今年も暑い多治見〜とはいえ「同一労働同一賃金」への準備を

今年も暑い,岐阜県多治見市

今週は,多治見が日中の最高気温が全国1位となる日が相次ぎ,多治見は駅前の温度計は39度以上を表示することもありました。

多治見市の知名度・認知度は,暑さのおかげでぐんぐん上がっていて,今年も駅前は取材陣で賑わっています。

さすがに今年は40度は超えないでしょうが,何日猛暑日が続いているのか,もはや調べる気も起こりません。

暑さで仕事のパフォーマンスが低下気味ですが,来年及び再来年に向けて対応していかなければならない事柄について解説していきたいと思います。

2020年への対応,急務

2020年(令和2年)4月改正民法(債権法)「同一労働同一賃金」に関するルールが施行され,企業にとってはこれら改正法への対応が急務となっております。

改正民法についてはこれまでも解説しています。

本日は,そのうちの,同一労働同一賃金に関するルールについて解説していきます。

同一労働同一賃金の実現に向けた法改正

働き方改革関連法が順次施行されています

昨年「働き方改革関連法」が可決され,今年から順次改正法が施行されています。

そのうちの,労働時間や有給取得(年次有給休暇の時季指定義務)のルールについてはすでに解説しています。

さらに,来年4月中小企業は再来年4月)からは,「同一労働同一賃金」を実現するための改正法が施行されます。

「同一労働同一賃金」に関するルールは,中小企業については,1年猶予され2021年4月から適用されますが,それでも入念な準備が必要です。

ただし,労働者派遣法改正は中小企業でも1年の猶予がなく来年4月から施行されますので注意が必要です。

そもそもなぜ「同一労働同一賃金」が必要とされるのか?

大企業の中には,後で紹介する通り,すでに4月から前倒しで「同一労働同一賃金」に対応しているところもあります。

現在,同じ企業の中で,正社員(正規雇用労働者)と非正社員(非正規雇用労働者)と雇用形態の異なる人が働いており,非正社員の割合は4割を占めています。

このような現状を踏まえ,

  • 雇用形態にかかわらず待遇を同じにする均等待遇」と,
  • 雇用形態に応じてバランスの取れた待遇にする均衡待遇

の両面から,同じ企業の中での正社員(正規雇用労働者)と非正社員(非正規雇用労働者)との間の不合理な待遇差をなくす必要がある……そうした考えのもと,今回の改正が行われます。

具体的にはこれまでの法律をどのように変えるのか

具体的には,パート労働法をパートタイム・有期雇用労働法に改正する形で実現されます。

これまでパートタイムの労働者の労働条件等のルールを定めた法律として,短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート労働法)がありました。

今回,パート労働法が改正され,有期雇用労働者の労働条件等もカバーし,短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(「パートタイム・有期雇用労働法」)となるのです。

改正のポイント

改正のポイントは3つ

改正のポイントは,

  1. 雇用形態にかかわらず待遇を同じにする「均等待遇」,
  2. 雇用形態に応じてバランスの取れた待遇にする「均衡待遇」,そして,
  3. 待遇差についての使用者の説明義務

の3点です。

1.均等待遇の実現

1つ目は均等待遇の実現です。

同じ企業の中で,正社員と

  1. 職務の内容
  2. 職務の内容及び配置の変更範囲

という2つの考慮要素が同一であるパートタイム・有期雇用労働者について,パート・有期雇用労働者であることを理由に待遇について差別的取扱をすることが禁止されます。

これまで,パート労働者については,パート労働法9条で,特に通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者の待遇を差別的に取り扱うことが禁止されていましたが,有期雇用労働者については規定がありませんでした。

今回,パート労働法がパートタイム・有期雇用労働法に変わることにより,有期雇用労働者の均等待遇も明文化されます(パートタイム・有期雇用労働法9条)。

2.均衡待遇

もう1つは,均衡待遇の実現です。

同じ企業の中で,基本給,賞与,手当など個々の待遇について

  1. 職務内容(業務の内容・責任の程度),
  2. 職務内容・配置の変更範囲
  3. その他の事情の違い

という3つの考慮要素のうち待遇の性質や目的に照らして適切なものを考慮た上で,通常の労働者とパート・有期雇 用労働者との不合理な待遇差を設けることを禁止するものです。

この3つの考慮要素については,具体的には,

  1. 職務の内容とは,業務の内容及び責任の程度
  2. 職務の内容及び配置の変更範囲とは,転勤,昇進,人事異動等の有無
  3. その他の事情とは,成果,能力,経験,合理的な労使の慣行などの諸事情

をいいます。

均衡待遇については,これまで,パート労働者についてはパート労働法8条で,有期雇用労働者については労働契約法20条で規定していました。

パート労働法がパートタイム・有期雇用労働法に変わることにより,パートタイム・有期雇用労働法8条に規定が統一されます。

3.使用者の説明義務

3つ目はパートタイム・有期雇用労働者の待遇に関する説明義務です。

  • 事業主は非正社員(有期雇用労働者,パートタイム労働者,派遣労働者)を雇い入れる際は,正社員等の待遇差の内容や理由について,非正社員に対し説明をしなければなりません。
  • また,非正社員から正社員等の待遇差の内容や理由について説明を求められた場合には,事業主はこれについて説明をしなければならなくなります。

