
いつも読んでいただき,ありがとうございます。
今回は,岐阜県のひとり親家庭等の就業や養育費のご相談を支援している「岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センター」主催の「平成29年度養育費講習会」で講師をしましたので,そのシェアをします。
テーマは「離婚の手続きの準備と離婚後に起こりうる問題等について」です。
「岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センター」は,各地域の弁護士と連携して,これから離婚を考え,ひとり親になる予定の方,離婚後のひとり親家庭の方の法律相談を実施しています。
私は「東濃地区」の担当をしているご縁で,今回恵那市で開かれた講習会の講師を担当しました。
その準備にあたり,センターの担当者と話して改めて分かった「岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センター」の事業内容。
離婚したいけれど,ちゃんと働いて子どもを育てていけるか心配な方
収入を上げるために資格を取得したい方
などの支援もしています。
婚を考えたら,どんなことを準備すべきなのか?
離婚後には,どんな問題が起こりうるのか?
離婚に伴う経済的不安などについて,岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターは,どんな支援をしてくれるのか?
お伝えします。
1 離婚の準備8ポイント
離婚の際,何からどのように手をつけたらいいのか分からない,というご相談があります。
そのときには,以下の8つの項目について,自分の望むこと,条件を考えると,整理がしやすいです。
弁護士に相談する際には,実際にこの8項目で,調停,裁判になった場合にはどうなりそうか,見込みを聞くことが大事です。
この8項目に整理して相談すると,短時間で聞きたいことを聞けると思います。
①離婚するか,しないか,その理由(当たり前のようですが,これが大事です)
②親権・・自分が親権者になる方が,どう子どもにとってよいのか,がポイントです。
③養育費・・金額と,いつまで払ってもらいたいかがポイントです。
④面会交流・・回数と具体的な方法がポイントです。
⑤財産分与・・財産の評価時期(いつの時点の財産を分けるか)と分け方がポイントです。
⑥慰謝料・・請求する根拠・金額がポイントです。
⑦年金分割・・年金のうち,いわゆる2階部分を分割します。分割割合は基本2分の1です。
⑧婚姻費用・・離婚が成立するまでの生活費の分担。金額がポイントです。
②~④は,子どもに関すること,⑤~⑦は主にお金に関することです。
⑧は,離婚そのものに関する条件ではありませんが,離婚の話合いを進めていくと,今までもらえていた生活費がもらえなくなる,ということはよくあるので,準備しておきたいポイントです。
子どもさんがいる場合の離婚では,絶対にこれを決めないと離婚できない条件というのは,①離婚すること,②親権者のみです。
本来は,全ての条件を整えて離婚することが理想ですが,離婚を急ぐ場合には,①,②だけは決められるのであれば,離婚をしてから他の条件③~⑦を決めるということもあり得ます。
今回の参加者から「もっと早くに知っておけば良かった」「こういう講習会っていろんなところで開かれているのですか?」と言われました。
予めポイントを知っておくと,離婚の際の選択肢が広がりますし,後悔しない選択が出来ます。
是非,離婚の交渉を開始する前に,早めに弁護士にご相談いただけるといいと思いました。
相談のタイミングは出来るだけ早い方がいいのですが,これまで900件以上のご相談を受けてきた経験から,遅くとも「別居」より前には弁護士に相談する,をお薦めしています。
岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターでは,離婚後の「ひとり親」のご相談を支援していますが,離婚前の方でも利用できます。
相談費用は,岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターが負担して戴けますので,ご利用いただけたらと思います。
2 離婚後の2大トラブル
離婚後のトラブルとして多いご相談は,養育費の支払いに関すること,面会交流の仕方に関することです。
1で記載した①~⑧のポイントの多くは,離婚時に清算され,離婚後のトラブルとして残ることは多くありません。
しかし,③の養育費と④面会交流は,離婚後も継続的になされていくものであるため,トラブルの多い問題となります。
ひとり親家庭,または,今後ひとり親家庭となる予定の方側
つまり,子どもと一緒に生活している方からみると・・
養育費を支払ってくれない場合はどうしたらいいのか?
面会交流をさせないと,どんなトラブルになるのか?
