数字にコミットする〜私の「営業」経験

今年の初めは,氷点下の朝が続くなど,暑い街というわりに寒さも結構厳しいな,などと感じていたのですが,時が経つのは早いもので,今週は最高気温が30度を上回る日がありました。

昨日の14時21分頃の多治見駅前の温度計は,30.7度を表示していました。

今週は司法試験が行われています

今週は,水曜から明日まで司法試験が行われています。

受験資格

現在の司法試験は,まず,受験資格として,凋落顕著な法科大学院を修了するか,競争の激しい予備試験に合格するかのいずれかが必要になります。

試験会場

東京・大阪・名古屋・札幌・仙台・広島・福岡が会場となり,名古屋では例年,(大相撲名古屋場所が行われる)愛知県体育館で開かれ,競技場に多くの机と椅子が並べられ,数百人が受験します。

試験日程

試験は,なんと4日間(!)かけて行われます。

(ちなみに司法試験に合格した後に1年間司法修習に行くことになりますが,その司法修習の最後に受けなければならない試験は5日間です)

1日目は,選択科目(労働法,倒産法,独禁法,知財法などから1科目選択)の論文式試験(論述試験)が3時間憲法行政法の論文式試験がそれぞれ2時間ずつとなります。

2日目は,民法商法民事訴訟法の論文式試験がそれぞれ2時間ずつあります。

2日目と3日目との間には1日休みが入り,3日目は,刑法刑事訴訟法の論文式試験が2時間ずつあります。

このように3日間で計8科目書き続けるのでかなりクタクタな状態になるのですが,これで終わりではなく,最終日,4日目にこのクタクタな状態で短答式試験(マークシート式試験)を受けます。

科目数は3科目で,憲法20問50点満点,民法35問前後75点満点,刑法20問50点満点となります。

この最終日の短答式試験で一定の点数をクリアしないと,3日間書き続けた論文式試験の答案を採点してもらえないという悲劇が待っています。

(でも,短答式試験は,ちゃんとやれば,9割,私のように仕事で忙しく勉強時間を確保できない人でも8割は取れるはずです)。

合格に必要な勉強時間は?

あるアナウンサー出身の弁護士が書いた本に,1日12時間勉強しないと受からないなどといったことが書いてあるのですが,それは正しくないと感じています。

それでは,外で仕事をしながら,あるいは,家事・子育てをしながら合格することが無理だということになります。

しかし,実際にはそうではありません。

なにより,私は,(合格まで年数はかかりましたが)1日2,3時間の勉強時間をなんとか確保して,仕事をしながら合格しています。

どんな仕事をしながら司法試験の勉強をしたか

ここ何回か,まじめな法律の話ばかり書いていましたが,これだけではつまらないかもしれないので,たまには,私は弁護士になる前にどういう仕事をしてきたのか,特に,司法試験の勉強と並行してどういう仕事をしてきたのかについて書いておきたいと思います。

受験体験記はまた後日紹介することと致します。

私の営業経験

今日は,私が経験してきた仕事のうちの一つ,自分の営業経験について紹介したいと思います。

「営業」をしたことがあります

かつて私は営業をしたことがあります。

しかし,それは,多くの方が「営業」と聞いてパッとイメージするタイプの営業ではありません。

どんな「営業」を経験したのか。

私が経験した2つのタイプの「営業」

私が経験した営業は2つのタイプのものがあります。

ほぼ有無を言わせずに契約を締結させるタイプの営業

1つは,アンテナや電柱からのケーブルテレビの線と営業端末を見ながら1軒1軒を回り,

”あれ?この部屋,パラボラアンテラがベランダにあるのに衛星の契約も普通の契約もしていないな,おかしいな”

と感じつつ,インターフォンを押して,ロールプレイでやったとおりのやり取りをして,玄関先に出てくるようにさせ,出てきたら,ほぼ有無を言わせずに契約を締結させるタイプの営業。

契約の性質上,普段比較的孤独に過ごし話し相手を欲する人を除けば,契約者から感謝されることがほぼないものになります。

教育業界で経験した営業

もう1つは,電話などでの問合せを受け,店舗に来てもらい,そこでサービスを体験したり話をしたりして契約につなげ,契約して終わりではなく,その後も終始丁寧に対応し,顧客満足度を高めてゆき,最終的な希望の実現のため力を尽くす。そういうタイプの営業です。

前者はどこでどういう「研修」の中で経験したかは詳しくは言いませんが(笑),後者は教育業界で経験したものになります。

教育業界での「営業」経験

教育業界での「営業」?

