
「夫とは話し合えないから,離婚後も共同親権になるのは怖い。単独親権を希望しても,共同親権にされてしまうことはあるんですか?」
「改正民法が施行されたら,私が拒否しても,共同親権にされてしまうのですか?」
子連れで別居して,そのまま子供と一緒に住んでいる同居親(監護親)からは,改正民法によって何が変わるのか,離婚によってやっと相手と離れることが出来るのに,まだ関係を続けないといけないのか,怖い,と心配されることがある。
一方で,
「相手が拒否し続けたら,絶対に共同親権は認めてもらえないのですか?」
「もし,そうなら,拒否し続けたもの勝ちになっておかしい」
子どもと離れて住む親(多くは父親)からは,改正民法で離婚後共同親権が認められるようになって,単独親権では親権を取得することが難しいとされていた場合でも,「共同親権」者となることに希望を持っているのに,相手方が拒否したら認められないのか,疑問をもって尋ねられることもある。
では,
改正民法では,実際にはどのような場合に離婚後も「共同親権」となるのか?参考となる基準・資料は?
父母で「共同親権」とすることの合意が出来ず,父母のどちらか一方が「共同親権」とすることを拒否していても,裁判所が強制的に「共同親権」を認めるケースはあるのか?
共同親権が不適切,単独親権とすべきと裁判所に判断されてしまう言動は何なのか?
私が法務省のQ&Aをふまえ,今後父母で合意できない場合の離婚後の共同親権がどのように運用されそうか,共同親権を希望する人が注意すべき言動について,具体例,具体的基準をふまえて,3点お伝えします。
1 離婚後共同親権となる場合とは
今回からは,令和8年(2026年)4月から施行された改正後民法によって何が変わるのか,順番にブログでもご紹介していきたいと思います。
改正民法施行に伴い,法律だけでははっきりしない,実際の取扱いに対する疑問に対し,どのように国としては考えているのか,法務省が「Q&A」によって,その「考え方」を公開しています▼
【法務省(父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議】Q&A形式の解説資料(民法編)
(以下,法務省のQ&Aと言います)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00377.html
裁判所の判断が,具体的な場面で必ず一致するわけではありませんが,国が法律を改正した趣旨としては何を目指し,どんな取り扱いをして欲しいのか,ということを示したものにはなりますので,実際の取り扱いについて参考になります。
今回の改正民法では,これまで認められていなかった離婚後の「共同親権」が選択できるようになりました。
それでは,離婚後について,父母では「共同親権」とすることの合意が出来ず,父母のどちらか一方が「共同親権」とすることを拒否していても,裁判所が「共同親権」を認めるケースはあるのでしょうか?それは,どんな場合なのでしょうか?
ご紹介しながら,一緒に考えていきたいと思います。
2 強制的に離婚後共同親権とされる場合の具体例
法務省のQ&A3-11では,
考えられる場面として,
以下の5つを例示しています。
①同居親と子との関係が必ずしも良好ではないために,別居親が親権者としてその養育に 関与することによって子の精神的な安定が図られるケース
② 同居親による子の養育に不安があり,関係機関による支援・関与に加え,別居親の関与 があった方が子の利益にかなうケース
③ 父母間の感情的な問題と,親子関係とを切り分けることができる父母のケース
④ 支援団体等を活用して子の養育について協力することを受け入れることができるケー ス
⑤ 当初は高葛藤であったり,容易に合意ができない状態にあったりしたが,調停手続の過 程等で感情的な対立が解消され,親権の共同行使をすることができる関係を築くことがで きるようになったケース
裁判所は,必ず,この5事例に該当する場合に離婚後「共同親権」としなければいけない,というわけではありませんが,Q&Aという法務省の公式見解として述べられているため,この5事例に該当する事情があるケースでは,父母のどちらかが「共同親権」を反対していても,「共同親権」を認める事情として,裁判所が考慮する可能性が高い事情となると思います。
夫婦関係の修復に力を入れて,『夫婦関係学ラジオ』を放送している夫婦関係研究家の鶴田敦彦さん(通称・アツさん)との対談で,この点について詳しく話したところ,こちらの記事にまとめていただいているのでこちらも参考にしてもらえたらと思います▼
https://trilltrill.jp/articles/4659068
また、ホームページでも詳しくご紹介していますので、併せて参考にしてもらえたらと思います▼
https://tajimi-law.com/rikon/shinken-kimarikata.html
3 共同親権が認められない場合とは
この点,Q&A3-10では,
「父母が高葛藤であるケースにおいては,家庭裁判所における調停手続を経てもなお父母間の感情的な対立が大きく,父母が親権を共同して行うことが困難であると認められることがあると考えられるが,新民法第819条第7項は,そのようなケースにおいて裁判所が親権の共同行使を強制することを意図するものではなく,父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して,父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときには,必ず単独親権としなければならないとしている」とされています。
つまり,父母が高葛藤であり,「共同して親権」を行うことが困難であると認められるときは裁判所が,必ず「単独親権」することを伝えています。
では,
「高葛藤であるケースにおいて,どのような場合に 「父母が共同して親権を行うことが困難」と認められるか?」・・
この質問について,Q&A3-12において
「例えば,父母の一方が他の一方に対して,誹謗中傷や人格を否定する言動を繰り返しているような場合には,「父母が共同して親権を行うことが困難」な場合に該当し得る」と記載されました。
従って,SNS等で他の一方を「誹謗中傷」「人格を否定する言動」を繰り返しているような場合には,離婚後「共同親権」は認められない,「単独親権」が適切である,
と判断されやすいことがある程度明確になったのではないかと思います。
この点については,離婚後同居親として,主に日常生活を子と一緒に過ごす親(多くは母親)から誹謗中傷されている状態でも「共同親権」となってしまうのか?
心配をされていたことですので・・
一つの指針として,参考にしてもらえたらと思います。
「共同親権」を望む親,多くは別居親(父親)の方は,相手方(多くは母親)に関する言動に注意してもらえたらと思います。
まとめ 共同親権の具体的運用を知る
このブログを読んでくださった皆さんは,どんなことを感じましたか?
また教えていただけたら,嬉しいです。
離婚後「共同親権」となることで具体的にどんな場面であれば,「子の利益」となり得るのか・・?
離婚後「共同親権」について,具体的にどんな場面で使われて,裁判所はどう運用しそうか・・?
一緒にみなささんと考えながら,このブログでもまた伝えていけたらと思います。
これからも,
男性,女性,同居親,別居親などそれぞれの立場の方がこれまでとは違う視点で考えてみることができるよう,私が出来ることとして,これまでうまくいっていると思える実践例やそれぞれの立場の方が感じていること,自分自身が母親として,また,両親の紛争下で育った子どもとして感じてきたことなども含め,発信していけたらと思っています。
うちに相談に来て下さる依頼者の方々のため,そして自分自身の子ども達,家族,友人のため,弁護士として,母として,幸せに生きるための方法,考えていきたいと思います。
また,改正民法による具体的な変化,共同親権を含めた具体的な運用の変更点などについて,引続き研究発表,致しますね!
それでは,
このブログを読んで下さった皆さまにとって,改正民法によって何が変わるのかを具体的に知るヒント,離婚後共同親権を見据えて,自分の望む未来のために,どのように行動したらいいのか,どのような行動は避けるべきなのか,考えるヒントとなりますように。
今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!