預かり品が返還できないときの規定はありますか?

022みなさま,おはようございます!
今日は,企業のご相談の中でありました「預かり金」「預かり品」の管理・処分について,現金や通帳・その他の物を預かる可能性がある企業には是非注意していただきたい点がありましたので,お話ししたいと思います。


商業取引の中で,商品のサンプルや現金・書類を預かったり
介護施設,病院などの宿泊を伴う施設で預金通帳,現金を預かったりすることがあると思います。

こういった「預かり金」「預かり品」について,気をつけることは何でしょうか?

預かった通帳から出金して日常品の購入に使う場合,気をつけておくべきことは?
死亡,退去,取引中止などにより,急に連絡が取れなくなった場合,「預かり金」「預かり品」の処分をしていいのでしょうか?

 

 

1 預かり金等取扱規程

介護施設,病院などで現金・通帳などを預かる場合,まずは「預かり金等取扱規程」を定めておく必要があります。
これは,多くの企業(病院・介護施設)がされていると思います。
出金伝票での管理方法などを決めておくことで,後に入所者やその死亡後の相続人から,出金の使途不明金を追求されるなどのトラブルを防ぐことが出来ます。
一人の職員に全て管理を任せるのではなく,他の職員が出金管理・確認をすることで,「横領=使い込み」してしまうリスクも軽減できます。
一般企業の場合であっても,商品のサンプル・現金・書類を預かる場合には,その取扱規程(どのように保管するのか,どんなときに預かり金を使うのかなど)を定めて,預かる企業に対して,説明をしておくことが大事です。
その際,次の返却についての取扱について,見落としがちですので,記載しておくといいでしょう。

 

 

2 預かり金等が返還できない場合
 

施設,病院であれば,退去,退院時に預かり金・預かり品(通帳など)を返還します。
しかし,なんらかの原因で返還し忘れてしまったりすることや,急な退去により,死亡により,相続人への連絡が取れない場合もあります。
このような場合,通帳,現金,置き忘れの衣類など,ずっと保管し続けなければいけないのでしょうか?

法的には,この場合,行方不明となっていれば,不在者財産管理人,死亡していれば,相続財産管理人を裁判所に選んでもらって,引き継ぐことになります・・
しかし,その手続きには手間もかかり,管理人となる人(通常弁護士等専門職がなります)のための費用,申立のための弁護士費用など,少なくない費用の負担もしなければいけません。

そのため,現金,通帳などを預かる場合には「退去(退院)後,○年経過しても連絡の無い場合には,処分する」ことを預かる際に明示した書類に確認のための署名をしてもらっておくといいでしょう。
あわせて,衣類などの残置物についても,同様の規定をして,確認してもらっておくといいでしょう。

商取引による預かり書類・現金なども同様の規定をしておくことで,急に取引先との連絡が取れなくなった場合の対応,処分の仕方に困りません。


もっとも,強制的に「財産」を処分することになるので,その保管期間を何年とすべきか,そもそも処分するとの条項は有効か,などのリスクもありますので,預かり金等の処分規定を作る際には,弁護士に相談することをお薦めします。

銀行などの金融機関の預金口座についても,同様の問題があり,各銀行で工夫がなされているようです。
休眠口座として,一定期間取引のない口座の預金を一旦銀行の収入として取り扱うという方法です。
その後もしばらくは,手続きをふめば解約したり,復活して利用できるのですが,銀行によっては,休眠口座管理手数料が発生する形として,最終的には,預金残高から差し引いていき,残高がゼロとなった際に解約する,ということも行っているようです。

もっとも,金融機関の場合には,預金を消費して運用して良い,という預かり方である点が他の企業とは違う(一般の施設,病院で消費して運用することは予定されていない)ので,注意が必要です。
その他にも,貸金庫内の残置物の処分なども問題となっていますが,これに関しても規定を作っているようです。

同様に,病院,介護施設などでも,利用者の便利のために現金,通帳などを預かる場合には,施設や病院でも,管理手数料をいただくようにする方法もあります。

 

 

3 処分記録の管理

預かり現金を収入処理したり,預かり品を破棄した場合,その処分記録,管理記録を残しておくのがのぞましいです。
金融機関でも一般的にそのような取扱をしています。

特に,現金,通帳自身について,処分までの保管期間を短く定めている場合には,処分記録の保管は相当程度あるべきです。
各企業,施設,病院では,それぞれ文書の種類によって,保管期間を定めているところも多いと思いますが,そのうち,預かり金等の処分記録の保管期間を何年とするか,定めておくと良いと思います。

 

 

まとめ

預かり金等を返却できない場合のリスクをふまえて,予め,規定をしておくことが大切ですね。

しかし,もし,そのような「処分」に関する規定がない場合には,ずっと預かり金,預かり品を保管し続けなければいけないのでしょうか?ゴミのようにみえる物は?
預かっている「物」によって,処分してしまった場合のリスクは違いますが,リスクを踏まえた上で,処分することも考えられます。

何年経過したら処分してもいいのか,その際にどんなリスクがあるのか・・・
不動産の賃借人が中に色々な家財を残したまま,突然いなくなってしまったような場合・・・

退職した職員が,残していった物の処分・・・

などの問題もありますよね。

 

財産を処分する場合には,刑事処分を受けることもありますので,弁護士にご相談くださいませ。

 


それでは,今回の記事が,経営者の方,入所者等の現金,通帳を管理している施設職員の方にとって,お役に立てますように。


最後まで読んで下さってありがとうございました。

この記事を書いた弁護士

木下貴子
木下貴子
岐阜県多治見市で初の女性弁護士となり18年目。
岐阜県立多治見病院など地元事業者の顧問弁護士を務め,法律のみならず経営に関するアドバイスも行っています。
個人のお客様には,離婚,相続,不動産案件を多く取扱っています。
著書「離婚調停は話し方で変わる」は,Amazonランキング「法律」部門ほか5部門で第1位を獲得。
相談は,親身,気軽,自分で決めるをモットーとしています。お気軽にご相談ください。

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