会社役員の休業損害

保険会社の担当者から提示された休業損害(交通事故によって傷害を負ったために休業を余儀なくされた場合に、交通事故による休業がなかったならば得ることができたはずの収入・利益)の金額に納得がいかないといった内容のご相談を受けることが多いのですが、今回はその中でも特に深刻だと感じることが多い会社役員の休業損害について記載したいと思います。

「保険会社から、役員であることを理由に休業損害の支払いを拒否された。」といった内容のご相談を受けることがあります。これは、役員報酬は、休業の有無と関係がない役員という地位に対する報酬、企業経営者として受領する利益配当的部分であるため、治療期間中に職務が出来なかったとしても、休業損害を請求出来ない、という考え方を根拠にしているようです。しかし、日本における株式会社の大多数は、小規模で閉鎖的な会社であったり、いわゆる一人会社であることが多く、会社の役員といっても、会社の業務の大部分、場合によっては業務の全てを当該役員が行っていることが多いのが現実です。

そこで、会社役員の休業損害の算定にあたっては、その報酬の中に、①「企業経営者として受領する利益配当的部分」と、②「労働の対価部分」があるものと考え、②については休業損害が発生するという考え方がとられています。

そして、②「労働の対価部分」の認定は、会社の規模・利益状況、当該役員の地位・職務内容、年齢、役員報酬の額、他の役員・従業員の職務内容と報酬・給料の額、事故後の当該役員他の役員の報酬額の推移、類似法人の役員報酬の支給状況等、を参考に判断されます。

裁判例においても、役員報酬に占める労働対価部分の認定に関し、上記判断要素を検討した上で、役員報酬の全額を労働対価部分であると判断したものや、80パーセント、50パーセントなど割合的に労働の対価部分と判断したものがあります。

専門的な判断が必要になる部分ですので、保険会社との交渉の際には、弁護士に依頼されることをおすすめします。

多治見ききょう法律事務所では、交通事故の被害に遭われた方々のご相談・ご依頼を多数承っております。お気軽にご相談ください。

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