子どもの脳と心を鍛えるために大切なこと~子どもへのまなざし

いつも読んでいただき,ありがとうございます!

今回は,私が息子の子育てで悩んで行き着いた本「子どもへのまなざし」から,

子育てで大事なこと,特に「子どもの脳と心の発達のために大事なこと」に気づいたのでご紹介します。


子どもも,大人も,ある「特別な人」と「あること」をしているときに,脳が活性化していることに驚きました!


この本は,以前にご紹介した本「一人親でも子供は真っ直ぐに育つ」の著者である児童精神科医の佐々木先生です。

以前,刑事事件の弁護をしていたとき,殺人をしてしまった大人に会って,
どうしてこういう「大人」になっていくのだろう・・・と悩んだ。

また,児童虐待の相談を受ける中で,おなかを痛めて産んだ子にどうしてこんなに酷い暴力をふるうのだろう・・・と思った。

自分が子どもを産んで,どうしたら,そういう「大人」にならないように出来るのだろう
子育てで大事なことは何だろう・・と今でも不安を感じることは多い。
「大人」になってからでは,もう変わることは出来ないのだろうか?


この本を読んで,子どもから大人になっていく「成長段階」に応じて,
脳と心の発達のために必要な「栄養」があると気づいたので,お伝えします。

 


1 人を信じること~乳幼児期

子どもの脳と心が,上手く発達していくために最も大切なことは
「人を信じること」ができるようになること。

人を信じることができるようになって初めて,次のステップに進める。


子どもに「人を信じる」ようになってもらうために,親はどうしたらいいか?

泣いたら,おっぱいを与える,あやす,だっこをする・・ということ。


赤ちゃんや幼児にとって,自分が望んだように愛されたという体験を持つことが重要なようです。

そして,赤ちゃんは「望んだようにしてくれた人を信頼する」


脳と心の発達のために乳幼児に必要な「栄養」は,子どもの望むものを与える,ということのようです。

このことにより,「基本的信頼」関係が育つと,子どもは自然と信頼する親の言うことを聞く,という段階に進んでいけるようです。


考えてみると・・・子どもが赤ちゃんの頃,なんでこの忙しいのに今「おっぱい要求するねん!」とは思わなかったな・・・
自分が疲れていて,しんどいと「待ってくれ~~」と思うことはあったけど。

大人同士の関係では考えにくいけれど,赤ちゃんに対しては,振り回される大人・・・

言いなりになるばかりじゃ,子どもがわがままになる?なんて思っていたけれど,極端に言うと,先に親である私たちが自分の言いなりになってくれたから,その親のことを信頼して,言うことを聞いてくれるようになるんだな・・・と思いました。


みなさんは,親を振り回していた時期,覚えていますか?

楽しんで,赤ちゃん達に振り回されていますか?

 


2 大好きな人とのコミュニケーション


子どもが思春期以降になると,「アイデンティティ」を確立する時期になる。

このときに必要なのは「価値観の共有できる友達を持つこと」だそうです。

でも,「価値観があう」友達を見つけるにはどうしたらいいのでしょうか?


それは,多くの友達と「面と向かって」コミュニケーション,話をすることです。

 

佐々木先生が見ていたNHKの番組である実験をしていたそう。


幼い女の子が話しているときの,脳の状態を測定していた。


その結果は,「誰と」話すかで,活発に働く場合と働かない場合に差が出ていたそうです・・

 

女の子の前頭葉,前頭前野が活発に働き出した「ある特別」な相手とは・・・


「お母さん」

 

ところが,お母さんの隣のインタビュアーの人と話し出すと・・・

脳は殆ど働かなくなってしまったそう。

 

見た目には,全く同じように良い雰囲気でおしゃべりを続けているように見えるのに・・・

お母さん相手に話をする場合と,それ以外の方の話す場合では違っているのですね・・・

 

