孫子の兵法~孫正義・ビルゲイツはなぜ孫子を学ぶのか

いつも読んでいただき,ありがとうございます。

今回は,少し前に参加した「とうしん青年経営者クラブ」の読書会の課題本「孫子」の兵法から,
「戦い方」の秘訣を知りましたので,そのご紹介をします♪

ソフトバンクの孫正義さん,マイクロソフトのビルゲイツさんも事業を進めるうえで参考にしている「孫子」の兵法。
2500年前にも書かれた竹簡本が,現在のリーダーたちの教科書となっているのはなぜなのか?

対立する敵との間で自軍の兵を守りつつ効果的に戦い,領土を拡大するという目的を達するための兵法。
仕事や人生で望む目的を達するために必要な「戦い方」とはなんでしょう?

弁護士の仕事も,依頼者のために対立する相手方と戦う仕事です。
どのような戦法を取れば,依頼者を守り,効果的に戦えるのでしょうか?

どのような「戦い方」が事業や人生で望みをかなえるために必要で,
どのような「戦い方」が訴訟などの法的な「戦い」でも有効なのか?

3つ,お伝えします。

 

1 夫れ戦勝攻取して,その功を修めざる者は凶なり。


「子ども孫子の兵法」の著者齊藤学さんによると,
「たとえ争いに勝っても,目的を果たせなければ失敗なんだよ」ということらしい。

弁護士をしていると,つい相手に勝ちたい,という闘争本能が出てしまうことがある。
「勝つ」っていうのは,自分の「力」が認められた感じがして,気持ちいいから。

でも,裁判で勝ったとしても,これで本当の「目的」を達成できたのか・・と思うことがある。

例えば,離婚したくないと争い,裁判で勝訴して,離婚は認められなかった場合。
確かに勝ったのだけど,それで妻が戻ってくるわけではない・・
裁判の中で激しく非難をしあって,妻の感情はすごく悪化してしまい,子供との面会もさせたくない・・と言われてしまったりもする。

面会交流は裁判所の強制力を使って,可能となる場合もあるけれど,とても柔軟に気持ちよく応じてもらえるとは思えない・・
その結果,子供たちにも大きな負担がかかってしまうこともある。

なんのために「離婚しない」のか,「目的」をはっきりさせておくことがとても大事だと最近思う。
もし,子供たちの幸せのため・・ということなら,
裁判で勝つことでその「目的」が本当に達せられるのか,振り返る必要がありそうです。

夫,妻との関係が悪化しても,経済的に夫婦としての生活費をこれからも負担してもらうため・・などの理由なら,
「裁判」という選択もありうるかな,と思う。

孫子の兵法のすごいところは「戦う」こと前提で書かれていないところかな,と思いました。
そもそも,このケースで「戦うべきか」が問われている気がします。

離婚でも,改めて調停などの話合いでの解決ができないか,
「目的」の達成のために使うべき「手段」は何なのか,
見極めていきたいと思いました。


みなさんは,なぜ戦うのか?
戦うことで本当に目的が達成できるのか?考えたことはありますか?

 


2 善く戦うものは,人を致すも人に致されず


課題図書三冊の中で最も専門的で,読むのがつらかった(笑)浅野裕一文学博士著の「孫子」より。

「巧みに戦うものは,敵軍を思うがままに動かして,決して自分が敵の思うがままに動かされたりしない」とのこと。


そして,さらに孫子は,具体的な「戦術」として,

①敵をある特定の地点に誘い出す,②敵をある特定の地点に釘付けにする方法を基本として,
①については利益を見せかけて誘致する,座視すれば生ずる損失を見せつけて強制する
②については,進出した場合の不利益を見せつけて牽制する,
などの方法を伝えている。


離婚調停でも,裁判でも,相手から言われた言葉に傷つき,「そんなことはない」と反論したくなる・・
「こっちだって,言いたいことがあるんだ!」と相手を非難する言葉も話したくなる・・

けれど,それは,「自分が敵の思うがままに動かされている」のかも。
自分が達成したい目的のため,相手を「思うがままに動かす」のに必要な言葉は何なのか・・・?
これをいつでも冷静に考えて,対処しなければ!と改めて思いました。

相手が利益と思えることを言って,誘導できるのか・・・
相手にこのままでは,あなたは損をするよ,と感じさせる発言ができるのか・・
相手に,あなたがもし,ここで態度を翻せば,どんな不利益があると感じさせられるのか・・

相手の言動に振り回されず,自分の言動をコントロールすることが,しなやかで賢い対処法ですね。

孫子の兵法は,戦う前の「考え方」のような普遍的,基本的なことから始まり,
「戦略」「戦法」,具体的な「戦術」もバランスよく記載されているのが,魅力的です。
これが,孫さんやビルゲイツさんのような現代のリーダーの教科書となっている理由かな,と思いました。


みなさんは,相手に動かされてしまう方ですか?相手を動かす方ですか?
相手を動かすための「具体的な言動」を意識していますか?

