データに関する規制の動き,人を大切にすること

今朝の日経新聞1面

今朝の日経新聞1面には,データの寡占独占禁止法による規制を政府が検討しているという記事が載っていました。

この日経の記事で紹介されているように,データの囲い込みを規制し公正な競争を確保する動きが出ている一方で,営業秘密と同じように一定の重要なデータを保護する法整備も進んでいます。そのような一定の重要なデータを保護するため不正競争防止法が改正され,来年7月31日に施行されることとなりました。

そして,私事ですが,先日,司法修習中に配属された裁判所の刑事部の飲み会に誘われ,参加してきました。

今回は,その飲み会のことに触れつつ,不正競争防止法の改正について紹介したいと思います。

1.修習生を送り出す

そもそも司法修習とは

一般の方にはあまり知られていませんが,司法試験に合格しても,それだけで法曹となることはできません。

弁護士法4条は,「司法修習生の修習を終えた者は、弁護士となる資格を有する」と規定しています。

この規定にあるように,司法試験に合格後,約1年間に及ぶ「司法修習」という研修のようなものを経て実務を学び,最後の修了考試(俗に「二回試験」といわれます)に合格して初めて弁護士になります。

司法修習では,司法研修所での座学・試験・模擬裁判に加えて,決められた修習地の裁判所(民事部刑事部),検察庁弁護士事務所に約8週間ずつ配属され,実務を学びます。

私のときは,無給で,専念義務・兼業原則禁止など色々な義務を課せられ,有給休暇などは当然ない,そんな1年間の研修を受け続けるという,ブラック企業もびっくりの仕組みとなっていましたが,それでも,知識・経験・出会いなど得られるものは大きかったように思います。

送り出す会

私は横浜地裁のとある刑事部に配属されて刑事裁判の実務を学んでいました。

その刑事部の部総括判事は,11月の初めに,その部に配属された修習生全員を集め,修習生を送り出す会を催しており,昨年の私は送り出される側でした。

そして今年の会については,今年の9月の初め頃,その刑事部の左陪席(判事補)から連絡があり,「直近の先輩としてよかったら」ということで熱烈なお誘いを受けました。

多治見で働く私にも忘れずに連絡してくれたことに深く感銘を受け,名古屋行の最終のひかり号に乗ればちゃんと多治見まで帰れることを確認し,すぐさまエクスプレス予約をしました。

会には,裁判官,今年その部に配属された修習生に加えて,私を含めた昨年その部に配属されていた同期の弁護士数名が集まりました。

お誘いいただいた左陪席(判事補),今年も修習生のために会を開いていただいた部総括判事,おいしいワインをすすめてくださった右陪席(判事)に深く感謝申し上げます。

2.一定のデータを保護する法改正〜不正競争防止法改正

データを保護する動き

さて,飲み会の話だけでなく,真面目な話もちょっとだけしておきます。

データそのものの価値や影響力が,単に企業の競争力に限らず国際競争力も左右する状況となっています。

その流れの中で,現在,データの囲い込みを規制し公正な競争を確保する動きが出ている一方で,営業秘密と同じように一定の重要なデータを保護する法整備も進んでいます。

従来保護の対象となっていなかったデータ

営業秘密を侵害する行為は不正競争行為の一つとされていますが,営業秘密ではないデータ(技術上又は営業上の情報)を不正に取得・使用する行為は保護の対象となっていませんでした。

データを保護する必要性

例えば,三次元地図データ商品ごとの売上データ,携帯電話の位置情報を用いた人の分布に関するデータを考えてみると,三次元地図データは自動運転システムの開発に役立つ重要なものですし,商品ごとの売上データは経営やマーケティングに役立つ重要なものとなります。

人の分布に関するデータは,混雑・渋滞の解消,災害時の人の動きを分析し防災対策に役立てるなど,重要なデータとなります。

改正内容

そこで,不正競争防止法が改正され,

  1. 特定の者に提供する技術上又は営業上の情報
  2. 電磁的方法により相当量蓄積されている技術上又は営業上の情報
  3. IDやパスワードを施すなど電磁的方法により管理されている技術上又は営業上の情報

の3つの要件をクリアした情報を保護の対象としました。

その他の改正

技術的制限手段(プロテクト)の効果を妨げる行為を不正競争行為の一つとしていますが,プロテクトを破る機器の提供に加えて,シリアルコードの譲渡・提供や,プロテクトを破るサービスの提供も不正競争行為になりました。

さらに,書類提出命令の判断を行う場合に裁判官のみが書類を見て判断する手続(インカメラ手続)を,提出を拒む正当な理由の有無だけでなく,書類提出の必要性の有無を判断する場合にも利用できるようにし,専門委員も関与できるようにする改正もなされています。

3.飲み会にて

約11ヶ月ぶりの再会

さて,話を飲み会に戻しましょう。

刑事部の飲み会では,同期の弁護士とは,仕事やプライベートの近況を語り合いました。

私が仕事で東京方面に行く機会がほとんどなく,関東で働く同期とはなかなか会えませんし,修習地が同じだった人には中部地方で働いている人もいないので,同じ修習地の同期に会ったのは約1年ぶりでした。

ある事務所の話

今年2人の新人を採用したのですが,10月末時点で既に2人とも辞めてしまった法律事務所の話も同期から聞きました。

その事務所は,過去にも,2回,新人弁護士を採用したものの採用した弁護士がすぐに辞めてしまうようなところでした。

今年辞めた2人は,同じ修習地の同期の中でも修習に真面目かつ積極的に取り組むなど優秀な方だったと記憶しています。

そのような有能な人材がなぜ流出したのか,その理由が大変気になるところですが,人を大切にしない,人を丁寧に育てないそんな評判が広まってしまっているようです。

人を大切にすること

これに対して,私が修習中に配属した刑事部は,これから法曹として歩みだす人たちを飲み会というかたちで送り出すように,かなり世話好きであるとともに,人を大切にし,人を丁寧に育てるところだったと改めて感じました。

そして,私は,今,人を大切にする事務所で働いています(笑)

今日は多治見まつり

今日は,多治見市内は「多治見まつり」で市内では朝から太鼓の音が鳴り響いています。

多治見修道院ではワインフェスタをやっています。

そして,明日は,熱田神宮と伊勢神宮まで襷を繋ぐ全日本大学駅伝

今月は,文化,芸術,スポーツ,そして紅葉など秋の深まりを感じていきたいものです。

この記事を書いた弁護士

藤田 聖典
藤田 聖典
長崎県出身,愛知県立旭丘高校・慶應義塾大学経済学部経済学科卒。
大学卒業後,テレビ放送局ディレクターを経て法科大学院に入学。法科大学院修了後,東京都内の有名進学塾の副校長在職中に司法試験に合格し,弁護士資格を取得。
法科大学院では,知的財産法を専攻。合格後の司法修習中も東京地方裁判所の知的財産権部や知的財産高等裁判所(知財高裁)で知的財産を中心に学ぶ。
中小企業の法律問題では,著作権,商標権,意匠権,不正競争防止法,契約書の作成・確認,不動産賃貸借,建築紛争,クレーム対応などが主な取扱い分野。
地域密着の弁護士を目指し,多治見市での就業を選択。
相続・離婚など家庭での法律問題も取り扱っています。

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