車の評価損

前回、「むち打ちと後遺症」というテーマでブログを書きましたが、その直後に、相手方の保険会社から、当職が行った後遺障害の異議申立てが認められ、14級を獲得した旨の連絡が入りました。依頼者は、赤信号で停止していたところを、後方から追突され、頚椎捻挫・腰椎捻挫等で通院されていましたが、痛みが残ったまま症状固定を迎えてしまったことから、後遺障害の申請を行いました。しかしながら、結果は非該当だったため、納得がいかず、当事務所に相談にいらっしゃいました。一度出た結果をひっくり返すことは容易ではありませんが、持参された資料を精査したところ、異議申立てをすれば14級を取れるかもしれないと考えたため、異議申立てにチャレンジしました。結果が出るのに半年以上掛かりましたが、依頼者に満足していただくことができ、嬉しく思います。後遺障害の申請や異議申立ては、弁護士の経験と力量に依るところが大きいと思いますので、経験豊富な弁護士にご依頼いただくことをお勧めします。

さて、本日は、相談されることが多い、車の評価損について記載したいと思います。

1 評価損とは

交通事故で被害車両の物的損害を算定する場合に、「評価損」が認められるかという問題があります。例えば、事故に遭う前には時価300万円の自動車が、事故後に修理を終えて一見元の通りに戻ったものの、なお回復できない不具合が残り時価が270万円になってしまったというとき、その差額30万円が「評価損」とか「格落ち」とか言われるものです。

修理完了後、被害車両を売却したところ、事故前の想定価格より実際の売却価格が安くなってしまった場合には、現実化した「差額」の賠償を請求することに違和感はありません。しかし、修理後も被害車両を使用して、金銭的補償を受けるべき「差額」が現実化していない場合はどうでしょうか。

この点について、価値の下落が評価に止まる「評価損」の場合には、現実に発生した損害を補填するという賠償理念からすれば認められないのが原則です。しかし、裁判例では、一定の場合に評価損を認めています。その背景には、事故歴・修理歴があること自体により交換価値が下落することが事故時に現実化していると観念できること、自動車を単なる移動手段というようよりも所有欲の対象(価値と見ている)としている人がいることを考慮している傾向が窺われます。

 

2 評価損が賠償の対象となるための要件

裁判例からは、評価損を認める要素として、①初年度登録から事故までの期間や走行距離、②損傷の部位・程度や修理の程度・金額、③高級車、希少車かどうか、といった点が考慮されていると言われています(したがって、評価損を否定した裁判例も散見されるところです)。

多くの裁判例においては、修理額を基準として、その1割から3割を程度を評価損として認定しているようです。かなり幅がありますが、㋐現実に機能的欠陥が残っているような場合には上記のうち高い割合の評価損が生じたとし、㋑現実に機能的欠陥は生じていないものの中古車市場において価格の下落を招く程度の事故歴が生じた場合であれば、あまり評価されないという傾向があるかもしれません。

 

3 評価損の認定のために

㋐車両の性能が回復しなかったり、性能は回復したものの車両に歪みが残った場合など、機能上の欠陥を評価損として請求する場合には、立証のための資料は集めやすいと思います。一方、㋑事故歴・修理歴があることによる取引上の評価損を請求していく場合には、立証の困難が伴う場合が多いと思います。少なくとも、中古車市場において市場価格の下落を招く程度の事故歴の立証が必要です。この点について、㈶日本自動車査定協会などが使用している査定基準によると、事故歴・修理歴減点のある自動車について、「自動車の骨格等」に欠陥が生じ、これが修理の対象とされていることが要件とされているので、一つの目安となるものと考えられます。

 

多治見ききょう法律事務所では、交通事故で被害に遭われた方のご依頼を多数承っております。ぜひご相談ください。

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