面会交流は本当に子どものために必要か?

おはようございます♪いつも読んでいただき,ありがとうございます。
今年は,面会交流(離れて住む親と子の面会)に力を入れよう,面会交流元年にしよう,と決めていました。

現在は,当事者だけではなかなか面会交流がうまくいかない場合に,支援するための団体が出来てきています。
その中の一つ,面会交流を支援している団体「親子のふれあいと絆を大切にする会」から,面会交流のサポート学習会に誘っていただいたので,早速行ってきました!

裁判所,国の方針としても,面会交流が大切,ということは明確になってきている昨今。
今回の学習会にもNHKの取材も入っていました(末尾にリンクを貼りました)

私自身も,面会交流をすることが,子どもが愛されているという実感を得て育つために,とても大切だと思ってきました。

しかし,一方で,面会交流ではトラブルもとても多く,会わせることが苦痛と言われる同居親のご相談も多いのです・・

本当に,あらゆる面会交流が子どもにとって良い影響があるのでしょうか?
こんなにつらくても,会わせなくてはいけないのでしょうか?
面会交流を支援してくれる機関は,どういうところがあるのでしょうか?

子どもにとって,本当に良い影響がある面会交流,子どもも幸せになれる面会交流には,注意点があり,その実施には,支援が必要だと改めて思いました。

面会交流を成功させるためのポイントとして,気づいたことを3つ,シェアします。

 

1 自尊心が回復すること   

面会交流について研究している立命館大学の二宮教授からお話があった。
その事例中,当初面会交流がなかなか実施できなかったけれど,支援のおかげで出きるようになった事例をいくつか挙げてくれた。

その中で,私がなるほど!と思ったのは・・以下の事例。

当初,子どもも同居親も,別居親に対して「怖い」と言っていた。
別居親の顔を見たら,声を聞いたら震えが出る,それをみて,子どもが情緒不安定になる,子ども自身も怖がって会いたくない,という事案。

しかし,支援機関が同席して,面会を支援したところ,4回目には,同席が無くとも,自立して,宿泊有りの面会交流が始まった,とのこと。

どうしてそういうことが出来たのか母親に聞くと,
「支援を受けながら私の自尊心が回復しました」
「自尊心が回復したことで自立実施できるようになりました」
とのこと。


この話を伺って,本当にそうだな・・と納得しました。
別居親との接触を恐れる同居親は,相手方に大切にされていないと感じており,会うことによって自分がまた傷つけられるのでは無いか,という恐怖を感じています。
これは,傷つけられた「自尊心」が別居しても,回復されておらず,自信を持って会わせられなかったからなのですね・・・

裁判所,国は,子どもの面会交流を実施すべき,それが子どものためになる,という題目はくれるけれど,どうして実施できないのか,どうしたら実施できるようになるのか,その支援については,教えてくれない・・。
カナダ,オーストラリア,ドイツ,オーストリア,イギリスなど諸外国では,面会交流実施のために臨床心理,児童福祉,教育学などの専門的訓練を積んだスタッフが裁判所の指示に基づいて,監視,監督しながら面会交流を支援している。

この事例を聞いて,あらためて,面会交流がうまくいくためには,同居親の心の回復,第三者の支援が必要と思われました。
別居親の皆様,子どもとの面会を希望するとき,同居している親の「」のこと,考えたことがありますか?

 

2 面会させる方が子どもに良くない事案もある 

日本でも,現在は原則として,面会交流を実施することが子どもにとって良い,と考えています。
しかし,改めて,資料のデータを拝見して・・良くないケースもあることを実感しました。

それは,ドメスティック・バイオレンス(DV)の事案です。
岐阜の面会交流支援団体である「NPO法人あゆみだした女性と子どもの会」の廣瀬さんから紹介のあった東京大学のキタ幸子先生からもらった資料によると・・

