債権法改正シリーズ第1回 債権法改正の概要について

近、「民法改正」、「債権法改正」についてのお問合せも多くなってきました。

 

そこで、今回から何回かに分けて、「債権法改正シリーズ」として、債権法改正の内容と、これによる実務への影響について連載していきたいと思います。

 

 

 

1 債権法とは?

 

平成29526日に、「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律第44号)が国会で成立しました。

 

皆さんお気づきのとおり、「債権法」という法律はありません。法律は「民法」ですね。

今回の改正は、民法の中のいわゆる「債権法」と呼ばれている部分を大幅に改正するので、「債権法改正」などと言われることがあるのです。

  

現行民法は、1986年(明治29年)に制定されたものであり、既に120年ほど経過しています。この民法は、戦後の憲法制定によって親族・相続法部分が全面的に改正され、その後も、複数回にわたって重要な改正が行われてきました。しかし、債権法関係については、ほとんど改正が行われないまま現在に至っていました。

 

今回の民法改正は、この債権法部分について、現行民法の制定以来、初めて抜本的な規定内容の見直しがされたものということができます。

 

 

 

2 債権法改正の概要

 

  今回の改正内容は、①意思表示関係、②消滅時効関係、③債権の内容関係、④責任財産の保全関係、⑤多数当事者の債権関係、⑥債権譲渡及び債務引受関係、⑦債権の消滅関係、⑧契約の成立関係等に及んでおり、多数の改正が行われます。

 

それでは、どうして今回120年ぶりの大改正が行われたのでしょうか?

 

この点については、新法の改正理由を見ると、「社会経済情勢の変化に鑑み、消滅時効の統一化等の時効に関する規定の整備、法定利率を変動させる規定の新設、保証人保護を図るための保証債務に関する規定の整備、定型約款に関する規定の新設等を行う必要がある、これが、この法律案を提出する理由である。」とされています。

 

1986年(明治29年)の現行民法制定当時から、社会経済情勢が大きく変化していることは明らかです。その間、債権法を改正せずに済んでいたのは、債権法に直接規定のない契約や、それらから派生する様々な論点について、重要な判例や学説が積み重ねられてきたからでしょう。しかし、ともすると債権法を一見しただけでは分かりづらい解釈が増えてきたのも事実といえます。今回の債権法改正は、これらの確立した判例や学説を明文化するための改正が大部分を占めています。

 

もっとも、今回の債権法改正には、現行民法に規定するルールを実質的に変更する項目も含まれていますので、実務への影響も大きく注意が必要です。具体的には、改正理由にもあるとおり、消滅時効関係、法定利率関係、保証債務関係、定型約款関係、その他、売買・消費貸借・賃貸借の変更については十分理解しておく必要があると思います。

 

 

 

3 債権法改正の施行日について

 

  この法律(民法の一部を改正する法律)の施行日は、公布の日(2017(平成29)年62日)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日とされていますので、遅くとも、2020年の6月には施行されることになります。

この債権法改正の施行日までの間に、様々な方法で債権法改正の周知がされることになります。

  

今回の債権法改正により、どのような点が変わることになるのか、次回以降に具体的に見ていきたいと思います。

 

 

それでは今週も頑張ります!今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

この記事を書いた弁護士

田中敦
田中敦
岐阜県土岐市出身,多治見北高・北海道大学卒。
瑞浪市役所勤務後,法科大学院に入学し,弁護士資格を取得。
法科大学院では労働法を専攻。
現在は,交通事故案件,労働案件(事業主側)を中心的に取り扱っています。

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