,弁護士の知識だけでは分からないこと・・・
ご本人の生活にとってどうしたらいいのか,とか,亡くなったときには具体的にどうしたらいいのか,とか法律以外の身の回りにかかる対応を気軽に相談できる。

だから,本当にありがたいと思っています。

・・・今社会に求められている力が「繋ぐ力」だと改めて思いました。
自分一人で出来ることには限界がある。
だから,法律部分は弁護士,司法書士とか,介護の全体支援はケアマネ,医療関係はMSWとか・・・自分だけで対応できない場合には,誰につないだらいいかを知っている人が今の世の中求められている。

そして,本人のニーズをくみ取ることが出来る力も必要とされる。

そのためにはある能力も必要・・・

みなさんは,この問題なら○○さんにつなげばいい,ということをどれくらい知っていますか?
これからは,ノウハウをたくさん知るよりも,誰を知っているのか(know who ノウフー)が大切なようです。
そして,もう一つ必要な能力は・・・?一緒にこの後考えてもらえたら嬉しいです。

 

2 パワハラ,セクハラ

その昔には,あまり問題にされていなかったパワハラ,セクハラ・・・
けれど,現在は,この問題は本当に大きい,ということをここのところのご相談を受けていて感じています。

本当によく起こりうる身近なこと,と最近ご相談も多いので実感しています。

パワハラの場合,パワハラをしているご本人には,パワハラの認識がないことも多いのだけれど・・
これから就職する人たちから見たら,「ありがたい厳しい教え」ではすまなくて,
理不尽な人格的非難として受け止め,心を病んで行く事例も少なくない。

つらい状況を相談された会社側は,これに対応して,直ちに行動できないと,
労働環境を守れなかったことによる損害賠償責任も負うし,何より,大事なスタッフを失うことになる・・

実際に問題が生じたときに感じるのは,どこまでトラブルを予測して,それに対応する準備をしているか,ということが結果を左右する,ということ。

就業規則でパワハラやセクハラについて定めておくこと,実際に起きた場合にはどのように対処するかフローを決めておくことで,
速やかに対処していくためのまず第一歩になる。

弁護士に相談しながら進めてくれる会社が増えたことで,安心して進めてくださるので,とてもやりがいがあって嬉しい。
・・・対処を間違えてしまってから,相談されることもこれまではよくあって,
それだと,取り返しがつかなくなってしまっていることも多かったので・・

ここで必要な能力は・・・

1つは,これから起こりうる事態をどれくらい予測できるのか,という力
そして,自分自身だけでは予測できない場合には,その人=弁護士につなぐことが出来る力。
やっぱり,「繋ぐ力」ってここでも大切だな・・と改めて思います。

話は変わるけど,虐待事件の千葉の教育委員会の問題・・・
私自身も教育委員をしているから他人事じゃない。もし,市の担当の人があの時弁護士に相談してくれていたら,きっと結果は違った気がする。

気軽に相談できるところに弁護士がいなかったのかな・・と悔やまれる。
独りですごまれたら誰だって怖いし,対処法を思いつくのも限界があって煮詰まるから,
相談できるチーム体制,専門家に「繋ぐ力」はとても必要な気がしました。

そして,その力を発揮するためにはやはり,共通する「ある力」が必要・・・

パワハラ,セクハラをしてしまう背景には,相手の気持ちに配慮が行き届かない・・,この力の不足があると思う。

みなさんは,問題,トラブルを予測する力がありますか?
自分だけでは予測しきれない,対応しきれないトラブルが生じたとき,誰に繋いだらいいのか分かりますか?
パワハラ,セクハラをしないために,身に着けるべき必要な力は何でしょうか?

 

3 息子の成長の理由(先生大好き)

少し前に息子(小3)の参観日がありました。

な,なんと!うちの息子が
支援員さんがいなくても,ずっと,教室に座っていて,授業に参加できていたのです(驚!笑)

1年生のころからの成長に本当にうれしくなりました。
またフラフラ立っていったらどうしよう,相手の傷つくことを言ったらどうしよう・・・
といつもドキドキしながら,参観していたのだけど,

こんなに穏やかな気持ちで参観できたのは久しぶりだった・・・

手を挙げて発表もしていて・・本当にうれしかった。

・・・何が息子を変えてくれたのだろうと思うと・・・
本人の心身の成長もあると思うけど,やっぱりお友達と一緒にいるのが楽しい,という気持ちが芽生えたことが大きいと思った。