DV被害体験を有し,現在DV加害者と別居している子どもを持つ母親へのアンケート調査によると,
加害者である父親との面会している子どもの内向的・外向的・総合的問題の臨床域の割合が優位に高い,と出ているそうです。
内向的問題では12.6倍,17.9倍高くなり,DV加害者である父親との面会は慎重な判断を要すると結論づけています。
(この研究は,海外で発表されています http://file.scirp.org/pdf/OJN_2017032014523383.pdf
(日本語では,こちら http://www.my-kokoro.jp/books/research-aid-paper/vol51_2015/pdf/mykokoro_research-aid_paper_51_07.pdf

このとき,廣瀬さんが言っていた
『でも,手を挙げた人は,確かに面会が制限されても仕方ない,という気持ちもあるのですが,それよりも,精神的暴力,モラハラのケースでは,本人にDVである,という認識が無いので,なぜ会わせてもらえないのか,トラブルになるケースが多い』
という趣旨の話をされていました。

こう考えると,全ての面会交流が子どもにとって良いわけではない,かえって,子の福祉に反する場合もある,という意識は大切だと改めて思いました。
こちら↓にも記載しましたが,モラハラを受けたと感じている母が面会交流させるケースでは,子の福祉に反することもあり得ます。
http://tajimi-law.com/rikon/menkaikoryu-vs-morahara.html


一方で,カナダなどでは,DVがあった事案であっても,監督しながら面会交流をさせることを支援しています。
適切な支援を受け,自尊心を回復しながらの面会交流であれば・・このような事案でも,子どもにとって良い影響を与えられるケースもあると思います。

しかし,このような悪影響が懸念されるケースでは,安易に現状で,当事者にとにかく面会交流をしなさい,というのは問題があると感じました。
私も含め,面会交流がこどもにとってよい,と勧めている皆様,このようなケースへの対応,考えたことがありますか?

 

3 親とは違う人間と知ること 

最後に,親の離婚を経験した子どもさんが中心となって,面会交流を支援している団体「NPO法人ウィーズ」の光本さんから,自分自身の経験を話があった。
彼女は,中学2年生のときに両親が離婚し,父親と一緒にすみことになったけれど,母に会いたくても,会いたいと言えずにいたそうです・・

高校2年生のときに,アルバイトで貯めたお金を使って,父に内緒で母に会いに行ったそうです・・
その当時,父とわかり合えないこともあって,同性である母ならきっと分かってくれると思って・・

しかし,実際には,彼氏同伴でお母さんが現れ,思っていたような面会は出来なかったようです・・・
けれど,彼女が言われた言葉になるほど・・と思いました。

「それまでは,自分と母が一緒になっていた。母は美化されていた。実際に会うことで、自分と母を切り離せた
面会したことは意味があった
ということです。


面会交流のご相談では,あんなどうしようもない親(別居親)に会わせても,子どもに悪影響があるだけ,あんな親みたいになったら困る,やって欲しくないことをするから,会わせたくない,とも言われます。
確かに,面会交流をうまくいかせるために,別居親の配慮は必要だと思います。

しかし,会いたいと思っているのに言い出せず,会えないまま相手への理想を募らせるよりも,実際にあって,色々な考え方の大人がいる,親であってもそれは同じ,別居親と自分は違う人間と切り離して生きていけることの方が,これからの人生を自分らしく生きていくためには必要な気がしました。

子どもにとっては,そういうことを実感するための面会交流もあるのだな・・と。
自分の目で見て,自分で話して感じる体験が大切」なのだ,ということも言われていました。

もちろん,彼女は高校生という比較的年齢が高くなってから会ったことで切り離せた部分もあるかも知れません。
先ほどのような,DVの事例では無い,という点もあると思います。

しかし,同居親から聞く評価ではなく,子ども自身が実際にあって感じることで,心から納得し,理解できることがあると思いました。
そして,ただただ面会を禁止するのではなく,会うことを許され,自分で会って感じることでこそ,やっぱり同居親はすごい,という信頼にも繋がる・・こともあると思いました。

