成年年齢が20歳から18歳に引き下げられるとどうなるのか?

 

平成30613日、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることなどを内容とする民法の一部を改正する法律が成立しました。

 

成年年齢の見直しは、1876年(明治9年)の「太政官布告」以来とのことで、実に約140年ぶりの改正ということになるようです。今回の改正法は、202241日に施行されますので、あと4年もしないうちに、成年の年齢は18歳ということになります。

 

今回の改正は、選挙権の年齢を18歳以上とする公職選挙法の改正に続くものです。その趣旨は、18歳、19歳の若者が、自らの判断によって人生を選択することができる環境を整備するとともに、その積極的な社会参加を促し、社会を活力あるものにするなどと説明されています。

大切なことは、現在の「成年」や「20歳」を基準としている法の趣旨から検討を加えることです。民法の成年年齢の引き下げにより、変更される法律もあれば、これまでと変わらず20歳という基準を維持するものも存在するのです。

 

それでは、今回の改正によって、どの部分に変更が生じ、どの部分に生じないのかを確認していきたいと思います。

 

 

 有効な契約をすることができる年齢が18歳となる

 

これまで、未成年者(18歳、19歳)が、契約といった法律行為をするためには、親権者の同意が必要でした(民法51項)。例えば、遠方の大学に進学して、アパートを借りるとか、ローンを組んで車を購入するといった場合には、親の同意が必要だったわけです。

そして、未成年者が親権者の同意を得ずに行った法律行為については、未成年者であることだけで取り消すことができました(民法52項)。

この未成年者取消権は、未成年者が違法・不当な契約を締結するリスクを回避するに当たって絶大な効果を有しており、かつ、未成年者に違法・不当な契約を締結するよう勧誘しようとする悪徳業者に対しては強い抑止力となっていました。

 

今回の改正により、親権者の同意なく有効な契約ができる年齢も18歳となりますので、消費者被害の拡大が大いに懸念されるところです。

そこで、今国会において消費者契約法の改正も行われており、一定の不当な契約について取消権を補充しています。ただし、被害防止対策のための更なる法整備は必要だと思いますし、啓発活動も重要になることは間違いないところです。

 

 

2 親権に服することがなくなる年齢が18歳となる

 

夫婦の間に未成年の子がいる場合は、離婚届を提出する際に、親権者を定めて記載する必要があります。成年年齢の変更により、18歳以上の子どもについては親権者を定める必要はなくなりますので、そういった紛争は生じなくなります。

 

問題となるのは、養育費です。

既に、離婚協議書などで養育費の取り決めをしている場合、その終期を「子が成人に達する月まで」という形で決められている場合には、作成時の20歳なのか、改正後の18歳なのかについて疑義が生じる可能性があります。

そうすると、離婚協議書などで養育費を定める場合には、一義的に明確な終期(〇〇年〇月)を定めておくべきということになります。

 

次に、これまでは20歳までが原則とされてきた養育費について、成年年齢の引き下げにより18歳までが原則とされてしまうのではないかという疑問です。この点については、法の趣旨からすれば、これまでの取り扱いに変更を生じさせるべきではないと考えられます。

 

 

 婚姻開始年齢が18歳に統一される

 

現行法では男性18歳、女性16歳が婚姻開始年齢とされています(民法731条)。今回の改正により、女性の婚姻開始年齢を引き上げ、婚姻開始年齢は男女とも18歳に統一されることになりました。

 

 

 

 その他の改正

 

その他、今回の引き下げによって、18歳に引き下げられるものと、20歳を維持するものの主要なものをまとめると、以下の表のようになります。

 

(法務省の公開資料)→http://www.moj.go.jp/content/001261083.pdf

 

  

①18歳に変わるもの

 

表で見ると、左側の部分が18歳に変わるものです。

上段は、法律に「20歳以上」などと規定されているために改正が必要となるもので、下段は、「未成年者」などと記載されているために改正する必要がないものです。

 

主だったところでは、帰化の要件が18歳となります。また、現行の旅券法では未成年者は有効期間5年のパスポートしか取得できませんが、今後は10年も取得できるようになります。その他性別の取扱いの変更の審判も18歳となります。

 

また、未成年者が欠格事項となっていたりする資格のうち、公認会計士資格、医師免許、歯科医師免許、獣医師免許、司法書士資格、土地家屋調査士資格、行政書士資格、薬剤師資格、社会保険労務士資格などは18歳から取得可能となります。

 

 

② 20歳を維持するもの

 

表で見ると、右側の部分が18歳に変わるものです。

 

喫煙、飲酒、競馬・自転車競技・小型自動車・モーターボートなどのギャンブル、養子を取ることができる者の年齢は現行法と同じく20歳が維持されます

また、国民年金保険の被保険者資格や、大型・中型免許等の取得年齢も20歳が維持されます。

その他、特別児童扶養手当の支給対象となる者の年齢も20歳で変更はありません。

 

 

 

それでは今週も頑張ります!今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!!

 

 

この記事を書いた弁護士

田中敦
田中敦
岐阜県土岐市出身,多治見北高・北海道大学卒。
瑞浪市役所勤務後,法科大学院に入学し,弁護士資格を取得。
法科大学院では労働法を専攻。
現在は,交通事故案件,労働案件(事業主側)を中心的に取り扱っています。

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