望ましい教室の温度は?〜40.7度の多治見で考える

この夏日本でいちばん暑い街(7月21日時点)

今週,多治見市は,40.7度を記録し,報道陣が駅前に集まるなど,全国的にも大変な話題となっていました。

この夏日本でいちばん暑い街(7月21日時点)となった多治見市。

他の地域の方には驚かれるかもしれませんが,多治見にいると,38度だと,ちょっと涼しいな,32度だと,今夜の風はひんやりしているな,などと感じてしまうほど,感覚が麻痺してしまいます。

とはいえ,多治見の話題はこれだけにとどまりませんでした。

 

多治見の公立小中学校の教室にはエアコンが……

40.7度を記録するなど大変暑いにもかかわらず,市内の公立小中学校の教室にはエアコンが設置されていない

……情報番組やネットの記事では,こうした観点から,多治見市が取り上げられてしまいました。

多治見市の場合,全部の学校に完備するとなると10数億円かかるそうですが,市はようやく設置に向け動き出したとのことで,多治見の動きが近隣の市にも広がるか注目したいものです。

望ましい教室の温度は?

この猛暑を機に,エアコンを設置しないとさすがにマズい,ということで,公立の小中学校の教室へのエアコン設置は加速しそうですが,そもそも,学校の教室の温度について,なにか,決まりごとはないのでしょうか。

学校保健安全法6条を見ると……

学校保健安全法6条2項では,

学校の設置者は、学校環境衛生基準に照らしてその設置する学校の適切な環境の維持に努めなければならない。

さらに,同条3項では,

校長は、学校環境衛生基準に照らし、学校の環境衛生に関し適正を欠く事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善のために必要な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができないときは、当該学校の設置者に対し、その旨を申し出るものとする。

としています。

学校環境衛生基準に定められている

この学校保健安全法に出てくる学校環境衛生基準は,児童生徒等及び職員の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として文部科学大臣が定めるものです。

実は,この学校環境衛生基準に,教室の温度はどのくらいが望ましいかについても規定されています。

この,学校環境衛生基準では,昭和39年から今年の3月まで54年もの間,

10度以上30度以下

とされてきました。

冬は10度以上,夏は30度以下が「望ましい」とされてきたのです。

しかし,30度以下というのはどうでしょう。

家の中の温度計が30度になっていれば,エアコンを付けて26度や28度に下げようとする人が多いのではないでしょうか。

さらに冬の10度以上はどうでしょう。

あまりに低すぎると感じる方が多いのではないでしょうか。

大人の職場(事務所)についての基準だと……

また,大人の職場については,労働安全衛生法に基づく厚生労働省令として事務所衛生基準規則があり,そこに一定の基準が定められています。

事務所衛生基準規則5条3項は,空調設備を設けている事務所については,

17度以上28度以下

になるよう努めなければならないとしています。

それなのに,子どもには10度以上30度以下という時代錯誤な基準を強いるのはおかしいのではないのでしょうか。

学校環境衛生基準の改正

このように,10度以上30度以下というのは,児童生徒等及び職員の健康を保護する上で維持されることが望ましい温度だとは考えられません。

そこで,今年の4月に,文部科学省の学校環境衛生基準の一部が54年ぶり!に改正され,従来の10度以上30度以下から,

17度以上28度以下

に変更されました。

子供にとって望ましい環境とは?

今週,多治見市内は38度を超える日が続き,多治見市内の小中学校の多くの教室では,望ましいとされる28度以下を遥かに超える温度になったことでしょう。

学校が始まる時間には既に30度を超え,日中には38度から40度に達する。

……今の夏の学校は,私たちが小学生だった頃には想像できないような過酷な環境であることは間違いありません。

学校における教育活動が安全な環境において実施され,児童生徒等の安全の確保が図られるためには,どうしたらいいのか。

そのための第一歩がエアコンの設置ではないでしょうか。

今週は,こんなことを強く考えさせられる一週間でした。

多治見からちょっと離れて

話はだいぶ変わりますが,先日,三連休初日に,岩村と明智まで足を運びました。

どちらも某ドラマの影響でかなりの賑わいを見せています。

東濃地方の魅力的な場所,まだまだ行けていないところがたくさんあるので,この夏,ひとつひとつ巡っていきたいものです。

この記事を書いた弁護士

藤田 聖典
藤田 聖典
長崎県出身,愛知県立旭丘高校・慶應義塾大学経済学部経済学科卒。
大学卒業後,テレビ放送局ディレクターを経て法科大学院に入学。法科大学院修了後,東京都内の有名進学塾の副校長在職中に司法試験に合格し,弁護士資格を取得。
法科大学院では,知的財産法を専攻。合格後の司法修習中も東京地方裁判所の知的財産権部や知的財産高等裁判所(知財高裁)で知的財産を中心に学ぶ。
中小企業の法律問題では,著作権,商標権,意匠権,不正競争防止法,契約書の作成・確認,不動産賃貸借,建築紛争,クレーム対応などが主な取扱い分野。
地域密着の弁護士を目指し,多治見市での就業を選択。
相続・離婚など家庭での法律問題も取り扱っています。

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