光本さんの所属するウィーズは,千葉県の支援団体ですが,静岡県静岡市・浜松市より委託を受けて面会交流の支援もしているそうです。
誰のための面会か,子どもの安心,安全を優先する視点での支援をしている光本さん。

私も,面会交流は,もちろん会えて親も幸せになるのだけれど,やはり,子どもが安心して会える,楽しめる,子どものための面会である,という意識は大切だと思っています。
10代,20代の支援員も多く,両親の離婚問題がある子ども達と一緒にキャンプをしたり,学習支援もしているそうです。

私のテーマも「子どもが気をつかわずに楽しめる面会交流」なので,子ども目線での支援の必要性は,とても強く感じます。
あんな親・・・という評価は,同居親のもの。子どもを信頼して,会わせてみる,という意識も必要ですね。

 

まとめ 本当に子どもの利益になる面会交

DVの離婚相談を受ける弁護士,支援者の方の中には,今でも,面会交流に否定的な意見も多いと感じます。
私は,面会交流することで,子どもが離れている親からも愛されていると感じられる,自信を持って育つことが出きる,ということで,基本的には積極的に面会交流をさせた方が良い,という考え方でした。

今も,その気持ちは変わりませんが・・この勉強会を通じて感じたのは,子どもがそう感じられる面会にするには支援,ステップがいる,ということでした。
また,どんな面会交流のあり方が「子ども達にとって本当に利益なるのか」という視点でした。

DV,モラハラがあった事案で,支援無くして面会させることの問題を改めて感じました。
やはり,国として面会交流が良いものと考えるのであれば,その支援していく必要があると思います・・
同居親の自信,自尊心を回復するための支援も必要です・・

そして,面会交流の利益は,「会えて愛情を受けて幸せ」というようなキラキラしたものばかりではなくて,
「こんな親だったのか」と感じることも含まれるのかも,と思いました。

そういう,大人目線からすれば残酷な体験もしてもらうことの重要性
勝手に大人が「傷つく」経験を奪ってしまっていいのか,という点でした。


そういうことも含めて,光本さんの支援のあり方は,希望を感じました。
当事者,経験者としての「子ども目線での支援」「子どものための面会交流」のあり方は,全国の中でも,唯一と思われ,特徴があります。
現在,↓で,よりよい支援をするため,クラウドファンディングで寄附を募集しています。私も参加しましたので,是非,協力していただけると嬉しいです。(https://readyfor.jp/projects/weeds2017

(二宮教授が,裁判所の協力の下,作成された「親の別居・離婚に不安を感じている子どもたち」への子どもさん向けハンドブックはこちら

このイベントは,半田市,半田市教育委員会などの後援で行われました。
当日は,恵那市の女性市議会議員さんもいらっしゃっていて,勉強熱心な姿に感動しました。
今は,様々な面会交流の支援団体が出来てきていますが,面会交流の支援機関の事業費は枯渇していて,継続が難しい状況です。
支援を希望する方々も,支援費を支払うことが出来ず,支援機関にこんなに費用が高くては利用できない,という苦情もあるなど,簡単に支援を受けられない実態もあります。
税金収入にも限りがある中で,何を優先事業とするのかは難しい判断でしょうが,今後は,行政が中心となって,未来を支える子ども達のために面会交流を支援をしていって下さる方向が望ましいと思います。


それでは,このブログを読んで下さった皆さまが,面会交流がどんな場合に子どもにとって良いものとなるのか,そのために必要な支援は何なのか,今自分が子ども達のために出きること何なのか?に気づくヒントとなりますように・・

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!

(NHKのニュースはこちらです↓ 動画有り)
http://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20170403/5180231.html

 

この記事を書いた弁護士

木下貴子
木下貴子
岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり18年目。
岐阜県立多治見病院など地元事業者の顧問弁護士を務め,法律のみならず経営に関するアドバイスも行っています。
個人のお客様には,離婚,相続,不動産案件を多く取扱っています。
相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーとしています。お気軽にご相談ください。

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