1万人の人生を見たベテラン弁護士から見た運のいい人~西中務弁護士

いつも読んでいただき,ありがとうございます!
お盆が過ぎましたが,みなさんはどのような時間を過ごされたでしょうか?

私は,お墓参りをしたり,子ども達との時間をゆっくり過ごしたり,とても大切な時間を過ごすことが出来ました。
また,この間に気になっていた本も何冊か読むことが出来ました。

本日は,その中の1冊「ベテラン弁護士の「争わない生き方」が道を拓く」の本の内容から気づいたことをお伝えします。
この本は,私の依頼者から紹介して戴きました。

著者の西中務弁護士は,45年以上の弁護士生活の中で「争わない生き方」こそ望ましい,と行き着いたようです。
この本を読んでみたい,と思ったきっかけとなった依頼者のお話。

西中弁護士は,自分が業務をしているビルから下を眺め,遠くの方からビルに近づいてくる人を見ていた。
二種類の方がいた。ひとつ目は,明るく元気そうな方。もうひとつは,元気の無さそうな方。

そのうちに,誰が自分の業務をしているビルに入ってくる人が,遠くから見ていても分かるようになったそうです。
明るい方達は,隣のボランティア活動をしているビルに入っていく。
自分のいる方のビル,弁護士の所に相談に来る人達は・・・

「争い」「もめ事」があるからこそ成り立つのが弁護士の仕事・・
それなのに,仕事を減らしてしまうかも知れない「争いのない生き方」をすすめる不思議な弁護士。
弁護士に成り立ての頃の私だったら,分からなかったことも多かったと思いますが,今は共感出来る部分が多くありました・・・


なぜ,同じ人が同じような争いを繰り返すのか?
なぜ,「争わない生き方」をベテラン弁護士がすすめるのか?
ベテラン弁護から見た運のいい人とは?


本の中から,3つをご紹介したいと思います。

 

1 争いを繰り返す人の共通点

西中弁護士が弁護士に成り立ての頃,兄弟間の深刻な相続争い事件を担当した。長期の裁判の末,一件落着。
しかし,数年後に母親の介護のことでまた相談に来所。数年の裁判後解決。
・・ところが,今度は母親の相続トラブルで相談に来所されたそうです。

そこから「考え方」「生き方」が変わらなければ,何度解決しても,同じトラブルに見舞われる,と言っています。

弁護士は,法律を用いて争いの決着をつけるのが仕事。
けれど,それは「対処療法」にすぎず,依頼人の「心」,「考え方」まで変えることは出来ない・・とも言われています。

私は,「争い事」「もめ事」が起きること事態は避けられないこともあるし,むしろ,こういう「痛い目」は,何かに気づくための「必要不可欠なこと」だと思っています。
西中弁護士の本も読んで,この「きっかけ」から,自分の今までの「生き方」「考え方」をどう変えたらいいのか・・・考え,行動を変えられるかどうかが同じ様な争い,もめ事を繰り返さないための大事なポイントのように思いました。

なぜ,何も悪いことをしていないのに自分ばかりがこんな目に遭わなければいけないのか,
こんな思いをさせた相手方が憎い,
全部相手が悪いんだ・・と思ってしまうこともあると思います。

トラブルに何度も見舞われる人に「あなた自身が悪い」などというつもりもありません。

けれど・・・
西中弁護士ほどの経験をしてきたわけでは無いですが,何度ももめ事に巻き込まれている方を思い出すと・・・
(西中弁護士も言っていますが)不満や愚痴の多い方,相手方に対する非難ばかりが目立つケースが多いように思います。

今,私の所に来られる依頼者の方々は・・むしろ,相手方を恨んでしまっても仕方ないような事案なのに,自分をコントロールし,この出来事をきっかけに,前向きに生きていこうという方が多くて,有り難いと思っています。
そういう方こそ,本気でサポートしたい,と思います。

つらいときは,誰かを恨んでしまうこともあると思いますし,そういう感情を全て抑えなければいけない・・なんて全く思っていません。私もそんなに強い人間ではないので。
それでも,ひと通り,辛い気持ち,憎みたい気持ちをはき出したら,これからどうしていこうか,小さな一歩を一緒に踏み出していけたら・・と思っています。

弁護士の仕事としては,その「事案」だけを法的に解決したらいいのだろうし,むしろ,その後も何度も「もめ事」をおこしてもらったほうが弁護士として「仕事」になるでしょう。
けれど,私もせっかくご縁を持って,私を選び,関わって下さった依頼者の方には,これからは同じ様なトラブルに見舞われて欲しくない,幸せになって欲しいと思っています。
そのために,自分もお手伝いが出来たらいいな,自分もそんな弁護士になりたい・・と改めて思いました。

みなさんや皆さんの周りの方は,同じ様な「トラブル」にあっていませんか?
もし,そうだとしたら・・これからどうしていったらいいでしょうか?

