いつも読んでいただき,ありがとうございます。読んでるよ~と言ってもらえると,とても嬉しくなります♪
今回は,十六銀行と取引があり,多治見を中心に活動する経営者を会員とした「陶都多治見十六会」で9月18日に開催された講演の感想です。
テーマは,「7分間の奇跡~TESSEI新幹線チームの働く誇り」,講師は「矢部輝夫」先生でした。
矢部先生は,国鉄の安全対策部門に40年勤務した後,鉄道整備株式会社(後のJR東日本テクノハートTESSEI)の経営企画部長に就任。従業員の定着率が低く,事故やクレームの多かった新幹線の清掃会社を海外からも取材が殺到する「おもてなし集団」へと変革された方です。7分間の停車時間の中で,すばやく,美しく,礼儀正しく清掃する姿は,アメリカのCNNで「日本の美徳」として報道されています。
事故やクレームを防ぐだけでなく,社員が「おもてなし」の心に目覚め,自立的に仕事をしてくれたら,どんなにいい会社になるだろう?
「○○に気をつけてほしい!」「どうして,××に気がつかないのか!」と職員を責めてしまったことも…
…経営者の皆様ならば,一度はあるのではないでしょうか?
私もあります。
では,どうしたら,社員が変わるのでしょうか,そのためのキーワードは「働く誇り」ということのようです。
「働く誇り」を職員が持てば,大きく意識,行動が変わっていく…
職員が「働く誇り」を感じる会社とするために,経営者がすべきことはなんでしょうか?
私が感じた大切なポイントを3つお伝えします。
1 新幹線劇場~イメージの変革
JR東日本は,これまでの運行で脱線をしたのは,たった1回のみで日本人として誇るべき安全技術,世界最高技術の安全を誇る会社。そんな「世界レベル」の清掃に関わっている会社が私たちの会社なのだ。
私たちの仕事は,新幹線を通じてお客様と私たちがシーンを共有するステージ,「思い出」を持って帰るための「新幹線劇場」なんだ。
…それまでは,ただの「清掃のおばさん・おじさんの会社」と思っていたのが,自分たちの会社への誇り,自分たちの仕事そのもののイメージが変換されたことによって,「働く誇り」が生まれているのが分かります。
世界に発する日本人の美徳として,美しく,感動的なシーンを作りたい,という仕事のイメージがわきますよね。
会社は,「世界最高技術」に関わる会社,仕事は,「新幹線劇場」…いかに,経営者(リーダー)は,誇りを感じられるイメージを「言葉化」するのが重要か分かりますね。どういう言葉で職員に伝えるかは,矢部先生もかなり考えられたようです。
みなさんは,みなさんの会社について,「誇りが持てる」イメージの言葉化ができていますか?
職員の仕事の内容について,「誇りが持てる」イメージが伝えられていますか?
…私は,まだまだと感じたので,伝えて行きたいと思いました。
2 外見から入る~制服
それまでは,汚れが目立たず,「掃除をするおばさん」の作業服という出で立ちだった社員。
これをリーダー職員は赤色で統一した明るくてかっこいい清掃姿へ。「コメットさん」という愛称もつけた。
他の職員につても白いシャツに帽子という「制服」にして,添乗員業務職員のような印象へ。
これによって,自分たちの仕事が単なる「清掃業」ではなくて,ホテルウーマンやキャビンアテンダントのような「お客様に気持ちの良いの空間,時間を提供する高度なサービス業のイメージ」となりますね。
清掃の仕事は,3K(きつい,きたない,危険)というイメージがあって,通常は仕事に「誇り」を持ちにくい。
たかが制服,されど制服。
確かに,服装が変わると(女性であれば,アクセサリーなどを付けるだけでも)気持ちが変わりますよね❤
意識を変えるには,まずは形から入ることも大事ですね~
皆さんの会社では,「誇りを持てる仕事」のイメージを具体的に意識できる服装,道具類を使っていますか?