これまで,パート労働法は,事業主に対し,パートタイム労働者の雇入れ時に,雇用管理上の措置の内容雇用管理上の措置の内容(賃金,教育訓練,福利厚生施設の利用,正社員転換の措置等)を,パートタイム労働者に説明することを義務付けていました。

また,パートタイム労働者からの求めに応じて,待遇決定に際しての考慮要素を説明することが義務付けられていました。

今回,パート労働法がパートタイム・有期雇用労働法に改正されることにより,説明の対象が有期雇用労働者にも広がります

また,雇入れ時の説明については,均衡待遇に関して講ずることとしている措置を説明することも加わります

さらに,非正社員から説明を求められる事柄として,正社員等の待遇差の内容や理由も新たに加わります。説明を求めたことにより,解雇その他不利益な取扱いをすることが禁じられます。

事業主としては,待遇差について,現状の確認説明の準備をしておく必要があります。具体的には,

  1. 現状の確認 正社員と非正社員との待遇がどのようなものになっているか現状を確認する
  2. 説明の準備 個々の待遇に差がある場合には,待遇に差がある理由について,職務内容(業務の内容と責任の程度),職務内容・配置の変更範囲等の違いにより不合理なものではないと説明できるようにする

の2つが必要となります。

通勤手当,出張旅費,単身赴任手当については待遇差が禁じられます。

時間外手当や深夜・休日手当も同率の割増をしなければなりません。

これに対し,基本給や賞与,役職手当は,待遇差が生じることは認められていますが,待遇差が不合理なものでないこと,つまり,合理的な理由が必要となります。

すでに「同一労働同一賃金」対応しているところも

現に,外食や小売大手は,同一労働同一賃金への対応を前倒しし,他業種よりも人手不足感が強いことから,人材確保に向け,アルバイトに賞与や手当など正社員と同等の制度を取り入れるようです。

4月5日付の日経電子版によると,スーパー大手のライフコーポレーションでは「子ども手当」の対象を契約社員や嘱託社員にも広げたとのことでした。

また,2月23日付の日経電子版によると,日本通運は,同一労働同一賃金への対応を1年前倒しし,今年の4月から同一労働同一賃金を導入し,給与の引上げのほか,待遇面も正社員と同水準に引き上げるとのことでした。

派遣労働者についても「同一労働同一賃金」に

労働者派遣法の改正

派遣労働者についても,派遣先の正社員との不合理な待遇差を解消するという意味で同一労働同一賃金を目指すべく,労働者派遣法が改正されます。

派遣労働者については,

  • 派遣先労働者との均等・均衡待遇か,
  • 一定の要件を満たす労使協定(派遣元事業主が労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数代表者と締結)による待遇

のいずれかを確保しなければならなくなります。

労使協定方式については,同種の業務に従事する一般労働者の賃金と同等以上でなければなりません。

労働者派遣法改正は,中小企業の場合も来年4月から施行の対象となりますので,注意が必要です。

派遣社員の時給についても動向を注視する必要!

日経新聞電子版(7月18日付)や7月19日付日経新聞朝刊では,厚労省が,派遣社員に勤務年数や能力に応じた賃金を支払うよう人材派遣会社に義務づける指針を出し,例えば,同じ業務で3年相当の経験を積み正社員と同等の仕事ぶりである派遣社員については,時給を初年度より3割程度高くするよう求めると報じていました。今後の動向に注視する必要があります。

中小企業も入念な準備を

中小企業であっても,再来年(2021年)4月には法改正の適用対象となりますので,入念な準備が必要です。

私は,知財と中小企業法務を専門にしつつ,離婚,交通事故,刑事事件,児童虐待問題と,個人のお悩みごとから公益的な活動まで,地域密着で幅広く取り組んでおります。

中小企業の相談の中で最も多いのが労働問題と取引に関するトラブルです。

労働問題で最も多いのが問題社員への対応であり,セクハラ・パワハラ・不正行為が大半を締めます。

さらに,法改正への対応についてのご相談やセミナー・研修のご依頼も相次いでおります。

民法(債権法)改正,働き方改革関連法施行への対応を疎かにすることは,経営上のリスクに繋がりかねませんので,入念に準備をしていく必要があります。

法的サービスの提供を通じて地域経済発展に寄与できるよう努めてまいりますので,ぜひ,ご気軽に相談ください。

クリムト展へ

さて,先週は,豊田市美術館で開催中の「クリムト展」に足を運びました。

クリムト没後100年を記念して東京都美術館で開かれていた展覧会が,7月23日から10月14日まで,豊田市美術館にて開かれます。

クリムトの代表作が豊田市に勢揃いし,クリムトの作風の変化,日本の絵画からの影響も紹介しています。

人は多いですが,東京ほど混んでいるわけではないので,落ち着いて作品を見ることができるかと思います。駐車場も無料ですし。

今年は日本・オーストリア外交樹立150周年ということで,六本木・国立新美術館(〜8月5日)や大阪中之島・国立国際美術館(8月27日〜12月8日)にて「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」が開催され,上野・国立西洋美術館(10月19日〜1月26日)にて「ハプスブルク展」も開かれる予定です。

厳しい暑さはしばらく続くようですが,旅行や美術展から刺激も受けながら,この夏を乗り切っていきたいと思います。

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