 

2 争わない生き方で人生が好転

あるスーパーの中で精肉店を経営していた方の話。
突然,スーパーのオーナーから,「別の精肉店が入ることになったから出て行って欲しい」と言われたと相談。

損害賠償請求も出来る事案だったけれど,その方は,これまでにお世話になったから「しない」ことを選択したとのこと。
文句も言わず,キレイに掃除をして「今までお世話になりました」とお礼まで言って退去したそうです。

その結果,オーナーの紹介で別の場所で出店することができ,大成功。
その後,元のオーナーが戻ってきて欲しい,と言われ,多店舗展開もできたとのこと。


また,大企業で退職勧奨を受けた男性からのご相談。
裁判をすれば,退職金の額を上げることも出来たかも知れなかったけれど,裁判を起こす時間,労力を考えて,その方に利益になるのかと考え,和解を進めたそうです。

その結果,関連会社の中堅企業に優秀な社員として紹介してもらえ,再就職できた。
残業が減って,勤務時間も減り,家族との時間も増えて「本当にありがたい」と喜んでいたとのこと。


西中弁護士は,文中で,こんな事を書くと・・
「弁護士の仕事が無くなると同業の弁護士から苦情が出るかも知れませんが,あえて書かせていただきます。
まずは和解の道を探すことをおすすめします。私はこれからも依頼者の真の幸せは何かと考えながら仕事をしていきます」

・・とっても,共感しました。
私も,弁護士に成り立ての頃は,裁判をして戦い,勝つことこそ,弁護士の仕事,だと思っていました。
けれど・・それで,「人生の時間」「心の平穏」など,失うものもすごく多いんじゃないか,というのが今の私の実感です。
私も,やっぱり,依頼者の「真の幸せ」に繋がることをしたい・・・

最近は,裁判をすることがめっきり減りました。
・・これは,友人の司法書士から「裁判をしない弁護士」になったら,と言われたこともきっかけかも知れません。

どうしても,避けられない裁判もあるけれど,裁判になってからでも和解での解決を出来るだけ目指したい・・
そして,話合いでの解決,「調停」まででの解決を目指せるよう,これからも力を入れていきたいです。

なぜ,「争わない生き方」を西中弁護士が勧めるのか・・?
その方が,多くのケースでは,結果として人生での幸せをつかめている,と感じているからかな,と思います。。

みなさんは,争える,権利を主張できるケースでも,あえて「争わない生き方」を選んでみようと思いますか?
・・・皆さんがそう思うようになったら,弁護士の仕事もいらなくなってしまうかもしれませんね(笑)。

 


3 弁護士から見た運のいい人,悪い人

論理を重んじ,証拠に基づいて,分析的に判断することを基本とする弁護士は,目に見えない「運」の大切さをあまり言いません。
しかし,西中弁護士は,この「運がいいこと」を大切にしている点に,私はとっても共感しました。

弁護士を45年もしていると,運のいい人と悪い人が分かるそうです。

運の悪い人は,
就職先が何度も倒産したり,リストラにあったり,何度結婚しても離婚したり・・
親や親戚も離婚,倒産,交通事故など,不幸の連続,と言い切っています。

では,なぜ,運がいい人と悪い人がいるのでしょうか??

西中弁護士は,
運が悪い人をいっぱい見る中で,「生き方」を研究した結果・・・

運が悪い人は,「徳を重ねていない」と言っています。
運の悪い人は,「利他の心がなく,先祖の墓参りもしない」と言っています。


西中弁護士もそうだと思いますが・・
私は,離婚すること,交通事故に遭うこと,倒産すること,それ自体が「運が悪い」ということではないと思っています。

交通事故に遭って大きな後遺症が残ったけれど,それをきっかけに,残された能力を最大限に活かして,活躍し,周りの方を勇気づけている方もいらっしゃいます。
同じように,離婚することで,使命に目覚め,それまでの人生から好転していく方もいます。
ディズニーランドを作った「ウォルト・ディズニー」も一度倒産を経験しています。

なので,トラブルに遭うことそのものよりも,同じ様なトラブルが「繰り返される」ことが「運の悪い人」という評価になってしまうのだと思います。
では,同じトラブルが繰り返されないためにどうすればいいのか・・

「徳を積み,利他の行為をしていけば,運命は好転します」と西中弁護士は言っています。

松下幸之助さんも,松下政経塾の最終面接で「君は運がいいか?」と聞いていたそうで,運を重視していらっしゃいました。


・・私も,「運の良さ」はとても大切にしています。
そして,周りの人から見たら「不幸」と思える出来事であっても,「自分は運がいい」と捉えられている方のことを,心からすごいな・・と思います。

田中弁護士も,「自分は運がいいんです」と言っていたところが,是非事務所で一緒に働いて欲しい,と思った点でもありました。


みなさんは,運がいいですか?
周りの方も,運のよい方(よいと思っている方)が多いですか?

私はとっても運がいいと思っています(笑)!