3 感動を共有する仕組みづくり
今,テクノハートの社員さん達は,雑誌に掲載され,世界から取材も受けて,友人,知人から「写真見たよ~。すごいね」「おばあちゃん,テレビ見たよ。かっこいいね」と言われています。
今では,友人,家族,「社会に認められ」,仕事に誇りを持てている。
しかし,一気に社会に認められるのは難しい話で,その前に「働く仲間が認める」という段階がある。
「エンジェル・リポーター」という役割を受けた職員が,感動した行動,頑張る職員をリポートして,社内でシェアしていった。
仲間から認められることで,「自分の仕事」に誇りが持て,社員全員の行動が変わっていった。
…そのために,会社が出来ること,それが「会社が職員を認めること」,その仕組みを作ることなのですね。
良く誉めてくれた人を表彰する制度を作ったり,職員のアイデアを採用して取り入れる仕組み作り…
「職員が会社に認められている」と感じられる仕組みを作ることで,「働く仲間同士が認め合う」土台が築かれ,その結果,「社会から認められる」感動体験を得られるのですね。
「以前は,親が子供に勉強しないとああいう仕事をすることになるのよ…」とお客様から言われるのが嫌だった…
でも,今は自分たちの仕事状況を見て,「みてごらん。礼に始まり,礼に終わるのよ」と日本人の手本として子供に言う親の言葉をきけた感動…
職員の発案を採用し,夏,暑いのでアロハシャツで揃って登場。固い職場であるJR東日本での仕事で心配だったが,大評判だったとのこと…
会社で,職員を認めるための仕組み作り,大切なのですね。
皆さんの会社では,社員の行動,言葉,発案を認める仕組み作り,ありますか?
感動の体験が,会社内で共有化されていますでしょうか?
まとめ 従業員,顧客,会社満足をつなぐ
会社は,顧客から選んでもらえなければ,仕事にならず,第一に顧客満足を考えがち…
安全のために,「○○に気をつけなければいけないじゃないか!」「お客様のために,××にしてほしい」…
しかし,それだけでは,社員は「わかってますよ」という「耳だこ」な状態で,心から聞く耳は持てない…
社員は,なぜ働いているのでしょうか?
もちろん,生活の糧を稼ぐためではあるけれど,だからといって,給料を上げれば,自分で動くようになるわけではない。
…人は,根本的な欲求として,「自分が社会に必要とされている」「自分の存在が社会の役に立っている」「自分は生きている価値のある人間だ」と感じたいのだと思います。
そのため,自分の仕事に「やりがい」「生き甲斐」「誇り」を感じたときに,社長,上司に言われなくとも,自ら「気づいて」,事故を起こさず,お客様に心から喜ばれることは何なのか,見つけられるようになる。
また,社員自身が「仕事を楽しむこと」,社員が楽しむことを応援する会社のあり方の大切さ,も感じました。
アロハシャツでの登場も,いつもとは違う身なりでドキドキ,ワクワクしながら仕事をする,お客様からの注目も集まる…
楽しいと感じているとき,集中力も高まるようです。
青森ではねぶた祭りがある時期に事故が少ないとか。浮かれて事故が多そうなのに,不思議ですよね。
経営者は,自分で仕事を選び,顧客からお金を頂戴し,感謝され,自分の仕事が「社会の役に立っている」「自分っていけてる(笑)」と感じやすいけれど,社員は通常は,そう感じられないことも多いと思います。
…特に学歴や専門的技術,資格などを必要とされない仕事であればあるほど,一般的にはそうだと思います。それをどのように「誇りの持てる仕事」と感じさせることが出来るのか,顧客満足,従業員満足,会社満足をつなぐ共通の目標を立てられることが,経営者の大切な仕事,といえそうですね♪
私は経営者としてまだまだ,そのような手腕が使えておりませんが…意識したいと思います。また,社会の一員として,どんな仕事をされている方であっても,その人の仕事の価値を見つけて,声をかけられる人間でありたい,と思います。レストランでのサービス,駅の構内や,トイレ掃除をされている方にも声をかけていきたいな…
このブログを読んで下さったみなさまが,「どうしたら人間(職員)が誇りを持って,自ら動いてくれるのか」を考えるヒントになりますように…
今回も最後まで読んで下さって,ありがとうございました!