交通事故でむち打ちとなってしまったら・・・

l_040今回は、むち打ちと後遺症について書こうと思います。

むち打ちで苦しんでみえる方々の症状が改善して完治すればそれが一番望ましいのですが、残念ながら、完治することなく症状固定(これ以上治療を継続しても症状の回復が見込めない状態)として治療終了となってしまうことも多いのが実情です。

症状固定となった場合には、後遺障害に当たるかどうかの手続きに入ることになります。

 

1 後遺障害とは?

後遺障害とは、交通事故によって受傷した精神的・肉体的な傷害が、将来においても回復の見込めない状態となり、交通事故とその症状固定状態との間に相当因果関係が認められ、その存在が医学的に認められるもので、労働能力の喪失を伴うもので、その程度が自賠法施行令の等級に該当するものをいいます。

つまり、後遺症の中でも、自賠責保険で保護される対象となるものが後遺障害ということなのです。

 

 2 後遺障害等級認定手続き

では、その後遺障害の等級というものは誰が認定するのでしょうか?

これは、裁判になれば裁判所が認定するのですが、示談交渉の過程では損害保険料算出機構の下部組織である自賠責損害調査事務所という機関が認定しています(但しJA共済を除く)。認定を受ける手続には①事前認定と、②被害者請求による認定とがあります。

①事前認定とは、加害者に対人賠償保険があり、一括払い(本来ならば自賠責保険会社が支払うべき自賠責保険分も含めて、対人賠償保険会社が被害者に支払うこと)がなされる場合に、対人賠償保険会社が、調査事務所に関係書類を送付して後遺障害等級認定を受ける制度です。

一方、②被害者請求とは、被害者が自賠責保険会社に請求書を提出することによって、後遺障害等級認定を受け、自賠責保険会社を通じて調査事務所の通知を受ける制度です。

いずれの方法であっても、調査事務所が後遺障害等級の認定をすることになります。これは原則書面審査なので、提出される資料が同一である限りは、結論は変わらないはず、ということになります。

 

3 むち打ちの後遺障害等級

むち打ちの場合には、その症状に従い、12級、14級などに該当する可能性があるものの、非該当とされることも多いです。

ここで、12級に該当する場合とは、「局部に頑固な神経症状を残すもの」、つまり、症状が神経学的検査結果や画像所見などの他覚的所見により、医学的に証明できるものをいいます。したがって、他覚的所見に乏しいむち打ちでは、12級と認定されることが難しいわけです。

一方、14級に該当する場合とは、「局部に神経症状を残すもの」、つまり、受傷時の状態や治療の経過などから連続性や一貫性が認められて、医学的に証明できないまでも説明可能な症状であり、単なる被害者の誇張ではないと医学的に推定されるものをいいます。したがって、確たる他覚的所見がない場合であっても、14級に該当する可能性はあるということになります。

なお、裁判例においては、後遺障害は非該当であるものの、症状の程度は無視する事はできないとして、慰謝料及び逸失利益の一部を認めたものもあります(横浜地判平成20年11月14日など)。

 

 4 後遺障害等級認定に不服がある場合

不服を申し立てる手段として、認定の再検討を求める異議申立ての制度があります。

また、裁判外紛争解決手続(ADR)として、一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構に対する不服申立手続もあります。同機構は、自賠責保険会社・共済組合の結論の適確性を判断することから、新たな資料を送付しても審議対象としない、としているため、新たな医証を提出するような場合には、異議申立てを先にしなければなりません。また、同機構への不服申立てによって時効は中断しないので注意が必要です。同機構のサイトによると、平成24年度では799件の申立てがあり、67件の後遺障害等級が変更されたようです。

 

むち打ちで苦しんでみえる方々とお会いする度に、「何とか適正な補償がなされるようにしたい」と感じます。それで、今回はこんな記事を書かせていただきました。

それでは今週も頑張ります!最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

この記事を書いた弁護士

田中敦
田中敦
岐阜県土岐市出身,多治見北高・北海道大学卒。
瑞浪市役所勤務後,法科大学院に入学し,弁護士資格を取得。
法科大学院では労働法を専攻。
現在は,交通事故案件,労働案件(事業主側)を中心的に取り扱っています。

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