そうしてくれたのは・・
本当に先生のおかげ。本来ならば異質なものとしていじめの対象になってもおかしくないのに。

今の普通クラスの担任の先生には本当にお世話になった。
休み時間に長縄の練習に付き合ってくれたり,息子が長縄でどう頑張っているのか,とかクラスの子どもたちに伝えてくれた。

だから,自然とクラスの子どもたちに入っていくことが出来た。優しいクラスの子たち,本当に感謝してる。

先生にも・・本当に感謝しかない。
大人がどう関わるかを子どもたちはいつだって見てるから。先生がどう関わっているかをお手本にする。

どんな先生に巡り合うかによって,本当に子供は変わる。。と改めて思いました。

やっぱり,先生にも他の2つの事例と共通する「繋ぐ力」がある。
うちの子とクラスの子どもたちをつないでくれた。

「繋ぐ力」がある人には,共通する「ある力」がある・・・それは?まとめでお話します!

みなさんは,誰かに繋いでもらって嬉しかった経験はありますか?
自分で誰かと誰かを繋ぐことで,繋いだ相手を幸せにしたことはありますか?

 

まとめ コミュニケーションスキル

「繋ぐ力」のある人が持っている共通する力は・・・

「コミュニケーションスキル」だと思う。

ある人の思い,性格,傾向,ニーズ,得意なこと,苦手なことなどをしっかりと聞き出し,観察して,把握する力。

その人の力をどの場面でどのように使ったらいいのか見抜く力。

それを,誰に繋いだら,より効果が発揮され,どう補ってもらえるのかを見抜く力。

繋いで一緒に行動すべき相手に,把握した人のことがしっかりと分かるように伝える力。

そのためには,伝えるべき相手についても,同じように思い,性格,傾向,ニーズ,得意なこと,苦手なことも知っておかなければいけないし,
どの程度の専門用語が通じて,どのようなことは分からないのか,どんな言葉で伝えたら伝わりやすいのかも知っていなければいけない。

AさんとBさんを繋ぎたいと思ったら,Aさんのことだけじゃなく,Bさんのこともよく知っていなくちゃいけない。

Aさんの言葉をBさんにそのまま伝えても分からない・・
と感じたら,Bさんに伝わる言葉に置き換えて伝える力もいる。

「繋ぐ力」を持っている人の言動を観察すると・・・
それを自然に行っていて,とても勉強になる。

・・・共通するのは,ルフィーじゃないけど,自分だけで全てのことに対応はできない,という謙虚な気持ちを持っている人,な気がする。
あと,担任の先生のように目の前の子どもたちを本当に成長させたい,その子にとって良くなることをしてあげたい・・・
もっというと,目の前の人,子どもたちを「好きになれる力」を持っている人だと思う。

好きな人のことなら,興味を持って,いろいろ観察するし,いろんなことが聞きたくなるし,お世話もしたくなる
・・・多くの先生は,本当に子供が好きだから教師という仕事をしてくださっている・・と感じる。

でも,その中でも今の担任の先生のコミュニケーションスキルはすごい!と改めて思っています。

長縄や走り幅跳びの仕方も,そのコツを分かりやすく息子にも伝えてくれるから,
息子も進んで家でも練習してる。

パワハラやセクハラも相手がどう思うかが分からないからこそのトラブルなので,
コミュニケーションスキルがあって,信頼関係が本当の意味でできているなら,避けられるはずだと思う。

私も,もっともっと目の前の人のことを好きになって,その人がどう思い,どう感じるのかを分かるようになりたい。
そして,その人と誰をつないだら双方にとって幸せになれるのか・・を考えられるようになりたい,と思いました。

相手にどう伝えたら伝わるのか,コミュニケーションスキルも今後も磨いていこうと思います!

みなさんは,これからの時代で必要な力は何だと思いますか?

それでは,
このブログを読んで下さった会社の経営者の方,管理職の方,地域で認知症の支援などの事業に関わる方たちが,
これからの時代で求められる力が何なのか?を考えるヒントとなりますように…

そして,お父さん,お母さん,学校の先生方など教育に関わる方々がどんなスキルとマインド持ったらいいのか,を考えるヒントとなりますように・・・

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!