 


3 兵とは詭道なり


まんがで身につく「孫子の兵法」より。

「戦争とは相手を欺く行為である。
従って,戦闘能力があってもないように見せかけ,ある作戦を用いようとしている時には,その作戦を取らないように見せかける」

とか。

ちなみに,「こども孫子の兵法」では,

「正々堂々はとてもたいせつ。でも,ときにはかけひきも必要だよ」

と解説してあります。

 

この「言葉」は,だましあいを促すようで,卑怯に感じる,
そのために孫子のことをあまり好きなれない,という方もいらっしゃるようです。

けれど,この戦法が必要な究極的な場面は必ず存在するので,
柔軟に攻撃をかわしながら,対応するというのは,私は,しなやかな「戦い方」だと思います。


「正々堂々」と戦えるのは,相手への信頼感があること,信頼関係があることが大前提。
しかし,本当の戦争や法的な「戦争」といえる「裁判」にまでなってしまった場合には,その信頼感の基礎がほとんどない。

そのために,相手が正々堂々と戦ってこないことは十分にある。
つまり,嘘をつかれたり,違法な手段で追い込んでくることもあるのです・・

私自身,裁判になれば・・相手が嘘をつき続けて事実を認めないので,
わざと「相手が嘘つきであることが裁判所にも分かるように」相手の発言を誘導させたうえで,動かぬ証拠を出したこともあります。

やっぱり,私たち弁護士には,守るべき依頼者があるから・・
正々堂々と戦うだけでは守り切れそうにないときは,「詭道」もあり,と思っています。


「まんがで身につく孫子の兵法」は,中小企業診断士の先生が書いているのですが「相手の期待を超え,良い意味で相手を裏切る」というのが,現代のビジネスで応用できる点,と言っています。

また,「こども孫子の兵法」では「頭を使ってほかの人が思いつかないことをやる。それは,君がこの世の中を強くしなやかに生きていくための1つの方法でもあるんだよ」と言っています。

これらのことは,正面衝突して自分がただただ傷を受けるのは賢い生き方ではない,
「頭」を使って,自分を守り,攻撃を巧みにかわしながら,柔軟に生き残っていくという「考え方」かな,とあらためて思いました。


しかし!詭道を使って,戦いに勝ったとしても「目的」を達せられなければ意味がないので・・・

やっぱり,なんのために戦うのか,なんのために「詭道」まで使うのか?の意識は大事だと思います。


みなさんは,「詭道」について,どんな意識を持っていますか?
正面衝突して戦う以外の方法で,賢く,柔軟に戦える方法はありませんか?

 

まとめ 抽象化と具体化


孫子の言葉には,「風林火山」とか,「敵を知り・・・」とか有名な言葉も多く,まだまだ魅力が沢山ありますが・・・

一番の魅力は,「抽象化と具体化」を行ったり来たりしながら学び,考えられることのように私は思いました。


例えば,具体的な「戦術」だけをみていても,なぜ戦うのか,なんのために戦うのか,そもそも戦う必要があるのか,という抽象的な「考え方」を知らずに用いれば,目的を達成することはできない。

抽象的な「考え方」を知ることで,実際の戦闘場面で想定していなかった具体的な問題が生じても,「考え方」にさかのぼり,「応用」して戦うことが出来る。

他方で,抽象的な「考え方」だけを伝えられても,実際の戦闘場面でどのようなスキルが必要となり,どのように武器を使ったらいいのかを教えてもらわなければ,「すぐに使える実用書」にはなりにくい。


その意味で,抽象化と具体化がバランスよく書かれている「孫子の兵法」は実用的かつ応用できるために,
現代のリーダーたちが参考にできる教科書なんだ!と改めて思いました。


私も,離婚調停での「話し方」をアドバイスしていますが,さらに,基本的でどんな場面でも応用できる抽象的な「考え方」と共に,具体的な場面でそのまま使える「スキル」「道具」を伝えられるようにしたい!


それと,今回の課題図書3冊は,どれも「孫子の兵法」に関するものですが,著者の解釈,気持ちが入っている点,漫画などの「伝える方法・手段の違い」や,子供向けに分かりやすく書かれているなど,「誰向けに書かれたものか」の違いがはっきりしていることにもすごい!と感動しました。

孫子の兵法って難しそう,でも役に立ちそうだから子供にも知ってほしい・・という私たち母親の気持ちを鷲掴みにした(笑)ベストセラー「こども孫子の兵法」。うちの息子はこれを読み,娘は,「まんがで身につく孫子の兵法」を読んでいました。

「誰に」伝えたいのかを明確にし,その人に伝わりやすい「方法」,興味がもてる方法で伝えることで,分かりやすくなってお客様に喜ばれ,事業としても成功しますね!!


これからも,どんな「話し方」で相手に伝え,どんな「言葉」を選べば,相手に振り回されることなく,相手を動かすことが出来るのか

そして,事業や人生で,望む目的を達成するために必要な方法を何なのか・・研究して伝えていけたらと思っています。

引き続き,研究発表,致しますね(笑)!

 

それでは,

このブログを読んで下さった経営者の方々,子育て中のお父様,お母様,人間関係のトラブルで悩んでいる皆さまが,
「孫子の兵法」で事業,人生の目的を達成するために必要な「戦い方」に気付き,
どのような「言葉」「行動」をしたらいいのか,分かるヒントとなりますように。


今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!

 

この記事を書いた弁護士

木下貴子
木下貴子
岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり19年目。
岐阜県立多治見病院など地元事業者の顧問弁護士を務め,法律のみならず経営に関するアドバイスも行っています。
個人のお客様には,離婚,相続,不動産案件を多く取扱っています。
著書「離婚調停は話し方で変わる」は,Amazonランキング「法律」部門ほか5部門で第1位を獲得。
相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーとしています。お気軽にご相談ください。

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