等を離婚前に知っておけば,それを踏まえた上でどのような合意をしておくべきなのか,考えることも出来ます。
もっとも,実際には養育費の支払いや面会交流を開始してみないと分からないこともあり,
離婚後に事情も変化していくので,全てのトラブルを予め防ぐことは不可能です。
それでも,そうしたトラブルが生じた場合に,予め,こんなトラブルがよくありますよ,と分かっていれば,
落ち着いて対処することが出来ます。
面会交流は,近年特に実施することこそ,子どもにとって大切という考え方が浸透しているので,
子どもが嫌がっても会わせないといけないのか,など不安になるケースもあります。
これも,予めどのような場合に面会を制限しても問題が無いのか知っておくと安心できます。
こちらも,こうした講習会や法律相談を通じて,知識を得ておくことが安心に繋がるので,利用していただけたらと思いました。
「岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センター」が主に支援する対象のメインである「ひとり親家庭」となれば,離婚後の法律相談も利用できます。
ちなみに,離婚後のトラブルで,時々財産分与の支払について,問題になることがあります。
比較的多いケースは,子どものための「学資保険」を離婚後も別居親(多くは父)に払い続けてもらって,満期時にもらう,というようなケースです。
途中で解約されてしまったり,満期時に約束通り支払ってもらえない,等のトラブルがあります。
離婚時には,できるだけ,取得したい財産は,それぞれの名義にし,相手方に財産を管理してもらったり,相手方名義の財産を管理する(通帳を預かる,相手方名義の保険料を負担するなど)は避けるようにする方がトラブルを防ぐことが出来ます。
3 家計相談もやっています!
今回,センターの担当の方と話をしていて驚いたのが,ファイナンシャルプランナー(FP)と連携している家計相談です。
離婚すれば,今までよりも経済的に苦しくなるのが通常なので,子どもを抱えて離婚をする方の経済的な不安はとても大きいです。
岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターでは,現在,総合的な資産設計を行う家計の専門家である「FP」に個別相談できるように連携しています。
離婚原因そのものが,相手方が生活費を入れてくれなかった,等の生活の困窮が理由のケースも多いので,家計のやりくり・資産設計のアドバイスを受けておくことは大切だと思います。
その他,資格を取得するための資金の援助や,資格修得のための研修・講座そのものも行っています。
講座は,岐阜市内だけで無く,多治見市などでも開催されており,各地で利用できそうです。
また,各市役所の子育て支援を担当する課とも連携していて,各市に繋いでくれるので安心です。
市役所では対応できない夕方など,時間外の相談でも,センターでは予め予約することで受けられるようです。
是非,岐阜県に在住している方で,これから子どもを抱えて離婚を考えている方
離婚したいけれど,ちゃんと働いて子どもを育てていけるか心配な方
収入を上げるために資格を取得したい方
は,ご利用いただけたらと思います。
まとめ あなたを守りたい
岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターのパンフレットの言葉。
「きづいてください。
あなたはひとりじゃない。
頑張りすぎて疲れてしまう前に
わたしたちに,ぜひご相談ください。」
どうしていいのかわからないから不安になる
不安になっても,誰に相談したらいいのか分からなくて,苦しくなる・・
そんなときに,相談する窓口として,「岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センター」も思い出してもらえたら,と思います。
各地の弁護士に繋ぐ法律相談だけでなく,FP相談にも繋いでくれることにビックリ。
岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターは「繋ぐ人」「繋ぐ機関」です。
弁護士事務所やFPにいきなり相談に行くのは,敷居が高い,費用の負担が心配,
私の場合,まず何から手をつけることが大切なの?そもそも相談すべき内容が分からない,
という方は,まずこちらのセンターを利用していただけたらと思います。
そうすれば,適切な専門家や適切な就労支援,生活支援機関につないでもらえると思います。
自分の場合は,何を優先すべきで,何から着手して,どのように離婚を進めていったらいいのか,
法律的な手続きだけでなく,生活全般,これからの自分の将来を広い視野で考えることも出来ると思います。
岐阜県ひとり親家庭等就業・自立支援センターは,岐阜県のセンターですが,厚生労働省では,全国で同様の支援が出来るよう「母子家庭等就業・自立支援センター事業」を進めています。
岐阜県以外の各地の方も,是非,地域のセンターにご相談してみて下さいね!
このブログを読んで下さった子連れで離婚の準備をしようとされている方が,
その準備のポイントに気付き,「ひとり親家庭等就業・自立支援センター」の存在,事業内容を知って,利用し,経済的な不安や今後起こりうるトラブルに対する不安を解消することができますように。
ひとりでも多く,子どもを抱えて離婚を考えている方に,この情報が届きますように。
そして・・・お母さん,お父さんが少しでも安心できることで,子どもさんも安心できる時間が増えますように。
今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!