法律問題と税金関係について

 

今回は、法律問題と税金関係について書いてみようと思います。

 

法律問題と税金関係として、まず思いつくのは相続の場面です。相続の遺産分割などの場面においては、弁護士だけではなく、税理士や司法書士の方々とチームを組んで取り組むことが多くあります。

それ以外にも、法律問題には、必ずと言ってよいほど税金の問題がついてまわります。ですから、税金の問題を頭の片隅に置いて考えておかないと、思わぬ税金の負担に苦慮することになりかねません。

 

例えば、民法上「時効取得」という制度があります。これは、他人の土地であっても、自己の土地であると信じて、20年といった一定期間、平穏・公然と占有を継続していれば、時効を援用することによって、所有権を認めましょうという制度です。

この制度を使って、裁判をして土地の所有権を自己に移転させるということを想定します。この場合、上記の要件を立証できれば、判決により移転登記をすることができる訳ですが、やはり税金の問題が出てきます。

 

まず、土地を取得する場合には、国税として「一時所得」としての所得税がかかります。

 

国税庁の「タックスアンサー/ No.1493 土地等の財産を時効の援用により取得したとき」には、以下のとおり記載されています。

 

土地等の財産を時効の援用により取得した場合には、その時効により取得された土地等の財産の価額(時価)が経済的利益となり、その時効により取得した日の属する年分(時効を援用したとき)の一時所得として、所得税の課税対象となります。

【所得の計算方法】

 土地等の財産を時効の援用により取得したときの一時所得の金額は、次のとおりです。

時効取得した土地等の財産の価額(時価) - 土地等の財産を時効取得するために直接要した金額 - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額

※ 課税の対象になるのは、この金額を更に1/2にした金額です。

 

 

ここで「土地等の財産を時効取得するために直接要した金額」、つまり取得費については、例えば裁判をした際の弁護士費用は含まれません。特別控除の50万円を除いて、殆ど控除できる部分は想定できないことになります。そうすると、例えば1000万円の土地を時効取得すると、一時所得の金額は950万円となり、その2分の1の475万円について課税対象になることになります。

 

国税は以上のとおりなのですが、次に、県税としての「不動産取得税」が問題となります。

不動産取得税の構造も、経済的利益から取得費を控除するということになるのですが、不動産取得税については、時効完成時(20年経過時)から5年が経過した場合には、不動産取得税は時効消滅するとの見解でした(ここは個別に確認していただく必要があると思います。)。

国税と県税で取り扱いが異なる理由はよく分かりませんが、関係する税金はほかにもあります。一時所得がかかって前年所得が増加すると住民税にも影響が生じます。また、社会保険料関係にも影響が生じます。

 

このように、取得時効によって土地を取得する場合、税金関係を無視することはできませんし、思わぬ落とし穴にもなりかねません。

 

その他の法律問題を解決していくに当たっても、やはり税金関係は無視できませんので、その点も想定して、最もメリットのある方法を選択していくことが重要になってきます。

 

 

長澤運輸事件最高裁判決について

 

今回は,長澤運輸事件最高裁判決の詳細について見ていきたいと思います。

 

本件は,正社員を定年退職して,高年法に基づき再雇用された有期労働契約者が,正社員との間の賃金格差を争った事案であり,定年退職前後で,職務内容や変更範囲が同一であるという事情が存在した事案です。多くの会社が同様の問題を抱えているため,大変注目された判決でした。

 

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ハマキョウレックス事件最高裁判決について

 

今回は,ハマキョウレックス事件最高裁判決の詳細を見ていきたいと思います。

 

1 事案の概要

ハマキョウレックス(以下「会社」という。)は,一般貨物自動車運送事業等を目的とする株式会社であり,一審原告の有期労働者は,平成20年10月6日頃,会社の彦根支店と有期労働契約を締結し,トラック運転手として配送業務に従事していました。原告の労働契約は,その後順次更新されていましたが,正社員との間で以下のような賃金等の違いがありました。

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同一労働同一賃金-2つの最高裁判例(ハマキョウレックス事件・長澤運輸事件)から-

 

本年6月1日、労契法20条の関する2つの最高裁判決が出されました。

 

契約社員のドライバーが、正社員にのみ諸手当等が支給されるのは労契法20条に抵触する不合理な労働条件として差額を求めた訴訟(ハマキョウレックス事件)と、定年後継続雇用したドライバーの賃金を2割引き下げたことが期間の定めの有無によるもので不合理であると訴えた訴訟(長澤運輸事件)の2事件です。

 

どちらも、無期労働契約の正社員と、職務内容が同じ有期労働契約の非正規社員との間に存在していた賃金格差の適法性が争われた事件です。

 

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