また,別の実験の紹介もありました。


仲の良い女性アナウンサー同士が,面と向かって話しているときは前頭前野が活発に動いていた。


ところが,

一人が,隣の部屋に移って「携帯電話」で話し出したら・・・

また全く脳は動かなくなってしまった。


この2つの実験から言えるのは,
人間は大好きな人と「面と向かって」話しているときに,脳が活性化するということかな,と思いました。


お母さんという信頼できる人が出来る

信頼できるお母さん≒「大好きな人」が出来て,「大好きな人」と話すことも楽しくなる

楽しいから,他の人,友達にも話してみようと思うようになる

話す中で,この人は話して楽しい(そうじゃ無い人もいる)≒価値観が合うと分かるようになる

自分としての「アイデンティティ」が確立される


という順序なのかな,と思いました。

 

「大好きな人」はお母さんだけじゃ無くて,お父さんや,うちの場合は,おばあちゃん(私の母)の場合もあると思うけれど,

一般的には,産まれた瞬間からだっこをする立場になることが多い「お母さん」との関係が深くなることが多いのかな・・

と思いました。

 

私も改めて,もう少し,子ども達と面と向かって,肌を触れあって,会話をしていきたいな・・と思いました。

大人になってからも,「面と向かって」話すのと,携帯電話で話すのとでは「脳の働き」が全く違う,と分かったので,

「好きな人と会って話す」ということをもっと大切にしたいな・・と思いました。


みなさんは,「面と向かって大好きな人と話す」こと,していますか?

子どもさんと面と向かって会話をしていますか?

 

 

3 児童虐待の背景


子どもを虐待してしまう親,その多くは母親なのですが・・・

60%~75%のお母さんが,自分も虐待をされた経験を持っているという研究報告があるそうです。

精神的,心理的な虐待を含めれば,ほぼ100%の方が自分も虐待を受けた経験のある親だそう。

私も,この事実は児童虐待の相談を受けてきて実感してきたところです。

 

自分が虐待をされて辛い経験があるはずなのに・・どうして自分もしてしまうのか?


佐々木先生の答えは,

「自分自身が幼いときに,親から虐待を受けた人は愛情に飢えている。だから,愛情に対する欲求がとても強いのです。子どもを愛することよりは,自分が愛されたいということにずっとおおきな関心があるんです」

ということ。

 

自分が先に与えられたものだけが・・・人に与えることが出来る,と最近よく思います。

佐々木先生は,「夫と仲の良いお母さんで,わが子を虐待した人を見たことがない」とも言っています。

なので,自分は虐待を受けた経験がある人であっても,

今現在十分に愛情を受けられるパートナーがいれば,子どもに愛を注げるのかな・・と思います。

 

しかし,大人の場合,赤ちゃんの頃とは違って,

既に「アイデンティティ」を確立して,お互いに自立しながらコミュニケーションを取るという関係性を求められるので,

無条件に自分の言いなりになってくれる人,愛してくれる人を得ることは果てしなく難しい・・と感じます。

 

だからこそ,乳幼児期に「無条件に愛される」という経験が必要なのだけれど,

親側にその経験が無いと,与えるのが難しいというサイクル・・・

 

離婚相談を受けていると,パートナー(夫,妻)の行動が,子どもや配偶者への労りにかけると感じることも多いので,尋ねてみると,そのパートナーの親子関係や両親の夫婦関係に問題があると感じるケースがほぼ100%。

なので,子どもの頃に育った環境,親子関係,人間関係が大人になってからのパートナーシップにも大きな影響を与えることをすごく実感する。


刑事事件でも,犯罪を犯してしまう人の生い立ちを事件資料で読むと・・

全員が親からの愛情を十分に感じられていない,という印象を受ける。

「オレなんか産まれなければ良かったのに」「生きている意味無い」「死んでも構わない」「どうなってもいい」


という発言がある。

 

この連鎖を,どこかで断ち切れないかな・・・・?

