債権法改正にも入念な準備を

10月から当事務所は4人体制に!

10月になりましたが,今日は予報では真夏日となるようです。

既に事務所のホームページをご覧になってお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが,当事務所は10月から竹内小百合弁護士が加わり,4人体制となりました。

離婚など家庭の法律問題,労働・知財など企業の法律問題,どちらもカバーする,岐阜県東濃地域最大級の事務所として,これからも地域のみなさまの伴走者として頑張っていきます。今後の竹内先生の投稿もご期待ください。

債権法改正に入念な準備を

今月は民法・債権法改正について講演する機会が複数あり,早速,先日10月3日木曜日にはロータリークラブの卓話で賃貸借を中心に民法(債権法)改正について話をしました。

保証のルールが変更されます

保証について重要な改正もなされています。

既に私自身,保証について2回書いています。

賃貸借の保証(極度額の設定など)

賃貸借の保証については6月22日に書いています。

民法改正〜保証のルール(賃貸借の保証を中心に)

保証人への情報提供義務

また,保証人への情報提供義務については7月13日に書いています。

民法改正〜保証のルールが変わる

今日は,保証意思の確認を中心に

保証意思の確認についても7月13日に簡単に触れましたが,今回は保証意思の確認について,より詳しく解説していきたいと思います。

企業や経営者の債務をその企業の経営者以外の第三者が保証する場合,原則として,保証人になろうとする者に対して保証意思を確認することが必要となります。

具体的には,主たる債務者が「事業のために」負担した貸金等債務個人が保証する場合,原則として公正証書により保証債務を履行する意思を表示することが必要になります。

これは,保証のリスクを認識しないまま安易に保証人になることを防止するためです。

事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約は債務の額が大きくなりやすく,保証人の負担が重くなりがちです。

そこで,保証人の意思確認手続きを厳格にするのです。

保証意思の確認手続

保証契約締結の1か月以内に,公証人が保証人となろうとする者の意思を確認し,それを公正証書で記録する=保証意思宣明公正証書を作成することとなります。

確認手続きを欠くと,保証契約は無効となります。

「事業のために負担した貸金等債務」の判断基準

「事業のために負担した貸金等債務」に該当するか否かは,主債務者が債務を負担した時点を基準とし(その後の目的変更は問わない),外形的・客観的に判断します(債務者の内心は考えません)。

具体的な判断の仕方は以下のとおりです。

  • 自分や家族が居住するための住宅の購入資金や建築資金の借入れは?
    • 事業のために負担した貸金等債務」には含まないため,保証意思の確認は不要です。
  • アパート経営をするためにアパートの購入資金や建築資金を借り入れる場合は?
    • 「事業のために負担した貸金等債務」となるため,保証意思の確認が必要となります。
  • 使用目的を定めないカードローン・フリーローンは?
    • 借入金が事業のために使用される可能性があるので,「事業のために負担した貸金等債務」が含まれる根保証となり,保証意思の確認が必要となります。
    • ただし,事業用途を除き使途が自由となっている場合は,「事業のために負担した貸金等債務」が含まれる根保証に該当しないため,保証意思の確認は不要です。
  • 主債務者が事業のために用いることを内心で意図しながら,債権者に使途について事業以外目的と伝えたり,資金の用途を明示しないで借入れを申込んだ場合は?
    • 貸主も事業目的の資金ではないと認識して貸付をしていますので,「事業のために負担した貸金等債務」には該当しません。したがって,保証意思の確認は不要となります。
  • 事業目的で借入をして,それを私的流用した場合は?
    • 「事業のために負担した貸金等債務」に当たるため,保証意思の確認が必要となります。

一方,保証意思の確認が不要な場合があります。

それは,「経営者等」が保証人となる場合です。

  • 主債務者の取締役や総株主の議決権の過半数を有する者
  • 主債務者が個人事業主である場合の共同事業者
  • 主債務者が行う事業に従事している主債務者の配偶者