そして,
お盆でしたが・・・お墓参りはされましたか??
実は,私は以前はあまりお墓参りを重視していませんでした・・・

もちろん「お墓参り」が全てではないと思いますが,自分の祖先に感謝すること,自分のルーツ,存在自体に感謝できることそのものが運を良くしていくことに繋がるのかもしれませんね。
そして,今日,何か,誰かのために出来ること(利他の心),誰かを喜ばせられることを考えていくこと自体が,運を上げていくのに必要なのかな・・と思いました。

 

まとめ 法律で人の争いをなくすことはできない

時々,「法律は弱い人を守ってはくれないのですね」「弱い人に厳しいのですね」と言われることがあります・・
法律業務を仕事としている弁護士としては,こう言われると,仕事をしていても「無力感」を感じて辛くなります。

でも,確かに,そうかも知れないと思いますし,それは仕方ないことなのかな,とも思うのです。


西中弁護士も書かれていますが,法律は,人が守るべき最低限のルールで,守られているからといって,全員を幸福にするものではないし,争いが無くなるものでもありません。
誰が「弱い人」なのかも,色々な考え方があると思いますが,十分に,「弱い方」を守るようには出来ていないかも知れません。

私も弁護士になったときには,弁護士になりさえすれば,社会的な弱者を守り,世の中の争いを無くしていくことで,人々の幸せにしていくことができる・・と考えていました。
しかし,西中弁護士も言っていますが,現実はそうではありませんでした・・


弁護士のしている仕事は,争いを解決するための「対処療法」でしかないのです。

ガンの名医の言葉だそうですが・・
ガンを治しても,再発するのは,その人の生活習慣や考え方に原因がある,とのこと。

同様に,争いを法律で解決しても,同じ人がまた同じような争いをしてしまうのは,根本的な解決をしていないから・・
と西中弁護士は言います。

そして,
もちろん,目の前の争いを解決することで,幸せになる人も沢山いるのだけれど,それだけではいけない,という思いを強く持った,と言われています。

私も・・・今,本当にそう思っています。

弁護士に成り立ての頃は,とにかく裁判に勝てると嬉しくて,それが依頼者の幸せに繋がっていると思っていました・・
私は弁護士として,一人では戦えない「弱い方」を守っているのだ・・という思い上がりもあったと思います。

でも,それが変わってきたのは,様々な方との出会いからです。
西中弁護士も,倫理法人会,ロータリーなどを通じて,様々な尊敬できる経営者に出会ったことを本の中でも述べています。

本当に幸せに,笑顔で過ごしている方,経済的にも豊かになっている方,というのは,あえて争いを避けているようにみえます。
「金持ち喧嘩せず」という言葉もありますが,金持ちは,喧嘩をすれば,損することを知っていて,他人と争わない,という意味だそうです。

私も,振り返ってみると・・弁護士に成り立ての頃の衝撃的なエピソードが思い出されます。

私は,裁判で訴えられた方の代理人をすることになりました。
その方は,その頃私が事務所で接してきた依頼者の方や相手方とは,どこか異なる雰囲気を携えた方でした。

その案件は,本当にこちらに何らの落ち度もないにもかかわらず,言いがかりをつけられ,金銭を請求されたような事案でした。
なので,徹底的に裁判を続ければ,何らの金銭を支払うことも無く,勝訴することも出来た事案だと思いました。

けれど,その依頼者の方は,これ以上この裁判に巻き込まれたくない,という気持ちから,客観的には払う必要が無いと思われる金額を支払って,和解をすることを選択されたのです。

・・・このことは,当時,戦って勝つことこそ,弁護士の仕事の全て,と思っていた私にとっては衝撃的なことでした。

そして,今振り返ってみると,その訴えられて,お金を支払った方の方が,訴えた方より圧倒的に裕福で,事業にも成功され,家族とも仲良く,幸せそうでした・・・


現在の私の依頼者の方々は,経済状況はそれほど裕福で無い場合もありますが,それでも,トラブルを前向きに捉えてくれる方が増えています。

「最近は,依頼者の方達が本当にいい方ばかりでありがたいんです」とある依頼者の方に伝えたら,「それは,先生がそういう方だから集まるんです」と嬉しいことを言って戴き,その方が,この本を紹介して下さいました。

・・・読んで,とっても共感でき,励みになりました。ありがとうございます!!

では,改めて,争いを繰り返さず,「幸せ」になるため,法律よりもずっと大切なものはなんでしょうか?
西中弁護士は,利他,品性(徳を積む)ことを含む7つの心,と言っています。
・・・是非,この続きは,本を買って読んでいただいて,確かめてもらえたらと思います!!

それでは,このブログを読んで下さったみなさまで,今,争いの中にいる方,周りに争いに見舞われている方がいらっしゃる方にとって,その出来事をきっかけに人生を好転するためのヒントとなりますように。

既に,「運のいい方」は,更に運を高めるためのヒントとなりますように。

そして,今日も,誰かに愛を伝え,愛を実感できる1日となりますように。
 

今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!

 

この記事を書いた弁護士

木下貴子
木下貴子
岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり18年目。
岐阜県立多治見病院など地元事業者の顧問弁護士を務め,法律のみならず経営に関するアドバイスも行っています。
個人のお客様には,離婚,相続,不動産案件を多く取扱っています。
著書「離婚調停は話し方で変わる」は,Amazonランキング「法律」部門ほか5部門で第1位を獲得。
相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーとしています。お気軽にご相談ください。

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