多治見ききょう法律事務所

弁護士 木下 貴子 ブログ

相続でもめないために,今できること~Part1

相続でもめないために,今できること~Part1

a1130_000521いつも読んでいただき,ありがとうございます。

応援して下さる皆様のお礼として,たまには?本業の弁護士としてお役に立てるお話をします(笑)。

テーマは「相続でもめないために,今できること」です。

相続の法律相談をしていると,もめてしまっている事案にはあまりにも共通する要素があると感じます。
事前にご注意いただけたら,みなさまも「相続紛争」を防げるのではないかと思うのです・・・

このシリーズの趣旨

もめない相続」は,税理士さん,司法書士さん,など他の士業や信託銀行などのサポートによって,「遺産分割協議書」が作られ,整理されていきます。

どうしても,親族や他士業では解決できない場合に,相談されるのが弁護士なので,弁護士のところには,もめてしまっている事案ばかりが集まります。

弁護士はその「相続紛争」を解決するのが仕事なので,「相続」でもめてほしい!という弁護士もいると聞きますが・・・
やはり,私は,相続は「できればもめない方が良い!」と思います。
もめる相続は,精神的にものすごく苦しいものですし,人生の大事な時間とお金をそこに費やすことになりますから・・・
実際,私が関与した事案では最終解決まで約13年かかったものがあります・・・

ということで,「相続でもめないためのポイント」3回にわたってお伝えしようと思います!

今回のポイント~もめてる可能性の高い事案かどうか

今回は,ポイント1!

「自分の事案が相続でもめる可能性の高い事案かどうかを知ろう!」です。

私が法律相談の中で感じる,もめている事案の典型的な場合をお伝えします。

その1 子どもの一人が親と同居,または介護を負担している

介護の負担の重さは,私も経験したことが無く,分からない部分もあります。
しかし,子どもさんで親の介護を負担した方のご相談を受けていると,とても大変なことだと感じます。
その分,相続で多めにもらっても当然,という考え方をお持ちのことが多いです。
一方で,他の兄弟に親の介護を負担してもらっている方のご相談を受けると,親のことを十分に見てくれない,嫁からひどい扱いを受けている,むしろ,親のお金を使って生活している,親から(介護してくれている子の)不満をいつも聞かされてきた,という話を聞きます。
この場合,介護の負担の重さはあまり感じられていないことも多く,生前の親の金銭の管理,介護の状況に大きな不信感があります。
介護を負担していない方は,生前に介護者が使ってしまったお金は,戻してもらって,きちんと平等に相続されるべき,と考えています。

その2 親子間,兄弟姉妹間の関係が良くない,疎遠である

その1の事例は,日本では多くの家庭があてはまると思いますので,相続に対する考え方が同じであれば,もめないことも多いものです。
しかし,もめる事例というのは,やはり,そもそも人間関係が良くない,場合です。
小さい頃,親から勘当された,親は長男だけ,大学まで行かせるなど自分とは差別された,いつも親に抑えつけられてきた・・・などのお話が出ます。
この事案では,両親のうち,一方が生きていらっしゃる場合には,残った親の意向で相続がまとまることも多いのですが,残ったもう一方の親が亡くなったときに,相続の紛争があらわれます。
・・・親の抑圧から解放されるためでしょうか?
兄弟間でも,特に年の離れた兄弟でよく感じます。
兄と妹,長男と次男,など家督相続的な考え方と現代的相続の考え方の違いや,親の場合のように年の離れた兄から一方的に今まで決められてきた・・・というような場合が多いです。
お墓を勝手に移動した,法事をやってくれない,など祭祀承継に関する負担,やり方についての違いで問題になることも多いです。

その3 再婚などの複雑な相続関係

前妻との間に子どもがあったが,前妻が引き取って,後妻の子どもとの間には全く交流は無かった・・・
そもそも,前妻との間に子どもがいるとは知らなかった・・・
認知している子がいたことを,死亡後に知った・・・
養子縁組をしている子がいたが,交流は無かった・・・
離婚した病弱な息子を実家の父母が面倒を見てきたが,自分たちのおかげで残った息子の財産は全く交流のない元妻の子ども(孫)に渡ってしまった・・・
前妻の子が父から「会いに来るな」などと言われ,養育費ももらえず生活してきた,というような場合には,亡くなった父への恨みから,後妻の子に対する対応も厳しくなります。
離婚,再婚,養子縁組など親族関係に大きな変動があると,相続は複雑な関係となってきます。
その2の事例のように,親子,異母,異父兄弟間の関係が疎遠,よくない関係になりがちなのがこの事例とも言えます。
一方で,結婚は一回のみ,子どもはいない,というような一瞬,単純そうな相続関係は,兄弟が相続人となるため,複雑になり得ます。
夫,妻のどちらが先に亡くなるかで,最終的にどちらの兄弟に相続財産がもらえるかが違うので,夫の先祖伝来の土地をなぜ妻の兄弟が受け取るのか・・・などの不満が生じるのです。

まとめと次回予告

みなさまの,今のご自身,ご両親,お知合いの方の状態は私が書いたような事例に当てはまるでしょうか??
もしあてはまれば,亡くなられる前にもめない相続のために対策をされた方がいいと思います。
次回は,「ポイント2 相続でもめそうな事例でとるべき対策」について,書きたいと思います♪
弁護士は紛争がないとお金にならない・・・
人のもめごと,人の不幸でお仕事をいただいている・・・という点があるのは確かです。
紛争を解決すれば,心が軽くなった,助かったと言っていただけるので,お役に立てているという実感はあります。
でも,できることなら,「不幸」そのものを経験せずにすみたいはず・・・。

相続でもめなくなっても,是非「もめない相続のための対策」で多治見ききょう法律事務所にご依頼下さいね(笑)!!
最後まで読んで下さって,ありがとうございました!

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