がこれに当てはまります。

前経営者で現に取締役等でない者については,保証意思の確認が必要です。

逆に名ばかり取締役は,取締役なので保証意思の確認は不要です。

配偶者については,現に事業に従事していること・法律上の配偶者であることが必要となり,その場合は保証意思の確認が不要となります。

保証意思宣明公正証書は保証契約締結前1か月以内に

保証意思の確認と公正証書作成は保証契約締結の前1か月以内に作成しなければなりません。

1か月よりも前に作成されていた場合,保証契約は無効となります

ですから,公正証書作成後速やかに保証契約を締結すべきです。

主たる債務の内容を変更する場合主たる債務の内容を変更しても保証人の負担は荷重されないのが原則(448条2項)ですから,保証人が負担の荷重に同意した場合に限り改めて保証意思の確認が必要となります。

連帯保証人に生じた事由の効力が少し変わります

今度の改正により,連帯保証人に対する履行の請求は,条文上,連帯保証人に履行の請求をしてもその効力は主債務者に及ばないとされ,例えば主債務の時効の完成が猶予されないこととなります。

これまでは連帯保証人に履行の請求をした場合,主債務者にも効力が及び,時効が中断(時効の完成が猶予)されるとされてきました。

しかし,連帯保証人と主債務者はそこまで強固な人的関係ではありませんから,連帯保証人に履行の請求があったことを知らず,主債務者に不測の損害が発生するおそれがありました。

そこで,連帯保証人と主債務者がそこまで強固な人的関係ではないことを踏まえ,従来と比べて連帯保証人に生じた事由の絶対的効力を限定しています。

もっとも,条文上,連帯保証人に履行の請求をしてもその効力は主債務者に及ばないのですが,債権者・主債務者がこれと異なる合意(特約)をした場合は主債務者にも及ぶとされていますので,特約をすれば現行法と同じ扱いをすることができます。

また,連帯保証人の一人についての免除・時効の完成についても,連帯保証人には負担部分がなく,主債務者に影響を及ぼさない絶対的効力を認めるべきではないとして,その効力が主債務者には及ばなくなります。

いつから新ルールが適用されるのか

保証に関する法改正は,施行日(2020年4月1日)後に締結された保証・連帯保証契約に適用されます。施行日前に締結された保証契約は現行法によりますが,契約更新したら更新時が施行日後であればそこから適用されます。

入念な準備の大切さ

さて,今年は日本でラグビーワールドカップが開催されるということで,日本各地で熱戦が繰り広げられています。今日は,豊田市で日本対サモア戦が繰り広げられます。

なにより先週土曜日の日本対アイルランド戦での日本チームに衝撃を覚えた方が多いと思います。

ラグビー元日本代表ヘッドコーチのエディ・ジョーンズさんは,著書『ハードワーク』で,

  • どんな事でも,成功は,準備がすべてである。
  • 勝ちたいなら,相手を上回る準備をするしかない。
  • 欠点を欠点ととらえるか,ただの条件と考えるかが,勝利や成功への大きな分かれ目になる。

といった趣旨のことを述べています。

その発想法の成果が前回ワールドカップでの日本の活躍,とりわけ,南アフリカ戦での劇的な勝利だと考えられています。

今回,日本は,再び「番狂わせ」を起こしましたが,これも,入念な準備の結果ではないでしょうか。

そして,この入念な準備の大切さは,弁護士業務やビジネスにもいえます。

勝ちたいなら,相手を上回る準備をするしかありませんし,欠点を欠点ではなくただの条件と考えそれを前提に準備をする必要があります。

債権法改正についても入念な準備が必要です。

今日は真夏日となるようですが,朝晩は涼しく,徐々に秋らしくなっています。

衣替えはしばらくしなくても良さそうですが,インフルエンザの予防接種や冬タイヤへの交換等,冬への準備を始めていく必要がありそうです。

それでは良い週末を。

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