債権法改正シリーズ第4回 法定利率の改正について

 

債権法改正シリーズ第4回目は,法定利率に関する部分です。

 

 

1「法定利率」とは

 

「法定利率」とは,利息が当事者の合意によって発生する場合に、利率が合意により決まっていない場合や、法律の規定により利息が発生する場合に適用される利率をいいます。

 

旧法は、法定利率を年5分(5%)と定めています(旧法404条)。

 

この法定利率は、利息債権の場面だけではなく、金銭債務の損害賠償額の算定に関する特則(旧法419条)、生命侵害などによる中間利息控除の場合の基準として、重要な意味を有しています。また、不法行為による損害賠償請求権や、不当利得の返還請求権の遅延損害金の場面においても、法利率が適用されています。ですから、この「法定利率」の変更が実務に与える影響は、とても大きいものがあります。

 

 

「中間利息控除」という聞き慣れない言葉が出てきました。

 

中間利息控除とは、例えば、給料をもらっている人が交通事故で死亡した場合に、将来にわたって受け取るはずであった給料の総額を、現在において一括して受け取る場合に、一括して受け取る金銭を銀行に預けておけば利息がつくはずであるから、その分を前もって控除しておこうという操作です。実務上は、法定利息に準じて5%の中間利息が控除されていました。しかし、現実的には、銀行に預けておいて5%の利息がつくことなどあり得ませんよね。

 

この点については、従来から、5%の中間利息控除が被害者側に不利であるとして争われたこともありました。しかし、一括して受け取る損害賠償の遅延損害金も法定利率により算定されるので、法的安定性や統一的処理の観点からすれば、5%の中間利息控除にも合理性があるとされてきました。その根本が変更になることになります。

 

では、債権法改正により、法定利率がどのように変更になるのか見ていきたいと思います。

 

 

2 新法における法定利率

 

 改正の重要ポイントは、3つです。

 

①法定利率が法改正の施行時に年3%となる

 

法定利率は、年3%となります(新法4042項)

 

問題は、いつから適用になるかです。

この点、債権法改正の施行日は、202041日と決まりました。

 

金銭債務の不履行による損害賠償は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率により定めると規定しています(新法4191項本文)。ですから、遅延損害金の利率は、遅滞に陥った時点の法定利率によることになります。なお、約定利率が、法定利率を超えるときには、約定利率になります(新法419条但書)。

 

中間利息控除について、新法においては、生命侵害等の損害賠償額の算定における中間利息控除の利率が「法定利率」によることが明示されることになりました。そして、その利率の基準時は、損害賠償請求権の発生時、つまり事故日が基準とされることになります(新法417条の2722条)。

 

 

② 固定制ではなく3年を1期として緩やかな変動制を採用

 

新法においては、今後は、3年を1期として、1期ごとに法定利率を見直すことになりました(新法4043項)。

 

㋐ 各期の法定利率は、法定利率に変動があった期のうち直近のもの(直近変動期)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(1%未満切り捨て)を直近変動期における法定利率に加算・減算した割合とする(新法4044項)。

 

㋑ 「基準割合」とは、過去5年間(各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月まで)の各月における短期貸付けの平均利率の合計を60で除して計算した割合して法務大臣が告示するものをいう(新法4045項)。

 

例えば、最初の3年(第1期)における基準割合が0.8、第2期の基準割合が1.4のときは、その差が0.51%未満ですので、法定利率の見直しはありません。第3期の基準割合が1.9となった場合、第1期との差が1.1となり1%以上となりますので、1%が加算対象となり、第4期の法定利率は、4%となるという恰好です。

 

なお、債権の利率は、別段の意思表示のない限り、その利息が発生した最初の地点の法定利率で固定し、その後は変動しません(新法4041項)。そうしないと、利息の計算が困難になってしまいますね。

 

 

③商事法定利率は廃止される

 

 商法514条は削除され、商事法定利率年6㌫は廃止することになりました。よって、商行為によって生じた債権についても、民法と同じ法定利率となります。

 

以上の3つを覚えておいていただければ大丈夫だと思います。

 

 

 

3 法定利率の改正に向けた準備

 

 今回の改正では、当事者間の約定がない場合、遅延損害金の利率が、施行時に5%から3%になり、旧法よりも低くなることになります。また、商行為の場合であっても、6%ではなく民法の利率が適用になります。

 

そうすると、これまで以上に、遅延損害金の利率を契約書において定めておく必要性が高まったと言えます。

 

例えば、売買契約書を作成するにしても、売主としては、代金不払いに備えて遅延損害金の定めがあるかどうかをよく確認しなければなりません。売主の立場からすれば、従来の商習慣(日歩4銭)から、14.6%の遅延損害金を主張するなど、積極的な手当てが必要になります。

 

 

 

それでは今週も頑張ります!今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!!

 

本年もお世話になりました!

 

大晦日ですね!

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来年こそは、妥当な解決、よりよい解決、納得のできる解決で終わらせたい、そう決意を新たにするのが、毎年の年末の私の心境です。

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