民法改正〜保証のルール(賃貸借の保証を中心に)

1.最も日の長い日に半年を振り返る

今日は1年で最も昼が長い夏至です。

時の経過は早く,1年も折り返し地点に近づいています。

先日は,土岐市の織部の里公園へ,ハナショウブを見に行きました。

今日は,夏至ということで,この半年を簡単に振り返りつつ,民法の保証のルールのうち,賃貸借に関連するものを中心に解説します。

経験豊かな半年

1年の折り返しということですが,半年を振り返ると,私が担当する調停事件の件数が2桁に達する状態が続いていて,しばらく新規の相談を入れられないほどでした。

そのような中でも,企業法務(契約・取引に関する問題,労働に関する問題,知的財産権に関する問題など),児童虐待弁護団としての活動など,法曹としての経験をさらに積むことができました。

個人情報保護に関する講演も2回行いました。

さらに,特筆すべきは,多治見西ロータリークラブに最年少で入会したことでしょう。

ロータリアンとしての充実した日々

多治見西ロータリークラブに入会して早速,多治見市立陶都中での出前授業で,2コマ,弁護士の仕事テレビ局の仕事について中学1年生に話しました。

一見華やかに見える職業なので,ドラマには映らない地味なところや,仕事の厳しさ・責任の重さ・仕事に就くためのハードルの高さも包み隠さず伝えました。

教育業界での経験も含め,回り道をしてきた経験がこのような形で活かせるのは感慨深いものです。

ロータリークラブは,体育会系的な雰囲気は一切なく,比較的フラットな雰囲気であるため,私にとって大変居心地がよいものです。

そのような雰囲気の中で,諸先輩方と親睦を深め,先輩方から数々の経験や職業人・企業家としての哲学を学びつつ,逆に自身の専門性で諸先輩方や諸先輩方の経営する企業をサポートできればと思います。

もっとも,飲み過ぎ食べ過ぎには気をつけなければなりません。

2.民法改正〜保証のルール(賃貸借の保証を中心に)

民法改正により,保証人を保護するため,保証に関するルールが大きく変わります。

今回は,賃貸借に関係する範囲のものを説明し,それ以外については次回以降紹介します。

改正ポイントは,

  1. 根保証のルールの変更 個人の根保証契約一般について極度額設定しなければならない
  2. 保証人への情報提供義務 一定の場合に保証人に情報提供をしなければならない

の2つです。

根保証のルールが変わる

まず,来年4月施行の改正民法を機に,民法の根保証のルールが大きく変わります。

根保証とは,継続的な関係から発生する複数の債務を一括して保証することを言いますが,これまでは,貸金等の根保証については極度額(=保証人の負う債務の限度額)を定めないと無効となるというルールがありました。

今回の改正で,そのルールの適用対象が広がり,貸金等の根保証に限らず,個人の根保証契約一般について,極度額(=保証人の負う債務の限度額)を定めないと無効となることとなりました

このルールの変更に伴い,大きな影響を受けるのが賃貸借の保証です。

賃貸借において個人を保証人とする場合には極度額(=保証人の負う債務の限度額)を定めなければならず,極度額を定めない賃貸借の保証契約は無効となります

確かに,賃借人が賃料を滞納していてその額が高額にのぼる場合,保証人の負う債務の範囲が無限に膨れ上がってしまうおそれがあります。

修理費用が高額になる場合や,賃借人が自殺をして建物が事故物件となりその間賃料収入が得られなくなり逸失利益を請求される場合に,保証人の負う債務の範囲が無限に膨れ上がるおそれがありました。

そこで,今回の民法の改正により,極度額(=保証人の負う債務の限度額)を定めなければならず,これを定めないと保証契約が無効となることとなりました。

また,極度額(=保証人の負う債務の限度額)さえ定めればよいというわけではありません。

あまりに高額な極度額を定めてしまうと,公序良俗に違反するとして契約が無効となってしまうおそれがあります

保証人に対する情報提供義務

主たる債務者や債権者が保証人に対して,一定の場合に,情報を提供する義務を負うこととなりました。

賃貸借の保証においても,主たる債務者(賃借人)や債権者(賃貸人)が保証人に対して,一定の場合に,情報を提供する義務を負うこととなりました。

賃貸借との関係では,次のような義務が重要になります。

保証人が請求をしたときには,賃貸人は賃借人の債務の履行状況(債務不履行の有無と残額等)を伝えなければなりません。

つまり,保証人は,賃貸人に対し,賃借人の債務の履行状況(債務不履行の有無と残額等)の情報提供を求めることができることとなりました。

賃貸借の契約書はどう変わるか

民法改正に合わせて,モデル契約書に当たる,住宅宅地審議会答申作成の賃貸住宅標準契約書も改定されました。

連帯保証人型では,頭書(6)に極度額がいくらになるかを明記しつつ,17条で以下のような定めを設けています。

(連帯保証人)
第17条 連帯保証人(以下「丙」という。)は、乙と連帯して、本契約から生じる乙の債務を負担するものとする。本契約が更新された場合においても、同様とする。
2 前項の丙の負担は、頭書(6)及び記名押印欄に記載する極度額を限度とする
3 丙が負担する債務の元本は、乙又は丙が死亡したときに、確定するものとする。
4 丙の請求があったときは、甲は、丙に対し、遅滞なく、賃料及び共益費等の支払状況や滞納金の額、損害賠償の額等、乙の全ての債務の額等に関する情報を提供しなければならない

賃貸住宅標準契約書では,先日説明した箇所についても反映されています。

詳細は,国土交通省のサイトに掲載されているのでご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html

まとめ

保証人を保護するため,民法の保証のルールが大きく変わります。今回はそのうちの,賃貸借に関連するものを中心に解説しました。

それ以外については次回以降解説していきます。

3.なぜ多治見に?

さて,ロータリークラブでは,弁護士は普段どういう仕事をしているのかについてもよく聞かれますが,私がどうして多治見に来たのかもよく聞かれます。

もとより,

  1. 地域密着
  2. 専門性
  3. 地域経済・地域社会への貢献ができる仕事

を志向していました。

そして,さらに,

  1. 「好き」なものと「仕事」がどれだけ重なり合うか。
  2. 「生活」「生命」と「仕事」とのバランスがどれだけ取れているか。
  3. いかに「競争」に巻き込まれないか。そのために「どこ」で「何」を専門に働くか。

この3点のうちの2,3を考えて選んだというかたちになります。

さらに実際に仕事を始めて,「好き」なものと「仕事」がかなりの部分で重なり合っており,1も充足しています。

2019年後半も,さらに弁護士としての仕事やロータリークラブの活動を充実させていきたいと思います。

この記事を書いた弁護士

藤田 聖典
藤田 聖典
長崎県出身,愛知県立旭丘高校・慶應義塾大学経済学部経済学科卒。
大学卒業後,テレビ放送局ディレクターを経て法科大学院に入学。法科大学院修了後,東京都内の有名進学塾の副校長在職中に司法試験に合格し,弁護士資格を取得。
法科大学院では,知的財産法を専攻。合格後の司法修習中も東京地方裁判所の知的財産権部や知的財産高等裁判所(知財高裁)で知的財産を中心に学ぶ。
中小企業の法律問題では,著作権,商標権,意匠権,不正競争防止法,契約書の作成・確認,不動産賃貸借,建築紛争,クレーム対応などが主な取扱い分野。
地域密着の弁護士を目指し,多治見市での就業を選択。
相続・離婚など家庭での法律問題も取り扱っています。

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