教育業界で「営業」と聞いても,ピンと来ないかもしれません。

私は教育業界において,単に塾講師として授業を教えるだけではなく,校舎を運営する立場として,生徒を継続的に集めて校舎の規模を大きくし売上も増やすことをやってきました。

例えば,司法試験に合格した年は,副校長として,個別指導の校舎で年間で5000万円の売上を出すことが課せられていました。

ちなみに副校長という立場だったのですが,校長になるための研修は既に受けていました。

しかし,校舎の顔である校長になると,途中で辞めるとなるとなった場合に,副校長が途中で辞めるのとは比べ物にならない影響が生じ,司法試験に合格しても年度の途中で辞めることができなくなるため,「まだまだこの業界の経験は浅く早すぎますので」「今年度は東大の合格者を出せなかったので」などというように,何かと理由をつけて副校長のままでいました。

校舎の売上を増やすにはどうしたらいいのか

さて,売上を上げるためには,生徒の数各生徒が契約する科目数(個別指導だとコマ数)を増やす必要があります。

もちろん,単に広告宣伝や営業だけでなく,サービスの質の確保,具体的には,優秀な講師をどれだけ確保でき,どう育てていくかといったものや,面倒見の良さというのも不可欠なのですが,今回は営業の話,特に新規顧客を獲得する活動に絞りたいと思います。

不利な立地で売上達成

私が勤めた校舎は,立地の点で年間で5000万円を売り上げるのは難しい場所にありました。

23区内ではない一方,校舎が有数の歓楽街の中にあり,夜の治安は必ずしも良好ではなく,校舎から駅に向かう道すがら,キャバクラの客引きが何人もいるというところでした。

そういう不利な立地の中で,月の新規入塾者で上位をキープし,売上を増やしていきました。

それはどうしてなのでしょうか。

数字を出すために必要なこと

そもそも,生徒の数という数字を出すためにはなにをすべきか。

それは,大して難しくなくて,(1)問合せを増やす,(2)問合せを来塾につなげる,(3)来塾を入塾につなげる,の3つをしっかりクリアできればいいのです。

……が,これができるかできないかの差が,校舎ごとの売上の差となっていました。

問題は問合せの少なさ

私のいた校舎は,自分も含めて,授業や受験指導の質,持っている情報量,面倒見の良さには自信があります。提供するサービスの質は他の校舎や他の塾には絶対に負けないという自信がありました。

問題は問合せの少なさでした。

不利な立地不十分な広告ゆえ問合せが少なく,問合せを増やすには限界があるため,私の校舎の場合は,問合せの少ないときもいかに確実に来塾につなげるかが鍵となりました。

制約を前提に頑張るしかない

広告費が限られ,問合せを劇的に増やすのが難しい。

ホームページもブランドイメージを重視しすぎて抽象的なものに終始し,校舎独自の情報を提供するのが難しく,集客に大して役立たない。

チラシも,校舎単位での予算がかなり少なく,本部が作成するチラシが現場の事をよく考えず具体性のないもので,広告としての効果が期待できない。

そうなると問合せが少ないのは当然です。

となると,問合せを劇的に増やすのは難しくなります

こうした,自分ではどうしようもないような制約の中で少ない問合せを確実に来塾に繋げ,来塾を入塾につなげるしかありません

丁寧な対応により問合せを確実に来塾・入塾につなげる

周辺の他塾と比べて,授業や受験指導の質,持っている情報量には絶対的な自信があったので,丁寧な電話対応やたまたま塾の前を通りかかって入ってくるというような飛び込み客への丁寧な対応により,コンスタントに問合せの9割を来塾につなげ,問合せの8割は入塾につなげたと記憶しています。

問合せ電話を来塾につなげる電話対応はかなり鍛えられました。

当時感じていたこと

もどかしさ

私は,当初は,お預かりする子どもたちの結果を出すということには強くこだわっていましたが,数字を出すというのはそこまでこだわっていませんでした。

しかし,生徒がたくさんいて受験が近づくにつれてどんどん盛り上がっていく活況をひとたび体感してしまうと,次のシーズンも活気ある校舎にしたいと思うようになり,新規入塾者数という「数字」を出すことに対してもかなりコミットしていきました。

とはいえ,もどかしさのほうが大きかったと思います。

生徒の合格や校舎の売上という結果は出す一方,自分自身については司法試験合格という結果を出せずにいる。

当時はそんなもどかしさのほうが大きかったように記憶しています。

しかし,士業を営む場合にも,教育業界における,問合せを増やす問合せを来塾につなげる来塾を入塾につなげる,という3つのポイントは,提供するサービスの質とともに,重要な意義を持つように思います。

当時の経験がある程度今に生き,今後も役立つのではないかと考えています。

まとめ

私が司法試験の勉強と並行してどういう仕事をしてきたのかお分かりいただけたでしょうか。

今後も,著作権についての解説をしつつ,飽きたら過去の仕事のことや司法試験のことも紹介していきたいと思います。

それではよい週末を。

この記事を書いた弁護士

藤田 聖典
藤田 聖典
長崎県出身,愛知県立旭丘高校・慶應義塾大学経済学部経済学科卒。
大学卒業後,テレビ放送局ディレクターを経て法科大学院に入学。法科大学院修了後,東京都内の有名進学塾の副校長在職中に司法試験に合格し,弁護士資格を取得。
法科大学院では,知的財産法を専攻。合格後の司法修習中も東京地方裁判所の知的財産権部や知的財産高等裁判所(知財高裁)で知的財産を中心に学ぶ。
中小企業の法律問題では,著作権,商標権,意匠権,不正競争防止法,契約書の作成・確認,不動産賃貸借,建築紛争,クレーム対応などが主な取扱い分野。
地域密着の弁護士を目指し,多治見市での就業を選択。
相続・離婚など家庭での法律問題も取り扱っています。

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