 

子どもから大人に育つ長い成長期間の間に培われたもの,培われずに来てしまったものを一気に何とか出来るわけじゃ無いし,

私の力は本当に微力だけど・・・


せめて私の所に相談に来られた方には,私からのささやかな「愛情」を感じてもらえたらな,と思っています。
(あまり,弁護士事務所の相談らしくはありませんが・・・)

そのために最近意識しているのは,ご相談者の「今,出来ていること,頑張っていることに目を向けること」です。


わが子である赤ちゃんを見ているとき,

自然と「ひとこと」話しただけで親は笑顔になる,「わー○○ちゃん,お話しできたねえ,すごいねえ」と声をかける。


なのに,


大人になると,要求されるレベルが高すぎて,頑張っていても気づいてもらえない。

けれど,本当は,赤ちゃんに比べたら,めちゃめちゃ頑張っているし,いろんな事ができているはず!

なので,そこに気づいて声をかけていけたら・・と思っています。


「流れを変える大人を作る」・・一人じゃできないかもだけれど,自分で出来ることをしていきたいなと思っています。

みなさんも,子どもの良さを見つけられる,愛せる大人を増やすために,

一緒に周りの大人に「良さ」みつけをしてくださいませんか?

 


まとめ 人間の心と脳の発達にはステップがある


「人間の社会的人格の発達にも,順序を抜かすことが出来ないものが必ずある」「飛び級はない

というのが佐々木先生の言葉。

 

つまり,「人を信じること」が育たないと,その後の成長は難しい・・・

大人になってからでも,この部分が抜けてしまっていると,

夫婦関係でも,親子関係でもうまくコミュニケーションを取るのは難しいのかなと,改めて思いました。


私は今,多治見市の教育委員もしているので思うのは,

大人であってもこの大事な「ファーストステップ」である「人を信じること」が欠けてしまっているケースがある中で,

思春期だから,もう中学生だから,というように一律にアイディンティティの確立≒他者評価の機会を,と進んでいくのでは無くて,もし,ファーストステップが欠けているという感じがあったら,それを補うようなサポートをして欲しい・・ということです。

本来は,この部分は,親が担当するところなのだと思うけれど,虐待を受けてきた親などで難しいこともある,親が近くにいないケースもある,その部分をサポートしてくれる仕組みがあったら・・と思う。


学校の先生にも色々お仕事があるから,教員がそれを担うのは難しいのかな・・・とは思うのだけれど,具体的には,子ども自身をそのまま認めるファーストステップの声がけを誰かがしてくれたり,本来ファーストステップを中心的に担うべき大人である親が,それを担える状況になるように親への支援,エンパワーメントをしてくれるような仕組みがあるといいなと思いました。

親への支援はまだ,あまり明確にイメージが出来ないけれど,夫婦関係が良くない場合であっても,気軽に子育ての相談の出来るような仕組み作り・・・でしょうか。

 

皆さん自身とみなさんの周りの方は,「飛び級」していませんか?

もし,「飛び級」の可能性があったら,ファーストステップを踏むためのできること,一緒にしてもらえたら,嬉しいなと思っています。


ちょっと,極端な言い方になりますが,子どもを思い通りに動かしたい,と思ったら,「信頼して」動いてもらえるように,まず自分のことを好きになってもらわないといけない。

そして,自分を好きになってもらうには,まずは,子どもの思い通りに動いてあげるのが先・・という感じでしょうか?

大人同士の関係の場合,先にどちらかが一方的に相手の思い通りに動く,というのは難しそうですが,先に動いてあげる,与えることで愛を伝えたら,相手も段々と動いてくれるかも・・。

 

それでは,

このブログを読んで下さった皆さまが「子どもの脳と心を鍛えるために大切なこと」,特に「子育てのステップ」に気づき,安心して,子育て出来るヒントとなりますように・・

そして,周りの大人,子どもの「今現在」の状態での頑張りを認められる大人が増え,

「連鎖の流れ」を変える大人が増えていきますように・・


今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!

 

 

この記事を書いた弁護士

木下貴子
木下貴子
岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり18年目。
岐阜県立多治見病院など地元事業者の顧問弁護士を務め,法律のみならず経営に関するアドバイスも行っています。
個人のお客様には,離婚,相続,不動産案件を多く取扱っています。
著書「離婚調停は話し方で変わる」は,Amazonランキング「法律」部門ほか5部門で第1位を獲得。
相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーとしています。お気軽にご相談ください。

コメントを残す